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2021年10月25日

【Weekly No.307】インフレ観の交錯

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  1. インフレ観の交錯
  2. 10月末~11月の懸念材料、不透明感も警戒感緩むか
  3. COP26開催、脱炭素など行き過ぎ混乱から修正の流れあるか

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Weekly 1025

 【インフレ観の交錯】

21日の日経平均は546円安、特に後場にかけ日本株は急落したが、その下落の理由は何だったのか。まず、総選挙序盤戦見通しの報道で、自民党の議席後退(過半数窺う)が伝えられ、苦戦との見方になった、今週値決めの日本郵政株売り出しへの換金売り、多少円高に振れたことで商品相場に絡んだポジション調整、中国恒大株売買再開(約12%下落)など中国情勢を睨んだポジション調整、時間外のダウ先物下落に合わせた売り、などが取り沙汰されたが、ハッキリとしない。基調は決算発表シーズン直前の模様眺め局面と思われる。

この日の東証空売り比率は44.9%に跳ね上がった(前日41.1%、結局22日は47.5%まで跳ね上がっている)こと、VIX(恐怖)指数が日本は21.84(前日20.23)に上昇、米国が15.01(同15.49)と明暗を分けたこと等挙げられる。ちなみに当レポートで説明したことがあるが、VIX20超えは、投資家がこの先の相場の変動が大きくなる(つまりは下げる)と見ていることを意味する。23日付け日経新聞の証券欄で日本株のVIXが高い理由を述べている。それによると、日本経済は東南アジアのコロナ感染拡大により供給網の混乱や原材料高の影響を受けやすいからとしている。またこの日の下げ率は日経平均-1.87%に対しTOPIX-1.32%と日経平均主導の下げ、しかも日銀が出て来ない後場売りだったことなどから、売り仕掛けの公算もある。引け後発表の10月第2週海外投資家動向で、先物は4週連続売り越し(現物4788億円の買い越しに対し先物1421億円の売り越し)で、売り方が居座っている印象だ。

背景に、前述したが商品インフレを巡る強弱感があると思われる。仮に、原油相場に強気だとしても、コロナ感染再拡大(英国、ロシアでデルタ変異株で急増)、金融引き締め前倒し(米5年物国債利回りは一時1.20%超え、22年に25bpの利上げ2回分を織り込む水準)、思わぬ暖冬(米NOAA:海洋大気局が暖冬予報を発表)などが原油先物の買い方のリスク要因となる。

21日、世界銀行は商品市場の最新見通しを発表。エネルギー価格は21年に80%超高騰し、22年もさらに小幅上昇見通しとした。供給制約、在庫不足などが和らぐのは22年下期とした。投資会社ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長、ボスティック・アトランタ連銀総裁が揃って、「22年の米インフレ率の高止まり、長期化」を警告した。債券運用大手PIMCOは、マクロ経済環境に不確実性が大きいとし、株・債券リターンともに低下を警告した。今週から日本企業の4~9月期の決算発表が本格化する。月末に向け強弱対立の小刻み相場の印象だ。

 

【10月末~11月の懸念材料、不透明感も警戒感緩むか】

先週、31日投開票の衆院選が公示された。菅政権時代には自民党数十議席減の予想もあったが、総裁選を経て持ち直していると見られる。今週末にも情勢観測が出ると思われるが、今のところ、自民党は政党支持率40%前後を維持しており、それほど負けないとの見方が優勢になりつつある。報道はスポーツ報知だが、ベテランの選挙プランナー・三浦博史氏が「自公与党で293議席(現在305議席)」との数値%%を出した。18小選挙区を落とすが、比例69議席で若干上積み、公明3議席増の予想。票は立憲・共産に流れず、維新が15議席増と躍進予想。自公・維新で318,改憲に必要な2/3310議席を上回る計算になる。衆院選後は直ぐに政策実行力が問われるが、「政策期待」に代わる可能性がある。

