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2021年03月22日

【Weekly No.277】楽観的FOMC、米長期金利2%方向も

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  1. 楽観的FOMC、米長期金利2%方向も
  2. 補完的レバレッジ比率は3月末で終了
  3. TOPIXの上げ足加速
  4. パンデミック暴落1周年

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Weekly 322

【楽観的FOMC、米長期金利2%方向も】

強弱双方が待ち構える米FOMC(連邦公開市場委員会、米金融政策の決定会合)結果が17日発表されたが、よくある乱高下もなく、静かにローテーション相場に戻った印象だ。量的緩和継続で全会一致し、今年の経済成長率見通しを6.5%(前回124.2%)に引き上げ、失業率は年末までに4.5%に低下(同5%)見通しとした。成長率は1984年以来の水準。参加者18人の予想で、23年利上げ見通しは、12月の5人から7人に増えたが、依然少数派。

事前に米GS(ゴールドマン・サックス)が、今年10-12月期成長率見通しが前年比8%と発表(失業率は来年3.5%)し、ウェルズファーゴは米10年債利回りが「数週間内に1.75%、年末までに2%を超える可能性がある」との見方を示していた。市場には違和感のないFOMC結果と言えよう。米国債ショート派はインフレ率3~4%を見込む向きもあり、実際の物価統計などを見ながらの攻防になると思われる。

インフレ容認姿勢には、イエレン財務長官らが表明している「景気回復期待の表れ」との見方、インフレは企業収益の回復力を強める(とくに景気循環株)、長期的に政府債務の重荷感を軽減する、などがあると考えられる。なお、昨年の連邦債務利払い費は3450億ドル(約37兆円)、GDP1.6%。21年も減少見込み、現状で国債の全年限平均2.5%が利払い増に圧力が掛かる水準(まだ少し余裕がある)。バンカメ(BofA)は「10年債利回り2%に上昇すれば、株価10%超の下落もあり得る」とのファンドマネージャー調査を発表。市場の最大リスクは、コロナからインフレ、テーパータントラム(FRBの市場からの買い上げ減額姿勢)となっている(思わぬ感染再拡大もリスク要因になる)。

FRBが金利上昇を止めるのは10年債2%近辺との観測で、現状は売り安心感があると考えられる。これまでの米国債売りを先導したのはヘッジファンドで、1月ケイマン諸島の売り越し額は490億ドル(約5.4兆円)規模。手仕舞い買いに転換すれば短期的に金利低下要因になると思われる。2月の経済指標は大寒波による影響が大きく、低調なものが多い。3月分の統計で、期待通り景気押し上げ展開になるか(したがって3月中は現状維持ムード)どうかが焦点になると考えられる。

 

【補完的レバレッジ比率は3月末で終了】

今回のFOMCの焦点の一つだった補完的レバレッジ比率(SLR)の3月末緩和策打ち切りについては、パウエル議長は「近く新たな情報を発表する」とコメントしていた。「補完的レバレッジ比率(SLR)」とは2008年の金融危機後に導入された規制だ。銀行の過度な投融資の拡大を防ぐための資本規制だ。ただ、新型コロナウイルスの大流行で20203月に米国債市場の流動性が枯渇し、金利が乱高下したため、同4月に米銀が国債を持ちやすいよう1年の期限で規制を緩めていた。FOMC 終了から2日後の19日にFRBは予定通り緩和措置を終了することを発表した。一部市場にあった補完的レバレッジ比率の「緩和継続期待」を吹き飛ばした観がある。

補完的レバレッジ比率の緩和終了については、著名債券ストラテジストのクレディ・スイスのポズサー氏が「3月末で終了しても市場の混乱は避けられる」との見解を事前に表明していた。実際に発表直後の10年債利回りは1.74%(前日比∔0.03%)まで跳ね上がったが、その後1.72%(前日比∔0.01%)まで低下して引けた。

 

【TOPIXの上げ足加速】

あまり話題となっていないが、16日のTOPIX終値は1981.50216日の1974.99を丁度1ヵ月ぶりに更新した。18日には東京株式市場でTOPIX30年ぶりに2000ポイント台を回復した。日経平均株価の3万円台回復に続く主要株価指数の大台回復は、日本株相場全体のステージが変化してきたことを物語るとの声が出ている。

18日は前日比1.4%高の2011.58まで上昇し、1991年5月以来となる2000台を付けた。225銘柄の値動きを示す日経平均は昨年秋以降に上げが目立ったが、ここにきて東証1部全体の値動きを示すTOPIXについても上昇ぶりが顕著となっている。ちなみに、19日の日経平均は424円安だったが、TOPIX3.7ポイント高で終わっている。これは日銀がETF(上場投信)の購入はTOPIX型のみと発表したため、日経平均の主流を占める値がさ株が売られたことによる。

