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2021年08月23日

【Weekly No.298】米市場の一人相撲の限界

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  1. 米市場の一人相撲の限界
  2. デルタ株の脅威が世界を席捲
  3. 中国のタリバン化
  4. 27日パウエル議長の講演に注目、日本株出遅れ感続く

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Weekly 823

【米市場の一人相撲の限界】

19日はアジア市場から崩れ欧州まで連鎖した。トヨタが7月末の生産計画を9月に4割減産する方針が伝わり、改めて東南アジアのコロナ禍による部品調達難、半導体不足長期化の影響などが懸念視された。マツダ、フォルクスワーゲンなどの減産情報が続き、経済回復の主柱がグラついている。今後は回復転換時期、ロスを取り戻せるのかどうかが焦点になる。

米国市場にも余波が押し寄せており、中国企業ADR(米預託証券)は軒並み6%超の急落。規模は大きくないようだが、中国銘柄ETFからの資金流出が止まらないと伝えられる。ブルームバーグによると「中国株の押し目買い投資家、ついに限界に-高値(2月半ば)から約6割下落」の惨状と伝えている。

米市場では、GS(ゴールドマン・サックス)が米経済成長率見通しを引き下げ。第3四半期予想は9%から5.5%に。第4四半期を5.5%から6.5%に上方修正しているので、基調はまだ楽観的だが、コロナ・デルタ株懸念拡大を踏まえたと説明。年間予想では6.4%から6.0%に小幅下方修正。22年は4.5%成長予想。

毎週木曜日に発表される週間新規失業保険申請件数、今週は34.8万件、前週比2.9万件減少、予想36.3万件を下回り、昨年3月中旬以来の水準。雇用改善が景況感を下支えしていると考えられる。デルタ株懸念がどういった形で出るかが焦点だが、現状はサプライチェーン(供給網)障害となって、インフレ要因との見方。

18日のNYダウは382ドル安、このため米VIX(恐怖指数)指数は21.57,先々週末の15.45からジリジリ上昇していたが、前日の17.91から撥ね上がった(日本18.96,欧州18.47)。表面上は、7FOMC議事録公開で、テーパリング(量的緩和の縮小)を巡って意見が割れているが12月にも開始するとの見方が強まったため、とされる。ただ、10年物国債利回りは議事録公開前に一時1.30%に上昇した後、株式市場と違って前日比横ばい圏の1.26%前後に落ち着いており、債券相場は模様眺めムードが強い印象(それとも株式市場より冷静なのか?)。

18日はFOMC議事録が発表される前から世界的に株価は下落しており、世界の値下がりトップは台湾-2.68%、次いで南ア-2.64%、仏-2.43%、ロシア-2.36%、香港-2.129%、インドネシア-2.06%、韓国-1.93%の順。グローバル投資手仕舞いの印象がある。いずれも議事録発表前であるため、アジアを中心にコロナ拡大で世界経済の停滞懸念を反映しているのかもしれない。

株式市場は「秋に荒れる」ことが多い。それを意識した早めの利益確定の動き、あるいは米株高に追随する市場が無くなり、米市場の「一人相撲」の限界とも見ることが出来よう。また、売り残が溜まらないと上昇エネルギーが生じないパターンもある。当面の悪材料は現状なら、ある程度織り込みつつあるとの視点を持ちたいところだ。

 

【デルタ株の脅威が世界を席捲】

アフガン情勢は「バイデン外交の失敗」との見方が強い様だ。支持率は46%に低下。キャンプデービットの休暇からホワイトハウスでの記者発表に戻ったが、10分程度ペーパーを読み上げただけで直ぐに戻って行ったことが象徴的に批判されている。背後に中国が居るとの見方が強く、ミャンマーに続く動きと位置付ける向きがある。中国の2例目の成功で、台湾、キューバ、ベネズエラなどにも攻勢を掛けて来る、すなわち新興国地図が書き換えられるのではないかとの懸念がある。米国内と言うより、新興国株投資、オイルマネーなど不安定地域投資家の手仕舞いが連想される。

デルタ株の脅威が世界を席巻しており、18日、NZ中銀は大方の予想に反し、利上げを見送った。国内で感染者が見つかったことを理由にした。7月に国債買い入れを月額30億カナダドルから20億カナダドルに縮小決定したカナダ中銀、9月に利上げに踏み切ると予想されているノルウェー中銀(22年央までに4回利上げ意向とされる)などの動きが注目されている。9月に債券買い入れ縮小開始(週50億豪ドル→40億豪ドル)方針を堅持した豪中銀は、「ロックダウン対策は財政政策が適切」とした。

日本国内で経済対策の必要性を強く訴えているのは、玉木国民民主代表ぐらいで大きな声にはなっていない。総選挙を控え、出て来ないとおかしいタイミングだが、菅内閣は混迷状態でリード観を欠いたまま。様子見ムードの強い地合い(材料株の局地戦)が続くと見られる。

