News & Topics

News & Topics

2021年08月30日

【Weekly No.299】注目のパウエル議長講演終了、楽観論広がる

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

※期間限定で、パスワード不要で全文お読み頂けます。

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

  1. 注目のパウエル議長講演終了、楽観論広がる
  2. 初の女性首相へ流れ強まるか。キーワードは刷新
  3. 中小型株、ようやく反発

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

Weekly 830

【注目のパウエル議長講演終了、楽観論広がる】

FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長は27日、米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演で、現行のインフレ高進は収束する可能性が高いとし、テーパリング(量的緩和の縮小)開始時期については年内が適切との見方を示した。ただ、具体的な時期については明言を避けた。

FRBが最終的に利上げを決定する際には慎重な姿勢を維持すると示唆。「一過性」のインフレ率への対応により雇用の伸びが妨げられることは回避したいと強調した。講演を受け、パウエル議長は金融引き締めを急いでいないとの見方が広がっている。

講演では、現状維持でデータを見守るという明確なメッセージがうかがえた。すなわち、向こう数カ月のデータがFRBの行動を決定付けることになる。例えば今週93日発表の雇用統計が非常に強かった場合、FRBは早めにテーパリング(量的緩和の縮小)に踏み切る可能性がある。もし雇用だけでなく、インフレや経済活動に関するデータも減速し始めるようなら、FRBはテーパリングをやや遅らせるかもしれない。問題なのは時期であって、テーパリングの是非ではない。

ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演の前日、「テーパリング開始」の声が高まっていた。FRB内のタカ派は、セントルイス連銀のブラード総裁、カンザスシティー連銀のジョージ総裁、ダラス連銀のカプラン総裁等。カプラン総裁は「9FOMCで計画を発表し、10月からテーパリング開始、22年に利上げ開始」を主張している。総じて、デルタ株脅威には楽観的、高インフレとりわけ住宅価格上昇のダメージを懸念視している。この流れで、世界最大ヘッジファンドのブリッジウォーターのCIO(最高投資責任者)が「米当局のテーパリングは予想以上に速い。金利上昇も速い」との見解を示した。

一方、バーナンキ元FRB議長が講演で「広範囲なインフレ期待は引き続き安定、供給面のショックは一時的、物価上昇率は22年に和らぐ」との見解で、今までの金融・財政政策について「先を見越した力強いもので、予想を上回る成長を支えた」と評価。イエレン氏に続き、パウエル現議長を支持した。

労働市場について、26日発表の週間新規失業保険申請件数は前週比4000件増の35.3万件、5週ぶりに増加となった(パターン通りこの日の株価の重石(NYダウ192ドル安)の一因と見られる)。25日にアイスランド連銀が1→1.25%、26日に韓国中銀が0.5→0.75%に政策金利を引き上げた。物価上昇対策が表面上の理由だが、米テーパリングはドル高圧力となっており、世界的に自国通貨防衛の側面を睨む。世界的金融引き締めムードの高まりとなるか注目される。

前日までに徐々に「テーパリング警戒」が織り込まれつつあったため、パウエル議長のジャクソンホールでの講演当日のNYダウは242ドル高、S&P5004509ポイントと4500乗せ、ナスダックは15129ポイントで再び15000台に入りで最高値更新。米10年債利回りは、FRBは利上げを急がないと解釈し0.04%低下して1.31%、ドルは議長の「テーパリングは利上げ時期を示すものではない」との発言でドルは売られ、対円で109.84円(前日110.09円)。

ジャクソンホール会合の前から、意外なほど楽観論が揃っていた。FRBのテーパリング(量的緩和縮小)について、米ゴールドマンサックスが「着手発表は11月(従来は12月有力視)、縮小幅は1150億ドル(国債100億ドル+住宅ローン担保証券50億ドル)ずつ、229月に最後のテーパリング決定」との見方を発表。目先の影響は限定的とする姿勢で、市場の楽観論に繋がったと見られる。

S&P500指数の年末見通しを示したのは米銀ウェルズ・ファーゴ。目標水準を4825ポイントに引き上げた(ここから7%強に上昇、年間上昇率約28%)。第2四半期決算で企業の約87%が市場予想を上回り、S&P500指数ベースで1株利益が21%上方修正されたことを要因に挙げ、「この傾向が弱まる兆しは見えない」。UBSも年末予想を4500ポイントから4600ポイントに引き上げ、22年末目標を5000ポイントとした。

 

【初の女性首相へ流れ強まるか。キーワードは刷新】

政局の焦点だった横浜市長選は、菅首相が推した小此木氏が想像以上の大差で敗れた。自民党総裁選、衆議院解散に向け、一気に緊迫感が高まるか注目される。菅首相は「総裁選前に解散し、与党過半数維持で無投票再選を狙う」路線を進めて来たと言われるが、その路線の破綻が決定的となった。緊急事態宣言終了予定が912日、自民総裁選告示が17日で、総裁選挙は27日に決まった。「菅首相では総選挙を戦えない」との与党内の意見が加速するのでは。

