News & Topics

News & Topics

2021年07月05日

【Weekly No.292】米雇用統計でゴルディロックス(適温)相場の再来?

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

※期間限定で、パスワード不要で全文お読み頂けます。

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

  1. 米雇用統計でゴルディロックス(適温)相場の再来?
  2. 日本の低調感目立つ
  3. 79月期、経済再開相場の日欧への拡大が焦点
  4. 奇妙な夏、局地的波乱で景況感定まらずか

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

Weekly 75

【米雇用統計でゴルディロックス(適温)相場の再来?】

1日発表の週間新規失業保険申請件数は36.4万件、市場予想39万件、前週41.5万件からやや大きめの改善となった。一部で失業給付金の300ドル加算が打ち切りになった影響が出始めている可能性がある。翌日、政府発表の6月の雇用統計では 非農業部門の就業者増加数は85万人増、予想の72万人を大きく上回ったが、失業率が5.9%と前月の5.8%を上回った。

資本市場や株式・債券市場にとって、今回の雇用統計の内容はゴルディロックス(適温)であり、十分に力強く、しかも強すぎず、まさに市場が求めていた内容だった。望ましい雇用の伸びが見られたが、連邦準備理事会(FRB)に早めの対応を迫るほどではなかった。このため、債券市場では10年債の利回りは低下(買われた)。

労働参加率は前月から横ばいだったものの、人々が労働市場に戻っていることを示しており、底堅さがうかがえる。経済の再開に伴い、サービス業が持ち直している株式市場では2NYダウが152ドル高で2か月ぶりに過去最高値を更新、S&P500もナスダック株価指数も連日最高値更新。

賃金も伸び始めており好調だが、賃金上昇圧力が高止まる兆しは見られない。これまで景気を押し上げてきたのは主に製造業やモノのセクターで、小売りや飲食、旅行などサービス業は望ましい状態ではなかった。しかし、サービス業が回復すれば賃金への圧力となるだろう。その意味でこれからは賃金動向が注目される。

今回の雇用統計ではポジション調整が起こるかも知れないと予想する向きもあったが、大きなトレンド転換には至らないようだ。

 

【日本の低調感目立つ】

71日、しみったれた名実とも月替わり、下期入り相場となった。日銀短観、路線価、ドル円111円台乗せ、中国共産党創建100周年行事など、それなりに材料は多い日だったが、低調な商い環境を脱せられなかった。TOPIXは前日比-0.22%、台湾加権指数-0.23%とほぼ同じ動きで、最も目立った習近平中国主席の「台湾統一」強硬姿勢への反応は限定的だったと言える。3週間後に東京五輪を控え、感染拡大懸念が喧伝されていることが模様眺め要因になっているのであろうか、実際に開催局面になれば様相は変わると思うが、予想は立て難い。

WHOの欧州地域事務局長が第三波を警告した欧州株は下期初日1%前後の上昇。主要国では英国+1.25%が牽引したが、それをポルトガル+1.44%、デンマーク+1.36%、スペイン+1.26%が上回ったことが目立った。米株はS&P500指数が6連騰(結局7連騰で先週は終わった)、最高値更新。米議会予算局(CBO)が21会計年度(20/10~21/9)の財政赤字を3兆ドル見通しに修正したが、とくに反応はなかった。前年度の31300億ドルに迫る。22年度は11500億ドルの赤字とした。

日本株低調な要因は、中心の海外勢が動かないためと思われる。季節的には夏のボーナス資金還流で、「投信」が活況になってもおかしくないが、今のところ目立たない。一応、「脱炭素」投信の設定が相次いでいると報じられているが・・・。

むしろ注目したいのは、ブルームバーグが報じた「シティグループ証券、日本株関連業務強化」。日本株の現物とデリバティブの営業人員を今後1年で5割増方針と伝えられた。責任者は「ワクチン接種が進まず欧米と比べて経済正常化が遅れ、外国人投資家にとって日本株はそれほど魅力的でない」とコメントしているが、ブルームバーグは「ブラックロックのストラテジストらは、出遅れ市場に注目している」と伝えた。カギは「米国の増税と規制強化」で、相対的に日欧株のリスクが小さいと見ている。海外勢のリバランスを狙っているのかもしれない。また、香港情勢から東京市場へのシフトを想定している可能性も考えられる。タイミング的には想定が難しいが、海外勢の積極化を睨む事になろう。

 

【79月期、経済再開相場の日欧への拡大が焦点】

米国株は、6月を最高値圏で通過した(NYダウは既述したように722か月ぶりに最高値更新)。日本株はやや弱含み水準での通過。経済再開相場で、米国がリードしてきたことが背景。ただ、米株には高値警戒感も出始めており、「増税と規制強化の可能性が低い」日欧株の見直しが強まるかどうかが焦点になる。イメージでは、7-9月期前半停滞、後半上抜け期待。

