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2022年01月31日

【Weekly No.320】FRBタカ派姿勢維持、売り攻勢での下げ過ぎ相場だが

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  1. FRBタカ派姿勢維持、売り攻勢での下げ過ぎ相場だが
  2. 日本株の下げには岸田ショックとの見方も加わる
  3. ウクライナ危機加速
  4. 週末控え、日米ともに株価反発

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Weekly 131

 【FRBタカ派姿勢維持、売り攻勢での下げ過ぎ相場だが 】

26日、先週最大の注目イベントである米FOMC(連邦公開市場委員会)の結果は、予想通り「3月で債券買い入れ終了、その後保有資産の大幅圧縮着手」方針を示し、「3月利上げ、年4回利上げ」が優勢な見方となった。一旦、手仕舞い待機していたと見られる投機勢は再び米債売りに動き、2年債は1.15%台(前日1.027%)、10年債は1.87%台(同1.785%)に撥ね上がった。

ブルームバーグによると、スワップ市場では3月利上げは25bp0.25%)でなく50bpになるとの見方を確率20%程度で織り込んでいると言う。22年全体では113bpと、0.25×4回を上回るペースを想定している。(3FOMC15-16日)

ただ、市場の本音は「今の複雑構造の高インフレは金融引き締めだけでは収まらない」でないかと思われる。パウエル議長は、コロナに対しては緩やかな改善方向を示したが、ウクライナ情勢、株式市場急落などには言及しなかった。

FOMCを受けて27日の日経平均は841円安。東証一部値上がり銘柄87,値下がり2067銘柄(うち新安値453銘柄)、東証マザーズは値上がり31,値下がり389(うち新安値207)と、極端な下げ相場だった。東証空売り比率は52.9%、出来高は15.45億株に膨らんだ。前回(日経平均790円安)119日の空売り比率48.6%、出来高15.13億株に比べ、一段と買い方が引っ込み、傘に懸かって売り方が攻勢を掛けた印象だ。現物+先物合計で1月第22359億円、第33698億円と買い越していた個人投資家のポジションが一気に悪化、コア銘柄まで売り出したと囁かれている。ちなみに、海外投資家は1月第23448億円、第35793億円の売り越し。海外勢の売りが先導している。

 

【日本株の下げには岸田ショックとの見方も加わる】

日本株の売りの背景には、米FOMCによる金融引き締めだけでなく、政権の不透明感も影響しているようだ。「東証一部だけで時価総額100兆円飛ぶ」、「マザーズ指数、途中経過ながらリーマンショックを上回る月間下落率」などの惨状から、「成長を付け足したものの、分配・増税の新しい資本主義が嫌われている」との解説も出ている。  

マスコミ支援で表面上の岸田政権の支持率は高いが、政権発足から100日を超え、グラつく政策に批判が噴出し始めている。最近も、ガソリン高騰対策は本来のガソリン税減税でなく効果がハッキリしない元売り補助金、オミクロン対策は既に国民が不信感を持っているブースター接種PRのみで抜本的改善策に取り組まず緊急事態宣言が迫る。そのほかにも米中バランス外交の失敗、など。

ただ、政権不満の高まりは米、英、独などでも見られ、日本だけ突出している訳ではない(ただし、日本だけが支持率が高い)。日本のコロナ感染者数は28日、とうとう8万人/日に超えたが、20万人超/日のドイツ株は米FOMC後の27日も0.42%上昇している。オミクロン爆発だけでも説明しきれない。

考えられる一つの要素は、米利上げ観測の前倒し的動き。米金融機関の利上げ予想修正が相次ぎ、ノムラは「3月利上げ50bp5,6,7,1225bp利上げ」、BNPパリバは「22年中に6回利上げ、23年末FFレートは2.25-2.50%」などと伝えられている。為替ヘッジを持たないポジションは大幅な円安懸念に備える必要があり、日本資産処分を膨らませている可能性(日本国債も売られている)が考えられる。

もう一つは中国の資産処分。不動産危機で中国恒大筆頭に海外資産の処分を加速させている。加えて、「共同富裕」政策で、富裕層の海外資産処分が加速している可能性がある。韓国株も急落しているが、安全な欧米よりアジアでの資産処分が先行すると見られる。実情は不明(ヘッジファンドの中身がチャイナマネーなど)だが。

こうなるとテクニカルな分析はあまり意味をなさなく、またウクライナ情勢など不透明材料が多いので、相場の場味・方向感を重視することになろう。企業業績は概ね好調な出足で、東証一部だけで配当利回り4%超銘柄が297銘柄ある。需給調整一巡・反転銘柄の増加がカギと考えられる。

 

【ウクライナ危機加速】

ブリンケン米国務長官は「抑止力が損なわれる」として即時のロシア制裁に反対を表明していたが、先週週明けのロシア株RTS指数は8.11%の暴落、欧州株も独3.80%、仏3.97%、伊4.02%など軒並み大幅安。経済圧力を一気に高め始めた観がある。ルーブルも乱高下しながら対ドルで前日比1.8%安(1ドル78.6450ルーブル近辺)と伝えられた。欧州商品市場で天然ガス先物価格は一時20%高、米GSはロシア産ガスの欧州向け供給が無期限で減少する恐れがあると警告した。

