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2021年06月28日

【Weekly No.291】先々週の米株波乱は修正

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  1. 先々週の米株波乱は修正
  2. 短期的かもしれないが、円は111円台に
  3. 米株、材料揃う

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Weekly 628

【先々週の米株波乱は修正】

先々週のNYダウは5連敗。合計下落幅は1189ドル、16日のFOMC後の2日間で62.5%を占めた。以前は一日でこのぐらい変動したこともあったので、大きい変動とまでは言えないが、バイデン政権後に走って来た「景気回復期待」相場が変質した可能性がある。先々週金曜日、18日のNYダウは大幅下落(533ドル安)。その要因は、ブラード・セントルイス地区連銀総裁の「(利上げを)22年終盤に開始すべき」発言。普段、地区連銀総裁の発言はそれほど重視されない印象で、実際、「最低23年末までゼロ金利を維持することが望ましい」とのカシュカリ・ミネアポリス地区連銀総裁の発言は無視された。意見が割れるのは普通で、都合の良い部分だけ、相場解説に使われた感がある。

したがって、当初から日本株への影響はたいしたことではないと思っていたが、週明けの21日の日経平均の下げ幅は953.15円安、511日の909.75円以来。東証一部値下がり銘柄数は5111989に対し、この日2044とほぼ同規模の全面安症状だった。久々のチャンス到来と見たのか、売り方が跋扈し、この日の東証空売り比率は一気に50.2%。米市場でゲームストップ株など低位空売り株暴騰による一部ヘッジファンドが苦境に陥った128日以来だった。

東証の振れ幅を大きくしたのは、米国債時間外取引で、10年債1.3%台、30年債2%割れの展開になったため、米国市場でのポジション解消圧力が強いと見たためと思われる。長短利回り差拡大(スティーブ化)ポジションからフラット化への一気の傾斜が背景。米市場では、10年債1.49%前後、30年債2.1%台に戻り、小康化したが、今後もインフレ動向などを睨みながら、不安定な展開が続くと思われる。

日本政府、組織委などは五輪開催を「観客上限50%・1万人、急変なら無観客も。チケット再抽選」の方針を決定したが、日本の景気回復の起爆剤との期待は出て来なかった。民放連は五輪中継・放送の概要を発表し、五輪体制の準備が加速する。ワイドショーで五輪批判を繰り返すことは減ると見られる。消極感は否めないが、それでも次第に五輪ムードに流れると見たい。

米市場では、米GSが「年末までに株式市場に5000億ドルの資金流入」との見方を示し、BofA(バンカメ)は「原油相場は来年1バレル100ドルに急伸も」との強気見通しを示した。S&P500種は全セクター上昇したが、牽引役はエネルギーと金融だった。買い手掛かり材料もまた流動的な印象を受ける。

 

【短期的かもしれないが、円は111円台に】

ショボい五輪を代表に、7-9月期の景況感が定まらない。海外でも、ワクチン先進国の英国、イスラエル、米国などで感染再拡大の流れ、低感染国の豪州で「すれ違い感染」(60歳の感染者の追跡調査を行ったところ、ショッピングセンターですれ違っただけの人が感染したと言う)やNZで豪州からの入国者感染発見でロックダウンとか、漠然とした「感染再拡大の脅威」が漂っていることで、気重い展開だ。

23日はイエレン米財務長官が「連邦債務上限の早急な引き上げか上限適用停止を議会に要請。8月中にも米国がデフォルトに陥る深刻なリスクがある」と伝えられた。市場は反応していないが、毎年繰り返されるこの話はウンザリ感のある話だ。その中で、半導体のリードタイム(発注から納品までの期間)がさらに伸びていると伝えられた。サスケハナFGによると「5月のリードタイムは18週間、前月比1週間延びた」。

統計開始の17年以降の最長を更新した。広範囲の品目に及ぶが、なかでも「電力フローを制御する電源管理半導体のリードタイムが25.6週間と最長と言う。機械からスマホなど、あらゆる機器に使われ、とりわけ自動車生産への影響が懸念される話だが、同時に半導体関連設備投資、パワー半導体・省エネなど新機能製品への関心を強める材料と受け止められる。

