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2021年04月26日

【Weekly No.282】富裕層のキャピタルゲイン増税観測を嫌気

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  1. 富裕層のキャピタルゲイン増税観測を嫌気
  2. コロナ感染拡大など背景に久々の売り仕掛けか
  3. 日米、先端技術連携合意で歯車動くか

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Weekly 426

【富裕層のキャピタルゲイン増税観測を嫌気】

22日の海外株式市場は欧州時間では堅調推移だったが、米国時間で下落した。欧州市場では、ECB(欧州中央銀行)理事会は「緩和縮小巡る議論封印、タカ派は影潜める」と報じられ、大規模量的緩和策の維持を決定した。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は、来年3月終了予定になっているが、現行買い入れペースではその前に枠を使い果たすと見られ、6月以降に買い入れ縮小に転ずるか注目されていた。したがって、6月のECB理事会はさらに要注意となる。

一方、米国時間で「バイデン大統領、キャピタルゲイン増税提案へ、育児財源」(ロイター)などと報じられ、NYダウは321ドル安。増税は「バイデン懸念」の一つ。22日に始まった気候変動サミットへの反応は拍子抜けするぐらい見られなかったようだが、「CO2削減目標」はコストアップ要因となるのは必至。バイデン大統領の思惑通り、投資拡大、雇用促進となるか、攻防軸が移動すると見られる。

増税案は、今週28日、バイデン大統領が初めて行う議会演説「アメリカン・ファミリーズ・プラン」で発表される。育児や幼児教育分野などへの歳出を賄うためとされるが、日本で突如起こっている「こども庁」創設論議とダブる。所得が100万ドルを超える富裕層課税の引き上げが焦点としているが、バックにいる民主党左派の増税意欲は強いと見られている。また、キャピタルゲイン課税を現行の20%から39.6%に引き上げるとの見方で22日のNYダウ、ナスダックともに0.9%以上の下げとなった。現行から倍増というのは、ちょっと驚きだが、翌日の市場ではベースになる税率は28%という見方が出てきて米株は一斉に戻した。

21日、EUの欧州委員会はAI(人工知能)の利用を厳しく制限する新規制案を公表した。顔認証を含む生体認証などリスクの高い応用分野が対象で、違反企業に高額制裁金を課す。

対象は法執行当局によるリアルタイムのリモート生体認証システム(テロ対策や行方不明子供捜索、治安上緊急事態などの特例はある)、個人の社会的行動格付け「スコアリング」、サブリミナル技術、社会的弱者の搾取など。自動運転システム、AI審査なども導入前審査を義務付ける。AI規制のグローバルスタンダードをEUがリードしようとするもの。AIを展開する大手は米国と中国企業が中心。とりわけ、中国共産党が推進するAI統治に真っ向から対立するものと見られる。バイデン政権がどう反応するか注目される。

SEC(証券取引委員会)がデリバティブや空売り情報など、投資会社の情報開示要件の厳格化を検討していると伝えられた。一般的に、濡れ手に粟の大儲けは通常の株式売買よりも、IPOM&A、仕組債的な派生部分で得られる。それは同時に、市場リスクを拡大させるので、前述のキャピタルゲイン課税はこの問題とも関連する。

米週間新規失業保険申請件数は54.7万件と順調に低下、4月のPMI(購買担当者景況感指数)62.250以上は経済活動の拡大を意味する)と過去最高を記録した。インドで見つかった二重変異株の脅威が伝えられ始めているが、米経済のトレンド変更は今のところなさそうだ。先週の日米市場の調整は様子見基調のなかでの調整と受け止めたい。

 

【コロナ感染拡大など背景に久々の売り仕掛けか】

2021日の東京市場は思わぬ大幅下落となった。2日間で日経平均は1200円弱下げたことになる。東証空売り比率を見ると、20日が45.7128日以来(この日は50.2、日経平均は437円安)の高水準となった。20日は東アジア市場が連動せず、日本固有の要因か、とも思ったが、欧米でも下落トレンドとなり、先進国市場の久々の売り仕掛けとなっていた可能性がある。

20日の日経平均の下落率1.97%(TOPIX1.55%)、英2.00%、独1.55%、仏2.09%、伊2.44%、NYダウ0.75%.ナスダック0.92%。売り仕掛けの指標と考えられるVIX(恐怖)指数は、日経VI20.02(前週末17.57),欧州VSTOXXX21.08(同17.21)、米VIX18.6817.29)といずれも上昇しているが、下落率の割には小幅(注 VIXは高いほど、株式相場の急な下落や急な上昇が起こる可能性が高く、VIXが低いほど、株式相場が安定しており、通常1020の範囲内で動くとされ、30を超えてくると警戒領域と判断される)。

