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2021年11月29日

【Weekly No.312】岸田政権に「改革ナシ」、市場は見透かす

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  1. 岸田政権に「改革ナシ」、市場は見透かす
  2. 新型変異ウイルスで世界の株価は大幅安
  3. 米感謝祭後、来年睨んだ市場の動きへ
  4. 日本の祝日に円安、そして原油備蓄放出など動き目まぐるしく

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Weekly 1129

【岸田政権に「改革ナシ」、市場は見透かす】

 26日の日経平均は747円安、一時900円安近辺まで下げた。下げの理由は南アで新たなコロナ変異株が発見、コロナ拡大を嫌気し、さらに前日は米市場が感謝祭で休場、その代替として流動性のある日本株が海外投資家を中心に売られたとのコメントもあった。実は24日もダラダラ下げて日経平均は471円安。この日の下げは理由がはっきりしない状態だったので、首をかしげる投資家が多かったのではないだろうか。この日の下げを25日の日経新聞の証券欄のコラム「スクランブル」は巧く説明している。22日にパウエルFRB議長の再任で米10年債金利は上昇した。この10年債金利の上昇と日本の自動車株や金融株等のバリュー株(割安株)は連動して上昇するはずが、この日はこうした割安株まで売られている。いくら割安でも買われないのは構造的な問題を抱えているからだとこのコラムは指摘している。

そのキッカケは、16日付け日経新聞で「新しい資本主義を問う」というシリーズが始まったところにあると個人的に思っている。最初の第1弾はエコノミストの岩井教授。筆者は、日経新聞が第1弾として紹介するのだから、岩井教授の考えが経済学界のオピニオンだと思っている。彼の「新しい資本主義」とは「過度な株主還元の見直しを」と言っている。つまり欧米の株主還元を評価せず、もっと設備人材に投資を増やすべきとしている。  

しかし、株主還元が盛んな米国では、投資がおろそかであったかと言うとそうではなく、この 6 年間に利益の 1.9 倍に相当する 11.78 兆ドルが投資に振り向けられているのも事実だ。岩井氏のような意見には個人的にかなりの違和感を感じた。欧米の経営者に慣れた海外勢なら筆者以上の驚きだろう。要するに、海外勢は岸田首相の「バラマキ」や「新しい資本主義」を評価せず、マラソンで例えると「欧米で2時間台でいかに美しいフォームで走るかを議論しているのに、4時間台でも許されると誤解している日本の経営者が多すぎる」(内閣官房の新しい資本主義を実現懐疑メンバーの冨山氏)とコラムでは言及している。岸田首相の「新しい資本主義」とは「ROE(自己資本利益率)2桁に引き上げず、株主への利益配分もソコソコに」と海外勢は読んでいるようだ。そうであれば日本株はマクロでは買えない。個別の企業情報だけが買いのキッカケとなるのだろうか。岸田首相もご自分が考える「新しい資本主義」を公表してみたらどうだろうか。岸田政権本格始動で、大型経済対策期待相場の見方もあったが、市場では見事空振り。総裁選での主張が消え、大昔の田中角栄‐大平正芳体制への回帰を連想させる動きに岸田株の暴落を主張する向きも出ている。

 

【新型変異ウイルスで世界の株価は大幅安】

 新たな変異型ウイルスについて経済への影響は不透明だが、各国が次々と渡航制限を発表したことで、26日の世界株式市場は大荒れとなった。南アフリカやボツワナ、香港で確認された変異株についてはほとんど知られていないが、科学者によるとこの変異株は非常に珍しい変異を持ち、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性があるそうだ。この話は日東京市場から始まり、日経平均はー2.53%、上海はー0.56%、香港ハンセン指数は—2.67%、アジア市場は3%以上下げた市場はなかったが、欧州では英国が―3.64%、ドイツは—4.15%、仏は—4.75%、米国はNYダウが―2.53%、ナスダック―2.23%S&P500は—2.27%ト先進国は軒並み大幅安。

 現状では世界経済への影響はわからないが、ほとんどの国の渡航制限は、対象が南ア及び周辺国からの渡航者であって、それ自体は世界経済への影響は大きくないのではと思っている。市場にとって「わからない」ことが最大のリスク要因であって、少しずつ事態が分かれば落ち着くだろう。株価大幅下落のニュースを見て、最初に思ったことは、これで米国市場での利上げ議論は抑えられていくだろうということだ。12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でどういった議論がされるか、市場は注目していくことになる。ちなみに26日のNY為替市場では、米金利下落でドル安、円高、113.05円の引け。2日前は115円台だったから、大幅にリスク回避の円高となったわけだ。

