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2021年10月11日

【Weekly No.305】徐々に正常化も、不透明感は続く

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  1. 徐々に正常化も、不透明感は続く
  2. 9月の雇用統計で11月のテーパリングの行方は
  3. 悪材料並ぶも需給調整色濃く、売り一巡タイミング図る
  4. 岸田政権評価はまだ先、米株連動が軸

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Weekly 1011

 【徐々に正常化も、不透明感は続く】

7日発表の9月第5週(9/27-10/1)の海外投資家日本株売買動向は、現物4889億円、先物12679億円の合計17569億円の売り越しだった。前週の2807億円の売り越し(現物2691億円、先物115億円各売り越し)から売りが急増した。確認していないが、規模的には昨年2月以来との報道があり、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で騒いでいた頃との印象。昨年3月暴落のような事態につながるかどうかは、世界のコロナ急感染-ロックダウンに匹敵するような事態が出て来た場合となる。コロナは相当程度織り込まれているので、予想外の事態になるリスクは中国情勢と思われる。

7日の香港ハンセン指数は3.07%高と急伸。ハイテク株と香港政府の新住宅政策発表で不動産関連株が急伸したからだ。8日の中国本土市場再開に向け、中国当局のテコ入れがあったのか、米中首脳のオンライン会談実現に向けての緊張緩和で海外勢が買いに出たのか、分からないが、この日はアジア株高から欧州株、米株に波及したと考えられる。キャリー・ラム行政長官は任期最終施政方針演説で、「深セン境界に北部都会区の新設、約250万人が居住する92.6万戸の開発計画」を発表した。中国恒大の第2位株主から降りた華人置業集団がMBOで非公開化方針を発表し32%急騰したことも背景。

ただし、中国恒大と子会社が保証していたジャンボ・フォーチュン・エンタープライゼス社のドル建て社債2.6億ドルが償還期限を過ぎても未払いと報道。JPモルガンは「恒大含む不動産大手に数十億ドル規模の簿外債務」と推定結果を発表した。広州富力地産、融創中国、碧桂園などが対象企業。緊張感は続こう。

米市場では、123日までの連邦債務上限問題の先送り合意に加え、このところモタツイテいた週間新規失業保険申請件数が前週比3.8万件減少の32.6万件(市場予想34.8万件)と6月下旬以来の改善となったことで市場心理が改善したと見られる。小売業者の年末商戦に向けた大量雇用計画が伝えられ始めている。

なお、米中首脳会談など緊張緩和は「中国の戦略が奏功」(環球時報)と喜んでいるが、中国が北朝鮮化しているとも囁かれており、バイデン政権の動きを注視していく必要がある。日本の追随力が問われる局面と思われる。

 

【9月の雇用統計で11月のテーパリングの行方は】

8日、市場が注目していた9月の米雇用統計が発表された。9月の非農業部門雇用者数が前月比194000人増と、今年に入り最も低い伸びにとどまった。金融当局は9月の雇用統計について、雇用者数の増加幅よりも統計全体としてより前向きな内容と捉えている可能性があると、専門家は指摘。 

低い増加数になった理由として、8月の雇用者数の増加幅が速報値の23.5万から36.6万人に上方修正されたほか、教育関連の雇用者の季節調整が影響していると述べた。失業率は5.1%予想が4.8%に低下、平均賃金も伸びており、賃金の伸びと失業率の低下が労働市場は引き締まりが続いているとの見方が大勢のようだ。当局は11月のテーパリング(資産購入縮小)開始を巡るコンセンサス形成に懸命に取り組んできた。したがって、この段階になってテーパリングを止めるのは難しいという見方が優勢。ところで、次回のFOMC(連邦公開市場委員会)は11月2、3両日に開かれる。10月の雇用統計は11月5日に発表されるため、そのデータは同会合までに得られない。FOMCは今回の雇用統計を考慮することになる。もし市場の想定外にテーパリング開始を遅らせた場合、今年最後のFOMC会合は121415両日となる。

雇用統計発表のこの日の円ドル相場は、雇用者増加数の鈍化でドル売り優勢で始まった。その後失業率が4.8%と予想の5.1%より強い内容だったこともあり、売り一巡後はドル買い戻しが優勢に。11月の量的緩和縮小(テーパリング)の開始が遅れるほど悪い内容ではないとの見方から、円売り・ドル買いがじわりと強まった。米10年債利回りが一時1.6153%前後と64日以来の高水準を付けると、レジスタンスとして意識されていた2020220日の高値112.23円を上抜けて、112.25円と194月以来約2年半ぶりの高値を更新した。引けは1ドル112.24円。
 

【悪材料並ぶも需給調整色濃く、売り一巡タイミング図る】

日経平均は6日までで8連敗(78日は反発)、この間東証一部出来高13~16億株/日でやや商いを伴った調整場面となった。東証空売り比率が上昇し、930日から8日まで7営業日は45%を上回り、売り方主導の展開。日経平均のVIX(恐怖)指数は今月1日から20を上回っており、8日は日経VI22.44,米VIX18.77,欧州が20.28と日本の売り込みが目立つ。ちなみに、VIX指数は20を超えると「市場の不安心理が高まっている」と言われ節目となっている。

