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2021年06月14日

【Weekly No.289】米CPI、13年ぶり大幅上昇も債券買い戻し相場

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  1. CPI13年ぶり大幅上昇も債券買い戻し相場
  2. 月末、上期末のドレッシングはあるか
  3. G7サミットも膠着感持続?

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Weekly 614

【米CPI13年ぶり大幅上昇も債券買い戻し相場】

10日、注目の5月米CPI(消費者物価指数)は前年同月比+5.0%と13年ぶりの高い伸びとなった。市場予想の+4.7%、インフレムードが高まった4月の+4.2%を上回った。これを受け、米10年物国債利回りは一時1.535%に上昇したものの、その後一気に1.43%台に急低下。2年債は0.1469%と0.15%前後の範囲内で小幅な動き。つれて、ナスダックは14000ポイント台回復、S&P500指数は終値最高値を更新した。ジワリ、押し上げ相場に向かうか注目される。

前日に伝えられた米国債先物ポジションの急減(買戻しによる手仕舞い)が引き続き進んだものと思われる。ブルームバーグによると9日の暫定データで、10年債先物建玉は75000枚余、急減した。現物債金額換算で約7700億円。強いインフレ観、FRBのテーパリング観測などからショートポジション(売りポジション)が積み上がり、手仕舞いを余儀なくされていると見られる。株式市場の上昇が大きくなるのが、売り方の買い戻し局面になるのと同じ。

先行きのインフレ観は強弱分かれる。4-5月の高い伸びは前年がコロナ封鎖局面だったためで、いわゆるベース効果があり、6月以降は薄れて行くとの見方。ロイターは政府高官(匿名)が「米インフレ率は今夏にピーク、秋には鈍化し始める可能性が高い」と述べたと伝えた。急激な需要回復に生産が追い付くとの読みもある。

ただ、10日のWTI原油先物相場は70.29ドル/バレルと2年超ぶりの高値水準。バルチック海運指数は2400ポイント台前半で底を打った可能性がある。経済回復ペース加速への期待がある。原油パイプラインや食肉加工会社へのサイバー攻撃なども含め、サプライチェーン(供給網)への懸念材料も入れ替わり立ち代わり出ている。

カギの一つは中国の輸入増。9日発表の5月中国PPI(生産者物価指数)は前年比+9.0%に跳ね上がった(089月以来の高い伸び。CPI+1.3%)。中国の輸入増、いわゆる爆買いが、原油、非鉄、穀物などの相場を押し上げていると見られている。5月の中国輸入は10年ぶりの高い伸びの前年比+51.1%。ただ、中国政府は物価抑制姿勢を強めており、既に原油、鉄鉱石などの輸入が前月比で減少し始めている。米ゴールドマンサックスは「中国は商品相場への影響力(上げ下げ力)を失っている」との見解を表明しているので、中国政府の思惑通りにはならないかも知れないが。

世界で住宅価格が高騰していることも左右要因。英米中心に10~13%。要因の一つは木材価格の高騰で、6倍になっていると報じられている。不動産仲介会社ナイト・フランクの発表によると、3月の世界住宅価格指数は7.3%上昇、トルコの32%がトップ、NZ22.1%で続き、米国は13.2%で5位。2005~06年以来の上昇率となっている。

勢い、「テーパリング(中央銀行による資産購入額の縮小)開始はMBS(住宅ローン担保証券)の購入から縮小」との観測が出始めている。月総額1200億ドルのFRB資産購入額のうち400億ドル規模が相当する。部分的か、米国債に振り向けるのか、議論がまとまっている訳ではないが、視線の一つになろう。

 

【月末、上期末のドレッシングはあるか】

インフレ観、金融政策を巡るヤマ場と見られていた米消費者物価発表→FOMCを前に、手控えというより膠着感漂う展開となっている。9日の米10年物国債利回りは一時1.472%にまで低下。1.29-1.85%のゾーンでのストラドル取引が中心となり、ショートポジションに軽い巻き戻しの動きが出ていると推測される。債券市場のコメントを見ると「インフレは高まっているが、債券市場が神経質になるほどのペースで加速しているわけではない」前述のCPI発表を受けイベント通過で11日のS&P500指数は4247.44、前日比+8.26だったが、かねてからフシ目と見て来た4300ポイント手前での足踏みが続いている。勢い、個人マネーは「ミーム銘柄」(ネットの情報拡散で取引される銘柄)に集中、個人投資家の取引高は1月のピーク水準に戻っていると伝えられた。国際おとり捜査で「800人超一斉逮捕」、米富裕層「ほぼ税金払っていない」と言った、スキャンダラスなニュースがあったが、今のところ不反応だった。

