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2021年06月21日

【Weekly No.290】注目のFOMCはミニサプライズ

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  1. 注目のFOMCはミニサプライズ
  2. 7月以降、米景気回復モタツクと見るが
  3. 6月後半戦、中国情勢ザワツク

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Weekly 621

 【注目のFOMCはミニサプライズ】

注目されていた16日の米FOMCの結果は、焦点だった「テーパリング議論の開始有無」から「利上げ観測23年に前倒し」となり、市場予想よりタカ派的だった。経済予測で、21年インフレ率を3月の2.4%から一気に3.4%に引き上げたのが目に付いた。GDP成長率は6.5%から7%に引き上げ、223.3%、232.4%。FOMC参加者18人中13人が「23年末までに少なくとも1回の利上げ」と3月の7人から一気に増えた(11人が2回利上げ予想)。「早ければ22年にも利上げ」との予想は7人。

短期金融市場(FF金利先物)が織り込む利上げ確率は「231月時点で約90%」。声明前は234月だったので、四半期前倒しされた格好。この日、米債市場は動いていなかった短期債の方が反応度が高く、2年債は一時0.213%、約1年ぶりの水準、5年債は0.913%、46日以来の水準。10年債は一時1.594%に跳ね上がったが、元に戻った印象。

当然、米ドル高に働き、ドイツ銀行はユーロ強気推奨を終了させた。米ドルは通貨バスケットに対し0.63%高の91.10356日以来の高値水準。ドル円は46日以来の110.49円だが、一気に大幅に突き抜けるほどの勢いは感じない。

投資家はこれまで何カ月にもわたって、大規模資産購入の縮小開始時期について思いを巡らせてきた。インフレを懸念しているのであれば、最初にやるのはテーパリング(資産購入の縮小)のスタートであり、利上げではないはず。全てがやや奇妙だったため、次の注目は8月末のジャクソンホール会合になるのだろう。それにしても今回のFOMCはテーパリングでなく、利上げの前倒しとはミニサプライズであった。

 

【7月以降、米景気回復モタツクと見るが】

17日の米株はNYダウー0.62%、ナスダック+0.87%と明暗を分けた(S&P500指数は-0.04%と横ばい)。単純に「景気敏感のダウ買い+ナスダック・ハイテク大手売り」の手仕舞いとも見られる(手持ち量から見て、ドレッシング価値はナスダックの方が大きいと考えられる)が、「FRBのタカ派化の消化」とか「7月以降のインフレ観、景況感の修正」と言った見方も出ている。7月以降の市場の関心は6月統計による景気回復ピッチ、7月後半からは4-6月期企業業績へと流れると想定される。本来は景気の遅行指数である雇用統計は、4月、5月と予想を下回り、モタツキ感がある。

17日発表の週間新規失業保険申請件数(6/12までの週)は41.2万件、前週の37.5万件、市場予想35.9万件を上回った。悪化は4月下旬以来。何らかの失業給付を受けていた人は5月末時点で約1480万人、7月には半分の25州で給付上乗せが終了予定なので、減少基調は変わらないと思われるが、雇用ミスマッチ、女性の職場復帰遅れ、コロナ後の変質などが影響する可能性がある。働き手不足は米経済成長の足かせと見られている。

17日発表のフィラデルフィア地区連銀6月業況指数が30.7,前月の31.5,市場予想31.0を下回った。ペンシルベニア東部、ニュージャージー南部、デラウェア州の製造業をカバーする地域限定指標だが、仕入れ価格指数が42年ぶりの高さを示すなど、供給難要因に関心が集まる可能性がある。

FRBのタカ派的姿勢は2ヵ月ぶりのドル高値に反映された。ドル指数は16日に約1%高、17日は0.53%高、4月中旬以来の水準。ドル高の圧迫を受け、原油相場が約2%安、金価格は531日の1トロイオンス1915ドルから1776ドル台に下押した。インフレ観はやや後退すると見られる。

そして、トドメは、18CNBCのテレビインタビューで、セントルイス連銀のブラード総裁が、インフレの加速で利上げは22年の終盤を予想していると発言、16日のFOMC18人中7人が22年中の利上げを予想しているとすでに報じられていたが、NYダウは一時1200ドル(終値は533ドル安)となった。前述したように、本来なら遅行指標である雇用関連の指標はモタツキ初めており、今週は同総裁の利上げ前倒し論に反論が出てくる可能性もある。