常日頃から感じていたが、IQEQ(心の知能指数)も低そうな自民党幹部に、コロナという戦時体制を任せることはムリ。また、ついでに言えば、政府分科会の尾身会長などは専門家のくせに人流制限しか言えないなど、既存の体制ではコロナだけでなく、何事もうまくいきそうにもない。したがって、そろそろ女性の首相が出てきておよさそうと思っている。総裁選立候補表明した高市早苗氏の経歴を見ていると、高市氏は1961年生の60歳。神戸大卒から松下政経塾、1987~1989年に渡米、米民主党議員事務所での勤務経験がある。初当選は1993年奈良全県区でトップ当選(その前年の参院選は落選)。柿澤自由党から新進党だが、小沢党首の減税政策修正に反発し離党。自民入党後清和会に属したが、2011年から無派閥(2003年に一度落選、05年郵政解散で復活、現在8選)。女性初の総務大臣、自民政調会長、議運委員長を歴任し、「初の女性首相」を目指す。単なる政策通ではなく、「法案を書ける」ことで知られる。

同氏は無派閥で推薦人20名も集められないとの評もあるが、現在「日本の尊厳と国益を守る会」(5月末現在66名、青山繁晴代表)に属し、「守る会」が支援を表明すれば氷解。課題は、安倍前首相が明確に支持を打ち出すか、NHKやメディアに批判的で攻撃を受けやすく反高市キャンペーンを受けないか、保守論客で中韓の反発、などが焦点となろう。「日本経済強靭化計画」と「令和の省庁再編」を打ち出している。とくに、菅政権での財政出動が不十分との主張を行っているので、手腕未知数ながら株式市場は歓迎する公算がある。

自民党はたった1年で、簡単に挽回できないような支持離れ(表面上の支持率は安定しているが)を起こしているとの見方が強まれば、体制を「刷新」することが必要となろう。  対抗馬は今のところ、安定を求める岸田氏になる公算が大きいと見るが、「刷新」とは程遠くなる。コロナ禍や中国情勢など、容易でない混迷下にあるので、市場も「刷新」ムードを求め始めている状況と見られる。野党に政権が移るようなことはないだろうが、明治以来男性がリーダーだった。その結果が今の日本だ。そろそろ女性に任せてもいいと思うが。

 

【中小型株、ようやく反発】

ジャクソンホール会合(27日パウエルFRB議長演説)を待たずに、24日米ナスダックが最高値を更新した。翌25日には15000ポイントに乗せてきた。ファイザーワクチンの正式承認、原油相場反発などを材料視と伝えられるが、少々溜まった売り残の買い戻しによる押し上げ相場のパターンと考えられる。景気指標の停滞で、早くも「テーパリング先送り」を好感との見方もあるが、案の定この見方はコロコロ変わった。

この日ナスダック+1.55%に対し、最も上昇率が高かったのは東証マザーズ指数+2.87%、次いでファイラデルフィア半導体指数+2.63%、台湾加権指数+2.45%、ラッセル2000指数+1.88%の順。これらは元々振れ幅の大きい指数だが、この間の調整過程で軟調だった。昨年のコロナ回復相場で先導的だった新興・中小型株市場は、ビジネスモデル瓦解や中国株崩壊などの影響で、ポジション調整が続いてきたと見られる。業容が様々で括った説明がし難いが、IPO市場の後退、中国テック株暴落などが最近の調整に大きく影響したと見られる。  

23日、中国証券監督管理委員会(証監会)が上海と深センで42件の新規公開案件を停止したと伝えられた。証券会社や法律事務所に対する調査に着手していると言う。中国企業IPOは米国側、中国側双方から規制・排除されている。

中国側から見ると、習主席の「共同富裕」言及増加に連動していると見られている。817日、中国共産党中央財経委員会が「高所得の規制・調整を強化するとともに、法に沿った所得を守り、過度な所得を合理的に調整し、高所得層と企業に社会への還元を増やすよう促す」方針を発表した。対象は超富裕層から高所得層に広がっており、企業の成長やIPO長者は狙われる構図にある。

23日、テクノロジー拠点として知られる浙江省杭州市で、25000人の同市現職幹部、および過去3年以内に引退した幹部は「利益相反」の可能性について「自己検査」を行うよう規律検査委員会と国家監察委員会から命じられた。2日前に杭州市党委員会書記の周江勇氏の調査が発表されていた。杭州市は人口1000万人超、アリババ・グループなどが本社を構え、江沢民派の牙城の一つと見られている。昨日の上海・香港株は反発したが、基調として混乱要因が続いている。新興・中小型株の見直しは、中国情勢を睨みながらの展開になると考えられる。

 

PAGETOP