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2021年03月29日

【Weekly No.278】対中、コロナ再拡大などで地合い悪化、週後半は買戻し相場

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  1. 対中、コロナ再拡大などで地合い悪化、週後半は買戻し相場
  2. バイデン演説、4月上旬日米首脳会談など睨む
  3. 将来の円相場と米国の対中戦略

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Weekly 329

【対中、コロナ再拡大などで地合い悪化、週後半は買戻し相場】

バイデン政権になって、1月末、2月末に続き、早くも三度目の調整ムードが先々週後半から先週中ごろまで広がった。市場の地合いを悪化させた材料は、1)先々週の米中協議対立を受け、対中ビジネスに厳しいムード、2)水面下で燻って来た「ワクチン不信」に絡む話が増えて来た、31.9兆ドル追加対策の次のテーマ探しで、増税、インフレ(利上げ前倒し)など株価圧迫材料交錯、4)トルコ波乱で周辺国・新興国経済悪化懸念広がる(ドル安シナリオ崩壊)などが挙げられる。そう簡単に決着がつく問題ではないが、総悲観で売り残が溜まり、買い戻し相場が先週中ごろから始まった。4月には本格的に転換していくか、注目していきたい。

ドイツがロックダウン(都市封鎖)を418日まで延長した。3月に欧州は感染第3波の展開で、対策継続の流れ。厳格さは低下しているものの、イースター休暇5日間が潰れる。英国が「海外旅行に5000ポンドの罰金、6月末まで(今のところ海外旅行解禁予定は5/17)」と報じられた。欧州の感染拡大が止まらないと東京五輪も厳しくなる。

NY時間23日の朝方、「アストラゼネカのワクチン、治験が不完全」とする米国立アレルギー・感染研の異例の声明が流れたことも「ワクチン期待」の後退につながったと見られる。現在のワクチン問題は、ADE(抗体依存性感染増強)と言われ、ワクチン投与が感染拡大を招くかどうか、注目されている。市場の関心は治療薬開発に向かっている。

対中ビジネスでは、LINE問題(昨年11月の自民党デジタル部会で「全く心配ない」と実質的な虚偽説明を行っていた)に続き、日経ビジネスが「楽天がテンセントから資本受け入れ」を問題視する記事を掲載。楽天の米国ビジネスを懸念視する見方で、23日の株価急落。香港での百度(バイドゥ)重複上場も失敗だったようで、米市場で売られた。中国ビジネスへの目線が厳しくなる流れにある。

イエレン財務長官が下院公聴会で、「パンデミックによる危機から脱却できていない」、「インフラ投資は財源確保の歳入増を図る必要がある」(増税を示唆)などと述べたことも、ローテーション相場の調整につながったと見られる。ただし、BofA(バンクオブアメリカ)は四半期末リバランシングで、「株式から債券へ」の流入総額は約885億ドル(約9.6兆円)との見方を示し、うち米国債流入は410億ドル、半分程度とした。歴史的に大規模だが、「フローの一部は1月末、2月末に既に実行されている」とした。23日の2年債入札は順調に消化した。波乱含みながら、綱引き構造にあると見ておきたい。なお、25日の7年債の入札は低調に終わり、この日の10年債は売られた。

 

【バイデン演説、4月上旬日米首脳会談など睨む】

25日、バイデン米大統領は就任以来初の記者会見を行った。様々な風評が立っていたが、一応、無難にこなしたようだ。意外だったのは「24年再選を目指す」としたことだが、(10分持たないと言われていたのに対し)1時間強の記者会見となった。1.9兆ドルコロナ追加対策を土台に、31日に長期の「経済再生計画」を発表予定で、中国の覇権的膨張主義に対抗する姿勢を表明した。「習主席はロシアのプーチン大統領と同様、独裁に将来性を見出し、民主主義が複雑な世界で機能しないと考えている」と言及した。

弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対しては、「緊張を高めることを選ぶなら対応する」と警告した。このタイミングで北朝鮮が「新型戦術誘導ミサイル」を発射した目的は、対イランなどへの商品売り込み、バイデン政権の出方を窺う、中国が北朝鮮を対米取引に使いにくくする、などの見方が出ているが、中ロ朝急接近での示威行動の可能性もある。

中国はアラスカ決裂会談の後、桂林でラブロフ露外相を歓待し、「友人」作りに精を出している。ラブロフ外相はその後、23日に韓国を訪問、同日に習近平-金正恩の口頭親書交換が発表された。不安定化している文在寅・韓国政権に対し、主導権維持をアピールする狙いがあると思われる。

