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2021年12月27日

【Weekly No.316】米株8~9割戻り、新年相場への視線模索

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  1. 米株8~9割戻り、新年相場への視線模索
  2. ESG投資、隆盛に向かうか
  3. 日本企業の構造改革で筋肉質化、来年加速へ
  4. 20日の日米株価下落、売り仕掛けの様相

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Weekly 1227

 【米株8~9割戻り、新年相場への視線模索】

24日のクリスマス休場を前に、米株は23日まで3営業日続伸、NYダウ36000ドル弱、ナスダック15600ポイント台、S&P500指数4700ポイント台で戻って来た。この日、米10年債一時1.5%台、ドル円114円台、WTI原油相場73ドル台/バレルと8~9割戻った印象。米VIX指数(恐怖指数)は17.96で安定,17ポイント台は1119日以来の低水準(日、欧は19ポイント台で取り残され感)。クリスマスから新年は大きな出来事は起こらないとの読みであろうか。

感染爆発中の欧州で、フランスがメルク経口薬モルヌピラビルの発注を取り消した。メルクが11月末に重症化防止効果が約30%に止まったと発表したことを理由に挙げているが、米ノースカロライナ大学が「ヒトDNAに突然変異を起こし、発がんリスク、胎児に先天性欠損症を引き起こす可能性がある」と発表した(13日にNYタイムズ報道)ことが影響していると考えられる。米FDAは緊急使用を認めたが、妊婦などは避け、重篤者用とした。一歩遅れていたファイザーのパクスロピドに傾斜する流れ。

アジアでは、中国・西安市が都市封鎖(感染発表は234例だが、北京から900kmで厳戒体制。他の伝染性疾病発生の報道もある)。ベトナム(1.8万人弱/日)の感染増も警戒的に見られているが、総じてアジアは欧米に比べ深刻さが薄い。

その中で、アジア市場を巡るニュースが注目される。22日世界鉄鋼協会が発表した11月粗鋼生産は前年同月比10%減、中国22%減、独0.3%減に対し、日10.7%増、米13.8%増、露9.4%増。不動産危機、電力不足などで中国経済の構造変化を示唆する。

インドは半導体メーカー誘致へ、「100億ドル助成計画」を発表。「脱中国」の一環と受け止められる。23日付ブルームバーグは「アジアの富裕層、ヘッジファンドやPE(プライベートエクイティ)に記録的ペースで投資」」と伝えた。中国・習路線の「共同富裕」の影響が懸念されるが、日本の金融界もアジアのスタートアップ企業投資に走り始めている。表裏一体が富裕層ビジネスで、来年もアジア市場争奪が激戦となろう。脱中国も含め、アジア市場への視線は熱く、日本企業の展開力も問われることになりそうだ。

 

【ESG投資、隆盛に向かうか】

来年に向け、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資拡大のニュースが増えている。例えば、「米ゴールドマンサックス、アジアでESG投資3倍に拡大」、「JPモルガン、ESG先進企業に投資する新ファンドを欧州で開始へ」、「ノルウェー年金基金、ESGリスクで投資選別強化へ―300社が対象外」、国内でも「りそなHDESG関連ファンドの販売額を2030年度までに2~3兆円目標(現時点で約200億円)」など。

ESG投資は欧州で隆盛で、EUの「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」適合ファンドが標準。抽象的だが「気候変動への解決策に取り組み、その方法を開発する先見性のある企業」への投資が謳い文句。モーニングスターの調査によると、9月末でESGファンドの資産は33200億ユーロ(約425兆円)、7-9月資金流入額は25%余増え、新規資金流入の半分を占めたと言う。

MSCINYに本拠を置く、世界的に有名な金融サービス企業)ESGレーティングと言うのがある。CCCからAAAまで7段階で格付け、CCCBが失敗企業、AAAAAが業界をリードする企業と認定される。格付けは債券や融資の世界だと思っていたが、株式投資の世界にも広がりそうだ。

今月7日、環境非営利団体・英CDPは世界約13000社を対象に評価結果を発表。気候変動対策、水資源保護、森林保全の3分野でAからDマイナスまで8段階で評価。3分野ともA評価は世界で14社、うち日本企業は不二製油Gと花王の2社、どれか一つでもA評価獲得は日本が74社でトップ、米国43社、フランス23社が次ぐ。評価は2003年から行っている。

MSCIも格付け価値を高める方向で走りそうだ。怪しげなコンサルタントやらベンチャー企業が跋扈しやすい地合いもあるが、取引所間の競争も激しくなると見られる。最も古いESGファンドと言われるのは、1989年開始のフィデリティのエンバイロメント&オルタナティブ・エナジー・ファンド。運用資産87500万ドル、今年のリターンは24%とされるが、組み入れ上位のマイクロソフトとテスラ株の寄与と伝えられる(2社で運用資産の25%余)。一般的に、GAFAなどハイテク大手はコア投資対象で、今年がGAFA相場だった一因と考えられる。このところ、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)などが下落しているのが、今後どう出るか、注目されるところだ。

