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2021年11月15日

【Weekly No.310】中国恒大デフォルトか、そして米CPIでインフレ懸念高まる

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  1. 中国恒大デフォルトか、そして米CPIでインフレ懸念高まる
  2. 債券版恐怖指数が高騰
  3. 六中全会終え、中国は一時柔軟姿勢に転換か
  4. 海外投資家人民元建て資産に注目視線

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Weekly 1115

 【中国恒大デフォルトか、そして米CPIでインフレ懸念高まる】

10日米債利回りが急上昇した。前日の1.43%から一時1.59%まで上昇し、引けは1.55%だった。中国恒大問題が影響したとは伝えられていないが、株価急落(GAFAなどが1~2%台で下落)を含め、ベースに中国情勢があると考えられる。米東部時間の10日までに約170億円の利払いを行わないとデフォルトすると言われていた中国恒大の情報が交錯していたのだ。期限までに利払いを受けられなかったとし、独DMSA(ドイツ市場審査機関)が破産手続きを進めているとドイツ通信社が伝える一方、ブルームバーグは「再びデフォルト回避の見込み」(国際証券決済機関クリアストリームの話として、複数の顧客が利払いを受け取ったとしている)と伝えた。今回は3本のドル建て債利払いだが、クロスデフォルト条項があり、他の20本も一斉にデフォルトとなる。おそらく、他の不動産会社も危機状態に一段と追い込まれる。

この日の米国10年債利回り急上昇のもうひとつの大きな要因は、10CPI(消費者物価指数)が前年同月比+6.2%、31年ぶりの大幅上昇となったこと(市場予想+5.8%、9月は+5.4%)、250億ドルの30年物国債入札が軟調と伝えられたことなどがある。30年債利回りは一時1.988%(前日1.821%)、前述したように10年債は取引時間の大半を1.592%(前日1.449%)から1.57%前後で推移。前日まで、手仕舞い的な動きで金利は低下していたが、ポジション調整が終了したのか、待機勢が動いたのか、一斉反転調整局面になったと思われる。

バイデン大統領は「インフレ反転が最優先」とし、NEC(米国家経済会議)にエネルギー価格抑制を抑制する方策を検討するよう指示した。この悩みは中国も共通なので、対話の糸口になるかも知れない。これを受け、ドル高、原油反落で反応している。中国情勢を睨みつつ、目まぐるしい攻防になりそうだ。

 

【債券版恐怖指数が高騰】

世界中の債券トレーダーが中央銀行にインフレへの対応を促そうとする中、10日の米国債で前述したように大きな価格変動が見られた。ブルームバーグの米国債流動性指数によると、米国債の取引環境は2020年3月以来、最も悪化しているそうだ。つまり米国債の流動性が縮小していると報じている。昨年316日は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界中の中銀が大規模な緊急措置を打ち出した時期と同じ流動性の枯渇ということになる。流動性が枯渇すれば価格の変動幅が大きくなることを意味する。もうひとつの米国債に関するデータで債券版恐怖指数と言われるMOVE指数(予想されるボラティリティを示すICE・BofA・MOVE指数)がある。米国債利回りが急上昇した10日のMOVE指数は78に急騰、昨年4月以来の高水準近辺にある。ちなみに、直近の最高値は昨年3月の140近辺。指数が上がれば、近い将来債券市場の変動が大きくなることを意味する。

FOMC(米連邦公開市場委員会)は今月2、3両日の定例会合で、米国債など資産購入の縮小を開始し来年半ばまでに終了することを決めた。パウエルFRB議長は、資産購入のテーパリング(段階的縮小)スケジュールは利上げ時期を示唆するものではないと説明するとともに、インフレ状況に応じて妥当と判断されれば、ためらわずに行動する考えを示した。

しかし、MOVE指数を見る限りでは、市場は米CPIのピークはまだ先かと疑心暗鬼に陥っており、少なくても現時点ではFRBへの信頼感をなくしつつあるとことを物語っているようだ。債券版恐怖指数の高騰は、今後数週間で米債券市場は荒れると予想しているのだ。

 

