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2021年02月08日

【Weekly No.271】雇用重視、追加経済対策にも影響

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  1. 【雇用重視、追加経済対策にも影響】
  2. 【基調戻る。買い戻し主体か、方向感探る】
  3. 【「新日英同盟」日英連携強化は日本外交脆弱性をカバーするか】

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Weekly 28

 

【雇用重視、追加経済対策にも影響】

SNSサイト「レディット」による空売り銘柄暴騰相場は、「個人投資家対ヘッジファンド」「空売り投資家の終焉」などと喧伝されたが、3日付ブルームバーグによると、「打撃を受けたヘッジファンドは一部、業界は次の戦いに備える」と報じた。特定の銘柄への空売りが一部ヘッジファンドに巨額損失を与えたが、全体として米株投資は変調せず、ピーク水準を保っているとし、ヘッジファンドのお気に入り銘柄から反発したと言う。調査会社ヘッジファンド・リサーチによると、1月の業界全体の運用成績は-0.2%の小幅、ヘッジファンドの運用手法でロング・ショート運用がやや大きく-1%、クオンツファンドはほぼ無傷とされ、マーケット・ニュートラル運用は+1%。なお、1月の個別株オプション売買高は70%増、指数オプションは12.4%減。個別株重視の表れ。

勢いを取り戻した動きは債券相場に表れた。長期債の利回り上昇が目立ち、10年債は1.14%、30年債は1.94%。30年債-5年債の利回り格差は162月以来の水準に拡大(一時146.2bp)した。FRBが金融引き締めに転じるのは容易でなく、一方で中長期的なインフレ期待が追加経済対策などで高まってきていることが背景。インフレ期待はバリュー株復活期待につながる。

先週末はバイデン政権になって初の雇用統計が発表されたが、3日発表のADP民間雇用報告では1月民間部門雇用者数は+17.4万人。市場予想+4.9万人、12月-7.8万人から大きく好転した。ただし米労働省が発表した雇用統計での非農業部門雇用者数は4.9万人増、予想は5万人増だった。失業率は6.3%(予想は6.7%)。セントルイス連銀のブラード総裁が「米失業率、急ピッチで低下する可能性も」と発言したことで期待感が高まった可能性がある。今回の雇用喪失は一時解雇が圧倒的に多く、復職は早いとの見方による。リーマン時より4年早いピッチが期待でき、失業率は12月の6.7%から4.8%まで下がり得るとした。

バイデン政権は専門が労働経済学のイエレン氏を財務長官に指名した辺りから、「雇用重視」との見方が強まっている。そのラインで1.9兆ドル規模の経済対策期待につながった。イエレン財務長官は3日、超党派の市長グループの会合で「包括景気対策の実施重要、現時点で大きな行動を」と述べた。1.9兆ドルのうち地方向けは3500億ドルを含み、前回リセッション時に地方対策が不十分だったこと、インフラと教育向け支出が削減され労働市場が弱体化したことなどを指摘した。

コロナ感染増ピッチが低下し始めたことも追い風になったと思われるが、インフレ期待が一本調子で強まるとも思えないが、バイデン政権の柱として「雇用重視」が据えられ、方向性としてインフレ期待が持続するものと考えられる。

 

【基調戻る。買い戻し主体か、方向感探る】

先々週末の地合いからは先週は一転、強基調相場に戻って来た。波乱の主因となった個人投資家の熱狂買いは銀相場などにシフトした。目先的に一巡したかも知れないが、いつ再燃するか不透明。それに伴う売り方の手仕舞い買いも当面は縮小して行くと思われるが、「ロング+ショート」運用を含め見直しが進むものと見られる。日本株反騰でも、好業績銘柄と共に、売り込み銘柄が目立った。

急騰した銀相場は週初一時11%高。1オンス30ドル近辺(5日には26.9ドルまで下落)。古い話だが、銀相場はハント兄弟の買い占め事件(1979~19803月)で知られる。当時の高値は50ドル/オンス。未だに破られていないのかと思うが、当時の規制策・・証拠金引き上げ、取引制限などは今でも生きていると思われる。価格操作(市場操作)と認定されれば、今回も既成処置ステージに進んだと思われるが、今のところそのレベルではない様だ。いわゆる買い方、売り方の取り組み攻防は何処でも展開されるので、違法扱いや当局の規制目線が注目される。仮に、銀相場が非鉄相場に波及し、インフレ要因に変化してきた場合には異なった展開に向かうと見られる。

