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2021年08月02日

【Weekly No.296】中国情勢悪化、日本株の重石に

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  1. 中国情勢悪化、日本株の重石に
  2. 好決算に売りパターン、FOMCも緊張感なく通過
  3. 中国発の混乱は不透明材料多く、微調整繰り返しか

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Weekly 82

 【中国情勢悪化、日本株の重石に】

日本の連休中の米株はアッサリと3指数揃っての最高値更新となった。それほど売り残が溜まった印象はなかったが、ブルームバーグの「個人投資家の弾薬は十分-米国株の下げが24時間以上続かない理由」によると、個人投資家の買い向かい勢いが勝っていると説明されている。例えば、S&P500指数が一時2.2%下落した19日に個人投資家は約22億ドルを株式に投じた。S&P500連動ETFには過去最高の48200万ドルが流入した。待機資金を含む口座資金は、MMF(マネーマネジメントファンド、短期の公社債投信)残高45000億ドル(約500兆円)、商業銀行預金残高は17兆ドル(19年比33%増)と膨大。「マクロ経済面のいかなる脅威に怯まず、相場下落を24時間以上は続かせないことを決意しているかのようだ」と伝えている。なお、21日までの1週間で、世界の株式ファンドから59億ドルの資金が流出(米株ファンド104億ドル流出)しており、世界のプロ運用者は債券などに一部シフトしたようだ。

結果的に、NYダウと日経平均先物の絶対値差は30日現在で7600ポイント以上に拡大し、日本株の出遅れ感を強めている(日経平均が高値を付けた216日には1055の差だった)。主因は、コロナ感染拡大でもなく、五輪開催でもなく、日本の政治経済情勢でもなく、中国要因と考えられる。端的には、日経平均インパクトの大きい、ファーストリテイリング(新疆綿問題)、ソフトバンクG(アリババなど中国株投資に懸念)、東京エレクトロン(半導体製造設備に中国半導体失速懸念)などに、後述する中国懸念が圧し掛かっているためと考えられる。

これも結果的に、NT倍率(日経平均/TOPIX)は3014.35倍、昨年10月(日経平均が23000円台水準)以来の水準に低下している。1900ポイント前後に低下したがTOPIXが再び2000ポイント台に乗せて来るかどうかが引き続き焦点となる。

 

【好決算に売りパターン、FOMCも緊張感なく通過】

米主要企業の4-6月期決算発表が佳境にある。概ね好調決算だが、先食いしていた分、発表売りのパターンが目立つ。背景は、コロナ感染再拡大、中国懸念、2兆円稼いだアルファベット(グーグル)などの場合は、寡占企業分割論再燃リスクなど、先行き不透明感が強いことと思われる。

ひと頃のインフレ・金利上昇を巡る緊迫感はない。28日 FOMC(連邦公開市場委員会の略で、アメリカの金融政策を決定する会合)は波乱なく終了。米FRBは「インフレ率でなく、雇用統計を見ている」と言われる。先々週22日発表の米週間新規失業保険申請件数は、予想外の前週比5.1万件増の41.9万件(市場予想.35万件、前週36.8万件)増、29日発表の申請数は前週比2万4000件減の40万件増とモタツキを示した。今週末の月次雇用統計が注目されるところだが、終了したFOMCで、米経済は回復基調ながら課題も多いとの認識だったと思われる。

テーパリング(量的緩和縮小)の開始時期を巡る議論は、826-28日のジャクソンホール会合(年次経済シンポジウム)の場に移り、9月中旬のFOMCが焦点となる。なお、公表されることはないだろうが、FOMCで中国の金融・経済情勢について、どういった議論がされたのか注目されるところだ。

4-6GDP速報値は年率換算6.5%成長、市場予想の8.5%を大きく下回ったが、微温湯的(ゴルディロックス)環境持続になる。内外の企業決算は好調なので、日本では円安効果の持続性、米国では株主還元ラッシュなどに関心が向くものと考えられる。

前述したように、米金融政策は8月下旬のジャクソンホール会合、9月中旬のFOMCがテーパリング議論のヤマ場と見られているが、米ゴールドマンサックスが21年米成長率予想を第3四半期、第4四半期とも1%ポイント引き下げ、年間6.6%成長とするなど、景気過熱感が大きく後退している。「モノからサービスへの転換がスムーズに行われない可能性が高いため、その後の減速(元々、年央ピークの見立て)がやや急になりそうだ」との見解。先週の米10年債利回りは1.29%台から1.23%台に低下、1.25%を挟んだ揉み合い展開。30年債は1.9%前後、5年債は0.7%前後、2年債は0.20%台。

