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2021年04月19日

【Weekly No.281】米経済改善加速、日本株は重い

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  1. 米経済改善加速、日本株は重い
  2. 「株式から債券へ」は杞憂に終わるか
  3. アジア期待後退、インド波乱、中国懸念

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Weekly 419

 米経済改善加速、日本株は重い

アッと驚く数値は15日発表の米週間新規失業保険申請件数。10日までの一週間で57.6万件、前週76.9万件、市場予想70万件を大きく下回ったのだ。大寒波の影響から脱し、ワクチン接種拡大効果、バイデン巨額対策効果などが出始めたとの見方。5月上旬の月間雇用統計に反映されることになろう。14日発表のベージュブック(地区連銀経済報告)は、「○○不足」に37回言及し、この10年で最も多かった。その一つに「労働力不足」が挙げられている。スキルの問題があるが、製造業や建設業で特に厳しいとされていたので、不況業種でも先行的に労働力確保の動きが出始めているのかも知れない。改善がさらに進行することが前提だが、FRBの関心は雇用からインフレに移る可能性が考えられる。

この日のもう一つ驚いた経済指標は3月米小売売上高。前月比9.8%増、前月の2.7%減、市場予想の5.9%増を大きく上回った。前年同月比では27.7%増。スポーツ用品・娯楽の前月比23.5%増を筆頭に、自動車、衣料品、外食、建設資材など軒並み二ケタ増。食品・飲料の0.7%増が不振に見える状況。ただ、3月鉱工業生産統計は製造業で前月比+2.7%と2月の-3.7%から持ち直したが、市場予想+4.0%を下回った。半導体不足の自動車生産は+2.8%(2月-10.0%)と持ち直したが、全体の設備稼働率は74.4%、1972-2020年平均を5.2%ポイント下回る。

さらに驚いたのは、この日発表された力強い経済指標に反し、米金利が一気に低下(買われた)したことだ。通常なら良好な経済指標で金利が一気に上がるはずだが、この日の米10年物国債利回りは一時1.52%まで低下、終値は1.57%台、前日比0.06%下がったことになる。ウクライナ緊迫の緩和(ロシア制裁限定的)など、様々な理由が解説されているようだが、一部投資家のショートポジション解消(買戻し)が主因と見られる。

日本勢の買いが米金利低下に影響を与えたのかもしれない。同日日本の財務省が発表した4月の第1週(4日から10日)で中長期外債買い越しは17144億円。全てが米国債ではないだろうが、単純月間換算では500~700億ドルの規模。外株を6233億円売り越しており、3月までのキャッシュ化などの動きと合わせて、為替リスクをできる限り限定した動きと見られる。先週の米国債1200億ドル(来週は420億ドル予定)入札の安定にも貢献したと思われる。

15日の債券の買い戻しは、株式市場にも出たと見られ、NYダウとS&P500指数が最高値更新、ナスダックは14038ポイントと216日以来の水準。NYダウの34000ドル台乗せで、日経平均との絶対値差が4500以上に開いてきた。日本株の追随能力(日経平均3万円台回復)が問われる局面に入ったと想定されるが、16日の日経平均は米株大幅高にも拘わらず、わずか40円高。結局、先週、3万円回復はできなかった。日本株の上値が重いのは、ひょっとして前日の二階幹事長の「五輪中止も選択肢」発言が尾を引いているのかもしれない。また日本時間17日未明に行われる日米首脳会談を控えているため、模様眺めだったのかもしれない。当然、会談のポイントの一つは対中関係。ユニクロや無印良品(良品計画)、少し前のローソンなどの曖昧な姿勢、中国ビジネス拡大姿勢が嫌われている印象がある(新疆トマト調達打ち切り表明のカゴメの株価は高かった)。日米首脳会談を前に、中国の日本政府叩きが激しくなっている印象もあり、個別企業イジメに発展警戒ムードがある。日米首脳会談では、どんな宿題を負わせられるのか、警戒的ムードもある。また、日本経済起爆剤として期待されている五輪開催もグラついている。米金利低下なら、円高警戒もあろう。日米首脳会談や企業決算発表を見極めながらと言ったところと考えられる。

 

「株式から債券へ」は杞憂に終わるか

4月に入り、米市場は「グロース株からバリュー株へ」の勢いが鈍り、全面的ジリ高展開になっている様に見える。ただ、最も気になったのは、日米ともに商いが細っていることだ。あくまでイメージだが、一連の出来事でヘッジファンド中心の「恣意的相場」の勢いが衰え、新四半期・新年度入りでの機関投資家の「一律買い」が優勢だった可能性が考えられる。  

