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2021年09月27日

【Weekly No.303】中国恒大危機、世界に広がる

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  1. 中国恒大危機、世界に広がる
  2. 香港小休止、方向感掴めず模様眺め
  3. 当面の中国恒大危機、FOMC乗り切るも強弱感残る
  4. しかし、決定打に欠ける総裁選

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Weekly 927

【中国恒大危機、世界に広がる】

先週は20日の支払い不能と伝えられていた中国恒大集団の債務危機で始まった。リーマン・ショック再来とまで喧伝され、危機感を一段と深めて20日の海外市場を駆け巡った。この日、日本市場は休場、中国本土の株式市場は21日まで中秋節で休場だったが、香港ハンセン指数は一時4%超、終値で3.30%安。シンガポールのFTSE中国株先物は3.22%安。まだ取引している中国恒大株は一時19%安、終値10.2%安。不動産開発の優良株指数は6.7%安、不動産・建設株指数は6%安と伝えられる。

恒大集団が切り売りする見込みだった関連会社も軒並み売られており、18日には「不動産大幅値引きで満期償還の理財商品返済開始」と伝えられた。最大52%値引きで保有資産価値が急速に劣化している。この時点で23日に社債2本、29日に1本の償還期日を迎える。取引銀行は128行超、ノンバンク121社。現状は不明ながら6月末推定で、英国の新興国市場債運用のアシュモア、ブラックロック、UBSグループ、HSBCなどが大口保有者として名前が挙がっていた。日本ではGPIF(公的年金)が中国株式+債券で100億円弱と伝えられた(インデックス運用関連含むと見られる)。ただし、ロイターは米株大幅安の最中でも「米オプション市場、一段安に備える動き見られず」と報じている。

17日に中国人民銀行は1.5兆円規模の短期資金供給を行ったが、恒大対策だったかどうか不明。奇妙なぐらい官製メディアが報じず、中国当局の出方が分からず、疑心暗鬼を呼んだ面がある。中長期的影響として、中国経済大幅減速の見方が出始めている。今年前半は米中が牽引して世界経済回復のシナリオだったことから見ると様変わり。中国の7~9月期成長率は前期比ゼロ成長に近いとの観測があり、年間成長率は8%割れとの見方だが、中国経済崩壊論が強まる恐れがある。

 

【香港小休止、方向感掴めず模様眺め】

21日の香港市場は、中国恒大株が0.44%続落したが、ハンセン指数は0.51%高と落ちついた。不動産開発の広州富力地産の大株主・経営幹部が80億香港ドル(約1100億円)の短期資金を同社に注入すると発表。中国恒大危機からの連鎖防止、当面の支払い義務に備える。同社はジャンク級格付けで、昨年8月から資産処分を開始している。取引所への届出が判明、株価11.8%高で牽引。

中国恒大については、格付会社S&Pがデフォルトを警告する一方、シティ・グループは「中国のリーマンにはならず」とし、当局は時間を稼ぎつつ、システム全体へのリスク波及を防ぐ最低限ライン維持の公算。ただ、リスクは中国民生銀行、平安銀行、光大銀行などに波及する可能性があると伝えている。フィデリティは「破産回避の公算大、当局が再編模索へ」とした。

中国の銀行業界の資産は4割が不動産部門に関連していると言われる。また、前述したように資産運用最大手ブラックロックが1~8月に恒大社債3130万口を購入、アジア・ハイ・イールドボンド・ファンドに1%組み入れられていると伝えられた。HSBC7月までに40%、UBS5月までに25%、恒大に対するポジションを増加させた。反面、フィデリティ、アリアンツはポジションを大幅に引き下げたとされる。連鎖リスクへの警戒感が続くものと考えられる。

 

【当面の中国恒大危機、FOMC乗り切るも強弱感残る】

中国では何処からともなくカネが回って来ることがある。中国恒大は23日の社債デフォルト危機を乗り越えたようだ。ただし、人民元建て39億円分で、ドル建て債92億円分は利払いが実行されず30日間の猶予期間に入ったと伝えられた。国務院(李克強首相)・金融界が破綻回避に動いていると観測され、欧米金融界の楽観的見方に繋がっていると憶測される。