向感がないのは日本株も同様だが、6月末のいわゆる期末ドレッシング相場での嵩上げ有無が焦点の時間帯に入る(一瞬だったが、先月末、MSCI銘柄入れ替えのフタが外れ大幅高の場面があった。出来高が薄いので機械的取引で左右されやすい)。

バックボーンとなる可能性があるのは、「政治的安定」。秋の課題となってきた衆院解散・総選挙が1010日ないしは17日投票で展望されるようになって来た。その直前の自民党総裁選は菅再選(暫定的条件が付くかもしれないが)が有力視。その前の夏場から9月成立で補正予算準備、7-8月の五輪を成功裏に乗り切ることが前提。ワクチン接種拡大、台湾への迅速な提供などが奏功していると見られ、後ろ盾的に安倍前首相がニュースになってきてから落ち着いてきたように見える。菅首相は苦手とされた外交で、今のところ無難。11日からの英コーンウォールでのG7サミットが一応チェックポイント。

6月下旬は3月期決算企業の株主総会シーズン。企業戦略、革新的技術や新製品、株主還元策などが活発化しやすい。今まで、経産省主導の半導体投資ビジョン、エーザイのアルツハイマー薬などが相場の柱になってきており、先週はキューピーの「HOBOTAMA(ほぼたま)」(大豆由来の卵商品。チョッとスケールは小さいか・・・)が話題。景気回復期待が高まるにしても新しい風が吹いた方がよい。

米上院が対中競争力強化法案を可決した。G7では「台湾海峡、ワクチン供与、ジェノサイド、気候変動対策」などが謳われる。米国のパートナーとして、日本企業の再評価が底流にあると思われ、連携的な動きは注目されやすい地合いが続くと考えられる。

6月末日経平均の評価対象となる3月末は29178円、昨年12月末は27444円。2月高値は30714円、戻り4月高値30208円。押し上げ力を測りたいところだ。

 

【G7サミットも膠着感持続?】

欧米相場は高値圏にへばり付くような展開。10日にECB(欧州中央銀行)理事会、米CPI(消費者価指数)は終了したが、11日からG7サミット、15-16日に米FOMCを控え、強弱感対立の緊迫地合いになってもおかしくないが、ロイターは運用機関の「10日に花火を予想していない。ECBが波風を立てることを望むとは思わない」との見方を流し、その通リに相場も膠着状態。FRBECBもテーパリング(緩和の段階的縮小)開始は9月以降との相場だった。夏場はコロナ情勢、雇用情勢、インフレ状況などが想定通り進行するか見極め姿勢が続く公算がある。

G7サミットは、グリーン化、デジタル化投資の流れの中にある。目玉政策として、財務相会合で「15%の法人税共通最低税率」合意がある。この政策の焦点は7月イタリア・ベネチアでのG20合意に広げられるかどうかだが、隠れた焦点はタックスヘイブン(租税回避地)への影響。課税回避、脱税、マネロンなどの温床として兼ねてから批判の対象だったが、現実の改革はなかなか進んで来なかった。

英国のNGO(非政府組織)によると、タックスヘイブンによって失われている税収は世界で年4270億ドル、うち多国籍企業約2450億ドル、富裕層個人約1820億ドル。企業分の29%が英国海外領土と分析。上位3つはバージン諸島、ケイマン諸島、バミューダ諸島。

英国領土(英王室の持分含む)以外では欧州大陸が中心。アイルランド、キプロス、ルクセンブルク、オランダ、スイスなどが代表的で、「15%の共通税率」への抵抗はこの辺りが中心と見られている。

問題はこれらを拠点に運用する資金が大移動を起こすような事態に展開していくかどうか。ブレグジットを上回る資金移動を引き起こす可能性があると見られている。伝統的に富裕層の租税回避に使われて来た場所は、概ね規制強化の網を逃れるとの見方もあるが、果たしてどうか。スタートアップ投資、仮想通貨、仕組債市場などの波乱リスクも見て置く必要がある。G711日から13日まで開催される。おそらく市場の反応は14日の東京市場が最初ということになる。

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