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2021年04月05日

【Weekly No.279】新年度入り、機関投資家の動き変わるか

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  1. 新年度入り、機関投資家の動き変わるか
  2. 半導体不足で減産必至
  3. アーキゴスによる金融機関損失、連鎖せずか

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Weekly45

【新年度入り、機関投資家の動き変わるか】

2020年度末の日経平均は前年度比54.2%の上昇、1952年度+75%、1973年度+64%に次ぐ成績だった。TOPIX+39.3%で、やや見劣りする内容。また、3か月連続で月末安の月初高になっている。最終日の東証一部値下がり数1650,値上がり数491。前日も1564541、出来高は連日13億株台だったので、小口のTOPIXETFで、年度替わりは売りから入ったところがある印象だ。

投資主体別売買動向(3月第4週分発表)で、1月から3月第3週まで11週連続売り越しているセクターが3つある。生損保(累計1739億円)、銀行(2390億円)、投信(12050億円)。これに続く10週連続が信託銀行で売り越し分合計2693億円。日本株の頭を抑える要因は国内勢だったと言える。株価大幅上昇で、リバランス(ポートフォリオの資産配分を戻す)圧力が高まったためと見られる。この動きが新年度入りで変わるかどうか、4月は新規配分の月と言われるだけに、注目ポイントになる。

大きくは国内株、国内債、外株、外国債の4つの配分だが、ドル円110円では一気に海外に傾くことも想定し難く、ソロリと時間を掛けた対応になるかも知れない。もう少し下がれば買いやすいと言うのが本音ではなかろうか。

方向性を与える材料として、バイデン・インフラ計画が31日に発表された。総額22500億ドル(約250兆円)、8年計画。早くも、同程度規模の第2弾が予定されていると言われる。タイトルは「米雇用計画」で、4つの柱・・・公共交通機関など運輸に6200億ドル、飲料水や通信設備など家庭の生活質改善に6500億ドル、製造業強化に5800億ドル、高齢者・障害者の介護向上に4000億ドル。製造業には非国防関連研究開発1800億ドルを含む。

これをバックグラウンドに投資戦略を考えると、新技術関連が一つの方向性として考えられる。一例として、株式市場ではまだ注目されていないが、323日に東北大学などが発表した「CNFを応用した完全固体型スーパーキャパシタの開発に成功」が注目される。CNF(セルロースナノファイバー)は、木材繊維質のミクロン単位で微細化したもので、プラスチックの強度を一変させる夢の素材として、紙パ、化学業界などで開発が進められている。今回の共同研究には日本製紙が参画、大王製紙はEV車構造体開発などもある。星光PMC、花王、王子HDなど数多くの企業が競い、日本優位の技術と言われる。

このスーパーキャパシタ(完全固体物理蓄電体)は、不安定な太陽光、風力発電の送電システムを一変させる可能性を秘める。3ナノ径のCNFを電子吸着部分に採用して実現したもので、日本の得意分野の一つと見られる。実用メド云々には至っていないが、再生エネのネック解消技術の一つとして注目されよう。他にも、EV用全固体電池など、技術革新への関心が高い。新年度投資の一つの戦略と想定される。

 

 

【半導体不足で減産必至】

東京時間41日、「台湾TSMC(世界最大の半導体委託生産)工場で火災発生」、「香港株式市場、50社余が売買停止-決算発表遅延広がる」の報が流れたが、影響はほとんど見られず、この日の台湾加権指数は+0.85%、香港ハンセン指数+1.97%、中国上海指数+0.71%。日経平均は上海と同等の+0.72%だったが、TOPIX+0.19%と調整色が残った。日銀はETF購入見直しで、164月から続けて来た「設備・人材投資企業ETF」購入も見送った。

香港の実情は不明だが、決算発表遅延は1925社、209社から急増と伝えられ、331日期限の決算発表が遅延するケースが後を絶たない様だ。TSMCは今後3年間で1000億ドル投資を発表した直後、日本のルネサスの例、全般的な半導体不足下にあるだけに、緊張が走ったが、研究開発および試験量産工場の変電所と説明され、「生産には支障がない」との声明で事なきを得たようだ(22年量産予定の最先端3ナノ工程への影響は非公表)。