米軍は派遣しないとしていたバイデン大統領は方向転換、国防総省はNATO要請に備え、8500人の派兵待機と発表。NATOは欧州東部への配備強化に動いている。既に配備増強のバルト三国、ポーランドに加え、ウクライナと国境を接するスロバキア、ハンガリー、ルーマニアが対象と見られる。米ウクライナ大使館に続き英国も館員家族の退去を始めていると伝えられる。

そうした情勢下、26日、米ロ外相会談を受けた米国側の文書提出が報じられ、NATOの「オープンドア」政策(ロシアが停止確約を求めている東方拡大策)は変更しない方針を示した。ブリンケン国務長官は対話と外交継続姿勢を強調した。在ウクライナ米大使館は治安予測不能として、米国民に即時退避検討勧告を行った。日本の商社員家族の退避も報じられている。ロシアは20088月、北京五輪開催中にジョージア(グルジア)に侵攻した実績があり、中国が警戒したとしても五輪歯止めは効かないと見られる。

この日の原油相場は北海ブレント先物が一時90ドル/バレルを突破、WTI先物は1.75ドル高の87.35ドル/バレル。OPECプラスは22日会合で、「3月も現行の増産ペース継続の公算」と報じられた。下落していた天然ガス先物は0.5%高に切り返した。

米政権は、ロシア制裁で、「戦略産業に新たな輸出規制検討」とワシントンポスト紙が伝えた。AI、量子計算、民生航空などに加え、「一部のスマホ、タブレット、ビデオゲーム機をロシア国民が使えなくなるよう輸出管理の広範囲な適用検討」とされ、「外国直接製品規制」新バージョン策定作業を進め、アジアの同盟国と協議していると伝えた。範囲を日用品まで拡大するかは決定していないとした。日本は対応に追われる可能性がある。

米産業界はホワイトハウスや議員に「慎重なロシア制裁」を求める陳情活動を展開している。シェブロン、GEなど、ロシアでビジネス展開している企業が中心。対中人権制裁でもそうだが、企業によって影響度は異なるので、選別して売られる段階ではないが、株式市場の懸念要因となりつつある。株式市場の見方は意見が割れ、カギは「金利予想の上振れと実際の金融環境がどれだけ成長に影響するか」と指摘されている。残念ながら、FOMC通過で待機勢が買い出動展開にならなかったので、下値メドを巡って手探り攻防が続くと想定される。

 

【週末控え、日米ともに株価反発】

28日の日経平均は+2.09%TOPIX は+1.87%NYダウは+1.65%、ナスダックは+3.13%、日本株の相関性が高い半導体株価指数(SOX)は+1.83%あった。いずれも自律反発だろうが、米市場ではウクライナ情勢が株価を支えたのかもしれない。欧州時間でプーチン大統領と仏大統領との電話会談が行われ、プーチン大統領は「緊迫化望まず」と発言したこともいくらか材料視されたのかもしれない。また、ブルームバーグは、バイデン大統領がロシアに対し取り得る制裁措置を米大手金融機関と協議したと伝えた。制裁措置で世界の金融システムを混乱させることがないようにする取り組みの一環のようだ。こうしたことも市場に安心感を与えたのかもしれない。

米金融政策についても、IHSマークイットが24日発表した1月総合PMI(購買担当者景気指数)速報値が一気に50.8に低下(前月57.0)、207月以来の水準で好不況の分岐点50に接近。ユーロ圏での総合指数は52.4,前月53.3から2ヵ月連続低下。オミクロン禍で米経済は失速寸前との見方が出ている。

また、世界最大の運用会社であるブラックロックは、金融当局に対し世界的なサプライチェーンの混乱に大きく起因するインフレを退治しようとする中、当局がタカ派姿勢を取ることで政策ミスを犯すリスクがあると警鐘を鳴らした。

FOMC後のパウエル議長の発言は想定の範囲だったにもかかわらず、27日の日経平均841円安には違和感があった。月末や年度末接近の一時的な需給要因が影響した可能性があり、自律反発から当面は落ち着きを取り戻しそうだ。米国が利上げを開始した前回201512月の時と現在の米国株の動きはよく似ている。金融政策が転換する際にはボラティリティー(変動性)が高まりやすいのも事実だが、今後の米国株は底堅くなっていくと思われる。  

前回の利上げ開始時も1612月で10%台の調整となったのに対して、現在はすでに10%程度まで下げたので、そろそろ調整は終わってもいい時期に来たのかもしれない。  

ただ、投資家心理を測る指標となる米株のVIX指数(ボラティリティインデックス、別名恐怖指数)は28日終値で27.6と不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っている。FRBの金融政策の道筋が具体的に見えてくるまでは、変動の大きい相場がまだ続く可能性も考えておかねばならない。

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