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2021年09月13日

【Weekly No.301】米株に警戒感交えながら秋相場へ

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  1. 米株に警戒感交えながら秋相場へ
  2. 材料交錯、テーパリング攻防中心か
  3. 情勢急変リスクを睨みつつ

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Weekly 913

 【米株に警戒感交えながら秋相場へ】

8日、9日、10日と米株市場は小幅ながら3指数(NYダウ、S&P500 、ナスダックの3指数)揃って下落した。デルタ株の脅威に加え、テーパリング(資産購入縮小)開始時期を巡る不透明感が重石と解説されている。8日発表のベージュブック(地区連銀経済報告)では「景気回復は7月初旬から8月に掛けて、緩やかなペースに『やや減速』した」と述べている。同時に金融大手が相次いで投資判断を引き下げたことが株価に影響しているようだ。  

ブルームバーグによると、モルガン・スタンレーが米株を「アンダーウェイト」、世界株式を「イコールウェイト」に引き下げた。「歴史的に低調な季節性」の時期にデルタ懸念拡大、高いインフレ期待と低利回り、緩和的金融政策の間の緊張関係を指摘。国際分散投資で、欧州と日本が有望と指摘している。

急に有望とされた日本株では、日経平均が3万円を超えた途端に、早々と「日経平均36000円」説が出ているが(大和証券木野内アナリスト)、基本はTOPIXの動き。やや早めに3月以来の2000ポイント台を回復(2091.65で週を終えた)。パターンとしては、1)ジリジリ高値を追う。次の目標はフシ目の8%切り上げの2160ポイント辺りか、22000ポイントを挟んだ揉み合い形成、3)背伸びをした後の反動安(当面の下値メドは1950~60ポイント辺りか)展開、などが考えられる。大型経済対策期待やイノベーション期待などが出て来るのは10-12月相場と想定される。

シティバンクは「米国株の強気ポジションの規模の大きさから小幅調整が増幅されるリスクがある」とし、クレディ・スイスは米国株の「幾分のアンダーウェイト」を継続。一種の高値警戒ムードだが、もっと強い警告が出されているのが中国不動産市場。野村HDのエコノミストは、中国当局の引き締め策を「ボルカ・モーメント」(1980年代のボルカ―FRB議長による強力な金融引き締め策)と呼んだ。バンカメは、与信引き締めは「不必要に積極的」とした。中国の政府系エコノミスト等も不動産価格の値下がりリスクに警鐘を鳴らした。習主席の「住宅は住むためのものであり、投機のためではない」(共同富裕)とのスローガンによる引き締め策だけに、厳しくなりがちなのだと思われる。

モルガン・スタンレーによると、中国不動産会社のデフォルト(債務不履行)は8月半ばまでで62億ドル相当、それまでの12年間合計より13億ドルほど多いと言う。不動産会社が倒産することは少なかった(海外投資の失敗が大半か)と見られるが、中国恒大集団危機(中国広東省深圳市に本拠を置く不動産開発会社)が迫っている。ムーディーズに続き、フィッチが格下げ、中国の格付け会社中誠信国際信用評級(CCXI)も格下げした。もっとも、フィッチは「CCCプラス」CC」、中国は「AAAAA」。評価基準に疑問が出る。総負債額30兆円レベルとされる中国恒大ほどではないが、不動産開発会社「花様年控股集団(ファンタジアHD)の社債を、シテイとクレディ・スイスが担保として受け入れ停止したと伝えられる。詳細は不明ながら、不動産関連に相当の緊張が生じていると思われる。相場が止まると、緊張材料が噴出しやすくなる傾向がある。注視する状況が続こう。

 9月になってからのNYダウの騰落率はー2.13%7営業日のうち1日しか上げていない。ナスダックはー0.94%。一方、急に有望とされた日経平均は8営業日で∔8.16%。明らかに日本株は短期的に買われ過ぎの状態。

 

【材料交錯、テーパリング攻防中心か】

7日昼、豪中銀が予定通りテーパリング(資産購入縮小)開始を発表して株価の値動きが重くなった印象を受けた。8月のジャクソンホール会合から3日の米雇用統計に掛け、「テーパリング観測の後退(量的緩和の継続)」が株価押し上げ要因との受け止め方が徐々に強まっていたが、水を掛けられた可能性がある。

豪中銀は債券買い入れを10億豪ドル(74520万ドル)減額の週40億豪ドルとし債券購入を222月半ばまで延長すると発表。ロックダウンの影響で第3四半期GDPがマイナス成長予想になる。

豪中銀を皮切りに9日にECB理事会(テーパリングを決定か)が注目されていた。同理事会は「資産購入ペース小幅縮小」と第一報。スワッ、テーパリング開始かと受け止められたようだが、理事会終了後のラガルド総裁記者会見で「テーパリングではない」と強調、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)運用の微調整とした。総額18500億ユーロを維持し、大きな波乱要因とはならなかった。

