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2021年05月03日

【Weekly No.283】米景気好調確認、大型対策寄与

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  1. 米景気好調確認、大型対策寄与
  2. 忍び寄る米国双子の赤字
  3. リスクの見方、コロナ主軸だが中国の翳
  4. インド二重変異株の脅威警戒

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Weekly 53

【米景気好調確認、大型対策寄与】

コロナ自粛下、29日の日本の休みの間に、米市場は二つの大きなイベントを消化した。FOMCとバイデン大統領初の議会での施政方針演説だ。テーパリング(緩和策打ち止めに伴う市場混乱)や増税懸念などが事前に喧伝されていたせいか、とくに目新しい材料とならなかった。米10年物国債利回りは一時1.690%(13日以来)を付けたが、1.64%水準に押し戻された。株式市場は決算ラリー中で、フェイスブック、アルファベット(グーグル)などが押し上げ、S&P500指数終値は4211.47ポイントと初の4,200台乗せ。

最も大きな支援材料となったかも、と思われるのは、デブラシオNY市長が「71日に経済活動完全再開を目指す」と表明したことだろう。NY市の感染者数は3500~5000人のレンジで2か月間、一進一退を続けてきたが、28日時点で7日間平均は1743人、前週比34%、前月比で56%減少。少なくともワクチン1回接種者は41%を超え、市長は6月末住民500万人接種完了を目指している。

ワクチンに追い風となったのは、英イングランド公衆衛生局が「ワクチン接種は家庭内感染を最大で半減させる」とのデータを発表したこと。ある程度(3割程度か、日本の株式市場でも今後3割の接種率は重要な意味を持つと思っている)接種が普及すると抑制効果が高まって来るとの見方もある(見方は固まっていないが、集団免疫に近いイメージ)。

同じくこの日、米第1四半期GDP速報が発表された。前期比年率+6.4%(市場予想+6.1~+6.7%)。GDPの約7割を占める個人消費が+10.7%(前四半期は+2.3%)と牽引した。政府の大規模財政出動、とりわけ個人給付の効果が大きかったと見られる。

この日決算発表のマクドナルドは1-3月世界の既存店売上高は+7.5%、米市場が+13.6%と牽引し、朝食、昼飯、夕食すべてで二ケタの伸びと、個人給付追い風と説明した。

週間新規失業保険申請件数は55.3万件、前週56.6万件から改善。米自動車コンサルタント会社は4月米自動車販売が130万台に達し前年比110%増、4月として月間最高との見通しを発表。在庫減、販売インセンティブ縮小で先行きは半導体不足の影響が出ると見られているが。

4月以降も米国は景気回復が進行しているとの見方が持続しているが、3月の財(モノ)の貿易赤字は905.87億ドルと過去最大に膨らんだ。特に自動車、産業用資材、消費財、食品の輸入増が目立ったと伝えられた。27日、CRB商品指数が185月以来となる200ポイント大台に乗せて来た。この日は6週間ぶり高値の原油と一時1万ドル突破の銅(最高値は1121190ドル)が目立ったが、インフレ観を強める可能性がある。景気回復の楽観論との綱引き構図が想定される。

 

【忍び寄る米国双子の赤字】

数値的に云々する段階ではないためか、米金融市場では話題になっていないが、米国の3月財政赤字は過去最大の6600億ドル、21会計年度上期(10~3月)の財政赤字は前年同期の7430億ドルから17060億ドルに達した。貿易赤字の方は月間700億ドルペースに拡大している。トランプ政権は抜本的是正策として対中赤字の是正に取り組み始めたが成果は出ていない。人権・安全保障問題での対立が激しくなっている。

大きな方向性として、バイデン政権は次々と巨額政策を打ち出す一方、財源として増税を打ち出し始めている。財政赤字が破裂しない大きな前提は米景気の回復、企業業績の好調。税率をそれ程引き上げなくとも、所得増は税収額を大幅に引き上げられる。隠れた要素は、相対的な低金利で利払い費を抑制し、財政赤字の深刻さをかわす方針とやや高めのインフレ率で相対的な財政赤字額の圧迫感を和らげる方向。

国内景気回復に貿易赤字是正を含めて、とくに対中安全保障問題から大手企業の国内投資が活発化して来た。アップルが今後5年で米国内投資4300億ドル規模、インテルがアリゾナ新工場に2兆ドル、エクソンは1000億ドル規模のCO2回収官民プロジェクトを提案した。米財務省は2.25兆ドルのインフラ投資計画により、10年間で約2兆ドルの企業利益を取り戻せると主張している。

元々の親中派であるバイデン大統領やケリー環境特使などに対し、米上院外交委は21日に「2021年の戦略的競争法」を可決、5月にズレ込んでいるが「エンドレス・フロンティア法案」(中国対抗で米国の基礎研究や技術開発に1120億ドルを拠出する案。230件もの追加修正案が殺到し遅延。車載半導体不足に100億ドルなど追加される可能性がある)も準備中。ともに超党派での提案で、対中優位性強化に狙いがある。

