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2021年11月08日

【Weekly No.309】米FOMCは予想通り、利上げ期待やや後退

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  1. FOMCは予想通り、利上げ期待やや後退
  2. 英中銀利上げせず、利上げ派後退、欧州株6連騰で最高値
  3. 与党予想議席数確保、ゆるーい追い風緩く吹く

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Weekly 118

 【米FOMCは予想通り、利上げ期待やや後退】

FOMCの結果は、「11月から月150億ドル(国債100億ドル、住宅ローン担保証券50億ドル)のテーパリング開始」、来年央に終了するが「利上げ開始は急がない」。インフレ高進は一過性との見方を堅持した。事前に、米財務省が四半期国債入札規模の縮小を発表、また、ラガルドECB総裁が「来年利上げの可能性は非常に低い」と発言したことも影響したと見られる。

先々週、利上げ観測から2年債を中心に短期債利回りが上昇、長期債が低迷するフラット化(長短金利差縮小)が進んでいたが、FOMCを終え、一転、手仕舞いの動きでスティーブ化(長短金利差拡大)となった。米10年物国債利回りは一時、1.519%に低下した後1.60%台に上昇。2年債は一時3.6bp上昇後、急速に伸び悩み前日比横ばい強含み圏の0.45~0.47%台水準。原油相場は急落、WTI3.6%、約3ドル安の80.86ドル/バレル。

これらは、ある程度投機的ポジション、巻き戻しによるリスクヘッジポジションが解消されたと見られ、VIX指数(ボラティリティインデックス、別名恐怖指数)は5営業日続いた16台から15.10に低下、NYダウの連日最高値更新など相場を押し上げている。ただ、株高は決算発表で業績好調が続いていることも大きく、リフィニティブによるS&P500ベース(約360社が発表)の第3四半期増益率は40.4%。

やや穿った見方では、米軍制服トップのミリー統合参謀本部議長が「中国が台湾侵攻する可能性は当面低い(半年や1~2年と言う近い将来に起こり得るとは思わない)」との見解を示したことや、バイデン大統領が中国の極超音速兵器開発実験について「心配していない」と述べ、台湾情勢の緊迫感が和らいだことも背景と考えられる。中国情勢は今週8日から開催される「六中全会」、年内の米中首脳会談有無に関心が移りつつある。

米市場では不思議なぐらいCOP26が話題となっていないようだ。EV化など既定路線と見ているためかも知れない。今回のCOP26で最も目立ったのは「メタンガス削減」(グローバル・メタン・プレッジ)。100か国以上が参加を表明した。CO2の約80倍の温暖化効果があるとされるメタンガス削減(2030年に20年比30%削減)に本腰が入った。天然ガス成分でもあるので、天然ガス抑制に発展するリスクもあるが、主に石油・天然ガス生産・送油過程での発生対策が焦点になる。ただ、中国、ロシア、インド、イランが参加を見送っており、政治的駆け引き材料となる恐れもあろう。

 市場のリスク要因として、新たに来年2月に任期をえ終えるパウエルFRB議長の再任問題がある。4日バイデン大統領はパウエル議長トブレイナードFRB理事と会談をしている。市場ではパウエル議長再任説が大勢を占めているが、ウォールストリートでは再任されなかった場合を議論し始めているとブルームバーグは伝えている。大方の見方として、市場に優しいパウエル議長が交代なら短期的に「衝撃走る」こととなり、新議長就任なら金利に先行き不透明感も台頭すると言われている。再任か否かが決まるまで、債券市場を中心に値動きが荒い状態が続くと思われる。

 

【英中銀利上げせず、利上げ派後退、欧州株6連騰で最高値】

FOMC 明けの4日、注目のOPECプラスは、米日印などの増産要請に対し「追加増産見送り」を決定。ロシアなどの主張は、欧州のコロナ感染拡大(ロシアが最も酷い)による需要減、米国のシェール増産などを警戒する姿勢。ただ、サウジの産油量が近く、パンデミック以降、初の日量1000万バレルを超えるとの報道があり、原油相場は序盤の上昇から一転急落に転じた。北海ブレントは84.49→80.54ドル/バレル、WTI83.42→78.81ドル/バレル。米国では「増産に難色示していたシェール業者が生産拡大に向けて動き出している」との報道があった。バイデン政権は新規投資を禁止、米民主党左派はシェール撤廃を叫んでいるが、ホワイトハウスは既存産地に増産を呼び掛けているようだ。米国生産が中長期原油相場の一因になると考えられる。OPECプラスの次回会合は122日。

