News & Topics

News & Topics

2021年08月16日

【Weekly No.297】五輪明け、総じて世界は株高で始まる

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

※期間限定で、パスワード不要で全文お読み頂けます。

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

  1. 五輪明け、総じて世界は株高で始まる
  2. 中国統制強化、緩まず
  3. インフレ警戒いくらか緩む
  4. 米インフラ投資法案、各論始動に期待
  5. 菅下ろしが始まるかも

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

Weekly 816

【五輪明け、総じて世界は株高で始まる】

週明け、五輪明けの世界の株式市場は総じて堅調で始まった。東京五輪は総じて好評価。読売新聞の国内世論調査で「開催されて良かった」が64%(思わない28%)、1ヵ月前(7/9~11)調査で「中止する」が41%だったことから見ると、かなり劇的に変化した。「無観客で良かった」が61%で大勢。海外は国内ほど悲観的な見方ではなかったと思われるが、「経済回復」を後押ししたとの評価と見られる。

五輪後の日本株もやや楽観的ムードでスタート。決算発表は峠を越えたが、二極化しつつ「7割程度が増益」で見直し材料と見られる。ただ、影響の大きい中国情勢を睨みながらの展開となっている。

その中国だが、毎年長老たちとの会議を北戴河会議というが、今年の北戴河会議は「習主席と王岐山副主席や曾慶紅元副主席等で激しい応酬が行われている」との見方が一部にある様だ。8日付時事通信は「北戴河会議自体が意味がない」主旨の報道を行っているが、世界の金融市場は毎年、重要な中国情勢として注目している。

中国はコロナを抑え込んでいることになっているが、デルタ株の脅威で厳戒態勢とされ(海外との往来は4週間経過観測必要とされる)、9日付中国紙・グローバルタイムズは「緩い対応と非効率な管理の責任を問い、主要4省で30人以上の高官が解任、重懲戒」と報じた。公式発表では8日の新規感染者数125/日、治療中患者1603人。今回の震源地は南京市、湖南省など。締め付けは、「終息宣言」を行った習主席主導と見られる。先週は、有名ユーチューバー閉め出し、ゲームやアルコール規制強化なども続いた。

これに対し、5日、全米約30の有力団体がバイデン政権に対し、「中国との通商交渉を再開し、輸入関税を引き下げる」よう要請した。6日には米運用会社フィデリティが上海に100%出資子会社設立認可を受けた。ブラックロックやJPモルガンなど金融機関に続く動き。また、英FT紙は「バイトダンス(中国企業、TikTokを運営)を22年初までに香港上場を計画」と報じた。成功するかどうか分からないが、中国を改革開放路線に戻そうとする動きが散見される。攻防の一環か、注目したい。

個別には、中国半導体株が急落(SMIC:中芯国際集成電路製造の5%安など)、台湾7月輸出好調を受け、半導体関連は製造装置より半導体材料メーカー中心の展開が想定される。

詳細不明ながら、金価格が週明けのアジア時間でフラッシュクラッシュ(何の前触れもなく突然短時間下落すること)を起こし、一時4%超の急落。原油先物2%超安で、エネルギー・資源株は買い辛い展開。米地区連銀総裁のテーパリング前倒し発言が相次いだことで金融株堅調といったところ。物色動向では目まぐるしい展開が続きそうだ。

 

【中国統制強化、緩まず】

12日、中国政府が統制強化を続ける動きが続いた。まず、自動車業界に対し、「データ保護を強化し、国内で生成された重要データは国内で保存するよう求めた」。重要データの国外伝送だけでなく、車内システムの設計更新も当局の許可が必要になる。4月に発表した個人情報保護法案に基づくもので、反論の余地がない。9月にはデータ安全法(データセキュリティー法)を施行予定で、企業はリスク評価を行い、報告書提出が義務付けられる。何が重要情報かは中国政府が決めるので、極めて恣意的だ。「法治政府」は共産党指導部に従うべきだと主張している。時期や内容は明示していないが、「国家安全保障、技術革新、市場の独占、教育、外国人が関与する分野」について新法を策定する方針を示した。香港・国安法が産業界に押し寄せる構図だ。

前述したようにフィディリティやJPモルガンなど立て続けに100%子会社設立が認可され、金融市場開放に期待する向きがあり、現実に香港市場IPOなどで、欧米金融機関は稼いでいる。香港取引所のニコラス・アグジン新CEOは「IPO申請件数は約200件に上り、当局の締め付けの影響を深刻視しない」としているが、香港取引所の4-6月期決算は減益で、テック企業を中心に株式発行・上場棚上げの影響が出始めている。6月までの1年間で、香港からの転出者は89200人と発表された。移住許可取得の流入者は13900人。総人口は1.2%減の約739万人。

