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2021年02月13日

【Weekly No.272】景色が、風向きが変わる

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このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

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  1. 【景色が、風向きが変わる】
  2. 【高値更新の持続性を問う。米金利、ドルに注目】
  3. 【自動車関連株高も見通し錯綜】

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Weekly 215

【景色が、風向きが変わる】

先週は週明け早々に日経平均は609円高で29388円とあっさり29000円の大台を抜いてきた。日経平均は現在、28000~31000円ゾーンに位置しているという新たな認識に変わった。中間点29500円の攻防に入っている。中間点は、いわゆる節目ではなく、ハードル感はないが、後半部分に入ることで、景色や風向きが変わりやすい点に注意が要る。今回は3万円大台を含むので、とくに意識されるだろう。過去の中間点26500円(25000~28000円ゾーン)、23500円(22000~25000円ゾーン)は、それなりの揉み合い局面を形成した。今回は過去に類を見ない買い方の層の厚さが見られる(いわゆる買いが買いを呼ぶ)つつも、ファンダメンタルズ乖離、世界情勢の不透明感などが混沌感を形成しよう。

景色や風向きが変わるのは、株価が低位にある時は多少の悪材料が出てもあまり響かないが、高値にあると些細な材料で崩れることがあるのと同じだ。一般論で言えば、階段を上って来ると遠景が目に入り、景色が変わって来ることになる。

先週の米市場は次第に株価上伸ペースが鈍った印象がある。後付け的に言えば、買い戻し相場の一巡、米中揃ってインフレ率が弱い、投機的動きは大勢に影響薄い銘柄群に回った、という印象だ。11日の米週間新規失業保険申請件数は79.3万件、前週の81.2万件を下回ったが、市場予想の75.7万件を上回り、依然、回復の足取りが鈍いことを示した。コロナ追加対策の協議も、最低賃金引上げ問題などで遅れている。また、12日発表の2月の消費者信頼感指数も予想外の落ち込みで6か月ぶりの低水準となった。

10日、米中首脳の初の電話会談が行われた。想定内の応酬だったようだが、11日、バイデン大統領がインフラ刷新計画を呼び掛け、「中国に米国のランチを食べられてしまう」と述べたことで、対中政策にやや警戒的に傾いたと思われる。中国は春節入り。旅行自粛要請が出ており、訪日客も話題にならないが、個人消費全体にマイナス材料と見られている。春節明け後の中国の経済動向に関心が集まろう。

 

【高値更新の持続性を問う。米金利、ドルに注目】

先月末の個人投機家による米市場の波乱によりヘッジファンドの痛手が話題になっていたが、その後の買戻し相場に加え、ブルームバーグは「ヘッジファンドが再びエンジン全開、デイトレーダーとの闘い終焉」と報じた。ヘッジファンドデータでは、ショートに対するロングの比率は米ゴールドマンサックスが集計始めた2011年以来で最高水準と言う。このロングのポジションが急増していること、S&P指数が3934ポイントと、年初に目標とされた3900ポイントをほぼ達成してきたこと(その後の目標値が示されていない)で、早くも一部に警戒ムードが見られ、どういう要因で調整するかの議論も始まった。弱気論は常に存在するので、意識することもないかも知れないが、現状のムードを投影している。

ポイントの一つは、個人の参加の急増。先月末の波乱要因だったロビンフッドなどの無料アプリを通じて、世界中で個人の株取引が急増、フランスでも昨年3月以降、優良株の購入が4倍に、全体取引高も3倍に増えたと言う。世界大恐慌前に「靴磨きの少年」が株式に参戦したエピソードがあるが、最終買い手と言われる個人の急増が警戒感を醸し出している。やや広げて、株価上昇が止まると、市場への流入資金が急減するのではないかとの警戒論となっている。

第二は米金利への警戒感。先々週末の5日、米30年債利回りは1.9769%、10年債は一時1.188%まで上昇した。これに対し、2年債は一時昨年5月の過去最低水準0.105%に並んだ。長期債売り+短期債買いの構図で、金融機関が短期資金手当てを厚めにし始めたのではないか、との見方を生んでいる。1月雇用統計はほぼ予想通りだったが、1.9兆ドルの追加対策必要との声を強めたことで警戒感がある様だ。ただ、追加対策成立時点で、中長期債主体でファイナンスされると見られ、売り圧力が出ている。ボーダーラインを巡る議論は出ていないが、10年債で1.25%辺りを目安にしたい。

三つめは「強いドル政策」の行方。シカゴのIMM通貨先物建玉は、先々週末ドル売り越し額が7週間ぶりの低水準となり、ドル安仕掛けに一服感が広がっている。イエレン財務長官は先週の講演でも「強いドル政策」姿勢を取るのかどうか、未だハッキリしていないが、ドル安派に懐疑心があるようだ。折しも、米貿易赤字が減らず、「双子の赤字」が重くなっている。金融の量的緩和ペースを落とすようだと、ドル高に反映されるとの警戒心がある。結論的にシナリオを組めないと見られ、いわゆる高値波乱的な地合いと考えられる。

 

【自動車関連株高も見通し錯綜】

休日前の10日の日本株市場は自動車関連が牽引した。トヨタの決算発表で213月期業績予想を上方修正(営業利益は1.3兆円見通しから、前期比16.6%減の2兆円予想)。11月に続き2度目の上方修正で、グループ世界販売計画を31万台上積みした。グループ部品各社が既に上方修正の動きだったのでサプライズではないが、世界で懸案となっている半導体不足に対し、「足元で大きな減産があると言う状況にはない」と調達計画での先行、盤石ぶりを示唆した。

トヨタは満を持した格好で、米市場向けEV(電気自動車)2車種を発表、22年発売開始予定。25年までにEVHV(ハイブリッド車)合計で4割、30年までに7割とする方針を示した。先の「アップルカー」騒動(韓国。現代・起亜グループへの生産委託期待騒動があったが、アッサリ否定され、日本車メーカーへの思惑が一気に膨らんだ)と合わせ、EVHV化加速期待が潮流となった。

世界の昨年のEV市場は、米テスラが50万台、2位以下は独VW、中国BYDSGMWなどが1522万台で続く。日本車は日産が14位。トヨタが17位。HVに注力してきたことが要因で、水素自動車なども並行投入の動き。全固体電池投入で、EV本腰が焦点になる。競争激化必至の情勢。自動運転車「アップルカー」と並んで注目される新興EVメーカー「リビアン・オートモーティブ」が9月にもIPO(新規株式公開)実施を検討と報じられた。アマゾンとフォードが支援するが、IPO規模は何と500億ドル(5.2兆円)規模。1月に資金調達した時点での企業価値評価額は276億ドルだった。また、自動運転を巡っては6G競争の開始なども伝えられ、一段と競争激化の様相にある。今回の相場は米国株主導だが、テスラ株が果たした役割が大きいと言われる。8日もビットコインに約15億ドル投資を明らかにし、仮想通貨市場が高騰した。仮想通貨を含め(米ドル弱体化狙い)、同社CEOであるイーロン・マスク氏の行動は中国の意向と合致していると見られている。テスラ株購入や資金を出しているか不明だが、中国生産・販売成功で大きくなった。マスク氏の火星計画に対し、中国も火星探査計画を発表している。そのテスラに対し、8日、中国当局が電池発火や異常加速を巡り、「行政指導」を発表した。両者の蜜月ムードにヒビが入るか注目されよう。産業界変貌を睨みながらの展開と考えられる。

 

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