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2021年02月22日

【Weekly No.273】日銀ETF購入見送り、弱気材料も目立つ

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  1. 日銀ETF購入見送り、弱気材料も目立つ
  2. 米金利上昇に耐えられるか、試す時間帯に入ってきた
  3. 世界的株高から商品市況にも

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Weekly 222

【日銀ETF購入見送り、弱気材料も目立つ】

先週月曜日に日経平均は3万円に乗せ、19908月以来の水準に達した。材料と言えば、先々週後半から米国の追加経済対策の成立期待と世界的にワクチン接種が始まっており、感染拡大の縮小という2つの材料が毎日材料視され、3万円乗せに他に新規材料があったわけでなく、「買うから上がる」「上がるから買う」といった流れによるもの。相場の勢いに翳りが出ると、弱気材料が目に付くものだが、18日ころからそれらしき動きが目立った。日銀の黒田総裁は首相官邸を訪問し、菅首相と会談した。会談は「定期的なもの」としたが、世界経済情勢とともに3月予定の「政策点検」を説明したと述べた。

18日は「前場引けTOPIX0.5%超下落なら日銀砲出動」と5年ほど続いてきた暗黙の了解に反し、日銀はETF購入を行わなかったことが話題になっている。ブルームバーグが「日銀、市場急変時のETF積極買い入れを明確化へ」と報じたこともあり、日銀の方針変更が意識された。日経平均の3万円台乗せで、ニッセイ基礎研の試算で、日銀の含み益は15.8兆円に拡大、ETF購入の柔軟化を迫る要因との見方もある。日銀の直近買い入れは128日、日経平均28197円、-437円、TOPIX1838ポイント。再買い入れに動くのは日経平均で28000円水準、下落幅で400~500円以上との目線になる。

トヨタ紡織が主要株主のトヨタ自動車が一部保有株を売却したと発表した。取引所が予定する市場区分見直しを見据え、「プライム市場」の上場基準を満たすためとした。トヨタ自の保有比率(自己株除く)は39.43%、国内事業法人合計で68.26%。外国人保有比率8.91%、金融機関9.42%、個人12.19%と低い銘柄で、是正を進めたと見られる。先週に入って、中型株、小型株の軟調推移が目立っていただけに、売り材料表明に納得感がある。ただ、従来から株式持ち合いや親子上場見直しの動きはあり、あくまでも個別材料。本来の企業評価(成長力、安定性、株主還元など企業戦略)に戻る要因との受け止めだ。

米国では、JPモルガンが「米国債イールドカーブのスティーブ化見込む取引終了」を表明。128日に推奨した3年債と10年債の利回り差拡大の取引を手仕舞ったとした。コロナ感染拡大の衰退などで景気の急回復期待が高まっていたが、やや行き過ぎ感が出ていた。株式市場でも過熱感のあった電気自動車大手テスラ株が10日間で10%余下落し、修正ムードがあった。18日は今期業績見通しが市場予想を下回った小売大手ウォールマート株の6.5%下落が目立った。

18日発表の新規失業保険申請件数は13日現在86.1万件、修正された前週の84.8万件、市場予想76.5万件を件数が上回り、雇用改善が進んでいないことを示した。1月の住宅着工件数は年率換算前月比6.0%減、金利上昇の圧迫は未だ受けていない時だが、木材価格上昇などが圧迫と伝えられた。

著名ファウチ博士はコロナ正常化「年末までに」と初秋から後退、イエレン財務長官はグリーン・インフラ計画で「増税可能性」に言及した。全体として、海外市場主導ながら弱気材料にやや過敏になっている。

 

【米金利上昇に耐えられるか、試す時間帯に入ってきた】

先週の連休明け(15日米プレジデントデーで米市場は休場)の米債市場は長期金利が急上昇した。10年物国債利回りは先々週末の1.20%から1.3107%、30年債は2.004%から2.0904%。2年債は0.111%から0.123%の小幅上昇にとどまっており、長短金利差は17年水準に拡大した。

市場はコロナ追加対策の刺激策やワクチン普及などで力強い経済回復を期待し始めているとの解説が一般的。短期債水準が低いのは、金融緩和の継続も期待している(23日にパウエルFRB議長の議会証言予定)。市場のムードを代弁したのは、ハト派で知られるブラード・セントルイス地区連銀総裁で、「経済成長は中国を上回る可能性がある」との見方を示した。議会の1.9兆ドル対策審議は26日からと報道されており、まだ引っ張る公算はある。

基本的に「K字型回復(文字通リ、景気が右肩上がりと右肩下がりと業種によって回復の明暗が分かれること)」で、経済・金融対策は下向き部分に照準を合わさざるを得ない。上向き部分には過剰対策となる可能性があり、この部分が回復加速期待につながる。反面、現在、決定的になっていない下向き部分の惨状が噴出してくるのはこれからとなる公算。急激な金利上昇には住宅ローン担保債券などの投資家がヘッジを掛けているためとの見方がある。今のところ、社債利回りはそれほど上昇せず、長期国債利回りに集中しているのは、その表れとの見方。