日本株の重石に、中国情勢、コロナ感染急増、国内景気回復の遅れ、政局混迷などが挙げられているが、中国ビジネスは大きな曲がり角にあり、損失抑制の対応作りが求められていると考えられる。

 

 【インフレ警戒いくらか緩む】

6日発表の7月米雇用統計は予想を上回り、弱気派(株式売り+債券買い)は一旦巻き戻しを余儀なくされたようだ。非農業部門雇用者数増は94.3万人、前月の93.8万人とほぼ同じペースが続き、市場予想の87万人を上回った。予想の範囲が35~160万人増と見方が割れていたようだが、真ん中位で着地した。ただ、例年7月は学校の夏季休暇で100万人程度の雇用減となるが、今年はサマースクールが開催されており、教育関連雇用は22.1万人増と押し上げた。最大の雇用増は38万人のレジャー・サービス関連。景況回復感を支え、失業率は前月の5.9%から5.4%に低下した。賃金は時間当たり平均賃金が前月比+0.4%、前年同月比+4.0%。

その雇用統計と並ぶ重要景気指標は米物価統計。米労働省発表の消費者物価指数(CPI)、下旬にFRBが重視すると言われているコア個人消費支出(PCE)価格指数がある。11日は7CPIが発表され、前年同月比5.4%上昇と13年ぶり高水準が続いた。ただ、前月比で+0.5%と前月の+0.9%から鈍化したことで、インフレがピークを付けた兆候と解釈された。   

とくに、コア指数(食品、エネルギー除く)が+0.3%と6月の+0.9%から鈍化、伸び鈍化は2月以来。昨年同時期の混乱によるベース効果が薄れてきていると見られている。急騰していた中古車・トラックが前月の+10.5%から+0.2%に急ブレーキが掛かったのが印象的。バイデン政権が「ガソリン高は景気回復へのリスク」として、OPECプラスに増産要請を行ったことも影響したと見られる。

 

【米インフラ投資法案、各論始動に期待】

10日、米上院は難航してきた1兆ドル規模のインフラ投資法案を6930で可決した。共和党から19人が賛成に回り、超党派法案。4日にイエレン財務長官が「賃金や人種の不平等を是正し、気候変動の緩和につながる」と法案可決を呼び掛けていた。市場は法案成立による景気押し上げ効果を前提に動いていると見られ、一種の安堵材料と見られる。上院はこの後、社会福祉や気候変動などに対応した35000億ドル規模の「財政支出法案」の審議入り予定。共和党はインフレ助長、増税圧力、エネルギーなどコスト負担増などで反対しており、景況感綱引きの材料と考えられる。

インフラ投資法案の主なものは、鉄道、道路、空港の改修、EV充電施設(下院民主党議員28人が75億ドルの規模を850億ドルにするよう要求。「財政支出法案」で盛り込まれる可能性がある)、家庭向けブロードバンド(高速大容量)通信網整備など。新規歳出は5500億ドル程度、残りはこれまでに承認された案件。米債利回りの押し上げ要因で、10年債は一時1.349%、715日以来の水準、30年債は2%台を回復した。

日本企業はこの恩恵を受けられるか。焦点の一つは、決算発表で今期減益予想が目立った大手ゼネコン。大手4社とも、今期増収予想ながら、経常利益は18~31%減益予想。五輪需要がベースとなった好採算案件の一巡、コロナ禍影響による鉄道投資などの停滞懸念、コストアップ要因多発、注力してきた東南アジア案件のコロナ等による不振、などが背景。日本国内では東京の都市再開発案件が始動し始めているが、受注競争激化のリスクも指摘されている。各社が米国でどの程度の基盤を持っているか、どの程度受注に結びつけられるか未知数だが、技術的には米国のインフラ投資に十分対応できると考えられる。為替リスクも含め、海外案件の評価は難しいが、各社の経営戦略が注目されるところだ。

 

【菅下ろしが始まるかも】

時事通信が69日に実施した13日発表の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比0.3ポイント減の29.0%だった。不支持率は同1.5ポイント減の48.3%。支持率が2カ月連続で政権維持の「危険水域」とされる20%台となるのは第2次安倍政権以降初めて。

政党支持率は自民党が前月比2.3ポイント増の23.7%。調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に、世論調査では唯一個別面接方式で実施している。7月の内閣支持率は29.3%と3割を割ってしまい、自民党の支持率21.4%と足し合わせると50.7%だった。

永田町には「青木の法則」なるものが広く知られていて、「内閣と与党第1党の支持率を足して5割を割ったら、その内閣はつぶれる」という。かつて参院のドンと呼ばれた青木幹雄氏に由来するらしい。ともあれ菅内閣の「青木レシオ」は、文字通り危険水域まで低下している。菅氏は「時事とNHKの世論調査を重視している」と言われるので、今回の8月の時事通信調査によって自民党内で「菅下ろし」が始まるかもしれない。

PAGETOP