日経平均の調整は米株連動以外に、岸田内閣への失望、中国情勢のヘッジ売りなど様々な見方があるが、最も目立ったのはNT倍率(日経平均/TOPIX)が14.5倍前後から14.17倍に低下した点(7日は14.26倍、8日は14.29倍とやや上昇)。日経平均構成銘柄を大幅入れ替えした20004月ほどではないが、9月末の日経平均構成銘柄の入れ替えだけで(思惑ポジション含め)需給バランスを崩した印象だ。また、前述した雇用統計の通過、国慶節明けの上海市場の動きから少しずつではあるが、中国恒大集団の債務危機もかなり織り込んでおり、一気に買い戻し相場にはなり難いと思われるが、徐々に買い戻し姿勢に移行すると期待される。

5日、共同通信は、「最近の台湾南西域での軍事的圧力強化は習主席の指示」だったと伝えた。米英日の空母3隻の共同訓練への対抗措置を中央軍事委員会で協議したと言う。バイデン米政権は月末のG20サミットでの米中首脳会談実現に向け、最後の取り組みを行っている。先週はスイスでサリバン大統領補佐官と楊ケッチ国務委員が会談予定。通商交渉再開の動きでは、タイUSTR代表が劉鶴副首相と会談意向と伝えられた。高関税合戦の修正につながるのか、中国への締め付け強化で表れるのか不明だが、大きな流れの一つと考えられる。習主席はG20の対面会談には参加せず、あってもオンラインと報道されており、中国内部の鬩ぎ合いの方に注力方針と思われるが。

8月の米貿易赤字は733億ドル(市場予想705億ドル)、過去最高となった。企業が在庫補完のため輸入が増えているため。モノの輸出は前月比0.7%増の1497億ドルと過去最高だったが、金や天然ガスなど市況高商品が伸びた。資本財やトウモロコシなどは減少。最近の商品市況高には、企業の在庫積み増しに一因があるとの見方を裏付ける内容、コロナ禍以前は在庫圧縮は善だったが、今や2ヵ月、3か月分積み増しは当たり前の状況と思われる。コンテナ船不足や物流混乱などもあるので単純ではないが。高インフレは一過性かどうか、注視する流れと考えられる。

3兆円規模の評価額になると見られる米半導体受託生産大手のグローバルファウンドリーズがIPO申請を行った。UAEの政府系ファンド傘下の企業でインテルの買収説も出たことがある。強気の業績見通し、設備投資計画が発表されると見込まれ、やや調整含みの半導体関連株見直しの契機になるか注目される。今月後半からは7-9月期決算発表が始まり、来年に向けての産業界・企業の戦略、見通しが徐々に織り込まれて行く展開が想定される。

 

【岸田政権評価はまだ先、米株連動が軸】

5日の新聞では岸田新総裁、選出3日で日経平均1412円下落、と報じられている(結局選出から6日で2654円下落)。93日の菅首相不出馬宣言で一気に高まった「刷新期待」が萎み、元の水準に戻ったのは事実だが、前述したように内情は米株調整の影響、日経平均銘柄入れ替えの思惑失敗の影響と考えられる。日銀が2ETF購入に動き(9/2910/1に各701億円)、日本の金融政策は当面変化がない印象を与えた。結果的に、TOPIXは想定した下値メド1950~60ポイント辺りの範囲に収まっているので、再び2000ポイントを挟んだ揉み合いとなろう。

岸田新総裁となって、5-6月に結成された二つの会合が再注目されている。一つは521日の「半導体戦略推進議員連盟」。会長は甘利氏で安倍、麻生両氏が最高顧問。国会議員約100名が参加。日本の半導体競争力強化などに取り組む。もう一つは611日旗揚げの「新たな資本主義を創る議員連盟」。岸田氏が主宰し、AAAが参加、145人を集めた。岸田氏の「分配」路線などを論議する。当時は総裁選に向けた動きと受け止められていたが、大枠の政策合意連合だったと思われる。この時点で岸田氏の人気が低く、高市氏出馬、岸田-高市連合に繋がったと思われる。岸田氏の発言が曖昧路線から高市氏寄りに傾斜してきたのも頷ける、河野氏の自滅もあって、決選投票の大差になったようだ。

したがって、政策遂行が今まで以上に焦点となる。組閣は終わったが、甘利幹事長、高市政調会長、経済安全保障相新設、岸防衛相再任、萩生田経産相などの骨格に上記の流れが投影されていると見られる。本格評価は11月の衆院選後と思われるが、中国情勢の変化などへの対応が注目される。

新総裁評価には運とかツキとかもある。先週はノーベル賞ウィーク。日本は毎年のように受賞しているが、昨年の菅新政権では無かった。外野のノミネートは多い様だが、欲を言えば2002年第一次小泉内閣(第一次改造内閣)の島津製作所の田中さん、2012年の安倍政権前のiPS細胞の山中教授と、若くて意外性、実用化期待の科学者が選ばれるとインパクトが出ると想定していたが、受賞したのは90歳の真鍋氏、失礼ながら市場のインパクトはナシ。

技術革新重視は新政権の柱の一つ。最近の事例では、「2年間永久電流を流し続ける超電導実験に世界初成功」(理化学研究所等)、「国内初の核酸医薬専門研究拠点開設」(東京医科歯科大)、「次世代パワー半導体・データセンターに最大1410億円支援」(経産省)「小水力発電用の小口径、高効率タービン開発、2年後実用化へ」(徳島大、東プレなど)など活発な動きにある。

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