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2021年12月20日

【Weekly No.315】世界的に利上げムード、米株上値に早くも三つの警戒感

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  1. 世界的に利上げムード、米株上値に早くも三つの警戒感
  2. FOMC、テーパリング倍増、223回利上げ姿勢
  3. キシダイブとトヨタの本気

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Weekly 1220

 【世界的に利上げムード、米株上値に早くも三つの警戒感】

米国版餅つき相場か、と思わせる目まぐるしい展開となっている。ニュースから見ると、個別企業を中心に重石となっている材料は三つ考えられる。

一つは、16日の金融政策会合で利上げが相次いだこと。英中銀が据え置き予想に反し政策金利を0.1%から0.25%に引き上げた。委員票数は81、国債買い入れ枠などは据え置いた。予想されていたノルウェー中銀の利上げは0.25%(0.25→0.50%)。

過去3ヵ月で2度目、来年3月にも追加利上げ示唆したメキシコ中銀は予想上回る50bp引き上げ5.50%に、5回連続の利上げ。ECBは「コロナ対応策3月終了、資産買い入れは継続」を決定した。前日15日はFRBのタカ派姿勢を好感したが、利上げが現実のものになると株価上値に警戒ムードが出ている。ただし、この日の英、欧州株は上昇、米債市場は利回り低下で反応薄。

英国のコロナ感染者数は88376人。一日1万人増に近いペースとなっており、仏は英国からの入国を原則禁止。英王室はXmas前恒例の昼食会を中止など慌ただしさを増した。また、欧州議会は15日、「デジタル市場法(DMA)」改正案を可決した。元は米IT大手が対象だが、旅行予約サイト運営、衣料ネット通販なども加わり、中国アリババも対象。先週末にイタリア政府は米アマゾンに約1450億円の制裁金を科している。優越的地位を乱用して市場競争を歪めたとしている。欧州発で、景況感を揺るがす材料、個別企業リスクがある。

中国ではスタバの衝撃がある。13日に表面化したが、無錫市のスターバックス2店舗で、期限切れ食品の顧客提供、ゴミ管理など衛生管理違反などが中国メディアの潜入取材で判明。スタバは謝罪し、店舗点検、従業員教育実施を表明したが、少なくとも8都市の市場規制当局がスタバ各店を検査中。どういった制裁に発展するか、スタバの中国内店舗は5360店と米国に次ぐ規模にある。

16日、米上院はウイグル強制労働防止法案を可決。これに合わせ、輸出禁止対象の「エンティティリスト」に34の機関・企業を加えた。ドローン最大手DJIなどが含まれる。中国の半導体大手への制裁厳格化検討も伝えられる。米株にとっては、今までのチャイナリスクはマクロ的だったが、中国がよくやる個別企業狙い撃ちに発展するか、警戒ムードが漂うと見られる。

 

【FOMC、テーパリング倍増、223回利上げ姿勢】

15日の米FOMC結果は、テーパリング(資産購入縮小)加速(月150億ドル→300億ドル、来年3月に終了)、22年末までに3回の利上げ(0.25%ずつ)方針を示した。来年のインフレ率2.6%(9月時点2.2%)、失業率は3.5%に低下を見込んだ。政策金利は231.6%、242.1%と継続的に引き上げる姿勢を示し、インフレ率を目標の2%に回帰させる意向。インフレが「一過性」との文言は削除された。

市場の想定範囲内だが、タカ派寄りの姿勢。市場の懸念はコロナ禍による経済停滞からインフレ高伸による企業収益圧迫にシフトしていたと見られ、FRBのインフレファイター姿勢を好感したものと考えられる。この日のNYダウは383ドル高、ナスダックは327ポイント高(2.13%高)は待機勢の買い(株高に持続性)か、買い戻し(一過性)かと見られたが、日本株も含めて翌日からの下げを見ると、どうやら当日は買戻しによる上げであり、その後買いが続いていない。

多少気になったのは債券市場の方が反応が鈍いように見える点。発表後の終盤取引で2年債は3.8bp上昇の0.697%だが、10年債は2.4bp上昇の1.463%、30年債は3bp上昇の1.849%。長短金利差が縮まりフラット化した。朝方発表の11月小売売上高が前月比+0.3%、市場予想の+0.8%、10月の+1.8%を大きく下回ったことが一因と見られ、成長鈍化を意識している可能性がある(商品不足や消費者の買い物前倒しの影響があると見られる)。