中国7-9GDP+4.9%。市場予想+5%を小幅下回り、弱さを示した。ただ、マイナス成長も、との極論を封じ込める意味合いがある。同時に、中国共産党第19期中央委員会第6回総会(6中総会)が118-11日開催と伝えられ、政権抗争(王岐山副主席や李克強首相を退陣に追い込む動きなど)も一服感が出た。そこまでは、面子上、大きな波乱は抑え込まれるとの見方。不動産業界の苦境は変わらず、電力危機も東北部の寒波到来などで、ここからが本番になると見られるので、楽観はできないが、9月の生産統計から打撃は漸減的の印象。鉄鋼生産は前月比8.6%減の急ブレーキ、前年同月比は21.2%減。アルミ生産は前月比2.4%減、前年比2.1%減、非鉄10種で同1.2%減、1.6%減。石油精製量は前年同月比2.6%減、石炭生産は同0.9%減。新築着工は同13.5%減で、3ヵ月連続二ケタ減、不動産投資は同3.5%減。政策不変との見方で、金融緩和観測は後退した。

欧米でも金融政策の見方が部分修正された。米GSJPモルガンは「英国11月利上げ」との見方だが、コロナ感染が急増しており、経済情勢も不透明感が出ている。FRBスタッフ400人が「ウォール街のインフレ見通し誤り」と指摘。来年にはインフレ率は2%程度に戻るとの見方。PIMCOは「米経済スタグフレーションとの見方は行き過ぎ」との見解。ブラックロックの債券ストラテジストも「米利上げ見通し、債券市場は間違い」との見解などが相次いだ。市場にはさまざまな懸念材料が溢れているが、11月は懸念軽減をユックリ織り込む展開と想定される。

 

【COP26開催、脱炭素など行き過ぎ混乱から修正の流れあるか】

パウエルFRB議長が「株価下落前に投資信託57千万円売却か」と報じられたが、今のところ市場に大きな影響は出ていない様だ。18日に報じたのは米政治専門メディア「アメリカン・プロスペクト」。売却日は昨年101日。パウエル氏やFRBの声明は出ていないが、927日に地区連銀総裁2人が株売却などで辞任、102日にはクラリダ副議長が債券ファンドから株式ファンドに100万-500万ドルの資金を20227日に移動させていたと報じられた。パウエル議長の任期は来年2月。再任か交代か議論が行われており、金融政策混乱に波及しないか、スキャンダルは要注意材料になると思われる。

物事がシナリオ通りに展開しないのは普通だが、「脱炭素」でも同様の流れにある。欧州や中国を中心とした電力危機は、脱炭素で化石燃料関連投資がここ数年抑えられてきたところにコロナ禍からの急回復需要が重なったとの見方が一般的。原油相場などには短期的な需給ひっ迫を見越した商品ファンドマネーが膨張していると見られる。

19日付ブルームバーグは「中国経済の改革ペース、習主席が緩める-景気減速で一般市民に痛み」と報じた。中国当局は自国経済の債務、独占、化石燃料依存などの低減を目指して改革に取り組んできた(外から見れば経済破壊に映る)が電力危機や貯蓄減や住宅を失う一般市民の打撃になってきたことで手綱を緩めざるを得なくなったとの見方。不動産市場の崩壊などを止められるか分からないが、習主席が積極姿勢を見せていた温暖化対策の工程再考、軌道修正も必至と見られている。

111から2日に開催されるCOP26に向け、英仏が相次いで投資計画を発表しているが、目立つのは原子力の復活。12日に300億ユーロ規模の投資計画を発表したマクロン仏大統領は筆頭テーマに小型原子炉開発を掲げた(おそらく豪州と揉めた原潜開発も絡むと見られる)。19日付フィガロ紙は「原発6基増設を年内発表か」と先送りしてきた方針を転換する意向と伝えた。もっとも、221月から「果物・野菜のプラ包装禁止」を打ち出しており、環境過激派の姿勢は崩していない。

COP26開催国の英国では、1.5兆円規模のグリーン投資プロジェクトが発表されたが、テレグラフ紙は「新たな原発に資金拠出へ」と報じた。最有力候補は仏電力公社が進めるサイズウェルC原発(イングランド東部サフォーク)を挙げた。

日本でも甘利自民幹事長が、2030年脱炭素計画には原発30基の再稼働が含まれると発言した。また、19日にジョンソン首相主催の投資サミットで、ビル・ゲイツ氏がグリーン技術への投資で英政府と連携する意向を表明。直接の関係は不明だが、三菱商事が30年度までの2兆円規模の脱炭素関連投資を発表した。限界感のある再生エネだけでなく、関連技術開発競争が活発化すると考えられる。

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