銘柄選別に先行的なのはノルウェーの政府系ファンド。14000億ドル規模の年金基金は442社を対象に調査を行い、9社を投資対象外、65社を再審査とした。ただし、単純に温暖化ガス排出企業を外すのではなく、「モノ言う株主」として圧力を掛ける方針。表面化した売却銘柄は中国・雲南白薬(絶滅危惧センザンコウ取引)、ブラジル牛肉大手マルフリグ(森林破壊)など。ESG投資はインデックス投資に馴染まないので、個別選別投資潮流を押し上げると思われる。

 

【日本企業の構造改革で筋肉質化、来年加速へ】

先々週、東京商工リサーチから二つの発表があった。一つは21年の東証上場廃止銘柄は10日現在で86社に達したこと。19年の42社から倍増、最多だった08年の79件(倒産33社)を上回った。コロナ対策で21年は11月まで上場企業倒産はなく、完全子会社化が過半の44社、株式併合26社、株式取得11社、合併3社など。大半が「企業再編」と呼ばれる。日立など親子上場廃止の動きもあり、企業の「構造改革」を象徴する。被買収企業に割安銘柄が多く、物色テーマとなっている。なお、新規公開は140社。

もう一つの21年「上場企業の早期・希望退職」状況は、9日現在で8015296人。20年の9218635人に次ぎ、2年連続15000人超。0239732人、0922950人を下回るが、最も多い業種は「アパレル・繊維関連」、次いで観光、運輸などが続き、コロナ禍の影響が大きい。うち、エイベックス、電通G、三陽商会、フレンドリーなどが不動産・本社売却を実施している。

構造改革やM&Aはケースバイケースなので、市場の評価も業績数字に表れて来てからとなる。ただ、ここに来て、三菱ケミカル「石油化学事業分離」、ブリヂストン「防振ゴムと化成品事業売却」、ENEOSJX石油開発の英法人売却」、三菱商事「米加州の燃料ターミナル売却を検討」など、ESG関連を強く意識した動きが強まっている。あまり表面化しないが、世界で経済破綻する国が増え、グローバル展開を縮小させる(脱中国も含む)流れも見える。この動きは来年以降、加速するものと考えられる。

世界で人口減少のニュースが増え、コロナ禍で離職者も目立っている。雇用関係の評価が定まらないなか、企業は構造改革を推進しなければならない。単純にAI化、ロボット化・自動化の潮流とは言い切れない複雑な構図と受け止められる。

また、脱炭素やESG関連投資が一段と加速すると見られ、市場は技術革新への期待を強めると想定される。来春の東証市場再編を睨み、端的にはプライム銘柄かスタンダード市場銘柄かの選別が進んできたと思われるが、本来の企業選別投資に向かうものと考えられる。

 

【20日の日米株価下落、売り仕掛けの様相】

先週初め、20日は思わぬ急落場面となった。材料となったのは中国の利下げと米国のバイデン法案成立せずに伴う、米ゴールドマンサックスの米経済見通し下げ。薄商い、模様眺め地合い下、短期筋の売り仕掛けと見られるが、終値ベースで見るとTOPIX2.17%を上回った主要株式指数はインドの-2.18%ぐらい。その後下げ過ぎ感から日経平均先物の夜間取引では28000円台に戻した。

20日はNYダウ35000ドル割れ、ナスダック15000ポイント割れだったが、強いて手掛かり材料として、「スーパーサタデー」(Xmas直前の土曜日、感謝祭翌日のブラックフライデーに次いで買い物が多いとされる。今年は18日)のショッピングはオミクロン脅威にも関わらず、店舗客足が前年比+19%(ただし2年前比-26%)と報告された。感謝祭週からの累計は+14%で客足が落ちていない。これを受けて、ディフェンシブ銘柄が健闘、昨日も主要消費財と公益事業セクターがプラス圏を維持した。

もう一つは、EUが副作用が少ないと言われるノババックス・ワクチンを認可したこと。モデルナもオミクロン効果よりも心筋炎などの副作用問題について実態解明・対策を発表すべきだが、代わりになりそうなのが出て来た点はプラス視される可能性がある。

この日、マンチン民主党上院議員の反対により、バイデン歳出法案が実現しないことを理由に、米ゴールドマンサックスは米GDP予想を22年第1四半期+3→+2%、第2四半期+3.5→+3%、第3四半期+3→+2.75%に引き下げた。おそらくインフレ観も修正されるのであろう。米10年債利回りは一時1.353%まで低下した後、1.42%台に戻した。ヘッジファンドが円ショート・ポジションの調整過程にあったと見られるが、ドル円は113円台を維持した。

中国人民銀行は1年物プライム金利を0.05%引き下げた(3.80%)が、5年物は4.65%に据え置いた。如何にも小出しの政策で、不動産不況の対策にならない印象。既に、苦境デベロッパーから不動産プロジェクトを買収するように民間・国有企業に要請を発し、22年の地方特別債発行枠を前倒しで設定するなど緊急事態に追い込まれている。成都市は中国恒大の土地使用権を没収したとの報道があり、寄って集って身ぐるみ剥がす方向に動いている様相がある。おそらく、年末年始も無い状態(2年前はコロナ混乱だった)と考えられる。

買い戻しに向かうと見られるが、不安定感が続こう。人民銀行金利引き下げのニュースで20日の日経平均の下げ足を速めた。通常利下げは株価にとってプラスのはずだが、利下げは中国経済の失速を改めて意識した格好になった。その後の日米株価回復から20日の両市場の下落は売り仕掛けによるものと思われる。

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