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2021年05月31日

【Weekly No.287】日経平均イベント通過で600円高

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  1. 日経平均イベント通過で600円高
  2. 膠着感、高止まりも物色意欲欠く
  3. 米国の本気度、バイデン・アジア政策注視
  4. 日銀、応急措置から構造政策に重心

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Weekly 531

【日経平均イベント通過で600円高】

 28日の日経平均は600円高、510日以来の29000円の回復。600円高は前日にMSCIの銘柄入れ替えの終了で、イベント通過による買戻し相場だった。この日の空売り比率は35.9%、前日の44.4%から急速に買戻しが展開されたことがわかる。そもそもMSCIとは何か?MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する指数の総称であり、先進国、新興国、フロンティア市場(経済発展の初期段階にある途上国)合わせて約70カ国・地域の株式市場をカバーしている。代表的な指数として、先進国と新興国の大型株、中型株から構成されるMSCI All Country World IndexACWI)、先進国の大型株と中型株から構成されるMSCI World Indexなどがある。重要なことは、世界の多くの機関投資家やファンドのベンチマークとして採用されていることだ。

今回日本株の見直しは512日の朝に発表され、日本株では新規採用がゼロ、除外が29銘柄となった。昨年11月には21銘柄が除外(採用は5銘柄)されており、市場では「日本株式の存在感が後退している」との声が出ている。個人的な感想だが、「日本株の存在感が後退している」という見方は、あまりにも日本的(企業分析が足らないという意味)で皮相的だ。除外銘柄は株主に対する魅力度をアピールする努力を怠っているのであって、世界的に評価されている日本企業は多いのだ。世界の製造業にとって、日本企業の存在は大きい。このため、世界の市場では「日本企業は世界経済の景気敏感株」と言われている。

 

【膠着感、高止まりも物色意欲欠く】

その日経平均は前述のMSCI銘柄入れ替え日の前日まで小幅ながら5連騰していたが、活力を欠く展開となっていた。海外市場も高値更新手前の揉み合い局面にあるが、日本株出遅れを示すVIX(恐怖)指数の先週分を比較すると、米国,欧州ともに20割れが続いていたが、日本は27日まで20以上で高止まり、買い戻し力が弱いことを示唆していた。28日の日経平均600円高でようやく20割れの19.76.それでも欧米より高い。

日本株出遅れの理由を探す動きとなる。コロナ感染水準自体は低いものの拡大時期のズレ、緊急事態宣言延長見込みで4-6月期景気動向も不振が続く見通しとなっていること、日本期待の材料だった五輪開催の有無が迷走中など、買い材料が見当たらないとの受け止め。加えて、海外投資家が重視する「政治の不透明感」が強い。ドイツも今秋にメルケル引退を控えるが、日本の場合、7月都議選、衆院解散・総選挙、自民党総裁選の三つの大型イベントを控える。コロナ対策同様、世界の潮流に後手後手となるリスクがある。

俄かに、安倍前首相の動きが注目されている。21日に自民党・半導体戦略推進議員連盟立ち上げに、麻生氏、甘利氏とともに最高顧問として参加、トリプルA(安倍、麻生、甘利氏のAを復活させた。24日には自身が会長を務める「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」会合開催。菅政権を支える意向を表明しつつ、月刊誌でポスト菅に4氏の名前を挙げた(配慮の安倍氏らしく派閥・側近均衡で、当て馬観の印象)。さらに波乱に追い込まれる場合のリスク対処の観がなくもないが、二階氏の存在感低下に働くか、中期的な政治体制刷新(例えば自公体制解体、あるいは逆に維新や国民民主の抱合化)に流れるか注目される。

方向性が直ぐに出る訳ではないので、相場は勢い、個別物色的になると見られる。26日、オランダ・ハーグ裁判所は、石油メジャー・ロイヤル・ダッチ・シェルに対し、温室効果ガス排出量を2030年までに19年比45%削減するよう命じた。環境保護団体が19年に提訴したもので、「シェルが化石燃料生産に巨額投資を続けているため、人権が脅かされている」との主張。具体的目標値に踏み込んだ、画期的判決と評されている。また、同日の米エクソンモービル株主総会では、ヘッジファンド提案の2名の取締役が選出された。資産運用最大手ブラックロックなどの大株主が賛同した。気候変動対策のより詳しい情報を開示するよう求める提案も承認された。その中で、米フォードが発表した300億ドルのEV投資計画が好感された。業界や企業ごとに課題が変わるが、これまでのような単純な株主還元策などから、企業課題を踏まえた戦略方針に関心が移っている印象がある。