一般的にはコロナ感染拡大、インドで感染者数が31.4万人/日、世界最多を記録。日本は緊急事態宣言に動き、米国もミシガン州など北部で感染拡大が伝えられ、カナダとの国境制限を1ヵ月延長したなど、収まらないコロナ感染を懸念していると見られる。米国が世界の8割の国との渡航制限、日本でも入国基準を順守しない人を追い返したとの話があるなど、旅行関連から崩れた(東京市場の下落率トップは空運2.63%)。菅首相の訪米でのファイザー・ワクチン確保は材料にならなかったので、目先的な動きと受け止められる。

他にも弱材料は多い。突然出て来た欧州のサッカー・スーパーリーグ創設を巡る大混乱は評価難だが、ECBを中心にコロナ対策で3兆ユーロ以上積み上がった政府債務に対し、帳消しにする「徳政令」の議論が燻る。2月に著名経済学者ピケティ氏等100人以上の経済学者、政治家らが提唱、ECBが火消しに動いた経緯がある。財政悪化と抜本改革の綱引きがあり、ECBの方向性が問われる局面(催促相場も含め)にあると思われる。

日米首脳会談を契機に、中国の大規模サイバー攻撃のニュースが増えて来た観がある。情報や技術盗取を防ぐ仕組む作りに向かっていると考えられ、IT産業には規制強化となる可能性がある。先週中国テンセントから資本を受け入れた楽天に対し、日米共同で監視強化と伝えられた。

今週は再び強弱綱引き展開に戻るのか、空売りの勢いが注目されるが、一方的にはならず、目まぐるしい展開を想定して置きたい。

 

【日米、先端技術連携合意で歯車動くか】

17日の日米首脳会談は、対中政策を軸に、台湾、人権、先端技術、脱炭素など広範囲に連携することで合意と伝えらえた。事前の16日に梶山経産相は「次世代半導体開発、レアアースなどのサプライチェーンについて議題になる」との見方を示していた。台湾や人権問題は日米2+2で合意した路線であり、「日米新産業連携」が深まった印象だ。

米国は先端産業や新技術のカギを握る半導体産業の復活を目指している。12日のバイデン大統領と半導体関連企業の協議を機に、インテルの200億ドル投資、台湾TSMCの一部中国企業(米国が制裁対象としたスパコン関連7社)への製品供給停止などの動きが報じられている。日本国内でキオクシア・東芝争奪戦が起こっているのも偶然ではないと思われる。東芝が米ファンド傘下になるのか、英CVCは買収を断念したが、非公開株になるのか、または事業分割されるのか、行方は分からないが、外資系ファンドが動いてきたのは、バイデン戦略を睨んだものと受け止められる。

日本の半導体産業は1980年代の隆盛の後、日米半導体協議などでデジタル戦略を悉く潰され、大幅円高も加わって、製造装置、部品・資材に特化する形で展開してきた。1位の台湾のTSMC(ロジック系で成長)にしろ、2位のサムスン電子(日本の迂回輸出構図で成長)にしろ、日本企業が支える構図にある。

米国単独では、製造技術が戻らないと考えられ、構図はどうあれ日米連携は必須の流れと考えられる。日本への悲観論がない分けではないが、TSMCの台湾、中国内拠点依存では万が一の安全は保障されない。巨額投資に動く中国も日本企業の協力が必要だ。

バイデン大統領の看板「脱炭素」でも、EV(電気自動車)はじめ、先端技術・半導体製品は不可欠だ。ヒョッとすると、「再生可能エネルギーだけでは無理で、新型原発の再興」を考えているかも知れない。東芝は原発メーカーでもあり、先般、日揮が共同受注していた。

15日に中国が原発5基(4.9ギガワット)の建設承認と報じられたが、米国は未だ対策を打ち出していない。これもヒョッとするとだが、13日に日本政府がフクシマ処理水放出を急遽決めたのは、米国と打ち合わせた上で、原発推進の動きの可能性がある。

余談だが、親中派ケリー米環境特使が訪中したが、環境問題を糸口に中国に軟化を呼び掛けた。どうも上海を訪れたことは北京の習主席路線の修正を上海閥に呼び掛けた印象がある。

サムスン電子が宙に浮くなぁ、と思っていたら、16日、「米韓首脳会談、5月下旬にワシントンで開催」と報じられた。残り任期1年の文在寅大統領の親中政策に厳しい対応になると思われる。韓国内保守親米派は、クアッドなどへの乗り遅れ論を主張し始めており、韓国が軌道修正するのか、完全に北朝鮮化するのか、大きな分岐点と位置付けられる。曖昧な態度を続ければ、今までであれば大統領失脚も有り得よう。

焦点は、株式市場が日本評価に向かうかどうか、日経平均28000~31000円ゾーンが思った以上に長期化しているが、次の31000~34000円ゾーンを目指すには、新しいシナリオ、評価が欲しいところだ(ファンダメンタルズは乖離しているので、不透明感のある大幅増益予想だけでは難しいと見る)。「新日米産業連携」が海外投資家の視線を刺激するかどうか注目される。

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