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2021年05月24日

【Weekly No.286】中国の米債券買いで、金利上昇一服?

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  1. 中国の米債券買いで、金利上昇一服?
  2. 中国の規制キッカケに仮想通貨(暗号資産)暴落
  3. 方向感見えないなか、ハイテク調整続くか

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Weekly 524

【中国の米債券買いで、金利上昇一服?】

20日の米株市場は、売り方の買い戻しと思われるが、ナスダックの上昇率(+1.77%)がダウ(+0.55%)より大きくなった。経済回復を示す流れがサポートしたとも見られる。週間新規失業保険申請件数は44.4万件、前週の47.8万件、市場予想45万件を下回った。早くも労働需給のミスマッチ、一部で供給難とされる一方、政府の手厚い追加支給が労働者の復帰の妨げとの意見もある。少なくとも全米21州で、来月から政府の失業プログラム打ち切りが発表されており、一時的に高止まり来月急減の可能性がある。

依然として、自動車業界などでの半導体不足が続いているが、半導体製造装置米最大手アプライド・マテリアルズが発表した第3四半期(57月)見通しで、市場予想を上回る強気で、半導体業界が積極的な設備投資に動いていることが示された。ハイテク関連買い戻しの一因と考えられる。

台湾、日本、ドイツなどの貿易統計で、米国と中国が牽引役となっている印象だ。世界経済シナリオ通りで、安心材料となろう。ただし、中国関連では、ファーストリテイリング(ユニクロ)の「新疆綿」問題が表面化、EU議会が対中投資協定批准を凍結しており、先行き不透明感が続く。

 12日発表の4月米消費者物価指数の急騰で米10年債金利は1.70%近くまで上昇したが、21日には1.62%まで低下し落ち着いてきた。3月から上昇してきた米金利上昇を止めたのは、「ヘッジファンドと中国だったのか」というニュースが出ている。米財務省発表の3月データによると、米国以外からの米国債購入額が1189億ドルと過去最高に達していた。中心は、ヘッジファンドが集積するケイマン諸島で、1~2月の1000億ドル超の売り越しから一転、349億ドルの買い越しとなった。米10年物国債利回りが1.7%台に急上昇したことを受け、買い戻しに動いたと見られる。市場では2%超への債券安観測も乱れ飛んだが、煽り過ぎだった印象だ。

もう一つの大口購入は中国で、買い越し額は416億ドル、131月以来の水準だった。中国が米金利上昇の自国波及を警戒してのものか、貿易黒字急増によるドル運用先を求めたのか、単に償還額が大きかったためか分からないが、4ヵ月連続購入増。先週の10年債利回りは1.64%近辺で落ち着いた動き。物価連動債との利回り差(ブレーク・イーブン・インフレ率)は高止まり、インフレ観が続いているが、先週実施の340億ドルの1年物TB(財務省短期証券)入札最高落札利回りは0.055%、先月の0.065%から低下した。

早くも「6月上旬発表の5月米雇用統計が低調となる可能性」が議論されている。4月雇用統計やインフレ統計でエコノミストは予想を大きく外しており、疑心暗鬼的。雇用関連指標がマチマチとなっていることに加え、中小企業の採用が失速しているとの見方が浮上、製造業、小売業、ヘルスケア関連の雇用減を示唆する勤怠管理サービスデータなどが出ている。

18日は4月住宅着工件数が前月比年率換算9.5%減の156.9万戸、市場予想171万戸、3月の173.3万戸を下振れた。金利上昇と言うより、木材など建材価格高騰の影響と見られている。価格はパンデミック停止だった昨年比では67.3%増。なお、NY連銀発表のビジネスリーダー対象の事業活動調査で、サービス業活動が5月初旬に急速に改善したと報告されている。足元の景況感回復基調との認識は変わっていないと見られる。

株式市場では、米国株の強気相場はどの局面にあるのか、議論されていると言う。「まだ序盤説」、「中盤説」、「末期説」が入り乱れていると言う。一般的には不安心理の強弱で左右されるので、あまり意味はないが、方向感を失う一因になっている可能性がある。ファンドマネージャー調査では、景気の改善で「パンデミック投資ー巣ごもり需要や在宅関連を売り」、「ハイテク株のオーバーウェイト解消」などが伝えられる。買いとしては「EU離脱の不透明感解消とロックダウン解除」で英国株が取り上げられている程度だ。基調はまだボックス圏相場と想定される。

 

【中国の規制キッカケに仮想通貨(暗号資産)暴落】

 先週は仮想通貨の動向が市場心理に影響を与えた。18日、中国の業界団体の中国インターネット金融協会、中国銀行業協会、中国支付清算協会が共同声明を発し、銀行やオンライン決済企業などは仮想通貨を巡る取引、清算、決済などのサービスが禁止された。仮想通貨は実物資産の価値に裏付けられておらず、価格は容易に操作可能で、取引は中国の法律で保護されていないとの主旨。仮想通貨は不透明な資金が集まり、マネーロンダリング、身代金受け渡しなど、ブラックマネーの噂も絶えず、チャイナマネーの跋扈も指摘されていた。通貨の統計対象は7000種類以上に及んでいたと言い、バブル的存在に膨れ上がっていた。