TOPIXの値動きだけを見れば価格が元に戻ったように見えるが、そもそも30年前と企業数が違うなど、30年の間に株式市場全体も変化している。東証1部時価総額上位20社でもソフトバンク、ファーストリテーリング等が新たな主役となるなど、東京市場も過去30年間で新陳代謝があったのだ。東証によると、90年末の東証1部企業数は1190。新規上場企業の増加から、現在は8割増で2200社に迫る。時価総額は743兆円と、90年末365兆円の2倍に達する。明らかに、日本株もこの30年間で質的な変化が見られたのだ。

18日に2000ポイントを付け19915月以来の水準で、「バブル後の最高値」と表現されている。特色として、NT倍率(日経平均/TOPIX)が低下し、2000ポイントをつけた18日に15.04倍、翌19日には15倍割れの14.80倍まで下がってきた。今年になって17日の15.05倍から225日(日経平均496円高、TOPIX23ポイント高)に15.66倍まで上昇していたのだ。

意外と知られていないが、TOPIX(東証株価指数)は東証一部全銘柄の時価総額で計算され、日経平均より偏りが少ないことだ。基準日は1968年(昭和43年)14日で、当時の市場時価総額は8.6兆円規模。1000ポイント超えは1985年、1989年の最高値は2884.80ポイント。直近ボトムは201264日の695.5118123日に1911.07まで上昇し、昨年3月パンデミック暴落で1236.34に下落後、ほぼ1年での高値更新基調。

最近のTOPIXの上げに加速がついてきた要因として、短期的には3月になってから一部値嵩株主導の嵩上げ相場に一巡感があるためだ。米国からのローテーション相場の波と季節的な配当取りの動きが後押していると受け止められ、基調の強さを示すと思われる。

少し長い目でみると、昨年11月以降に世界的にワクチン接種が始まったことや積極的な財政政策から世界景気が回復し、足元では新型コロナで売り上げが蒸発してしまった業種まで幅広く買われるようになってきたためと思われる。成長株など特定の銘柄だけが買われるステージではなくなったことで、相場全般が長続きする可能性があるとみている。

来年41日の東証市場区分改革(プライム、スタンダード、グロース市場への再配分)で、大きく内容が変更される。先日、日本生命が保有する地銀株3割削減を発表、その前にトヨタが保有株一部売却(トヨタ紡)など、企業の保有株(政策投資やいわゆる持ち合い株)見直しが財務リストラの一環で始まっている。個別材料的だが、需給構造の変化が問われる局面にある。

来年度の経済枠組み、方向感がなかなかイメージできない(短期的に変動要因が多発するだろうなぁと言う諦観もある)なか、機関投資家のコメントでSDGs(持続可能な開発目標、2015年に国連で決められた17のゴール)やESG投資(環境、社会、ガバナンスを意識した取り組みでSDGsの達成に受けたプログラム)とのコメントが増えて来た。日本にはどの業界においても、グローバルニッチな技術やサービスを持った会社はかなりある。資産運用でも指数連動型運用が全盛だが、成長力のある企業、企業の成長力見直しの本来の選別投資も進行するものと期待される。

 

【パンデミック暴落1周年】

日経平均は昨年319日に16358円(数値はヤフーファイナンス)に暴落した後、今年2163714円に約87.8%の劇的上昇、約30年ぶりの3万円台を回復した。

この1年を振り返ると、三つの場面に分けられる。第一は昨年4-6月期の予想以上の戻り相場、次に夏場から11月米大統領選までの揉み合い圏、そして第三段階として、バイデン超大型追加対策期待の突き上げ相場となった。現在はその余韻が続いている。

コロナ前の昨年1月高値は24115円。これを上抜けたのは11月なので(12月高値は27602円)、第三段階で新局面に入ったと言える。現在は4-6月シナリオを見極める局面と位置付けられる。ただ、昨年の日経平均高低差は11244円。経験則的には2年連続1万円以上の動きになるとは考え難く、4万円(史上最高値更新)の声は時期尚早と見ておきたい。強弱材料が多く、もう少しキメ細かく、3000円幅のゾーン移動で見て行きたい。現在の28000~31000円ゾーンの次は31000~34000円。NYダウのふわふわ相場が続いているが、ナスダックは調整場面にある。ゾーン切り上げの条件は整っておらず、早くとも4月後半から始まる企業業績点検(1-3月期および日本の新年度予想)を待つことになろう。

米大型対策が起爆剤となり、設備投資や個人消費も急拡大軌道を描くのが、株上昇相場持続の柱と考えられるが、そのブレーキも増えてきている。米金利上昇(補完的レバレッジ比率緩和期限終了などによる一時的なものかどうか)、インフレ観の強まり(コアとなる原油相場に地政学リスクが作用し続けるか)、増税の動き(英国がやや先走っているが米財政赤字も5か月で1兆ドル超、元々バイデン増税は懸念材料)など。

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