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2021年06月07日

【Weekly No.288】雇用統計でFRB現行政策継続へ

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  1. 雇用統計でFRB現行政策継続へ
  2. 半導体投資活発化、物色テーマの柱になる
  3. 感染低下、経済指標好感し欧州株高
  4. ワクチン有効性に燻る懐疑論、ワクチン後の意外な展開も注視

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Weekly 67

【雇用統計でFRB現行政策継続へ】

6月相場は15-16日開催のFOMC攻防が焦点。4日の5月雇用統計、10日の物価指数と前哨戦が続くと見られる。4日の雇用統計では就業者増加数は55.9万人、予想の67.1万人には届かなかった。このため、10年債金利は0.07%下げ1.55%。前日民間のADPの雇用統計では97.8万人増とサプライズを伴う増加幅だっただけに、一時急速に膨らんだFRBによる金融政策の見直し、4日の米労働省発表の雇用統計からテーパリング(債券購入の縮小)を見直すほどではないという見方が台頭してきた。テーパリング(現在月額1200億ドルの債券購入の縮小)有無を巡っての攻防が続いていたが、日銀が静かにETF購入を停止していることに対し、FRBによる金融緩和政策の転換はしばらく、少なくとも6月のFOMCでhなさそうだ。

労働参加率は思わしくなかった。まだ低水準にあり、低賃金労働者は働かずにいる方が多くの収入を得られるため、職場に復帰する意図がないことが示唆された。ただ、各州が緊急失業手当の支給を終了させれば、当然、状況は変化する。すでに全米の約半数の州で9月の期現切れを待たずに、今月で終了するため、今後、就業者数はさらに増えていくだろう。

6月のもう一つのイベントは「バイデン訪欧」。G7サミットと米ロ首脳会談が予定されている。「脱炭素」と並ぶ看板の「人権問題」を矢継ぎ早に打ち出す流れ(ベラルーシ問題など)にある。中国攻防を横目で睨みながらの展開と思われる。

 

【半導体投資活発化、物色テーマの柱になる】

5月末のTOPIX(東証株価指数)は、3ヵ月前比-0.61%、前年比+30.37%だった。2月中旬の高値以降、値動きは小幅。大きく動いた翌年は変動幅が小さくなる点と3割高で利食い圧力も強いことを示す(3割高下に向かえ)。

ただ、業種別には明暗が分かれる。3ヵ月前比の上昇率トップは海運+38.36%、2位は鉄鋼+24.98%、以下ゴム製品と輸送用機器が二ケタ上昇で続く。反面、半分近い16業種がマイナス。下落トップは医薬品-7.72%、情報通信-7.67%、陸運-6.39%、小売業-4.88%が続く。

強いて属性を分けると、海外需要や国際市況の影響を受ける業種が高く、内需関連の低迷が目立つ。前年比も同様で、値上がりは海運+161.47%、鉄鋼+89.23%、3位に電気機器が+53.30%で付けている。値下がりは3業種、医薬品-4.70%、電気・ガス-4.06%、陸運-1.24%。

昨春のパンデミック直後にワクチンや治療薬開発期待で買われた医薬品が、コロナ以外の受診・治療減少から主力薬販売減懸念で売られているのが目立つ。同じく、マスク関連、テレワーク関連、巣ごもり消費関連などの期待感が後退している。

次のテーマは何処になるのか?商品市況高やインフレ潮流が続くのか、他のテーマに流れるのか、見極めムードもある。その中で、台湾TSMCの日本国内での投資が一つの流れになりそうな勢いだ。31日、日本政府の190億円補助金を受け、日本メーカー20社以上とつくば市に研究拠点を設置すると報じられた。その前には、ソニーGと合弁で熊本に半導体工場建設計画、1兆円投資と報じられた。このところ、エヌビディア、アプライド・マテリアルズなど半導体関連の強気見通しが相次ぎ、インテルなどからは「半導体供給不足は1年以上長期化する」との発言も相次いでいる。4月のリードタイム(発注から納品まで)は17週間と報告されている。トランプ「米国第一」の流れを受ける米国内投資拡大で、台湾TSMCも韓国サムスン電子も対米投資を相次いで発表しているが、日本も一気にその流れに入って来たことを意味する。

中国ポータルサイト・新浪が27日「フォトレジストだけでなく、日本はこんなに多くの半導体材料で高いシェアを持っている」との記事を配信した。フォトレジストは19年の対韓輸出制限で話題となった。サムスン等が立ち往生したのが衝撃的だったと思われる。半導体チップ生産に必要な19種類の材料のうち14種類の材料で日本企業が50%以上の市場シェアを持つと報じた。代表的企業として、信越化学、凸版印刷、JSRを挙げた。中国としては、半導体など先端分野で優位に立ちたいところだが、そう容易ではないことへの苛立ち感も滲む。

日本の半導体関連・材料企業も一斉に能力増強投資に動いている。業績動向のカギは「値上げ」との見方も出ている。既に株価は織り込んでいるもの、見落とされているものと分かれるが、日本経済には「設備投資拡大」が大きな手掛かり材料となる可能性があろう。

 

