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2021年07月19日

【Weekly No.294】ポジション調整先行か

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

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  1. ポジション調整先行か
  2. 米株高値警戒と中国GDP
  3. M&Aブームは来るか?米銀大手決算からみる

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Weekly 719

【ポジション調整先行か】

どうも時間外取引の日経平均先物が弱い。五輪直前での感染増大、無観客での経済効果失望、菅政権の迷走深刻化、熱海土石流後も続く豪雨、そもそも経済回復力が弱い、など弱材料が多いことが背景と思われるが、主因は海外ファンドのポジション調整と考えられる。来年4月の東証市場区分変更で、プライム市場から除外される銘柄が600銘柄以上と伝えられ、指数連動型ポジションを取り難いことも影響している可能性がある。米国の対中制裁強化で影響を受ける銘柄が売られていることも重石と考えられる。

事態急変材料は、ドイツ西部を中心に14-15日に発生した大洪水。16日未明時点の報道で、死亡者少なくとも42名、行方不明数十人。メルケル首相は「完全に冠水した地域からの報告にショックを受けている」などと述べた。ルクセンブルク、オランダ、ベルギーでも洪水が発生している。

15日のパウエルFRB議長の上院銀行委員会公聴会の証言で「気候変動に関するストレスシナリオの活用を検討している」と述べた。脱炭素ではなく、頻発かつ深刻化する異常気象に対する銀行の認識と耐性を高めるため。米国では熱波や異常高温、山火事多発などに見舞われている。市場はコロナ禍を軸に展開してきたが、異常気象の多発を無視できなくなっているかも知れない。

インフレや景気回復スピードを巡る材料が交錯している。昨日の中国4-6GDP8%を下回り(7.9%だった。予想は7.7)、弱材料となったが、15日の米統計で、フィラデルフィア連銀景況指数7月が21.9,前月の30.7から低下(市場予想28.0)した。7か月ぶりの低水準で業況6ヵ月予測は48.6,前月の69.2から大きく低下したのが目立った。FRB発表の6月鉱工業生産統計は製造業生産指数が市場予想0.2%上昇に対し0.1%低下した(5月は0.9%上昇、4-6月は年率3.7%上昇)。半導体不足や供給網混乱、熟練労働者不足などの影響が出ていると見られている。6月輸入物価は前月比+1.0%、8ヵ月連続上昇も5+1.4%、市場予想+1.2%を下回った。物価はピークを付けた可能性があり、当局の「インフレ高進は一過性」との見方を強める可能性がある。

方向感を失っていることで、「クレジット市場(ここで取引されるのは、、貸出債権や社債、コマーシャルペーパー(CP)、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などが挙げられる。また、住宅ローンや消費者ローン、不動産ローンなどのリスクを証券化した証券化商品などもクレジット市場で取引されている)は眠い夏、保有するだけ」、「債券トレーダー、インフレと金融当局が取り得る行動の板挟みで動けず」、「クオンツETF、失速直前のリフレ取引に参入-タイミングの難しさ鮮明」などと報じられている。

ブルームバーグによると、1~6月にバリュー株投資ETFに約550億ドルの資金が流入したが、今月にパタリと止まったと言う。年2回のリバランスは遅きに失したと言われ、小刻みなポジション調整が出ている様だ。個別物色の地合いが続くと考えられる。

 

【米株高値警戒と中国GDP】

米株は決算ラリーに入っているが、S&P500種の年初来上昇率は約16%、このペースで下期も上昇するとは見込まれておらず、いわゆる高値警戒感を伴った展開。基調となる景気回復ペース、インフレ観などで綱引きの状況にある。今週の決算発表で注目されたのは、世界最大の資産運用会社ブラックロック。一株利益は10.03ドル、市場予想9.46ドルを上回る好決算だったが、最も注目されたのは運用資産の増加。6月末運用資産は94900億ドル、前年同期は73200億ドル。第2四半期の純流入は810億ドル。緩和マネーが継続していることを示し、売り方にとっては「崩れた所はすかさず買われてしまう」諦め観となろう。

ブラックロックはディレクター以下の全従業員基本給賃金を9月から8%引き上げる計画。CEOは「インフレは一過性のものではない」との認識。混迷する世界から見ると別世界のようだが、インフレが恒常的に強まるかのカギは雇用・賃金情勢との見方を強めよう。

