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2020年07月27日

【会員専用 Weekly No.249】最近のユーロ高が示唆すること、欧州の連帯感

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆さんの資産運用の一助になれば幸いです。

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  1. 最近のユーロ高が示唆すること、欧州の連帯感

  2. ドル弱含みでリスクオンの構図

  3. 企業の香港離れ、加速する公算

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Weekly 7月27日

【最近のユーロ高が示唆すること、欧州の連帯感】

22日のNY外為市場ではユーロが対ドルで4日続伸し、約2年ぶり高値を更新した。その後もユーロ買いが優勢。EU(欧州連合)首脳が前日、7500億ユーロ規模の新型コロナウイルス復興基金設立で合意したことが材料視されている。この日、一時2018年10月以来の高値となる1.1601ドル/ユーロを付けた。

ユーロ円もしっかりしている。5月初旬の大型連休中に日本人投資家の隙を狙った怪しげな円買い投機の噂が広がると、一時1ユーロ114円台まで差し込む一幕もあったが、心理的節目の115円を割り込むゾーンでの滞空時間は累計約33時間で反発。その後は乱高下しながら下値を切り上げ、22日NYで1ユーロ124.07円のユーロ高も観測されている。

1999年1月に欧州11カ国が参加してスタートした単一通貨ユーロは、現在は19カ国で構成されている。それぞれに異なる加盟各国から頻繁に飛び込んでくる朗報や悪報が相場を揺さぶるため、昔からユーロは予想が難しい通貨として定評がある。

ただ、筆者は中長期の視点に立脚して、ユーロの将来については強気の見方をしている。コロナ不況の克服を目指して、ユーロ圏はこれまで各国ばらばらだった財政の統合に向け歴史的な一歩を踏み出そうとしているからだ。「復興基金」の創設により、事実上の「EU共同債」の発行が実現すれば、加盟国による一時的な債務の共有や国境をまたぐ財政移転が起きる。これまでユーロ圏になかった財政面での連帯感が醸成されるだろう。

ユーロ発足以来、「通貨と金融政策だけ一緒にしても、財政がバラバラのままでは経済危機のたびに南北格差が広がり、同一通貨圏としての一体感が保てなくなる」という構造的な問題が常に指摘されてきた。「復興基金」創設の提案は、そうしたユーロの構造的な弱点を補強する初の試みだ。ちなみに、今月からドイツがEUの議長国を務めている。これまで周りの国からどれほど要請されても財政出動には極めて慎重だったドイツは、コロナ対策として今月から付加価値税率の一時引き下げを含む1300億ユーロの大型景気対策に踏み切り、自国の財布のひもも緩める姿勢を示している。

欧州の国々を苦しめている戦後最悪のコロナ不況を放置しておくと、ユーロに加盟している経済的な弱小国においてゆがんだナショナリズムの台頭を招きかねないことになる。感染症との戦いが、ドイツの財政出動のみならず、EUの財政統合をも促す結果に結び付いたなら、ユーロは雨降って地固まるという格言通りの展開になる。メルケル独首相の引退の花道を飾る偉大な業績は、後世から高い評価を得ることになるだろう。

長期的にユーロは上昇していく可能性をもっている。5月中旬以降に加速したユーロドル、ユーロ円の上昇はかなり急だったため、短期的にはスピード調整もあり得るが、ユーロはドル、円どちらにも強含みの傾向が続くのではなかろうか。欧州における新型コロナの感染がいずれ収束に向かうことを前提に、今年の年末頃には1ユーロ=125円前後が視野(すでに先週124円台)に入ってくるだろう。一段の割安修正が進む2021年以降になると、心理的節目の1ユーロ=130円台を試す可能性もあると考えている。日本の投資家はドルしか見ていないが、ユーロ高と割安の欧州株にも注意が必要だ。

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