恐怖指数(VIX指数)は、日本20.79(直近ピークは2928.63)、欧州20.64(同29.01)、米国20.872737.21)と、株式市場の落ち着きを示唆している。米国VIX121日の21.32を割ってきたことで、個人仕手筋による混乱も収束したようだ。

ミャンマーの軍事クーデターが勃発した。事前に混乱が始まっていたようだが、タイの政情不安の方がニュースバリューがあったためか、ほとんど報じられていなかった。ミャンマーの代表産業は繊維産業。先進国大手が工場を構え、日本企業の進出は400社程度と言われる。新興国はコロナ禍の影響で、大なり小なり経済ダメージを受けているので政情不安・混乱は多発しそうだ。

麻生-イエレン財務相電話会談が行われ、「G7連携が重要」と確認。途上国の債務問題、デジタル人民元、気候変動問題などと麻生財務相は説明したが、ミャンマー問題も含まれた可能性がある。ミャンマー軍事政府が対中国との関係をどうするか見極めることになろう。同時に、日本の「為替安定」希望が伝えられたものと思われる(イエレン財務長官はドル安ともドル高とも姿勢を示していない。投機筋の手仕舞いで、円高圧力が和らいでいるので、ドル円105円軸の維持を日本側は望んでいると思われる)。まだ、不安定な材料が多く、様子見ながらの展開が想定される。

 

【 「新日英同盟」日英連携強化は日本外交脆弱性をカバーするか】

米株の「レディット銘柄」は急失速となったようだ。ゲームストップ株は一時6割安、銀相場は証拠金引き上げ、他の銘柄も勢いを失ったようだ。個人対ヘッジファンドの構図で解説されることが多いが、個人の裏に別のヘッジファンド勢がいるとの話も出るなど、実態は混沌としている。ただ、全般的に売りポジションの巻き戻しが進行し、好業績を背景とする押し目買いと相まって、思ったより上げ足速い株高が進行している印象だ。空売り勢は、ドル安や米債下落(金利上昇)を狙った勢力ともダブル可能性があり(当然、別の要素もあるが)、それらの動きも止まっている観がある。

買い戻し相場一巡後は、ポスト・コロナを巡る攻防が強まる可能性がある。変異株問題はあるが、総じて感染拡大に歯止めが掛かっている。早くも動き出したのが英国。1日、英国立統計局(ONS)は、「統計手法差を割り引いても、英国がG7中でコロナ禍で最も甚大な経済被害を被っている」と表明した。言及していないが、ブレグジット(EU離脱)の影響もあると見られる。経済苦境を打開するシナリオが最も必要な国と見られている。これに連動する格好で、TPP参加申請を正式に行い、香港に対して「英国海外市民(BNO)旅券」の特別申請受付を開始した(特別ビザ発行は30万人超、家族含めて移住ラッシュとなる可能性があるが、中国が反対している)。英国のアジア太平洋傾斜が急速に現実化してきている。軍部クーデターのミャンマーに関与を強めるかも焦点になる。

英はクアッド(米、日、豪、インドの4か国安保協議体)への参画姿勢を示し、空母クィーンエリザベス派遣など、安全保障面でも重要なカギとなりつつある。「新日英同盟」との見方が日本で出るなど、今のところ歓迎の見方が多い(日英同盟は1902年、2年後の1904年日露戦争、その後の第一次世界大戦で機能したとの見方。1923年の終了後、日本の軍国主義が強まったとの見方もある)。菅政権は主にコロナ対策など国内政策で批判されているが、外交姿勢が脆弱な点も指摘されている。バイデン政権への迎合だけでは乗り切れない面がある。最近、自民党外交部会が紛糾することが多いと伝えられるが、主因は外務省が事なかれ主義に戻っていること(対中ジェノサイド問題、海警法強化への反対、韓国の反日大使指名など、曖昧対応が多い)と言われ、表面上の「インド・太平洋戦略」では心許ない状況にある。

安倍政権と異なり、基本スタンスが欠落しているためと見られているが、「外圧」を求める流れと考えられる。最近、サムスン電子が打ち出したM&A戦略で、対象にルネサスエレクトロニクスなど日本企業を含むと観測されている。日本の安全保障問題につながる問題で、日本の外交戦略がしっかりしていないと飲み込まれる恐れもある。以前のような2国間協定ではなく、印、豪など英連邦との相互連携の方向で、日本経済、日本企業への信頼度向上要因として見て置きたい。

 

 

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