 

【米国の本気度、バイデン・アジア政策注視】

東アジア情勢のカギは、米国の対中強硬姿勢が問われていることだ。米国の本気度は対中姿勢で問われている。27日付WSJ紙社説は「新型コロナの武漢起源説は次のパンデミックを阻止するためにも極めて重要」と再度主張した。武漢起源説を陰謀論と批判し、中国擁護に回ったメディアの論調を牽引した動物学者ピーター・ダシャック氏(WHO調査団の一人)、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が如何に中国と繋がっているかを暴き、陰謀論批判はトランプ非難にも使われた構図を伝えている。

バイデン大統領は26日、コロナ発生源について、情報当局により突っ込んだ調査を行うよう指示した。先にWSJ紙が報じた「武漢研究所の3人が1911月に病院に担ぎ込まれる事態が発生していた」(武漢研究所でのウイルス研究から漏洩した説)が波紋を広げている。米国のコロナ死亡者は60万人を超え、戦争累計の死者数を上回る大惨事になっている。回復してきたタイミングで、責任を取らせるだろうとの見方が根強い。

27日、バイデン政権で初の閣僚級通商電話協議が開催された。中国側は一時交代説が出た劉鶴副首相、米側はタイ米通商代表部(USTR)代表。米側は「第一段階合意」の徹底を、中国側は制裁関税の早期撤廃を求めたとされ、両国の貿易発展が非常に重要との認識で一致したと伝えられた。

26日に中国スマホメーカー・小米(シャオミ)は米裁判所から軍関連企業指定から解除された。米金融機関大手の中国市場参入が本格化する動きにある(人民元買いのリスクヘッジが円売り??)。反面、「今年第一四半期の中国CO2排出、コロナ前を9%上回るー石炭消費拡大」と報じられ、21日のG7気候相会合では「石炭火力への国際投資停止で合意ー年末までに具体措置」と報じられ、中国への圧力が増す公算が大きい。12日に米英独は国連イベントで、中国新疆ウイグル自治区での「ジェノサイド問題」を改めて批判した。25日に米下院外交委員会は包括的な対中法案を提出した。ハイテク経済覇権で譲らず、人権問題で対中圧力を増すことを狙いとする。

優柔不断とされたオバマ政権との違い、あるいは類似性が、議論されている。米国の本気度を巡る見方が交錯していることも、市場の方向感に影響していると考えられる。

 

【日銀、応急措置から構造政策に重心】

24日、日銀金融研究所主催の国際コンファレンスの開会挨拶で、黒田日銀総裁は今回の危機下で、中央銀行の連携対応が速かったことと財政との連携が経済急降下の回避に貢献したとしつつ、「流動性支援から、債務返済能力や企業の存続可能性、経済構造の変化に対応した資源再配分に移行して行く」と述べた。「一時的な応急措置のようなものから、中長期的な構造政策へと重心が移る。考慮すべき問題の範囲は広がっていく」とした。

単純なイメージだが、量的緩和相場は一巡し、一部値嵩株が牽引した日経平均主導相場にも一巡感が出ていることと重なる。NT倍率(日経平均÷TOPIX)は2月に15.58まで上昇した後、5GW明け後は14.8倍台に低下して推移している。コロナ・パンデミック以前は概ね13倍台であり、低下傾向が続くと想定して置きたい。

経済構造の変化は先進国間共通のテーマで、6月のG7サミットに向け、度々各論が取り上げられると見られる。急速なデジタル化への対応だったり、脱炭素だったり、格差是正だったりするが、変化は流動的だろう。

皮肉にも、一歩早く経済回復軌道となった中国が現実の構造問題に直面している。報道では、「中国華融資産管理、救済かデフォルト容認か債務に苦しむ中国金融システム試す」。不良債権処理の受け皿会社の柱の一つである華融の行き詰まりは、中国の不良債権問題の象徴的存在になっている。8月までの債務返済は国有銀行の金融支援で乗り越えられそうだが、総額410億ドルの債務返済にメドは立っていない。

一方、24日の株式市場で、重慶長安汽車がストップ安をつけるなど、自動車株が一斉に下落した。4月半ばに「自動運転とEV技術研究に10億ドル投資-テスラに対抗」と報じられていたファーウェイ(華為技術)が、「自動車を生産することはなく、自動車企業に投資しない」と表明したため。重慶長安汽車以外に、北京汽車(BAICグループ)、広州汽車とも提携を発表していた。ファーウェイの構造転換の難しさを示す事例と思われる。

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