 

【中国のタリバン化】

18日早朝の為替市場のロイター・コメントを見ると「アフガン情勢、コロナ・デルタ変異株拡大、中国経済減速を巡る懸念からドルの逃避買いが膨らんだ」。「投資家はドル建て借入ポジションを解消し、高リスク市場から資金を引き揚げている」との解説。

590億ドル規模のヘッジファンドのマーシャル・ウェイスは「中国企業ADR(米預託証券)は今や、投資不可能」のコメント。中国は独禁法などの法治で、大手テクノロジー企業、サイバーセキュリティー点検、学習塾事業非営利化など矢継ぎ早の締め付け政策を展開している。14日、中国証券当局は「IPO(株式新規公開)の価格設定の問題などを巡り、機関投資家19社を処罰」した。中国の新興企業向け市場「科創板(STAR)」は19年半ばの開設、米国式登録制IPO制度を導入。ウォール街にとっては、ADR市場とのキャッチボールで稼ぎ場の一つだったが、習文革によって見事に崩壊中。中国もIPO市場を失う方向に走っている。

アフガンのタリバン支配は前政権のお粗末さなどが伝えられているが、中国のタリバン接近が論議を呼んでいる。地方部族長が一斉にタリバンに靡いたのは、中国の工作活動(資金バラマキ)があったのではないか、などの見方だ。タリバンは17日、「諸外国との平和的関係を望む」、「政府軍兵士らに報復しない」、「イスラム法枠組みで女性の権利尊重」などと表明したが、20年前の支配時との違いは明確でない。習文革での西洋文化・ルールを排する動きは、中国の方がタリバン化しているのではないかと揶揄されている。歴史観修正、非民主化、強制労働やジェノサイドなど横暴感が増している。

 

【27日パウエル議長の講演に注目、日本株出遅れ感続く】

幸い、先々週13日の金曜日は何も起こらなかったが、アフガン政権が崩壊、ハイチが大地震に見舞われ、いわゆる「崩壊国」の増勢が止まらない印象だ。報道で目立ったのは、「ヘッジファンド、ポジション集中のリスク-50銘柄が全体の40%上回る」。モルガン・スタンレーのプライムブローカー部門が集計したデータをブルームバーグが伝えたものだが、強い買い推奨(コンビクションバイ)銘柄の持ち高を増やしていると言う。先行き不透明感を反映した動き、コロナ禍(ワクチン不信)による二極化長期化懸念、インフレ懸念やテーパリング(購入する資産の縮小)を巡る割れた見解などを投影していると見られる。「出口に殺到するリスク」が言われるが、万が一そうなっても、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字)など集中銘柄の立ち直りが早いとの見方が堅固。

メインの金利攻防は、82628日ワイオミング州のジャクソンホール会合、特に現地時間2710時にパウエルFRB議長が講演を行う。ここでの発言に世界中が注目している。その後93日の8月米雇用統計を挟んで、922日のFOMC政策決定と流れるが、早くも「年内テーパリング開始を予想するトレーダーは空振りに終わる可能性」が指摘され始めている。13日に発表された二つの統計、一つはミシガン大消費者信頼感指数8月速報値が10年ぶりの低水準に落ち込んだこと。コロナ感染者数がここ2週間で倍増、「デルタ株による感染拡大が想定以上に経済の足を引張る可能性」が懸念されている(NY市保健局とコロンビア大は致死率を上げる可能性がある変異ウイルスであるイオタ株を報告)。

もう一つは米7月輸入物価が前月比+0.3%(市場予想+0.6%)と6月の+1.1%から急低下、昨年11月以来の低い伸びとなったこと。前年同月比は+10.2%、輸出物価は同+17.2%。供給網混乱が緩和されているとの見方。スタグフレーション(景気後退とインフレが同時進行すること)懸念まで囁かれているが、見方はコロコロ変わる流れと見られる。

日本株は集中度が弱く、東証空売り比率は714日以降40%超が続いている。出来高が薄く、新興銘柄では信用期日が重荷と言われる。残念ながら、国内政治情勢や中国情勢に不透明感が強く、好調だった輸出も東南アジアの感染急増が重石と見られるなど、手掛かりが乏しい。ただ、SMBC日興証券集計の4-6月期決算(12日までの1280社、金融とソフトバンクG除く)は、約7割の891社が増益、15%の194社が通期業績見通しを上方修正した。製造業が中心で見通し据え置き企業も含め、再度、企業業績評価に向かうと想定される。ちなみに、日経平均の予想PERは先週13倍台割れでスタートし、20日は12.59倍と先進国市場のなかでも超割安水準で終えた。TOPIX15倍割れ、14.83倍。TOPIX2000ポイント台回復が引き続き焦点となろう。

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