原油相場にも影響したと見られるのが「英中銀、緩和策維持」。ベイリー総裁が先月、「インフレリスクの高まりに躊躇なく利上げする」姿勢を示して以降、利上げ観測が優勢だったが、9人の政策委員のうち利上げ主張は2人にとどまった。資産買い入れ総枠も8950億ポンドに据え置いた。次回会合(1216日)での市場の利上げ確率は60%。チェコは利上げしたが、ノルウェー中銀は金利据え置き。ユーロ圏債券市場ではドイツ国債利回りが1ヵ月ぶりの低水準となった(10年物マイナス0.23%。英国債は13bp低下の0.941%、伊国債は11bp低下の0.937%)。欧州株式市場は6営業日続伸。STOXX欧州600種指数は最高値更新。独DAX指数も0.44%上昇し最高値を更新した。日本株出遅れの見方に繋がるか注目される。

そして、5日の米雇用統計。就業者増加数は531000人増、予想の45万人増を大きく上回った。NYダウもこれを好感し203ドル高で最高値更新を続けている。雇用統計に先立ち、先行指標の4日発表週間新規失業保険申請件数は前週比1.4万件減少の26.9万件。5週連続の減少で17か月ぶりの低水準だった。経済回復は順調に進展しているとの見方。  

今回の雇用統計を受けて、米10年債利回りは予想に反し低下した(前日の1.52%から1.45%に低下)。長期金利低下は10月の雇用統計が数日前のFOMCで決めた「当面利上げナシ」という金融政策を変えるほどではないと見て売りの持ち高を解消する(買戻し)動きだったようだ。米債券利回りは週初のスティーブ化(長短金利差拡大)からフラット化(金利差縮小)に変化する等、債券市場の動きは荒いという印象。

この先ワクチン接種強制化でNY市職員9千人が無給休職になるなど、ワクチン強制化による人手不足が懸念される状況。バイデン政権は100以上の民間企業に14日以降、義務化計画を導入する意向。

 

【与党予想議席数確保、ゆるーい追い風緩く吹く】

結局、自民党は総裁選の風を失い、立憲・共産は逆風となり、大幅増の維新は大阪旋風にとどまった。短い選挙戦の割に、途中で風が変わったと言われたが、メディアの願望が色濃かった結果。公示日に選挙プランナー・三浦博史氏の「与党で293議席」(当レポート1025日号参照)がほぼ着地点だった(無所属候補異動で多少変動する)。小選挙区敗北の甘利幹事長が辞任、しかし、相場的には大型補正予算が焦点と考えられる。

先々週末、各国の7-9月期GDP発表があった。米国は前期比年率換算+2.0%に止まり、4-6月期+6.7%から大きく減速、市場予想+2.7%を下回った。ユーロ圏は+2.2%と市場予想+2.0%を上回ったが、中核のドイツは+1.8%に止まった。資源国カナダは+1.9%に止まり、カナダ中銀予想を大きく下回り、利上げシナリオが怪しくなった。半導体絶好調の台湾は前年同期比+3.8%で市場予想+4.0%を下回ったコロナ感染急増と物流混乱が影響した。

日本は15日発表予定だが、マイナス成長観測(―0.2~―2.2%)。GDPギャップ感が日本株の重石だったと思われるので、是正される方向になる。10~12月期は感染急減、制限緩和の方向で、29日発表の内閣府10月消費動向調査では消費者態度指数が前月比+1.4ポイントの39.2195月以来の高い水準となった。消費行動が徐々に持ち直す期待がある。

同じく29日発表の経産省鉱工業生産では、10-11月生産見通しで強めの予想が出た。7-9月期は5四半期ぶりのマイナスだったが、10月は前月比+6.4%、11月同+5.7%。「4割減産」のトヨタ・ショックが重石だったが、部品・半導体不足の最悪期を通過しつつあるとの見方。トヨタはSUBARUと共同開発したEVbz4x」を発表。日本車メーカーがEV(電気自動車)に本腰を入れ始めた動きが評価される流れが期待される。なお、デンソー決算は通期予想を据え置き、逆風を凌ぎ、年20円増配の意向。

決算では、TOTOが上方修正を行った。ライバルのLIXIL」は通期予想据え置きなので資材高騰、物流混乱のダメージ警戒は続くが、噂された中国恒大など中国不動産業界の崩壊懸念(日本の住宅設備は中国高級マンションの必須アイテムだが、手形支払いが滞っているとの懸念)は今のところ見られない。行き過ぎ警戒は当面是正されよう。

28日に黒田日銀総裁は「現在の円安は経済にプラス」と容認姿勢を示した。30日付ブルームバーグは「キャリー取引が急速に復活、年間リターンは16年以来で最大にも」と伝えた。円キャリートレードとは書いていないが、衆院選通過で円安トレンド再開となるか注目されている。

日本株の動向は売りポジションの買い戻し圧力で変わるが、ゆる~い追い風(それほど強い追い風ではないと言う意味)に変わったと受け止められる。TOPIXの高値更新(9142120ポイント)を視野に入れたい。

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