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2021年11月22日

【Weekly No.311】機関投資家のコマメな調整が圧迫か、次のシナリオ模索中

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  1. 機関投資家のコマメな調整が圧迫か、次のシナリオ模索中
  2. 何が日本株の重さになっているか
  3. FRBの次期議長が今週決まる

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Weekly1122

 【機関投資家のコマメな調整が圧迫か、次のシナリオ模索中】

17日発表の投資主体別売買動向で、11月第2週の海外投資家は現物372億円の売り越し(第1週は1453億円の買い越し)、先物3148億円の買い越し(同1032億円の売り越し)だった。主に日経平均先物主導の上昇場面を演出したと見られるが、実勢は見送りだったと思われる。

売買中心の海外勢が動かないと、機関投資家の細かなポジション調整が全体を覆う。18日も日経平均は89円安、東証一部値下がり銘柄数1314(値上がり数770)、新安値221(新高値44)と地合いは悪かった。19日は日経平均147円高だったが、値上がり、値下がり銘柄数はほぼ同数、ただし新安値127(新高根60)だった。地合いの悪さの理由として、例えば、GPIF(公的年金運用)は「コマメなポジション調整」を表明しており、来春の東証区分変更(TOPIX組み替え)に備えた動きが始まっている可能性がある。フィデリティは「ポートフォリオの温室ガス排出量を30年までに半減」する計画を表明している(ポートフォリオからエネルギー多消費産業は外される可能性がある)。また、単純に個人投資家の信用買い残の調整場面かも知れない(買い残全体は3.5兆円規模で横ばい)。

17日は一時的に「経済対策規模55.7兆円」報道に反応し急騰場面があった。それまで40兆円規模との観測で各論に失望感があっただけに、55.7兆円に目先筋が飛びつく格好となった。翌日夕方に正式決定された。これからは日本経済の浮揚力が議論されてくるだろう。

もう一つ、経済安全保障の閣議も開催される予定。経済対策とダブル部分があるが、既に「半導体産業基盤強化策」を盛り込む意向を萩生田経産相が表明し、半導体関連株の上昇に投影されている(日本企業の半導体売上高を2030年に20年比3倍の13兆円規模にする目標)。余談だが、17日に栃木県那須町で「ナスコンバレー協議会」が発足した。那須を中心にシリコンバレーのような技術開発拠点を創ろうとする動きで、ベンチャー20社が参加。

こういった動きが何処まで広がるか、日本経済活性化の基盤となるか注目したい。課題の一つに米国の圧力がある。このところ、バイデン政権は原油備蓄放出要請、対中先端技術製品輸出制限など、やや強引とも見られる動きを強めている。例えば、米インテルが計画していた中国・成都の半導体工場能力増強投資がバイデン政権の要請で暗礁に乗り上げている。韓国SKハイニックスが計画していた無錫工場先端化計画が頓挫する可能性も報道されている。中国の軍備近代化につながる先端技術流出に神経質な状況にある。

日本企業がこの状況を踏まえ、政府の経済安全保障策に呼応して、国内投資を活発させるかが大きな注目点になる。中国は中国で、国産ハイテク化を推進中で、ユックリと次世代産業構造を巡る再評価・再位置づけに向かっている局面と考えられる。

 

【何が日本株の重さになっているか】

TOPIX1029日以降、15営業日連続で2000ポイント台をキープしているので、底堅い展開と言えなくもないが、前述したように値上がり、値下がり銘柄数を見ていくと、地合いの悪さが目立つ展開。空売り比率は11営業日連続で40%台。米株上昇は売り方の買い戻しが一因になっているのに対し、日本市場では今のところ顕著になっていない。

本来、この局面で期待材料となるはずの新たな経済対策の評判が良くない。12月上旬招集の臨時国会で速やかに成立の予定。「18歳以下10万円給付」、「看護・介護関係給与引き上げ」、「ガソリン税停止の代わりに補助金」など伝えられる対策案はセコイとの失笑観。  

自民党は「政調全体会議」を開き大激論になっているようだ。官邸主導に非難が集中しているようだが、岸田首相は「スピード感を持って」と言っているが、実行は年明け以降にずれ込むと見られている。

