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2022年02月14日

【Weekly No.322】恐る恐る戻していたが、CPIで再び弱気ムード

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  1. 恐る恐る戻していたが、CPIで再び弱気ムード
  2. 投資家が嫌う岸田氏
  3. 低迷する国内景気、ガソリン高とEV化加速

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Weekly 214

【恐る恐る戻していたが、CPIで再び弱気ムード】

先週最も注目されていた1月米CPI(消費者物価指数)が10日に発表された。結果は前年同月比∔7.5%(市場予想は∔7.3%)、前月比∔0.6%((予想は∔0.4%)と1982年以来40年ぶりの数字だった。同日、セントルイス連銀総裁がブルームバーグのインタビューに答え、「7月前半までに合計1.0%の利上げを支持する」と発言、これにより3月の会合(15日~16日)で0.5%利上げの可能性が高まった。米ゴールドマンサックスはCPIの発表を受けて、今年の利上げ回数を0.25%5回、から7回に引き上げた(0.25%×71.75%)。

この日、NYダウは526ドル安(1.47%安)、金利上昇に弱いナスダックは2.10%の下げだった。10年国債の利回りは節目の2%を超え一時2.05%まで上昇した。このため、円安ドル高が進み116円台に入った。翌11NYダウは503ドル安、2日間で2.9%下げたことになる。11日の下げは、ロシア軍がウクライナ国境に集結しているという国務省の発表で地政学リスクが高まったことも原因。したがって、10年国債利回りは2.06%から1.90%台まで急低下している。このため、円も前日の116円台から115円台の円高で終わった。なお、11日のシカゴ日経平均先物は休日前の日経平均に対し770円安で終わっている。月曜日の東京市場はこの辺りで始まる可能性が高い。

12日の日経新聞一面に「金利上昇、世界に広がる」という記事がある。ただ、日本も金利抑制策の発動を決めたし、欧州でもラガルドECB総裁が「大規模な引き締めは必要ない」。物価が2%前後で安定と言っているが、先週、ギリシャを筆頭に南欧債が急落、火消しの必要性が出たと見られる。中央銀行による世界の利上げ急ぎ観測の修正発言が予想される。

このCPI発表の前日まで、見切り発車的に買い戻し圧力が強まっていた。9日の米VIX(恐怖)指数は米19.96,分岐点20ポイント割れは114日以来、ピークは126日の31.96。欧州21.41,日本21.91が付いて行けてない観があるが、待機勢の買い意欲を高めていたのだが、CPIの発表で一気に米利上げムードが現実化して、再び弱気ムードがしばらく強まりそうだ。CPI発表の10日のVIX23.91、そして11日は27.49に跳ね上がっている。

スウェーデンが「コロナ規制ほぼ全面解除、事実上の終息宣言」、米NY州が「マスク着用義務撤廃へ、10日から」、英国が「隔離義務撤廃を1ヵ月前倒しも、21日にコロナ共生戦略提示へ」など、コロナ懸念は一段と薄れている。カナダでワクチン接種義務化に反対するトラック抗議デモが13日目となり、「物流停滞、自動車生産に支障」と報じられているが、9日発表の米卸売在庫12月改定値が前月比+2.2%と小幅上方修正され、全体としてサプライチェーン制約の緩和可能性が優勢となった。

7日に仏ルメール経済・財務相が「欧州ハイテク分野への投資を促進し、米およびアジアの競合企業に対抗するため、数十億ユーロ規模の公的ファンドを設立する」と発表した。

域外企業への依存を減らすため、域内ハイテク新興企業への大幅な投資拡大の流れを作るとしている。少なくとも10億ユーロのファンドを10-20本新設、ドイツ財務省は10億ユーロの提供を発表した。

日本の大学ファンドなど、既に米、アジアでは動いている話なので、特に大きなニュースではないが、ハイテク投資・スタートアップ支援の意欲をサポートすると見られる。中国では政府系ファンドの株式買い支え(PKO)も報じられている。売り方は長くポジションを持てない傾向があるので、早めの切り返しの動きにつながってくると考えられる。

 