【感染低下、経済指標好感し欧州株高】

1日、英国のコロナ死者がパンデミック後初のゼロとなった。欧州は全般に感染収束傾向を強めている。EU2日の会合で、「安全」国リストを見直し、日本も追加見通しと報道されている。東京五輪参加意欲満々と言ったところか。景気指標も好転を示す指標のラッシュとなってきている。1日発表の5月ユーロ圏PMI(製造業購買担当者景気指数)改定値は速報値の62.8から63.1に上方修正された(462.9)。ただ、サプライチェーンの混乱で、供給網の遅延が発生した。つれて、価格指数が4月の82.2から87.1に跳ね上がった。

5月ユーロ圏消費者物価指数速報値は前年比+2.0%(4+1.6%)と、ECBの「2%を下回るがこれに近い水準」の物価目標を上回って来たとの受け止め。5月がピークになるとは考え難く、年後半には+2.5%程度との予測が出始めている。上昇圧力の中心は原油高で、この日も北海ブレント先物は71ドル/バレルを突破、3月以来の高値となった。ドライブシーズンでの燃料油需要拡大が囃されている。連れて、非鉄市況なども上昇し、CRB商品指数は一時210台に乗せた(終値は+1.33%の208.44ポイント)。

5月失業者数が1.5万人減、予想の9千人減を上回る減少となった(失業者数は273.9万人)。アルトマイヤー独経済相は、「21年独経済成長率は3.4~3.7%(4月までは3%)、22年は4%成長を見込んでいる」と強気の姿勢。ドイツ・クセトラDAX4月高値を抜いてくるなど、欧州株全般が上昇している。

ただ、ユーロ債券市場は横ばい。この日独10年債利回りはマイナス0.18%近辺。比較される伊10年債は5月上旬以来の水準(0.903%)に小幅低下。今週10日にECB理事会、6月下旬から欧州委員会が「復興債」資金調達開始(当面は800億ユーロ、各国配分は7月下旬開始予定)などを控える。今のところ、緩和姿勢継続との見方は変わっていない様で、株高は新規資金流入と言うより、売り方の買い戻しとの受け止め方になる。

世界経済は米中牽引、日欧出遅れの見方だったが、欧州が上向き感を強めてきたことで、日本の出遅れ感が強まると同時に、キャッチアップの速さに定評がある日本経済にも上向き期待が出て来る可能性がある。1日、財務省発表の1-3月期法人企業統計で設備投資(金融除く)は前年同期比7.8%減と4半期連続のマイナスで失望感を誘ったが、半導体関連中心の投資拡大期待が強まることが一つの条件と考えられる。また、反対意見も根強いが、五輪開催ムードが強まって来ることも期待材料になると考えられる。

 

【ワクチン有効性に燻る懐疑論、ワクチン後の意外な展開も注視】

ワクチン接種が急ピッチで進められ、「ワクチンがコロナ感染を抑止する」との見方が定説となっているが、懐疑的な見方も燻る。リスク要因としては、「ワクチンは期待ほど有効ではない」との見方が台頭するリスクを念頭に置いておく必要があろう。ただ、改良研究、新ワクチン開発も進行しており、トータル判断が必要。

雑誌フォーブス・ジャパンが「ワクチン接種率が高くなっている国の一部で、感染者が再び急増、死者も大幅に増加している」と報じた。少なくとも1回の接種率が高い、セーシェル(接種率72%)、モルジブ(57%)、チリ(56%)、バーレ-ン(55%)、ウルグアイ(51%)など、小国と南米に多い。原因は、規制解除を急ぎ過ぎたこと、公衆衛生に問題があることが指摘され、中国製ワクチン(シノファーム製が多いとされる)投与が多いとされる。

ワクチン接種で感染が減少するのは、1)発症者の濃厚接触者検査が減少(PCR検査数が減少)し、無用にカウントしていた無症状陽性者(80歳以上で73%、全体で約80%)が激減し、一見感染収束に見える、2)ワクチン接種拡大期と元々の4ヵ月程度の感染サイクル縮小期が重なる、などの懐疑論が燻る。mRNA型ワクチンは半年程度で効果が減退するとの推測も当初からあり(史上初なので未解明)、次々に生まれる変異株に対する有効性も分かっていない(ジョンソン英首相が警戒的発言)。慎重論はマスメディアでは取り上げられないが、接種率の伸び悩みが欧米で見られる。

なお、アストラゼネカ、J&Jのワクチンでの副作用として問題視されている血栓発症に続き、ファイザー製ワクチンでの心筋炎発症がイスラエルから報告されている。500万人以上投与で275例の報告(1ヵ月以内148例、2回目後121例)、割合は0.005%だが、1619歳の若い男性が多く、95%が軽症。「恩恵はリスクを上回る」基調を変えるものではないと思われるが、ワクチン拒否派を刺激する可能性はある。

ワクチン後の世界も予想外の展開となる可能性がある。例えば、ネタニヤフ・イスラエル首相が退陣を迫られている。325日の議会選を目指してワクチン接種に走ったが、選挙結果は思惑通り行かず、ついに退陣を迫られる展開になっている。米国の景気回復加速の見方が強まるとともに、失業給付上乗せ措置を期限前に打ち切る州が相次いでいる。共和党系知事州で、半分の25州。バイデン対策の一部が宙に浮く可能性があり、雇用統計発表前に中期的雇用情勢への影響で見方が割れる展開。事態は流動的に展開する可能性があることを念頭に置く必要がある。

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