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2021年05月10日

【Weekly No.284】商品インフレ相場の進行

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

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  1. 商品インフレ相場の進行
  2. 雇用統計、予想を下回るが米景気は堅調
  3. コロナでわかったユルユルの日本のシステム
  4. どうやら日本はコロナ治療薬に活路?

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Weekly 510

【商品インフレ相場の進行】

日本のGW期間中の米株は決算ラリーの後、商品インフレ相場に移行している観がある。最も目立つのはバルチック海運指数。連休中も上昇が収まらず、4日に3157ポイント、昨年5月安値407ポイントから8倍近い水準。確認していないが、コンテナ船市況も逼迫していると思われる。中国を中心に貿易傾斜、船舶数と労働者逼迫などが背景とされる。

米国では5日、材木先物が急伸。初の1500ドル台/1000ボードフィート、乗せ。この1年で4倍。木材業者の在庫が払底、労働力不足が拍車と伝えられる。CRB商品先物指数は204ポイント台乗せ、2018年水準を抜いてきた。

P&G、キンバリー・クラーク、コカ・コーラなど消費関連企業が続々と値上げを警告し始めた。日本でもキューピーのマヨネーズ値上げが発表されているが、値上げができる業界・企業とできない企業との明暗が分かれるものと思われる。

この日、イエレン財務長官は景気過熱防止、インフレ加速抑制で、「やや金利上昇必要」とスタンスを少し変更し始めた。ただ、5日の米10年債利回りは1.57%台。債券需給の歪みの影響が残り、やや低下気味。

 

【雇用統計、予想を下回るが米景気は堅調】

6日の米株市場は週間新規失業保険申請件数の改善(49.8万件、前週59万件、市場予想54万件)を追い風に、ダウは最高値を更新、S&P500指数は4200ポイント台を回復した。4月雇用統計で非農業部門雇用者数増100万人台乗せの見方も出ていたが、米景気回復期待の強さが背景にある。ところが、7日に発表された就業者増加数は、市場予想の978000人を大きく下回る266000人だった。1回の指標ではトレンドになり得ないが、経済が過熱しインフレが急上昇するとの見方を冷ます内容となった。今回の雇用統計を受け、テーパリング(量的緩和の縮小)の早急な協議を巡る米FRB(連邦準備理事会)へのプレッシャーが緩和した。FRBは忍耐強くあることを望み、テーパリングを先延ばしにしたいと考えている。ある意味では、バイデン大統領にとって追加の財政刺激策を後押しする材料になるかもしれない。ほとんどの専門家は、投資を巡る背景は引き続きポジティブで、投資家は債券よりも株式を、ディフェンシブ(割安放置)銘柄よりもシクリカル(景気循環株)またはグロース(成長株)銘柄を選好すべきだろう。米経済の勢いは依然として力強く、1回の指標に過剰に反応することはない。完全な回復にはもう少し時間がかかるだろうが、経済のトレンドは引き続き非常に堅調ということになる。

 

【コロナでわかったユルユルの日本のシステム】

日本は緊急事態宣言延長で景況感改善期待が後退。6日、厚労省発表の「空港検疫」で患者2名、無症状病原体保有者27名と発表された(4名羽田、残り全て成田)。「行動歴」内訳は、インド8名に対し、ネパールが19名、残りは米国、独が1名ずつ。インドはようやく「感染流行国」に指定したが、ネパールは野放し状態。同便で入国した人々の「14日間隔離」も全く行っておらず、行動追跡も行っていない様だ。専門家は承知していると思うが、何故か「制限要請」を行っていない。なお、筆者は横浜に住んでいるが、高齢者のワクチン接種の予約にシステムがダウンしたりして、相当の時間をかかっていることがニュースになっている。高齢者人口から事前に相当混むことはわかっていたはず。システム改善後も予約にかなり時間がかかっている。とにかく、コロナ禍で、日本のシステムがユルユルということが分かった。

昨年の感染初期、奈良の中国人客の観光バス運転手・ガイド感染、札幌雪祭りでの急増以来、入国制限の声があったが、全くザル状態は変わっていない様だ。国内制限強化では効果は乏しいと思われる。なお、月間入国者(外国人、日本人帰国者合計)数は12月の127343人から3月は88322人に減少しているが、1日当たり1880人超に驚く。

日本と同様の連休明け中国株は下落で始まった。目立つのは上海・深セン有力企業で構成するCSI300指数で、1.22%安。深セン新興株「創業板(チャイナネクスト)」2.5%安。米国のワクチン知財権放棄の動きで、ワクチンメーカーが急落、CSI300のヘルスケア指数は4.1%安。中豪戦略対話の無期限停止、NZ議会の人権批判決議、G7外相会議での中国非難決議に対する猛反発など、西側諸国との軋轢増が嫌気されたものと見られる。不良債権処理会社の華融資産管理の経営不安も燻る。1月死刑判決の元会長が執行されたと伝えられた。

ただ、連休明け需要増期待で、鉄鉱石、鉄鋼製品、銅、スズなど金属市況が高騰。鉄鉱石スポット価格は史上初の200ドル/トン乗せ。中国政府は生産抑制措置を打ち出しているが。

428日の移民法可決(施行は81日)で、「落日の香港」加速と伝えられている。ブルームバーグによると、「バイデン政権、一部中国企業への投資禁止を継続する公算大」。通信3社、アリババ、バイドゥ、テンセントなどを含む。中国株ADR(米国預託証券)は下落と伝えられる。投資家は1111日までの完全売却を求められる恐れがある。米株ではテスラ株も乱高下しているようだ。方向感を得難い状況が続くと思われる。

 

【どうやら日本はコロナ治療薬に活路?】

GW中、個人的に最も目を惹いたニュースは、東北大グループによるコロナ肺傷害治療薬開発のニュース。428日、東北大学大学院医学系研究科(代表:張替秀郎教授)は血栓や炎症・線維化を改善する薬剤「TM5614」のコロナ感染症による肺炎重症化を防ぐ治験を5月に開始すると発表した。2000年設立の東北大発ベンチャー・レナサイエンス社と共同開発を進めるPAI1(プラスミノーゲン活性化抑制因子1)阻害薬と呼ばれるもので、慢性骨髄性白血病治療薬として開発を進めて来たもの(東北大の宮田敏男教授が開発)。

錠剤(経口投与)で、既に長期投与治験で安全性が確かめられており、今回も前期第Ⅱ相医師主導治験を3月に終了した。後期第Ⅱ相試験は7医療機関から20医療機関に拡大して、主に中等症者を対象にプラセボ比較試験で有効性を確かめる。223月メドに行い、米国、トルコの大学も連携する。治験は時間が掛かるが、素人目にはワクチン同様、「緊急使用」にも期待感がある。

TM5614」は今年1月に第一三共と導出オプション契約を結んだ。当然、有効性を確認してからの話だが、コロナ脅威が急速な肺炎重症化、突然死、あるいは後遺症に移っているため、抜本改善につながる期待がある。

これより前に、京大がiPS細胞を使って、既存薬の有効性スクリーニング探査を行っていると発表している。日本は治療薬開発に主眼を置いている動きだ。

医薬品株はコロナ以外の治療大幅縮小で不況業種になっている(4月末医薬品業種指数は前年比+0.40%でワースト3位、前年が強かったこともあるがTOPIX前年比+33.12%に大きく割り負ける)。見直しの契機になるか注目される。

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