次の焦点は米FOMCだが、先週米金利は低下している。9日の10年債利回りは一時1.287%まで低下した。この日の30年債入札が旺盛な需要を集め、総額1200億ドル入札が無事終了。週間新規失業申請件数は31万件、前週比3.5万件減、市場予想33.5万件も下回ったが、コロナ状況の「不透明」(マイクロソフトなどがオフィス再開計画を撤回、航空会社が予約低調で売上高予想下方修正など)が重石となり、米株は続落した。中央銀行の理事会は、21-22日が米FOMC23日はノルウェー中銀(先進国で初の利上げ観測)が続く。

また、20日にカナダ総選挙(与野党伯仲)、26日ドイツ総選挙(メルケル与党苦戦)29日自民党総裁選と、政治スケジュールが絡むことになる。英首相が増税計画(国民保険料率、株主配当金税率引き上げ)を発表。日本でも高市氏が金融課税引き上げ(20→30%)を政策構想に含めており、選挙動向は将来の増税論議の下地になる可能性がある。

著名投資家ジョージ・ソロス氏がWSJ紙で「米ブラックロックの中国投資は損する公算大」と述べたことが話題になっている。ブラックロックは先月、100%子会社で初の自前ミューチュアルファンド(オープンエンド型投信)の販売を開始した。中国の金融市場開放の象徴的存在だが、「習文革」に対処できないとの批判。

中国懸念は続くが、トヨタが電池に1.5兆円投資、インテルが欧州半導体製造拡大に最大800億ユーロ投資、14日にアップルがアイフォーン13を発表など、大企業の動きが活発化している。経済回復軌道観測自体は維持されると見込まれる。

 

【情勢急変リスクを睨みつつ】

5日、総裁選の世論調査第一弾が出た。共同通信の全国緊急電話調査(1071人)で、河野氏31.9%、石破氏26.6%、岸田氏18.8%。高市氏無視だが、マスメディアのバッシングを想定している高市陣営としては想定内か。NHK改革、放送法改正、靖国参拝、河野談話見直しなどの立ち位置は、中韓勢力を含め攻撃を受けやすい。

水を開けられた(出るかどうか分からない石破氏をも下回った)岸田氏に衝撃の数字かも知れない。河野氏とは旧宏池会を二分することになるので、竹下派や二階派への働き掛けを急がなければならなくなる。

6日ネット民の世論調査が二つ伝えられた。一つは月刊誌Hanada10万人(当初は4万人としていた)の投票(W投票もあるかも知れない)で、高市氏が74.6%の76393票を集めた。2位は河野氏14.6%、3位は岸田氏6.3%。出馬見送り公算の石破氏4.4%。もう一つはYahoo!ニュースで、9日までの投票で123497票が集まり、高市氏44.1%、河野氏29.9%、岸田氏12.8%、石破氏10.5%の順。その他1.7%、野田氏1.0%もある。

ネット民の調査は多分、大半が自民党員ではないと思われるが、総選挙を控えるだけに影響力がある。石破氏はおそらく出馬見送り、麻生派の河野氏は麻生氏の消極姿勢、甘利氏などの反対(古い言い方をすれば電力族、原発ゼロ・再生エネ傾斜の河野氏に不満とされる)で、出馬決断は先送りされていたが、10日に出馬宣言。それにしても岸田氏は20%以上の支持を見たことがない。

総裁選を見ながら上昇を続けた日経平均に関し、日経新聞が日経平均構成銘柄の変更を発表、任天堂、キーエンス、村田製作所が採用され、日清紡HD、東洋製缶G、スカパーJSATが外れる。一段と値嵩株に左右される指標になる。既に噂は出ていたようだが、売り方のポジション手仕舞いがこのところの加速要因と思われる(算出は101日から)。

任天堂は「あつまれ動物の森」が中国で禁止ゲームになったので調整場面。改めて、業績見通しと株式需給の綱引きとなるが、その中国で一大事が発生している。中国ウォッチャーの石平氏によると「中国人民銀行は91日から、個人銀行口座に厳しい『管理措置』を、深セン市、浙江省、河北省で試験的に実施している。個人預金額が10万元(約170万円)を超えた場合、預金の出所を申告・証明し、貯金を下ろす場合は銀行に使途を詳しく報告、銀行の判断で口座凍結・出金制限が有り得る、と言うもの。「習文革」による「共同富裕」路線で、不合理な高収入が摘発対象となりつつある。大企業は既に1000億元単位で上納金を納め始めている。中国国家発展改革委員会は学習塾の受講料の範囲を設定、講師給与などの調査に乗り出すなど妙にキメ細かい。「共同富裕」は「共同貧困」に陥るとの冷ややかな意見も出始めているようだが。

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