ロイターの報道によると、世界の債券ETF1719本の純資産額は3月末14800億ドル、12月末から過去最大規模の約520億ドルが流出した。一方、BofA(バンクオブアメリカ)の週間データによると、7日までの1週間、株式ファンドに156億ドル、債券ファンドに170億ドル、キャッシュ・ファンドに227億ドル、各々資金流入となった。特段、機関投資家が株式攻勢を掛けている訳ではなさそうだが、出来高が薄く、「一律的買い」が目立つ結果になったと思われる。一時、市場が喧伝した「株式から債券へ」の資金シフトは起こっていないと考えられ、あってもバランス的な運用に傾くぐらいと思われる。BofAの発表によると、過去5か月間の株式ファンドへの資金流入は5760億ドル、過去12年間合計の4520億ドルを上回った。調査顧客の資金配分は、株式63.6%、債券18.5%、キャッシュ11.5%。

この先、格言でいう5月の「セリング・メイ(株は5月に売れ)」を迎える。「セリング・メイ」とは、納税資金確保や半期(6月末、12月末)でのヘッジファンド解約は1か月半前期限があり、ヘッジファンドは準備資金確保で売リを出すことがある。また、4月の機関投資家買いの一巡も背景。6月末の上期評価に向けて持ち直すパターンに向けて、ヘッジファンドが勢いを取り戻し、「恣意的相場」を誘導するかどうかが注目点となる。足元ではダウとS&P500は最高値更新ペースにあり、16日現在で最高値まで0.3%程度に迫ったナスダックの動きが当面の焦点と見られる。

9日の相場で、前日に決算発表したファーストリテイリング(-3.40%)、ローソン(-5.24%)、セブン&アイ(-2.53%)が揃って下落(小売業-0.79%)したのが目立った。日本経済の消費動向に厳しい見方が多いこと、中国ビジネス(ユニクロの柳井社長のウイグル問題ノーコメントの姿勢、ローソンの出店1万店目標、セブン&アイは言及なかったようだが、米社買収のズレ込みで今期予想未定)への警戒ムードが影響した可能性が考えられる。

 

アジア期待後退、インド波乱、中国懸念

12日のアジア市場で、インドsensex指数が3.44%の急落となった。連動してインドネシア2.0%安、タイ1.6%安と軟調な所が多かった。インドのコロナ感染者数が1日当たり16.8万人超、累計で1353万人に達し、ブラジルを抜いて世界2位となった。1日の死者数は904人、累計17万人超。緊急的に、抗ウイルス薬「レムデシビル」(米ギリアド社と7社が製造受託契約)の輸出禁止を発表した。インドは昨年末に全土ロックダウンを解除、大規模宗教行事、地方選での選挙集会などが行われ、3月以降感染急拡大の状況にある。11日にも、ヒンズー教大祭「クンブ・メラ」で、ガンジス川沿いに100万人規模の人が集結、感染拡大が警告されている。金融中心地ムンバイ周辺が変異株の中心地とされ、ロックダウン再導入の動きにある。

ブルームバーグは「昨年好調なアジア株、ポジティブな見通しに陰り」と伝えた。欧米の年初来上昇率約10%に対し、MSCIアジア太平洋指数は3.3%にとどまっていると言う。2大要素は、米金利上昇とそれに伴うドル高、中国株の不振。有力株300銘柄で構成する中国CSI300指数は2月高値から13%強下落している。余談だが、独禁法違反で3000億円罰金のアリババG6.5%高。罰金より、解体されなかったことに安心感が出たようだが。

中国は異様に早い第1四半期GDPを発表した。前年同期比∔18.3%と強めの数値となったが、それが金融引き締めを加速させると警戒されている。12日発表の3月新規人民元建て融資は27300億元(約4165億ドル)、市場予想の24500億元を上回った。

ロイターの計算で第1四半期合計は76700億元と過去最高。景気刺激の一方、部分的な不動産バブル抑制のため、金融当局は銀行に融資抑制の指示を出している。ノンバンクなどを入れた社会融資総量の伸びは13%台から12%台に低下しているが、先々週、国有不良債権受け皿会社の中国華融資産が決算発表延期に追い込まれ、非中核部門分離計画検討などと報じられ、底流に不良債権問題が燻る難しい局面にある。

加えて、9日発表の中国3月生産者物価指数(PPI)が前年同月比4.4%上昇。市場予想3.6%、2月の1.7%を大きく上回った。消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.4%3ヵ月ぶりのプラス転換だった。石油、銅など鉱産物、農産品などの価格上昇が圧迫しており、金融安定発展委員会は「物価安定強化」方針を表明している。中国の物価は米国CPIに跳ね返ると見られており、インフレ観に影響する。インフレ観を含めた様子見基調に入っていると考えられる。

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