退陣のハズのメルケル独首相が中国李克強首相と電話会談を行い、「中国が建設中の新石炭火力発電所を効率的にするよう促し、ドイツ企業が専門技術で後押しできる」と表明したと17日付ロイターが報じた。石炭火力廃止、中国への最新技術供与禁止などの流れは意に介していないようだ。日本が同様のことをやれる状況にはないが、だかと言って安全保障などで強く出ることもない。この曖昧路線が中国経済の影響度が大きいと見られている日本経済の重石となっている可能性が考えられる。

韓国・中央日報が「一人で金融緩和続ける日本・・・円相場は48ヵ月ぶりの円安水準」と題する記事を配信した。自分のところはさて置き、日本に冷ややかな記事を載せがちだが、日本の物価が動かない点を指摘し、日銀が政策変更できないとしている。この金融特異性が日本経済の展望を難しくし、さらに、首相が掲げる「新しい資本主義」とは何か見えないことで方向感のない相場になっている可能性がある。

また、ハンギョレ新聞は「脱炭素・脱原発にためらう日本に国内外から厳しい視線」、石炭火力廃止に署名しなかった日本を揶揄している(米中に批判の鉾先を向けられない)。「孤立する日本」は果たして影響しているのかどうか。そう言えば、コロナ感染激減でも孤立している。市場が経済活動回復材料と見做されないのは不思議だ。

海外市場で17日原油相場が急落した。約1か月半ぶりに一時77ドル台/バレル。IEAOPECから需給緩和見通しが相次ぎ、バイデン米大統領はガソリン価格の違法性調査に言及した。122日の次回OPECプラスまで、まだ間があり、ポジション調整が出ていると見られる。19日には一時75ドル台まで下落(引けは76.10ドル)、要因はバイデン大統領の中国への備蓄放出要請で、この日のNYダウも石油株下落が影響(ナスダックは最高値更新中)。

 

【FRBの次期議長が今週決まる】

 今週23日は日本の勤労感謝日、そして25日は米国での感謝祭(サンクスギビングデー)で市場は休場となる。18日、バイデン大統領は次期FRB(米連邦準備理事会)議長をこの感謝祭までに発表すると語った。次期議長レースは事実上、パウエル議長かブレイナード現FRB理事に絞られている。大げさに言えば、今週米国の金融政策の方向性が決まるのだ。

 市場にはブレイナード理事がパウエル議長よりハト派であり、米金利には低下圧力がかかり、米株などリスク資産にポジティブとなる一方、最近堅調な米ドルは下げるとの見方がある。しかし、仮にブレイナード新議長になったとしても、現在のパウエル体制よりもハト派化し、米金利が低下。それに伴って足元の米ドル高トレンドが崩れるとは考えてにくい。

ブレイナード氏はオバマ政権下、米財務省で国際担当次官を務めていた。当時財務長官だったガイトナー氏が20131月に退任した。ちょうどその頃、日本では安倍政権が誕生し、それまで円相場は80円を下回っていたが、政権発足後95円近くまで円安、ドルが急騰した。この時、同氏は「各国はゲームのルールに従うべき」発言をしている。この発言で日本政府関係者の円に関する不規則発言が急速に減ったと言われている。この発言でブレイナード次官が米国の国際政策の前面に躍り出てきた瞬間だった。当時、同氏は「日本には比較的親和的だ」との印象もあった。それは知日派であるキャンベル国務次官補(当時)が配偶者であることに関係があるのかもしれない。(セクハラ発言かもしれないが、ブレイナード氏は女性)

今週に入って筆者が注目したのは、サマーズ元財務長官の「インフレがトランプ氏返り咲きをもたらす可能性」との発言だ。過去、インフレが抑制されなかった時代、ニクソン、レーガン氏の共和党が政権を握ったと、ブルームバーグに語っている。この発言はバイデン大統領を含め米民主党関係者の多くが共有する危機感になっている。どうやら来年の中間選挙に向けて、バイデン政権の経済政策の焦点はコロナ危機からの景気回復と最大雇用の達成にあったと思われるが、軸足は今やインフレへの対応に移っている。このことは、パウエル議長、ブレイナード理事両氏とも認識を共有しているはずだ。

FRB議長職を担うのがパウエル現議長、ブレイナード理事のいずれでも、対インフレを重要政策とすれば、現在よりも政策スタンスがハト化するとは考え難い。特にブレイナード理事の場合は、市場でハト派との見方が根強いだけに注意が必要だ。FRB最強のハト派が、インフレ退治でタカ派に転じる時、市場に与えるショックは大きくなるだろう。

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