恒大グループは解体、本体の不動産事業は国有化、億万長者の創業者は追放、習近平主席の「共同富裕」実現の代表的事例になる、との見方が有力だ。他社への連鎖、中国不動産市場瓦解は回避との見方が一般的。ただ、23日付ブルームバーグは「マンハッタン、ロサンゼルス、ハワイでプロジェクト進めるチャイナ・オーシャンワイドHDが経営難、計画継続できるか瀬戸際」と報じた。また、恒大グループの電気自動車部門(恒大NEV)では一部賃金未払、納入業者支払い遅延と伝えられ、試験生産開始(来年大量生産開始予定)が遅れていると伝えられた。解体にも不透明感がある。底流に中国経済減速観測があり、個別事案に反応しなくとも、経済統計に過敏になる公算があろう。

中国恒大危機でいくらか影が薄くなった米FOMC(連邦公開市場委員会)は22日に閉会した。結果は想定通り「11月にもテーパリング開始、来年に利上げ開始方向」だった。直後の市場の反応は鈍かった印象だが、ノルウェーが利上げを発表して、次第に債券売り(金利上昇)、株高、ドル安展開となった。中国恒大懸念を含め、ヘッジ売りポジションが巻き戻されたと受け止められる。パウエルFRB議長は連邦債務上限問題に強く警告したので、当面は議会動向を注視することになろう。

市場には「テーパリング開始を遅らせたい、遅らすべき」との意見も根強いので、インフレ・景気動向に関心が強まると考えられる。季節的に、10~12月はクリスマス商戦が焦点になる。サプライチェーン混乱の影響、雇用状況と個人消費の勢いなどに関心が高まると考えられる。例えば、23日夕、スポーツ用品のナイキは6~8月期決算発表で、世界的なサプライチェーンの混乱で年末クリスマス商戦に向けた生産や販売に支障が出るとコメントしている。

米株が一定ゾーンで動けば、日本株はジリ高展開が期待される。自民党総裁選は河野氏失速観測が強まり、決選投票にもつれ込むとの見方が強まっている。コロナ感染者減少、北朝鮮・韓国ミサイル実験、中国に続き台湾がTPP加盟申請と情勢が動いており、珍しいぐらいの政策論議(高市氏の方向に引き摺られる展開となっている)に弾みがついているので、今後の政策展開の不透明懸念が和らいでいることが市場の追い風と考えられる。

【しかし、決定打に欠ける総裁選】

自民党総裁選が17日に告示され、29日に新総裁が決まる。立候補した4人のこれまでの発言を聞いて「腑に落ちない」ところがあった。なかでも、河野氏の「年金の最低保障部分は保険料ではなく、税でやるしかない」と語ったが、自民党の中でも反発が多いようだ。河野氏は問題外だが、他の候補者にも、0.5%にまで落ち込んだ潜在成長率に代表される低成長や伸びない賃金への危機感が感じられない。「低成長と低迷する賃金」という日本経済の危機感を感じない感性を疑う。

 内閣府によると、日本の潜在成長力は、直近の20214~6月期で0.5%に過ぎない。198710─12月期には4.8%もあったが、9710─12月期に1%を初めて割り込んだ。その後も低下を続け、アベノミクス期の2014年から17年に0.9%へと盛り返したものの、直近は0.5%に張り付いたままだ。

また、国税庁の民間給与実態調査によると、2019年の平均給与は436万円と前年比1.0%減だった。OECD(経済協力開発機構)の調査で2019 年の平均賃金を国際比較すると、米国の65800 ドルに対し、日本は38600ドルでイタリアの39200ドルを下回ってG7(主要7か国)で最下位となっている。今のじり貧状態を続けていれば、遠からず日本は後進国に向かっているという危機感はどの候補者にも見られない。

「前が見えない暗さ」にうんざりしている多くの国民に対し、少なくとも自民党総裁候補者は一筋の光明でもいいから投げかけることが重要だ。もし、今回の総裁選で国民がそれを見い出せないような場合、11月中に予想される衆院選では、国民の失望感が政権を担う与党に向かう可能性もある。

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