【六中全会終え、中国は一時柔軟姿勢に転換か】

11日の時点では結局、中国恒大からは何の発表もなく、米債券市場がベテランズデー休場で発震源が無風の状態となった。中国六中全会が終了、「歴史決議」と「習礼賛」しか報道されていないが、権力闘争は表面化しなかった様で、ヤマ場を乗り切った習主席がソフト路線に転換したかのようなニュースが相次いでいる。15日夕方にセットされたオンライン会合では、バイデン米大統領を北京五輪に招待する意向と報道された。北京五輪は欧米から政治的ボイコットの対象とされ、海外観光客も受け入れない方向と見られていたことを無視する姿勢。日本でも、岸田政権は親中政権との見方が強まり、来年の国交回復50周年で習主席国賓来日の思惑が再燃、水面下での攻防が始まっているようだ。11日のニュージーランド主催のAPEC会議で習主席は「アジア太平洋地域は冷戦時代の緊張と孤立に戻ることはできず、戻るべきでない」とビデオ演説を行った。台湾問題や貿易問題で米国を牽制したのだ。

不動産問題で、中国有力3紙が一斉に、規制緩和観測を流し、10月に急増した銀行融資が11月も増勢が続く見通しとした。アリババの「独身の日」セールが前年比14%増と発表され、滴滴グローバルが複数のアプリ再投入準備中との報道もあり、米ナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数は5.1%高、107日以来の上げ幅。

米国は前日にブリンケン国務長官が「台湾に中国が武力行使なら同盟諸国と行動を取る」、バイデン大統領は「米安全保障の脅威となる中国企業に新たなライセンスや機器の提供を禁止する」法案に署名した。ファーウェイやZTEなどが対象。米政権はバイデン大統領がアフガンのように暴走しない様、周りを固めている印象。

中国問題が一気に根本的に解決に向かうとは考え難く、不動産バブル崩壊などによる中国経済への懸念も続くと見られるが、売り方にとっては買い戻しを余儀なくされる可能性がある。15日には北京証券取引所がスタートする。金融市場の正常化・資本自由化が進められるか(ウォール街の引き回し)が一つの焦点になると考えられる。

8日、米FRBは半期に一度の金融安定報告書を発表、高リスク資産の価格上昇を警告した。新たに台頭しつつある脅威として、法定通貨に連動するステーブルコイン、中国の商業不動産部門の脆弱性、市場のSNS連動の急激なボラティリテイの高まりなど。従来のMMFの脆弱性なども列挙したと伝えられた。中国不動産部門の混乱リスクを挙げたことで、日本市場への影響懸念度が大きいことを連想させる。

中国情勢は不透明だが、今のところ日本のポジションは悪くはない。欧州の感染拡大に対し、世界でも目立つほど感染収束を見せていること、企業決算も5日時点(開示率53.7%)で東証一部企業の4-9月純利益は2.4倍と報告されていること、日本国内最大規模のM&A案件とされる東芝の事業3分割案が報じられ、M&A市場が動いていることなどが挙げられる。出遅れ感修正のタイミングを睨みたい。

 

【海外投資家人民元建て資産に注目視線】

15日に米中首脳会談暫定設定と報じられているが、この中国不動産市場破綻危機と関連しているのかどうか、10日、在米中国大使館が「習主席は米国と協力し相違を適切に管理する用意がある」との声明を出した。一時的に対立姿勢を緩和し、不動産危機、電力危機、経済危機への協力を求め始めたのか、バイデン大統領の親中姿勢につけ込む隙があると踏んだのか、分からないが、水面下の駆け引きが活発化している可能性がある。9日には「米ゴールドマンサックスが中国不動産の社債、他社敬遠のディストレス債購入」と報じられた。また、中国銀行間債券市場規制当局と一部の不動産会社が会合を持ち、「不動産会社は近い将来、公開市場で債券を発行し銀行などが債券投資で支援する」と伝えられた。同社が指南している可能性がある。

 13日付け日経新聞10面に英フィナンシャルタイムズの記事を紹介している。同誌によると、海外の投資家が中国市場に熱視線を送っているそうだ。海外投資家が保有する人民元建て株式と債券は9月末時点で75000億元(134兆円)になり、20年末から7600億元増えたことになる。7月以降、海外に上場する中国のテック企業大手に中国政府は相次いで規制を強化、その結果世界の株式市場は少なからず調整を余儀なくされた経緯がある。ソフトバンクのビジョンファンドなどは巨額の損失を被ったと言われている。

 今や米市場に上場する中国株はいつどんな規制がかかるか不透明で、以前のように投資に適さなくなった。逆に海外投資家はA株と言われる上海・深セン取引所に上場する元建て株式に注目しているそうだ。また世界の国債指数に中国国債を入れる動きもある。米金利を巡り世界経済の混乱の中でも人民元相場が崩れないことで「元建て資産に対する信頼感」が高まっている。

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