そのため、日米共同声明で日本の協力を取り付けた格好だ(防衛関連一つ見ても日本や台湾が購入有力)。双子の赤字を破裂させないためには、既に米株式市場は最高値圏にあるので上値目標は限られるかも知れないが、株式市場が崩れない様にすることも大切であろう。

 

【リスクの見方、コロナ主軸だが中国の翳】

現在、投資家は何をリスク要因としているのか。一つの目安として、ドイツ銀行の月次投資家調査が発表された。21-23日に約700人の市場関係者を対象に行った調査。最大の世界リスクは58%が挙げた「ワクチン効果が弱まる変異株の出現」。2位は「予想超えるインフレと国債利回り上昇」43%、3位は「地政学リスク」30%、次に「景気回復とワクチン接種の世界的不均衡」28%。「テーパータントラム(金融緩和縮小を巡る市場混乱)は1月調査の33%から21%に低下した。

コロナ変異株の猛威はインドから中東に広がっている。1日の感染者数が35万人を突破したインドでは富裕層がプライベートジェットで脱出していると報道されている。中東ではトルコが厳しいロックダウンに踏み切ると伝えられた。新興国投資をチャンスと見て来た人には失望状態。

反面、「欧州のコロナ状況改善」と伝えられた。ポルトガルで83日以来の死亡者0,イタリアで大部分の地域で飲食店や映画館などの営業が再開され、フランスは5月半ばにも飲食店屋外営業再開検討(10月末から停止)と報道された。

20日、中国工業情報化省は「工業製品の原材料価格の安定策を取り、市場の監視を強化する」と発表した。鉄鋼、非鉄金属、石油化学品などが対象だが、3月の貿易統計では、食肉輸入が月間記録を更新、大豆なども輸入を押し上げた(前年同月比は輸出+30.6%に対し輸入+38.1%)。ただ、中国のコロナ状況は報道されず、実態は不明。爆買い的動きが何処まで続くのかも見通し難。

週明け26日の米市場ではナスダックが最高値を更新。決算ラリーでIT関連主力株が評価されやすい地合いが続いている。焦点だったEV大手テスラは7四半期連続黒字決算だったが、納車台数伸び率見通しを据え置き,この日の時間外で一時2.2%安。中国当局のイジメを受けていることから警戒論もあったが、影響は限定的だったようだ。リスク視点がある程度分散されていることも示していると考えられる。

 

【インド二重変異株の脅威警戒】

国内でも地域限定ながら緊急事態宣言が三度目の発出となった。「まん防」地域も拡大しており、再び自粛のGWとなる。製造業は元々休みが多いので、稼ぎ時の旅行・観光、交通、飲食、イベント・レジャーなどの非製造業へのダメージが大きくなろう。飲食業の禁酒令、灯火管制、テーマパークや展示会での無観客要請など、無茶苦茶観があるが、厚労省は23日、権利制限の範囲を拡大する告示を官報で行っており(41日に続き二目)、 2月の特措法改正による知事の権限拡大が進行している。

大阪、兵庫などの感染拡大、医療逼迫とされているが、もう一つ、インドで激増している二重変異株の猛威警戒が言われている。インドは3日間で約100万人の感染者増、ゲノム解析分の8割が二重変異株とされる。変異株は一般的に「免疫逃避」と呼ばれる現象で感染力が強まる。立証されていないが、二重変異はヒト、とりわけアジア人の免疫機構を掻い潜り、比較的感染の少なかったエリアで猛威を奮うと警戒されている。ワクチンが効くかどうかの議論に至っていないが、インドでは1億人以上に投与されているとされるが、効果は出ていない。アジアではタイなどでの急増が要注意となろう。

22日に加藤官房長官がインド二重変異株は「国内で5件確認」と発表した頃から日本でも急速に警戒感が台頭し、宣言再々発出に至ったと思われる。菅首相もインド、フィリピン外遊を急遽中止した。英国も新たに55例確認(累計132例)と発表し、23日からインドからの入国を禁止した。

五輪を控える日本が緊急措置を執ったことに、欧米首脳は理解を示すと思われ、自国への飛び火を警戒するとともに、混乱するインド支援に乗り出した(米国は薬、検査キット、防護服など供給。おそらくアストラゼネカ・ワクチンも供給)。沈静化に向かうかポイントに。余談だが、2週間前にIMFはインドの今年の経済成長率予想を12.5%と世界最高に引き上げていた。モディ首相はロックダウンを実施していないが、経済失速リスクがある。

すでに、30日の米株式市場ではインドやブラジルでの感染者が増加を続けていることを嫌気して下落している。

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