世界の景況感に影響する中国第2四半期GDP7.9%だった。常に当てにはならない数値と看做されているが、第1四半期の前年同期比+18.3%から、+8%台割れへの急低下は想定通リだった。前期比では1-3+0.6%から第2四半期+1.3%だった。14日発表されたシンガポールGDPが前期比2%減に失速(1-3+3.1%、前年同期比では+14.3%)しており、中国の景気刺激策段階的縮小、原材料高騰、半導体不足、物流混乱などの影響がどう出るか注目されている。

中国では経済統計には反映されない不都合な話が漏れ伝わっている。一つは「地方公務員、教員に支払われたボーナスを10日以内に返すように各自治体が通達」。一つや二つでなく、河南省、江西省、広東省など広範囲に広がり、「還付ローン」を設ける市も現れている様だ。結党100周年行事直後の7日辺りから急速に広がっているようで、今後はボーナス停止、給料遅配の噂も飛んでいる様だ。当局は「より質素な生活」を呼び掛けている。中国は消費需要の弱さが目立っているが、拍車を掛ける話で、習路線と対立派の鬩ぎ合いが激しくなるだろう。

半導体産業のコアながら債務超過に陥っていた精華紫光集団(精華大学が51%出資)が「破産」を認めたと報じられている。傘下にNANDフラッシュのYMTC、半導体設計のUnisocなどを持つ。昨年11月頃まではサムスン、マイクロンなどを技術面でリードしつつあると豪語していたが、箱を作り、機械を並べても生産できていない中国半導体産業の実情を物語る。年間3000億ドル以上の半導体を輸入し、石油を上回るが、チップ需要の20%未満しか充足できていないとも言われる。中国銀行規制当局は「景気回復は不均一」と、不良債権増加を警告している。

13日発表の貿易統計で、輸出は前年同月比32.2%増。輸出ドライブを掛けていると見られるが、港湾物流の混乱、コンテナ不足などで、統計上先食いしているとの観測もある。中国経済の影響も見極め要因と考えられる。

 

【M&Aブームは来るか?米銀大手決算からみる】

米株は好調な銀行決算が発表されたが反落した。典型的な、発表前に期待で買われ、発表で材料出尽くしになるパターンと思われるが、今後の展開材料を探る姿勢も投影していると考えられる。

純利益が前年同期比155%増となったJPモルガンの決算が印象深い。金融市場のボラティリティー(変動)が小さくなり、トレーディング収入が3割減、低金利により消費者部門の純金利収入も8%減(ただ消費額は22%増で景気回復の恩恵を受けている)となったが、投資銀行部門は手数料収入が25%増で牽引した。M&A助言手数料収入は52%増、債券引受26%増、株式引受9%増など。GSも同様のパターンだった。

「ウォール街はM&Aに脚光」と報じられている。BofA(バンカメ)の7月グローバルファンドマネージャー調査でも、シクリカル(景気循環)株ブームは過ぎ、テクノロジー株ロングが最も集中している取引に返り咲き、ESG投資が続いた。ディフェンシブ関連も不人気だったが、インフレとテーパータントラム(量的金融緩和の縮小(テーパリング)に対する懸念により、金融市場がかんしゃく(タントラム)を起こしたように混乱すること)を依然として最大リスクとしている。

脱炭素などの方向性が強まっていることと企業資金が豊富なことで、M&Aが活況になっていると見られる。直近でも「米エネルギー業界、第2四半期に再編加速、石油・ガス価格回復で」、「デジタルヘルス業界の資金調達、上半期過去最高、201年間上回る」、「米ブロードコム、ソフト大手SASの買収を協議」などが報じられている。M&Aは多様な捉え難いが、日本でもグーグルによるpring(プリン、メタップスとミロク情報サービスが大株主だった)買収が報じられた。送金アプリの会社で、グーグルが日本の同分野参入と報じられている。一般的に企業価値の再評価が行われやすい。いわゆる「森より木」の相場環境となる。

海外金融機関やグローバル企業の課題は、混乱する市場からの撤退となる可能性がある。「シティグループ、ベネズエラから撤退へ、現地部門をBNCに売却で合意」、英FT紙は「バイデン政権は米企業に対し香港で事業を行うリスクが増えていると警告する」、米国務省、財務省、商務省、国土安全保障省、労働省、通商代表部は連名で「新疆ウイグル自治区での強制労働や人権侵害の深刻さを踏まえ、関連する投資やサプライチェーンから撤退しない企業や個人は国内法に違反する高いリスクを負う恐れがある」と警告した。(日経平均先物の時間外が弱いのはこの辺りかも知れない)困窮する国。騒乱の国が急増しており、グローバルビジネスへの対処が課題と考えられる。

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