言わば、裏付けのない格好で、下落し始めると脆い。代表的なビットコイン、イーサリアム、ドージーコインなどが軒並み30-45%の大暴落となった。その後、ビットコインが8%程度に持ち直すなど、乱高下症状。4月にナスダック上場した仮想通貨交換所最大手のコインベース・グローバル株は上場時最高値からほぼ半値水準。

バンカメのファンドマネージャー調査では、1月にビットコインのロング取引が人気で、2月も「ハイテク株ロング」に次ぐ人気の投資先だった。全体の株安も一時大きくなったが、空売りの買い戻しなどからその後持ち直す動きになったと見られる。

投資家にどの程度痛みを与えているか不明だが、最も密接な位置にあるイーロン・マスク氏のEV大手テスラのビットコイン投資は含み損に転落と報じられた。テスラ株はピークの1月下旬比で時価総額が約3000億ドル吹き飛んだ状況。同時にテスラには、中国での販売減、中国やワシントン州での事故、ドイツでの生産遅れなど悪材料が重なっている。マスク氏のツイートで仮想通貨市場は乱高下してきたが、影響度は低下に向かっていると見られる。テスラ株とハイテク株の連動も次第に薄れていくものと思われる。

日本時間20日午前に、仮想通貨ビットコインが300万円台に続急落したが、その後は10%上昇に切り返すなど、強弱感が交錯している。噂によると、今回の波乱で世界の70万人の口座が追証、強制決済されたそうだが、株式市場への連鎖波及は限定的だったと見られる。

米財務省が仮想通貨1万ドル以上の送入金にIRS(内国歳入庁)への報告義務を課すと発表。800億ドルを投入して、IRS職員を今後10年間で2倍以上に増やす意向。仮想通貨に託けて税収増を図る体制作りと見れなくもないが、2019年のタックスギャップ(納付されるべき連邦税と実際の納入額の差)推計値を5840億ドルとした。今後10年間では約7兆ドル、最低でも10%の7000億ドルの徴税を目指す。パウエルFRB議長は、今夏にも仮想通貨の潜在リスクについて参考資料を公表すると表明。技術革新を踏まえた監視体制強化の方向性。

 

【方向感見えないなか、ハイテク調整続くか】

17日の日本株は予想以上の調整となった。感染者が333人に拡大した台湾株が続急落。一時4.2%超の下落(終値2.99%下落)となったことに連動した。半導体関連や値嵩株が崩れ、日経平均は0.92%安。後場寄りがボトムだったが、戻りは鈍い印象だった。全体に意図的な売り仕掛けがどの程度入っているか不明だが、この日マザーズ指数が3.85%の急落。 この時点で月初からの下落幅が13%を超え、昨年10月高値から20%超の下落となり「弱気相場入り」と伝えられたことが目立った。昨年末辺りまでIPO関連人気で活況だったため、信用期日売り圧迫が出ていると見られる。いわゆる「個人投資家が痛んでいる」状況で活況感を欠く一因と見られる。

元々のハイテク売りはナスダックからきている。17日もNYダウー0.16%に対しネスダックはー0.38%と弱い動き。情報技術、公益事業、通信サービスなどが0.7~0.9%の下落で目立った。背景に、インフレ懸念、金融緩和修正懸念があり、一時の売り圧力は弱まったが、姿勢継続と言ったところか。

17日はJPモルガンが「全米でオフィス勤務再開」と報じられ、テレワークのピークアウト感が強まった。また、ベライゾンに続いてAT&Tがメディア事業をスピンオフ(18年にタイム・ワーナーの850億ドル買収を完了したばかりだが、メディア運営のディスカバリーと統合する)。通信会社がメディア関連、IT関連ビジネスで成功することの難しさを示すとともに、主に動画配信のネットフリックスやディズニーなどとの競合が激しくなると見られている。ハイテク相場は昨年からの上昇場面でテレワークなどに煽られた面があり、本格的な下落というより、現在はその修正場面とも言えよう。

一方、コロナ禍からの回復も一様ではない。16日の全米の空港利用者は185万人、昨年3月以降で最多となった。ただ、一昨年5月水準の7割程度に止まっている。ユナイテッド航空は7月に1日当たり400便超の増便を発表。順調に回復トレンドを歩めるかが焦点。   

8月開催(5月から再延期されていた)ダボス会議は予定地シンガポールの感染急増で中止になった。5月米住宅建設業者指数は83,前月比横ばい、市場予想と同水準だった。金利上昇の影響は出ていない様だが、建材価格高騰の影響が出始めていると見られている。単純に「K字型回復」と選別する局面を通過し、それぞれの変化材料を見極める局面に入っていると考えられる。

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