中国の電力不足が全土に広がってきていると、台湾・大紀元が報じた。5月以降、広東省での電力制限措置が報じられ、景気回復、トラブル原発の停止、コロナ感染で港湾機能停止(輸入石炭不足)、集中的な豪雨禍と猛暑の天候要因などで説明されて来た。製造業は週1~3回の工場停止に追い込まれていると伝えられている(中国政府は豪州との摩擦激化による石炭輸入停止、原発トラブルには触れない)。

6月になって中国全土に電力不足が広がる動きにある。昨冬も全土で電力不足に陥ったが、主に天候要因で説明されていた。当局は「雲南省の石炭生産減」を要因に加えたが、説明不足は否めない。そこで観測が強まっているのが「5Gやデータセンターによる電力需要増の圧迫」。大量の電力消費する仮想通貨マイニングを強制的に制限し始めたことと符合する。報道では5G基地局の電力消費は4G基地局の3倍以上、将来、基地局電力需要だけで全体電力消費の2.1%を占めると見られている。中国の5G基地局は20年末で71.8万件超とされる。国家の国民監視体制の維持にもカネと電力が必要と揶揄されている。

日本では原発再開で夏場の電力危機を乗り切る動きになっている。電力不足は世界的で、脱炭素(とくに石炭火力停止圧力)の影響、再生エネ依存拡大の影響、天候要因、景気回復スピードなどが絡む。経済停滞要因になるのか、電力設備投資拡大に動くのか、水素など脱炭素技術の開発促進、期待拡大要因になるのか、市場の軸足の置き方が注目される。

また、短期的かも知れないが、ドル円が111円台に入って来た。115円観測も流れ始めており、7月後半からの4-6月期決算の見直し材料(とくに105円前提企業)となる可能性がある。材料探しの地合いが続くと想定される。

 

【米株、材料揃う】

24日の米市場は久々に株価材料が揃った。ナスダック指数とS&P500指数が最高値を更新、NYダウは322ドル高。ヨロヨロ感はあるが、月末高基調が続いていると受け止められる。

第一の材料として、難航していた「インフラ計画」で、バイデン大統領と超党派上院議員団が合意した。規模は8年間で1.2兆ドル規模、当初から半減近いが経済活性化の柱の一つになると期待される。主な内訳は、道路・橋梁・主要プロジェクト1090億ドル、電力インフラ730億ドル、鉄道660億ドル、ブロードバンド650億ドル、公共交通機関490億ドル、空港250億ドルなど。財源は、徴税強化1000億ドル、コロナ対策未使用分回収、石油緊急備蓄分売却(60億ドル相当との見方)など。ただし、今度は民主党側が不満を表明しており、成立までなお紆余曲折のリスクがある。

発表時は景気回復と言うか、過熱懸念要因だったが、規模が半減したことや雇用のモタツキ感もあり、為替市場を含む債券相場への影響は限定的だった。19日までの週間新規失業保険申請件数は41.1万件、前週の41.8万件から小幅改善したが、市場予想38万件に届かなかった。既に12週で失業保険に300ドル加算が打ち切られており、13州が710日までに打ち切る予定で、継続受給件数は着実に減少すると見られている。

第二の材料は、FRBの大手23行に対するストレステスト結果発表。これらの大手行はFRBが求める水準の倍以上の自己資本を維持できる結果となった。これを受け、大手銀に課していた配当金、自社株買いの一時制限が解除される見込みとなった。主要行は7月に1300億ドル規模の社債発行見込みとされ、動きが活発化しよう。S&P500の上昇率0.58%に対し、銀行株は0.73%上昇で牽引した。早速、25日の銀行株は軒並み高、NYダウ237ドル高をけん引。

三つ目は、ロイター・リフィニティブの集計によると、世界の非金融企業4100社(時価総額10億ドル以上の企業)が今年計画する設備投資総額伸び率は10%超の見通し。欧州企業13%増、米企業11%増、アジア太平洋企業9.7%増。ハイテク分野17.4%増、一般消費財17.3%増、公益13.8%増など。相対的に新興国が見劣りする見通し。要因は、借り入れコスト低下と豊富なフリー・キャッシュフロー(4100社合計の第1四半期で3319億ドル、10年ぶり高水準)、グリーンエネルギーへの世界的移行、デジタル投資の活況と各国政府のインフラ支出拡大、が挙げられている。日本企業が何処まで追随できるか不透明感あるが、設備投資・円安関連中心に期待感が高まると想定される。

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