 

 【米感謝祭後、来年睨んだ市場の動きへ】

米感謝祭は恒例行事、イベント復活で盛況と伝えられる。バイデン大統領は「米国が戻って来た」と宣言したようだが、コロナ感染者数は110万人前後が続いており、内外情勢に不安感、不透明感を抱えた状況。ブルームバーグによると、米休場で、アジア株は17%、欧州株は26%、中南米市場は30%、出来高が減少したと言う。BofA(バンクオブアメリカ)によると、今年これまでの株式ファンドへの資金流入額は約9000億ドル(104兆円)、過去19年間の合計額を上回っていると言う。来年の利上げシナリオなどで、強弱感が割れる背景の一つになっている。

感謝祭明けは通常なら年末ラリーに入り、来年のポートフォリオ再構築に向かう。余程の事がなければ、機関投資家は年末評価が欲しいため、高値揉み合いのイメージが前提。ただ、Xmas波乱のケースもあったこともあり、緊迫感が続くと考えられる。

感染再拡大の震源地・欧州で抑制策導入が相次いでいる。ドイツの8万人を筆頭に、チェコでは大統領が感染・入院、30日間の非常事態宣言。オランダ、フランス、比較的少ないポルトガルなど続々と行動制限、ワクチン接種義務化・拡大などに走っている。25日、英保健当局は南アで感染が広がっている変異株について、「デルタ株の2倍の数の変異を持つ」と警鐘を鳴らした。劇的に異なるスパイクタンパクを持ち、ジャビド保健相は「ワクチンの効果が低い可能性がある」と述べた。ワクチンの有効性、副作用については正しく伝えられていない(公開されるのは55年後との説がある)ので、評価はできないが、WHOなどで協議が進められている。足元でコロナ再拡大の金融市場への影響は大きく減退しているが、26日の市場の動きからは、そうとは言えなくなってきている。

25日、米ゴールドマンサックスは「FRBのテーパリング(資産購入縮小)は来年1月から縮小ペースが300億ドルに倍増され、3月半ばまでに完了される」との見方を表明した。来年央から大幅前倒しされることになり、「ペース加速でも金融市場は衝撃を受けない」としている。利上げは6月開始、22年中に3回実施としている。これも新たな変異型ウイルスにより、この議論はしばらく保留となり、かなり不透明となってきている

中国情勢も弱材料視される公算がある。一つの焦点として、25日中国高官が「中国企業が米市場で上場廃止にならないよう協議している」と明らかにした点が注目される。2012月に米国監査基準を順守しない外国企業の上場を廃止できる法案が成立。3年間の猶予期間にある。中国企業にとっては死活問題だが、果たして米国基準を受け入れられるか、中国変質が可能かどうかの試金石の一つと見られる。一般的には、北京五輪攻防、台湾情勢緊迫化、中国経済失速度合いなどが焦点と見られる。

 

【日本の祝日に円安、そして原油備蓄放出など動き目まぐるしく】

昔は「日本の祝日は円高に注意」と言われたこともあったが、今は円安に振れる。米時間22日に「パウエルFRB議長、続投」が発表され、23日アジア時間にドル円はフシ目の115円を突破した。多少ズレた観があるのは、「ヘッジファンドがドルロング(ドル買いポジション)減らす-米利上げはまだ先との見方広がる」(22日付ブルームバーグ)とドルロングの手仕舞いとの綱引きがあったためと見られる(16日時点のIMM通貨先物取組状況で円ショート(売りポジション)は93126枚、前週比12225枚減少)。不透明要因が一つ消え、待機勢が動き出した印象がある。

日本時間23日夜に米、英、日、韓、印5か国による石油備蓄放出が発表された。ただ、原油相場は想定範囲内と見切り、WTI相場は75ドル台/バレルから78ドル台に上昇した。OPECプラスが備蓄放出に対応する可能性が高いと警告し、122日会合に向け、緊張が高まる公算がある。米金利上昇が原油相場の再上昇を睨んでいるか分からないが、不安定要因の一つとなろう。

これらのニュースよりも驚いたのが、「バイデン大統領、24年の次期大統領選で再選目指す意向」。サキ報道官の発言だが、健康不安説などを一蹴したいのであろうか。中国政府に協力するIOCバッハ会長といい、墓穴を掘らなければ良いが・・・と思った。

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