また、株式市場はこの日米上院が国防権限法を可決したことも好感した可能性がある。予算総額は7700億ドル、前年度予算を約5%上回り、ウクライナ対策3億ドル、インド太平洋の米軍強化71億ドル拠出などが盛り込まれている。安全保障体制が強化された。さらに、前日までに連邦債務上限問題にメドがつき、バイデン大統領が看板政策の気候変動・社会保障関連歳出法案「ビルド・バック・ベター」1.75兆ドル規模に、「合意は近い」と述べたことも好感した可能性が考えられる。年末ラリーを補強しよう。

パウエルFRB議長は、オミクロンに対し「影響がどの程度になるか不透明だが、米経済はこれまでの経験から対処できる」と自信を示した。市場も楽観的と見られる。ただし、英国の15日の感染者数は78610人、18日の68053人を一気に上回ってきた。WHOは「オミクロン株へのワクチン効果、限定的な可能性」を警告した。事態は引き続き流動的と見て置きたい。

 

【キシダイブとトヨタの本気】

岸田政権の人事・政策失望で株価が急落する様は、早くもキシダイブと呼ばれ始めている。14日は、「自社株買いガイドライン」が伝わると急落する場面があった。「新しい資本主義の重要ポイント」としているので、それなりに本気と思われるが、既に「撤回・修正」の山を築き始めているので、実際の影響度は不明。参考までに18日付け日経新聞証券欄のコラム「スクランブル」に「自社株買いは悪なのか」と題して書いている。ここで言っていることで、宏池会の大先輩である池田元首相が市場の力を積極的に利用した考え方とは、岸田首相は大きく異なっているとしている。従来から思っていたが、「自社株買い規制」が岸田首相の「新しい資本主義」という考え方は間違っており、市場は全くこの政権を評価していない。市場に評価されない政権はいつの時代でも短期で終わる。与野党ともにこのことは覚えておくことをお薦めする。

海外投資家から見た岸田政権の最大の課題は、「バイデン政権との溝」と言われ始めている。岸田政権の親中姿勢にバイデン政権がイラつき始めているとの指摘だ。先般もバイデン政権が民主主義サミットに合わせて準備した北京五輪外交ボイコットに協力できなかった。多数国が集まるEUとは異なる立場だが、どうも理解できていないと見られている。

希望しながらも未だに日米首脳会談のメドが立っていない。代わりに「2+2」の年明け開催に注力中。親中派代表の林外相はG7でブリンケン国務長官と一応会談したが、僅か25分、共同メッセージもなかった。日米会談の動向が焦点の一つとなろう。

トヨタが本格的EV(電気自動車)計画を発表した。「2030年目標、世界で350万台」が前面に出ているが、4兆円投資、全方位維持、グループ(デンソー、アイシン、豊田通商などの譜代大名に加え、マツダ、SUBARU、スズキなど外様大名も体制を整える。2030年までの基幹資源は豊田通商が確保と言われる)を挙げての体制作りとトヨタらしい本気度。もっとも象徴的な豊田章男社長の発言は、「今までのトヨタのEVには興味はなかった。これからのEVには興味がある」。イーロン・マスク氏がテスラ株を売り始めたのも、トヨタの本気を見てのものではないかとの連想がネットで飛んでいる。

発表会場では、EV5台を並べたが、その後ろに11台。さらに203030車種と発表し度肝感を出した。対抗馬はVWと中国車ではないかと推測されている(米車や他の欧州車は既にライバルでない?)

中国では新たに浙江省でコロナ・クラスターが発生、少なくとも上場企業20社が操業停止に追い込まれているとされ、バッテリー、染料、プラスチックなどで生産障害が広がっていると言う。また、不動産開発の世茂集団・グループ会社の株・債券が暴落し、不動産懸念の重圧感要因となっている。成約販売ベースで業界13位のグループで、比較的財務力が強いとされていたようなので、衝撃が走っている。17日支払期限の元建て債3000万元(約5.4億円)に加え、120億元債などが次々に到来するとされる。

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