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2022年01月10日

【Weekly No.317】米市場悪材料揃い、早めの売り仕掛け

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  1. 米市場悪材料揃い、早めの売り仕掛け
  2. 米金融政策の強弱交錯、高PER株売られる
  3. “脱中国“の明暗を見極めへ

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Weekly 110

【米市場悪材料揃い、早めの売り仕掛け】

5日はNYダウ1.07%、ナスダック3.34%の大幅な下げだった。この日、市場には悪材料が揃い、雇用統計を待たずに売り方の早仕掛けになった印象だ。下げ加速となったのは12FOMCの議事録。「労働市場は非常にタイト」とし、賃金インフレを連想させ、早期利上げ姿勢や保有資産圧縮(住宅ローン担保証券の圧縮連想から不動産株が売られたのが象徴的)が必要になるとの見方から、米債売りが強まった。一時、10年債は昨年4月以来の1.712%、30年債は10月以来の2.106%、5年債は2月以来の1.4390%、2年債は3月以来の0.834%。ただし、年末に発行休止状態となっていた社債の発行ラッシュも要因と見られる。37件、414件と企業が(金利先高観もあって)資金調達を急ぐ動きにある。

為替市場の反応は限定的だった印象だが、100万人/日突破のオミクロン感染に対し、ファウチ首席医療顧問が「症状軽度でも楽観すべきでない」と警告したことも株式市場の警戒ムードを高めたと見られる。医療システムへの重圧を警告したものだが、米病院の2割が深刻な人手不足に陥っていると報じられた。

一歩早く、新疆ウイグル地区にショールーム・販売店開設し、強い批判を受けているテスラ株下落も影響していると見られる。香港市場でテック指数(テクノロジー株指数)が3営業日続落、米上場の中国株も下落が続いており、一部、年末にあった中国株期待観測が吹飛んでいる。背景は、中国政府がテック企業にまたまた罰金を科し、テンセントが出資するシンガポール・シー株売却に動いたことで、他の保有株、ビリビリ、美団、JDドットコムなども売られるのではないかとの連想から。

不動産関連の中国株混乱が続いている。9か月ぶりに売買再開となった華融資産管理は一時55%急落。20年決算を発表できずに売買停止となっていたが、倒産していないこと自体が不思議(筆頭株主は中国財政省)。迷走中の中国恒大は、理財商品や元建て社債の支払延期を投資家と交渉する意向。支払うメドは無いと思うが、とにかくあの手この手での時間稼ぎの印象。株・債券の売買停止を繰り返している。

米ニューズウィークは「中国ビジネスを優先し、中国の要求に屈していたことが判明したアマゾン」と題する記事を配信。中国で成功したければ、国家指導者に対するネガコメ(批判的コメント)を排除せよとの当局の指導に屈していたことが12月に分かり、アマゾン株は軟調推移。テスラ株が後を追う公算があり、日本株でもファーストリテイリングが昨年来安値を更新中だ。北京五輪までは大きな出来事は起こらないと見られているが、中国情勢のカオス状態が市場の重石になると考えられる。

 

【米金融政策の強弱交錯、高PER株売られる】

5日の米株大幅下落、特にナスダックの急落を受けて、6日の東京市場は身も心も寒い一日だった。大雪予報は週末の米北東部にも出ており、混乱要因になるか注意すべき材料。東証の大幅下落はマザーズ指数の連日の5%前後下げが象徴的で、金利上昇環境で高PER(株価収益率)銘柄(所謂グロース株)に売りが集中した結果と見られる。マザーズ指数下落の中身はIT関連テクノロジー株とバイオベンチャーが中心。東証一部の業種別下落率トップは精密機器-4.23%で、時価総額の大きい、テルモ-8.96%、オリンパス-5.18%、島津-5.02%などが目立った。2位のサービス-4.22%では、エムスリーー6.70%、リクルートー6.32%など。

