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2021年10月04日

【Weekly No.304】米債務上限問題は日本株にとって影響大

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  1. 米債務上限問題は日本株にとって影響大
  2. 総裁選終了で10-12月模索へ
  3. 米金利上昇と円安
  4. もうひとつの懸念材料

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Weekly 104

【米債務上限問題は日本株にとって影響大】

先週の日経平均は—4.9%と大幅安。NYダウは金曜日に盛り返し482ドル高だったためか1週間をー1.4%で終えた。9月の終盤になってからの下落は、中国恒大の過剰債務問題はハードランディングが避けられると市場は織り込んだようだが、代わって米国の債務上限問題が懸念材料として大きくなってきたからだ。来年中間選挙を控えて、共和党は譲歩する姿勢を見せていない。とりあえず123日までのつなぎ予算を可決したが、今月18日にも政府資金が枯渇して米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある。また、長期金利の上昇は、サプライチェーン(供給網)混乱を背景としたインフレ懸念が台頭しているからで、投資家心理の重荷となっている。

米債務上限問題で思い出されるのは2011年のオバマケアで財政問題が浮上した際、米デフォルト(債務不履行)を懸念してS&Pが米債の格下げを実施、米株が大幅調整した経緯がある点だ。来年に中間選挙を控えることを踏まえれば、今回も共和党はぎりぎりまで譲らないと想定され、現状出口が見えていない。なお、1日フィッチレーティング社は債務上限の引き上げ、もしくは停止されなければ米国債の格下げの可能性を示唆している。米国株式市場を取り巻く環境は厳しく、日本株も影響を受けたのが先週後半の動きだった。

一方、国内要因については、岸田氏の勝利によって、改革への期待が剥落したという市場の一方的な見方も、下げ要因とみることができる。菅首相の退陣表明後に日本株が独歩高した期待材料が後退したため、米株が調整すれば、その影響を直接受けるのは当然か。

もっとも、日本については、総選挙で与党の敗北は考えにくく、岸田新政権による経済対策が期待できるようになる。当面は調整が避けられないにしても、日本株の中長期の見通しはネガティブにみる必要はない。

 

【総裁選終了で10-12月模索へ】

自民党は「刷新」ではなく「安定」を選択した。女性2候補の健闘で、流れは大きく変わったという印象だ。岸田新総裁も高市旋風に煽られてか、1年前に比べ、言語明瞭、より具体的になったとの評価。菅前総裁誕生時のような高揚感がない分、より具体的な取り組み・政策が問われるものと思われる。遠目の印象では、「分配重視」を掲げる岸田氏を選択したことは、米民主党政権(とくに民主党左派)、第一党になったドイツ社会民主党に流れを合わせたものと受け止められる。ある意味、「分配重視」は中国習主席の「共同富裕」とも一致する。共産党存続第一のアプローチは全く異なるが。

総裁選投票日の後場、一時下げ幅を縮める場面があった。気付いたのが第1回目の投票中だったので、何か情報が流れたのかと思ったが、引け後に日銀のETF購入だったと判明した。購入は621日以来(701億円)。多少、四半期末を意識しているのかも知れない。と言う訳で、30日は四半期期末。日経平均の比較対象は6月末28791円、3月末29178円。TOPIX6月末19433月末1954ポイントだが、両指数とも9月末はこれらを上回って終えた。むしろTOPIX14日に付けた2120.18ポイント(101日は大幅安の1986.31ポイント)に再び挑戦できるかどうかどうかが10-12月期の焦点と考えられる。

菅義偉首相が支持を表明した河野太郎氏が議員票で大差をつけられ完敗した。余談だが、永田町では菅首相の支持は「逆バネ」になり、足を引っ張る可能性があるとウワサされているとのこと。菅氏が支援を表明した候補は総裁選で分が悪く、橋本龍太郎氏の後継を決める1998年の総裁選では、菅氏は1回生ながら派閥に反旗を翻し、梶山静六氏に出馬を要請。梶山氏とともに平成研究会(当時小渕派)を離脱し、選対事務局次長として戦ったが、小渕恵三氏225票、梶山氏102票、小泉純一郎氏86票で、ダブルスコアで敗れた。