短期的には、米国での猛烈寒波が後押ししている可能性がある。テキサスなど南部州を襲っており、原油生産で50万-120万バレル/日、精製で約300万バレル/日の生産が停止に追い込まれているとされる。計画停電世帯は約530万世帯、物流網も混乱し、製造業の生産活動にも影響が出ている様だ。つれて、WTI原油相場は60ドル台/バレルに高止まり。インフレ観の後押しになっている様だ。テキサス州ダラスで-17℃を記録しており、週末に向け緩むかどうかが焦点と考えられる。

米不動産市場に言及したのは、ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁。「住宅ローンの返済が遅延したり、政府融資を利用して賃貸料を払っている企業が自立を求められるリスクが存在している」と述べた。まだ、具体的な話ではなさそうだが、回復過程のアンバランスが表面化する恐れがある。今後は不動産統計に神経質になる可能性がある。

とは言え、バン-カメ(BofA)のファンドマネージャー調査(5-11日)で機関投資家の楽観論が強いことが示された。通常より高リスクを取っているのは25%と過去最高、現金比率は13年以来の低水準、向こう1年間での企業業績回復期待は84%、米株がバブル状態との見方は13%にとどまり、53%が強気市場の後期段階との認識を示した。相場の後追い指標ではあるが、今の市場ムードを投影している。

イタリアで「ドラギ国債」(ドラギ首相就任後の初国債発行)に1100億ユーロ(約14兆円)の応募が殺到したと伝えられた。発行規模など詳細は不明だが、「カネ余り」を示す事例と受け止められる。また、16日の日経平均上昇分(383円高)の57%は、ファーストリテイリング、ソフトバンクG、東京エレクトロンの3銘柄の寄与分。海外経済回復の恩恵を受けるとの解釈が出来なくもない。いずれにしろ、米金利動向を睨んだ攻防に入っていると想定される。

 

【世界的株高から商品市況にも】

日経平均3万円乗せの直前である先々週末段階で、世界の株式時価総額は6週間で6.8兆ドル(約714兆円)余り増加したと言う。ブルームバーグは、「何でも上昇相場」と呼び、超低位株投機、大麻株の熱狂、仮想通貨の暴騰などに噴出していると伝えた。JPモルガンに「クロスアセット慢心度指標」と言うのがあるそうだ。2000年のネットバブル破裂時以来の高水準に近付き、「過去20年間で最も恐れを知らず、恐らく最も強欲になっている」と伝えた。ストラテジストの大勢は「一服はあっても上昇相場の大幅な逆転はない」との見方。バブルは破裂するまでバブル認定されない。弱気筋は悉く失敗(直近では節分天井説など)しているので、段々と声が小さくなっている。

日々の変化をウォッチしていくしかないが、3万円乗せした15日の東京市場で、東証空売り比率は一気に33.8に低下(先週末39.1)。日経VIVIX指数、ボラティリティ指数)は22.39と米国に比べ高止まりしているが、東証一部出来高12.75億株と出来高が膨らまずに日経平均564円高と値が飛んだ。決算発表が進み、日経平均ベースのPER(株価収益率)は23.17倍に低下(1/1426.33倍から低下)、PBR(株価純資産倍率)は1.31倍、配当利回りは1.60%。背伸び感は徐々に強まっていると思われる。

15日は商品市況のCRB指数にも表れた。前日比+0.89%の185.29185ポイント台に乗せ、ほぼ201月高値水準。18年に200ポイント台があるので、最高値圏ではないがインフレ観を強め、資源国再評価(米ドル安がセットの可能性)の流れを作る。WTI原油相場が60ドル台/バレルを回復、協調減産をベースに、欧米大寒波による燃料油需要増、バイデン政策による中東政情不安再燃説(フーシ派のテロ指定解除)、米国産資源開発制約(14日、米連邦高裁がコノコのアラスカ州油田開発事業に仮差し止め命令)などの思惑が絡む。

加えて、LME銅相場が12年以来の高値、プラチナ先物が14年以来の高値など、非鉄金属系が活況。金価格が小安いのと対照的。一般に、価格上昇局面は関連企業の在庫益評価などで企業業績の押し上げ要因になる。

15日は米国休日で欧州のニュースだが、ユーロ財務相会合が開催され、「現時点では全ての景気支援策を維持、3月初旬に経済政策ガイダンス、5月初旬発表の新たな経済見通しをベースに政策動向論議」の方針を示した。19日にG7首脳会議をオンラインで開催、コロナ対策や中国への対応を協議、22日には英国がロックダウン解除行程を発表意向。119日のWHOによる「PCR検査方法変更推奨」以降、1ヵ月でかなり劇的に「感染縮小傾向」となっており、経済復活に徐々に移行する流れにある。

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