ブルームバーグによると、「昨年12月からバリュエーションが高い成長株の売りに動いたヘッジファンドは年明け後、ソフトウェアや半導体株を猛烈なペースで売却している」とのこと。規模としては10年ぶり水準としている。ナスダック市場は時価総額で約1兆ドル(約116兆円)を失ったと伝えられる。

背景は米国債利回り急上昇で、前日のFOMC議事録からFRBが思ったよりタカ派的と解説されている。10年債利回りで「3%に備えよ」(みずほ銀の米ストラテジスト)とか、「年末時点でも2%にしか上がらない新しい謎が生まれる」(米ゴールドマンサックス)とか、金利の前に見方が乱舞する状態。6日の10年物米国債利回りは一時1.753%の後、1.72-1.73%水準。昨年の1.77%を一気に上回り、1.8%台に乗せて来るかどうかが当面の焦点と見られるが、7日に一時1.8%に到達。なお、年明け最初の週間失業保険申請件数(1/1現在)は20.7万件、市場予想19.7万件を上回り、ジワリとオミクロン影響が出ていると見られる。多少、利回り抑制に働いたと見られる。7日発表の12月の就業者増加数は19.9万人、予想埜42.2万人を大きく下回った。

金利観に影響するのは物価動向だが、年初に最も驚いたニュースは「ドイツ平均世帯の電気・ガス料金、今年は6割超上昇へ」。ドイツの電気・ガス料金は年間契約なので、昨年からの天然ガス価格高騰が一気に押し寄せる格好。引越して新規契約すると105.8%の値上げになると言う。6日発表のドイツ消費者物価指数12月は5.7%、11月の6%から鈍化と報じられているが、インフレ圧迫が続きそうだ。ドイツ新政権は12月末に原発3基を止めた。EUの原発「グリーン分類」に反対している。ロシアからの天然ガスパイプライン・ノルドストリーム2も上手くいっていない。他国ながら、どうするのだろうと思ってしまう。ブラックアウトリスクも潜在しよう。

首都圏降雪で、東京電力は他電力に電力融通を依頼した。脱炭素の波で電力に余裕は無くなっている。日本では、原発再稼働を中心に電力関連・省エネ関連の動きが注目される。

 

【“脱中国“の明暗を見極めへ】

コロナは「再び警戒の新年」と報道されているが、ジョンソン英首相の「明らかに穏やか」「追加抑制策導入せず」が大勢観と見られる。欧州株STOXX600種が最高値更新、米株はアップル株史上初の時価総額3兆ドル乗せを牽引役に最高値更新基調。

ユーラシアグループの10大リスクトップは「ゼロコロナ政策の失敗」だが、中身はチャイナリスク。2位の「テクノのポーラーの世界(巨大ハイテク企業の支配と規制の攻防)」の動向が焦点か。

中国・習主席は中央経済工作会議(128~10日開催)で、「三重圧力(三重苦)」に立ち向かうよう檄を飛ばした。三重圧力は、需要の縮小、供給の衝撃、期待の低下で、中国経済が苦難な局面にあることを認めた。GDP3割を占める不動産開発の苦境、米国を中心に軍事技術規制強化や人権問題での規制、中国自身の貧富格差問題(共同富裕推進に伴う混乱)など、袋小路的様相を呈している。

一般に、世界2位の中国経済の縮小後退は世界経済もシュリンクさせ、ネガティブな材料と受け止められる。反面、海運業界は、中国のコロナ・ゼロリスク策に伴う混乱で海運市況が暴騰、その恩恵を受け高収益産業に変貌したのは周知の通り。電子部品など他業界への広がりが焦点になろう。

日本の高度成長は、米ソ冷戦下でもたらされたとの見方がある。日本のデフレ要因とも指摘されてきた中国経済躍進が止まり、第二次冷戦構図が、日本の反転成長・デフレ脱却要因になるか注目される。中国情勢には引き続き要注意の状況が続こう。

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