23日、次期インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ海軍大将(太平洋艦隊司令官)は、上院の指名承認公聴会で「中国の台湾侵攻脅威は深刻で、多くの人が理解しているよりも差し迫っている」と述べた。現司令官の「今後6年以内に侵攻」との見方を否定した。元々、今年7月の中国共産党結党100周年、来年2月北京五輪、23年春習主席任期終了(終身化は盤石でない)の流れで、ソチ五輪後のクリミア併合と同様、北京五輪後が最も危ないと指摘されている。習氏は毛沢東と並び称されることを目指すが「実績がない」。

その北京五輪が怪しくなってきている。スウェーデンの衣料販売H&M(へネス・アンド・マウリッジ)が新疆ウイグル問題で、「新疆綿」調達停止と深い懸念を表明した。強制労働やジェノサイト問題で、態度表明を迫られる企業が増えると見られるが、中国側はすかさずH&M製品の不買運動を開始した。アリババのショッピングサイトで購入できなくなったほか、共青団は「中国で金儲けを望んでいながら誤った憶測を広げ、虫が良すぎる」、人民解放軍は「無知で傲慢」などコケ下ろしたと言う。欧米共同中国批判路線で、中国側は鎖国路線のように見える。日本政府は具体的声明を出していない曖昧路線だが、日本企業にも押し寄せるか要注意。

ウイグル問題で、H&Mに続いて米スポーツ用品大手ナイキがSNSで炎上した。独アディダス、ユニクロ(ファーストリテイィング)、MUJI(良品計画)などに波及する恐れがある。100年前の義和団の乱と同様の「外国人排斥」運動に広がるかも要注意となろう。

日本は微妙、曖昧な立場だが、25日、台湾が「長距離ミサイルの大量生産開始」と報じられており、4月上旬の日米首脳会談で、「日本の防衛力増強」要請を受ける公算が大きい。

アキリーノ大将は「当該地域防衛力強化のために提案されている270億ドル規模の計画を近いうちに緊急に実施する必要がある」と述べており、緊張感の高まりは短期的に景気押し上げ要因となる公算がある。米株は波乱含みだが、一定のゾーン内の動きのように見える。安全保障強化の流れも底流を形成していくものと考えられる。

 

【将来の円相場と米国の対中戦略】

 先々週1819日の2日間に渡る米中高官アラスカ会談は、激しいやり取りが伝えられた。「歌舞伎舞台」の立ち回り感がなくもないが、39日のデービッドソン・米インド太平洋司令官の議会証言と合わせて考えると、中国が反米・反民主主義の工作部隊・100万人規模を動員しており、それを鼓舞・激励する格好で、アラスカ会議に乗り込んできたものと思われる。少なくとも7月の結党100周年イベントまでは、中国共産党礼賛、力誇示の姿勢が続くと考えられる。早くも、新華社は「米中は気候変動で共同作業グループ設置へ」と伝えており(米側は無回答)、水面下で関係修復・協調策を模索し始めている。

昨年ポンペオ前国務長官が1972年以来続いてきた米国による対中国宥和政策を根本から転換するというスピーチを行ったが、バイデン政権はそれを一段と推し進めたことになる。ポストコロナの米国の最優先課題は、圧倒的に対中である。

米中の軍事的衝突はあまり現実的ではないと思われる。しかし、米国は中国の民主化が進まなければ、中国の弱体化(中国経済の弱体化)のための戦略をどうするかがポイントになってくる。菅首相は来月訪米し、おそらく対中戦略がテーマになるはず。地政学的に日本は米国にとって深刻な中国問題を共有できる同盟国である。日本は40年前、産業のコメといわれていた半導体供給国であった。その後米国主導で円高に、その円高で日本のハイテクの立場は見る影もなくなっている。日本に代わって今では中国、韓国、台湾に世界の70%の半導体のシェアを独占されており、スマホに至ってはほぼ100%これらの国に依存している。このことは米国のリスクでもある。40年前から日本は米国が主導した円高でそのシェアを失った。特定の国の産業弱体化には関税より、通貨高が有効であると米国は学習しているはずだ。基軸通貨ドルを持つ米国にとって同盟国である日本の円安と、中国の人民元高を誘発させることで、中国経済の弱体化が可能と考える。

おそらく数年後の円相場は120円近辺であり、円安が主導するデフレ脱却のチャンスかもしれない。当然のことながら、日本株もその恩恵を被るだろう。

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