日本株の頭を抑えていると見られる「五輪開催での感染拡大懸念」の推移が注目される。フィンランドでロシアで開催されたサッカー観戦で300人の集団感染が発生、英国では2000人と報道。無観客圧力が依然続くなど、五輪が景気浮揚材料になっていない点が気重い。世界感染者数は1.8億人超、死亡者400万人、ワクチン接種30億人(ただし中国が4割)。緩やかな減少過程にあるとの認識で、ワクチン先進国の米、英、イスラエルなどの感染状況には注意が要る。

日経平均ベースの配当利回りは1.84%。1.8%台での推移が続いており、株価上昇で以前のような1.6%台を目指す勢いにはない。米10年債利回りは1.4~1.6%ゾーンでの推移に落ち着いているが、再び2%を目指す展開になるかどうか。米国には銀行増配ラッシュがあるが、日本では7月後半からの4-6月期決算発表で「業績上振れ、増配意欲」が示されるかどうか注目される。

米金利動向の大型イベントは、8月下旬のカンザスシティ連銀主催経済シンポジウム「ジャクソンホール会合」、9月中旬のFOMC。ユーロ復興債の2回目募集(5年債90億ユーロ、30年債60億ユーロ)で8倍以上の1300億ユーロの買い注文と伝えられ、1回目の1420億ユーロ(10年債200億ユーロ募集)には及ばないが、カネ余り状況は続くと考えられる。

コマツの小川啓之社長が会見で「中国の建機需要は想定以上に減少」と述べた。建設工事認可件数が減少に転じており、油圧ショベル需要(中国企業と外資の合計)は4月前年比7%減とマイナスに転じ、526%減と言う。前年がコロナ禍から急回復局面にあったとは言え、このところの中国経済勢い喪失感と重なる。上海を中心に「中国共産党結党100周年」イベントで賑わっているようだが、南部の広州を中心に豪雨禍(香港の取引も暴風雨警戒で一時停止)、物流停滞、電力不足などが言われており、不良債権問題も依然燻る。当局の政策も景気刺激より、バブル抑制中心。

その状況下で、8月にバイデン米大統領が指示した「コロナ武漢起源説調査」期限を迎える。米議会の対中競争力強化法案、中国企業投資規制、ウイグル・ジェノサイド問題、香港・民主派弾圧非難などの動きが続くと見られ、今のところ好転要因は見当たらない。コロナ責任を問う流れが強まれば、中国経済混乱懸念に転化するリスクがあろう。既に、中国リスクは日経平均採用値がさ株の気重い展開に反映されていると見られるが、さらに波乱要因となるか注視材料。日本の政局はパラリンピック終了後の9月上旬を目指し、補正予算有無(二階幹事長が主張)、解散時期、選挙の読みと菅政権続投体制是非の攻防の流れが想定される。大きな政変リスクが後退すれば、日本株見直しの契機になる可能性があろう。

 

【奇妙な夏、局地的波乱で景況感定まらずか】

ブルームバーグが「過去にほとんど例のないような妙な夏を迎えつつある」と伝えた。景気回復は力強く、求人は記録的水準ながら各種の問題で雇用数や賃金の水準が歪められているとしている。大雑把に米GDP4-6月期前期比年率10%、7-9月期予想7%と力強い軌道が想定され、パンデミック前を大きく上回る。それにも拘わらず、多くの人々が過去最高の求人件数に応じることができないか、積極的に応募する姿勢を示していない。

コロナへの強い警戒感、育児などの障害、手厚い失業給付、移民政策の混乱と渡航制限、観光地を中心に労働パターンの変化など、様々な原因分析が行われている。

米太平洋岸を襲っている熱波も一因に挙げられ始めている。カリフォルニア州からワシントン州まで、さらにカナダ・BC州からさらに北部のノースウェスト準州まで高温警報が出されている。カリフォニア州リットンで46.6℃、米オレゴン州ポートランドで44.5℃、ワシントン州シアトルで40℃など。原因は、Ω(オメガ)ブロックと呼ばれる偏西風の蛇行。緯度に関係なく、舌の膨らんだ部分が暑くなる。しかも乾燥する。水不足、山火事が懸念されている。

通常、シアトルは23℃ぐらい。住環境の悪化が著しく、ハリウッドもシリコンバレーも脱出する人が増えるのであろうか。フロリダではマンションが倒壊している。勢い、NY・東海岸に人が戻るのであろうか。それに関連してか、不動産市場への資金流入やバブル警戒論が出始めている。今夏の焦点の一つは都市部の不動産市場と見られる。

中国では、国家発展改革委が急落している豚肉の価格を下支えするため、中央・地方政府が備蓄用豚肉購入を開始すると発表した。豚コレラによる暴騰から一転、年初から6月初めまでの下落率が65%に達していると言う。農家撤退を防止する狙い。奇妙な夏が世界的に続いている。

PAGETOP