米時間で、ホンダが「(322日から休止していた)北米工場生産を5日から再開」と発表。コロナ、港湾混雑、半導体不足、悪天候などを乗り切った。同時に1-3月期の全米自動車販売の好調が伝えられた。推定で前年同期比+8%余。トヨタ22%増、ホンダ16%増、日産10.8%増と日本車の好調が目立ち、GM3.9%増、フォード1%増、フィアット・クライスラー5%増。意外にも値引き販売が減少し、単価3000ドル上昇。

ただ、半導体不足は続いている。減産延長せざるを得ない工場も出て来ると見られ、企業対応力格差が出て来る可能性がある。バイデン政権は、サリバン補佐官(安全保障担当)とディースNEC委員長が12日に自動車・半導体メーカー幹部を集め、協議を行う予定。

週間新規失業保険申請件数(3/27週)は、予想外の増加。市場予想68万件に対し71.9万件(前週は65.8万件に修正)。改善期待を崩すほどではないが、長期債利回りは低下、10年物国債利回りは1.6735%、30年債は2.3338%。前日に2月中古住宅販売仮契約指数(1-2か月後に成約)が前月比-10.6%(市場予想-2.6%)、前年同月比で-0.5%とマイナスに転じたことも響いたと考えられる。また、3月期末要因、アルケゴス関連(後述)などの債券売り調整が一巡してきた可能性も考えられる。なお、毎月第1金曜日に発表される米雇用統計、発表された3月分の就業者増加数は916千人と予想の647千人大きく上回った。発表のあった2日はグットフライデー(政金曜日)で株式市場は休場だったため、反応は月曜日に持ち越し。雇用統計前にS&P500種は4000台に乗せ、一気に米市場の強気派が増えている

 

【アーキゴスによる金融機関損失、連鎖せずか】

先週市場を驚かせた出来事があった。米ヘッジファンド「アーキゴス(アルケゴス表記もある)」による金融機関の損失だ。同社は正確にはヘッジファンドでなく、ファミリーオフィスとのこと。先々週末、ブルームバーグによると、「大量のブロック取引(主に立会外での相対取引)」が行われ、これら企業の時価総額が合わせて350億ドル吹っ飛んだ。米ゴールドマンサックスの取引額は105億ドル、モルガン・スタンレーも大口取引を取りまとめたと言う。影響を受けた銘柄は、百度(バイドゥ)、テンセント、唯品会、愛奇芸、北米メディアのバイアコムCBS、ディスカバリーなど。中国企業ADR(預託証券)が乱高下したようだ。これはアーキゴス社がマージンコール(追証)に応じなかったための強制解消と言われている。

当初ネットで噂では「韓国の相場師の強制決済のよう。主に中国メディアを高レバでロング、ナスダックをショートしていた」、その後のブルームバーグ報道では、ヘッジファンドのタイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・ファン氏のファミリーオフィスが背景にあると伝えた。ファン氏が韓国人かどうかは不明。まだブロック取引が続くのかどうか注目されているが、広い意味での「売り方の買い戻しで上昇する」パターン。

プライベートファンドで、情報は開示されていないが、ブルームバーグによると、「オーナーのビル・ファン氏の資産は50-100億ドル、ポジションの総額は500億ドルを超える可能性がある」。ただ、レバレッジの大半はスワップ取引で大手金融機関が引き受けていたため、市場へのダメージが限定的のようだ(ただし、対象価格の変動で損失拡大のリスクはある)。マージンコール(追証)対象となったポジションは200億ドル規模が強制解消されたと言う。

この結果、野村が20億ドル規模、クレディ・スイスは40億ドル以上、他社も大なり小なり損失を蒙っていると見られるが、1月に暴騰し、空売りファンドを窮地に追い込んだゲームストップ株などの時もオプションを使った取引が焦点となったが、アーキゴスは「トータル・リターン・スワップ」と呼ばれるデリバティブ取引が伝えられる。原資産の値動きから得られる収入を、原資産を保有せずに受け取れる契約と言う。よくわからないが、金融機関との相対取引で、金融機関がヘッジ保有していたポジションを直撃したと言うことであろうか。長続きするかどうか分からないが「過剰なリスクテイク」に反省ムードが高まるかどうかが焦点。

背景に、世界経済の先行き楽観論、投資家の株高期待が続いていることがある。過剰な姿勢を誘発しやすいが、相場が崩れ難い要素となる。

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