差し当たって22日にパウエルFRB議長が米下院特別小委で議会証言と伝えられ、次の焦点になりそうだ。ただ、これはコロナ危機に関する小委で、物価安定、雇用回復への言及が注目点。繰り返すが、次の大きなイベントは8月後半のジャクソンホール会合。

 

【6月後半戦、中国情勢ザワツク】

6月後半相場は、7月以降の展望を睨んで展開する。コロナ状況、インフレ動向など不透明要因が多いが、大きな焦点は、「下期入りを売りから入る」構図になるかどうか。警戒ムードが強まれば、6月後半相場は伸び悩む公算がある。経済状況などへの期待が持続すれば、(月末ドレッシング相場が基調ながら)一段高の公算が出て来る。

焦点の一つは中国情勢。71日の中国共産党結党100周年イベントを経て、習体制強化の独自姿勢を強める恐れがある。昭和39年の東京五輪時に核実験を行った経緯があり、五輪で湧く日本に何をぶつけて来るかも注目点。G7NATOと対中国強硬姿勢が相次いで打ち出され、包囲網が強化されただけに、その影響が注目される。とりわけ、NATOの「中国脅威説」への反発を強めている印象がある。その一環か、15日、台湾国防部は「中国軍機28機が台湾防空識別圏に侵入」と発表した。

H6爆撃機4機を含み、過去最大規模。米軍は「ロナルド・レーガン」空母打撃群が南シナ海に入り、「海洋安全保障作戦」を遂行すると発表したのに対抗する姿勢にあると見られる。韓国・朝鮮日報は「中国が台湾を標的にして三門四路訓練実施」と報道した。大型輸送機から左右の搭乗口と尾部ドアの三つ「門」から4列で落下傘降下する方式。ソ連軍が編み出した集中降下方式とされる。湖南省北部、高度1000mで訓練を繰り返しており、台湾を想定したものと見られている。突発的な軍事的緊張が高まる恐れがある。

俄かに、広東省・台山原発のトラブル懸念が報じられた。14日、米CNNが「仏電力公社EDF傘下のフラマトム(旧アレバ)が放射性ガスの蓄積で「差し迫った脅威」を警告していると報じたことによる。EDFも異常レベルの放射性ガス漏れの可能性を調査していると表明した。中国当局は否定しているが、マカオに近く、香港とも90kmの距離とされる。100数十基ある原発と異なり、新型加圧炉のようだが、中国の原発体制が揺らげば、原油・LNG相場を刺激する公算がある。中国は今年、日本を抜いて、世界最大のLNG輸入国になる見通し。重大事故であれば、当然、中国政治経済混乱要因となる。

15日、ドイツ産業連盟は中国が制定した「反外国制裁法」を強く批判した。外国が中国を制裁した場合に報復することを謳う。内容的には曖昧模糊としているが、中国進出外資企業を標的にする可能性がある。米国防総省が対中戦略見直し同盟強化方針、バイデン政権は中国の不公正な通商慣行見直しを進めており、新たな摩擦要因、実際のビジネス阻害要因に注意が要る。

 コロナ後の経済回復軌道がどうなるのか、イメージは描き切れていない。感染再爆発や冬場のインフルエンザ大流行リスクなど、様々な見方が交錯している。当面はワクチンで封じ込めとの見方が大勢と思われるが、変異株問題、ワクチン有効半年で期限切れ説などもある。先行した中国が「指標は軒並み予想下回り、中国経済回復、5月も足踏み」と報じられており、足踏み感が課題になる公算もある。

例えば、広東省は、塩田港でのコロナ感染で物流停滞、昨年より南部の広東、雲南で豪雨禍、原発問題で揺らぎ、経済圏で取り込んだハズの香港停滞など、問題が噴出している。不良債権問題もジワリ。50営業日連続売買停止で華融資産管理株は22日にMSCI指数から除外される。連動ETF2100億ドル規模と見られており、緊張感がある。他に、中国恒大、蘇寧電器グループなどに経営不安説がある。

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