麻生太郎氏の後任を選ぶ2009年の総裁選でも当時所属していた宏池会(当時谷垣派)を離脱し、河野太郎氏を擁立したが、谷垣禎一氏300票、河野氏144票、西村康稔氏54票で、ダブルスコアで完敗している。

菅首相は8月の横浜市長選で市長選では異例の支援を明かし、小此木八郎前国家公安委員長を応援したが、逆に新型コロナ対応など政府への不満を呼び込み、惨敗を喫したばかり。菅氏に抱きつかれた候補は敗れるというジンクスが生まれてしまった。

 

【米金利上昇と円安】

米市場は連邦債務上限問題を注視する見送り地合いと思われる。下院は債務法定上限を2212月まで停止する法案を民主党で可決したが、1日現在上院通過の見込みは立っていない。世界の市場は米国デフォルト(債務不履行)に備えた準備をせざるを得ず、決着するまで市場は止まることも考えられる。29日の米10年債利回りは一時1.494%に低下後、1.54%台に戻し終値は1.52%台と目まぐるしい。つれて、日本株の焦点の一つに円安は何処まで進行するかが浮上している。アベノミクスで70円台から15123円まで円安となった後、大きな目線は120円上限。そこから逆算して115円、112.5円がフシ目と認識される。現在はユックリと112.5円に向かう攻防が始まったと位置付けられる。企業の決算前提は105~108円と見られ、業績押し上げ要因である。

黒田日銀総裁が29日のECBフォーラム(オンラインで中銀総裁参加のシンポジウム)で、「日本経済は今年末もしくは来年初めにコロナ禍前の水準回復」見通しを表明。同時に消費低迷、インフレ率が目標2%を大きく下回るため、大規模刺激策の維持も表明した。10-12月期前半は円安が進行しやすい地合いと考えられる。後半は総選挙後の政策動向、アジアの生産回復有無、海外インフレ動向などに左右されるものと思われる。

 

【もうひとつの懸念材料】

もうひとつの市場の懸念材料は中国の電力不足への警戒感が高まっていることにある。電力不足は10月一杯続きそうで、中国景気の減速リスクが意識されている。供給面への波及も気がかりだ。米連邦準備理事会(FRB)も懸念を示しているが、供給制約が長引くと、新型コロナウイルスワクチンの普及で経済が再開するといった、楽観的な相場展開は期待しにくくなる。

中国の9PMI(製造業購買担当者景気指数、3000社が対象)が49.617か月ぶりに50割れとなったことも響いたと見られる(前月値、市場予想とも50.1)。エネルギー消費の大きい産業の落ち込みが目立ち、電力危機、原材料価高騰などのダメージを受けている。第4四半期は一段の景気減速と見る向きが増えているようだ。

中国は国慶節の1週間休暇に入った。非製造業PMI847.5から953.2と急回復しただけに、個人消費などが盛り上がるかが焦点。同時に、経営危機の中国恒大集団問題などに進展があるか注目される。国内向けは支払い行い、外貨建ては猶予期間入りで凌ぎつつ、保有資産を国有企業に引き取ってもらう方向に動いているようだ。

ほかにも、前述した米長期金利の上昇や債務上限問題、中国恒大集団の資金繰り懸念など、海外発のリスク要因が増えてきており、日本株の相場の地合いは弱い。外部環境が落ち着かない限り、好調が見込まれる国内企業の決算に焦点が当たりにくくなりかねない。足元の環境を企業が警戒し、市場で期待されているほどには上方修正がないかも知れない。

ただ、中長期的なトレンドは上向きで変わらないだろう。米長期金利の内訳は実質金利の押し上げの方が期待インフレの高まりより大きい。いわば良い金利上昇の部類とみなせるため過度な心配は必要ない。原油高も、ハリケーンの影響が大きく、一過性とみることが可能だ。中国は中長期の改革を重視しているが、それでも景気を冷やすことはないだろう。今のところ、景気の腰折れや後退までは織り込む必要はなさそうだ。

供給制約による企業活動への影響が長引けば3万円の回復には時間がかかるかも知れないが、日経平均で年末3万円超えとする予想は現時点で変更しない。

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