今回の米企業決算発表で目を惹いたのはコーヒーチェーン大手のスターバックス。第3四半期(6/27まで)の既存店売上高は73%増、市場予想の69%増を上回った。米国が83%増と牽引、社会制限緩和の勢いを示した。反面、中国は19%増。通期見通しを従来の27-32%増から18-20%増に引き下げた。海外売上高合計見通しは25-30%増から15-17%増に引き下げた。年後半に新興国株投資を推奨する向きもいるが、混乱国が増大、感染増も目立ち、景況感はシュリンクしている観がある。株価は決算発表後3.6%下落。

スターバックスは26日、韓国合弁の持分50%を、合弁相手の新世界グループとシンガポール政府系ファンドGICに売却した。韓国78都市、1500店以上を展開している。外資系企業の世界戦略見直しの始まりか、この後の焦点は中国市場からの撤退開始となるかどうかと思われる。中国証券市場の混乱は未だ収まっていない。

 

【中国発の混乱は不透明材料多く、微調整繰り返しか】

先々週から香港ハンセン指数、上海株価指数ともに下落し、2月高値から約18%下落した水準にある。そのキッカケとなったのは学習塾事業の規制を発表、他にも、配車サービス大手・滴滴出行(DiDi)がNY市場でIPO(新規株式公開)を行ったことに中国政府が厳しい罰則検討、米国防総省が中国ドローン最大手・DJI製品は「米国家安全保障に脅威」と表明(一部の購入承認報道に対し)、米当局者は「中国のイラン産原油輸入の取り締まり検討」、中国規制当局は「テンセントに独占的な音楽配信権の放棄を命令」などのニュースが続いていることで、世界の投資ファンドが中国企業から撤退を余儀なくされている。

ブルームバーグによると、27日までのわずか3営業日で中国本土と香港市場の株式時価総額は約15000億ドル失われた。その後29日、中国市場はやや落ち着きを取り戻し香港ハンセン指数、上海株価指数ともに反転した。この日の反転には二つの材料が効いたようだ。一つは28日夜、中国証券監督管理委員会(CSRC)が大手投資銀行幹部とオンライン会合を開催、市場懸念の払拭に努めたと伝えられたこと。参加者は欧米投資銀行の幹部、主催者はCSRCの方星海副主席。方氏が習路線に忠実なのか、李克強首相に近いのか分からないが、沈静化に圧力を掛けた可能性がある。

もう一つは、今回波乱の一因だった配車サービスの滴滴グローバルが株式非公開化を検討とWSJ紙などが報じたこと。会社側は否定しているようだが、中国当局の怒りを鎮める(株式公開を強行した)とともに投資家の損失を補償(630日の公開価格から36%下落)するため、MBO(経営陣自らが自社の株式を既存株主から買取り、経営権を取得する手法)を行うことを検討。価格は公開価格か上回る価格とされている。

20年に渡り、中国投資で好成績だったタイガー・グローバルが痛手を受けていると報じられ(3/31時点の中国株ADR保有額83億ドルが64億ドルに)、米ゴールドマンサックスはMSCIチャイナの投資判断を「オーバーウェート」から「マーケットウェイト」に引き下げた(直近まで買い推奨していたことに驚きだが)。中国当局によるテクノロジー、教育産業に対する締め付け強化が世界の投資ファンドに衝撃を与えており、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数(米市場に上場している中国企業の株価指数)は、このわずか5カ月で7690億ドル(約848800億円)の時価総額が吹き飛んだ。ドラゴン指数は依然として不安定な動きが続いており、ゴールドマンサックスには「投資を継続して良いものか」どうかの問い合わせが殺到しているようだ。一般的にも知名度の高いアリババとテンセントだけで、8兆ドル規模のMSCI新興国市場の10%を占めているとされ(同指数に占める中国株ウェイトは37%)、米国投資家が保有する中国ネット・ハイテク株やADR(預託証券)は1兆ドルに上ると推計されている。海外勢の資金流出が、中国市場の壊滅的動きのトリガーになるかどうか注目されている。

政治リスクだけに、先行き展望を描き難いが、気になるニュースは2つ。一つは、中国の「反外国制裁法」を香港・マカオにも適用準備。多国籍企業にあら探査課題となる可能性、中国共産党への従順体制となるリスクと伝えられている。もう一つは、台湾で一斉に報道されているようだが、「LINEのアカウントがハッキング被害に遭っている」。政府要人、軍幹部、政治家、自治体幹部が含まれると言う。詳細不明ながら、中国政府系ハッカーとの見方が強い。引き続き、中国情勢を睨みながらの展開になりそうだ。

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