【投資家が嫌う岸田氏】

2月8日に発表された経済専門チャンネル「日経CNBC」による個人投資家サーベイで、岸田内閣支持率が3.0%、不支持95.7%となったことが話題になっている。細かい政策がコロコロ変わり、「新しい資本主義」も結局、増税を目指すものと評判が悪い。就任以来、株価は下落基調で東証マザーズ指数がとくに厳しい。

最新の世論調査による、岸田首相の一般的な支持率は、どの報道機関の調査も下がってきている。今回の日経CNBCの調査では、投資家からは「まったく支持できない」と判断されたことになる。一体なぜ、これほどの惨状となったのか。一つには、岸田内閣が昨年10月に発足してから、株価はずっと下落傾向にある。昨年9月末の時点で、東証一部の時価総額はおよそ778兆円あったが、1月末には約679兆円にまで落ち込んでしまったのだ。たった4カ月で100兆円が吹っ飛んだことで、ネットでは『岸田ショック』なる言葉も誕生しているそうだ。

岸田ショックの原因はいくつもあるが、「金融所得課税の強化」と「自社株買い制限」の2つが投資家から嫌われる大きな理由だそうだが、もうひとつ、「企業業績開示の頻度を減らす」も付け加えたい。金融所得課税は、株の配当金や譲渡益にかかる税金で、いまは一律20%になっているが、これが上がるとなると、株を持つメリットが減ってしまう。課税強化は富裕層だけでなく、広く投資家一般の投資収益の価値が下がることになるのだが。  

自社株買いは、企業が自社の株を買うことで、当然市場に出回る株数が減少するため株価が上がりやすくなる。これに制限がかけられると、やはり投資家にはマイナスとなる。米国の会社のように自社株買いによる株価引き上げはあざといが、自社株買いの多寡は企業と株主が決めるものだ。

3番目の業績開示の頻度だが、80年代は年2回,中間決算と本決算だけだった。現在は四半期ごとに決算が発表される。どちらが投資家にとっていいか、一目瞭然だろう。筆者の経験から2回の開示より4回の方が企業の状態がよくわかる。また、開示頻度を減らすことで経営効率が改善する理由はない。

これらは、「新しい資本主義」の一環なのだろうが、まったく間違っており「反資本主義」でしかなく、投資家が岸田首相を嫌うのは理解できる。

以上を見ていくと、「新しい資本主義」というよりも、岸田政権が続く限り「反資本主義」と呼ぶべき方向に進みそうだ。「資本主義」が何であるかを理解していない岸田氏に「株主資本主義」を見直すと言われると、投資家は不安になる。岸田氏は株式市場を嫌っていないかもしれないが、株式市場はすでに岸田氏を嫌っている。

このほか、新型コロナウイルスによる「コロナ鎖国」にも批判が集まる。現在、日本は外国人の大幅な入国制限を実施しているが、この結果、日経新聞によると、ドイツの電機メーカー、シーメンスが日本への投資を一部保留するなど、大きな影響が出始めている。11日のニュースではこのことが政府内でも問題になっているそうだ。

さすがに100兆円が消失したとなれば、大クレームになるのも致し方ない。実際問題、株価が下落すれば、年金にも悪影響が出てくる。投資家の支持が3%しかない岸田首相、「新しい資本主義」に向けた舵取りは難航するだろう。でも3%の支持者ってどんな人だろうか。

 

【低迷する国内景気、ガソリン高とEV化加速】

追い討ちを掛けるように、先週発表の1月景気ウォッチャー調査は「東日本大震災時に次ぐ大幅落ち込み」(現状判断DI37.9,前月比19.6ポイント低下。113月は25.2ポイント低下)。総務省発表の12月家計調査は2人以上の世帯消費支出は実質ベースで前年同月比0.2%減、5か月連続マイナス(市場予想+0.3%)。厚労省発表12月毎月勤労統計は、実質賃金が同2.2%減、4ヵ月連続低下。

市場低迷を国内景況感改善で突破することはなかなか難しい局面が続きそうだ(他力本願ながら、オミクロン急収束期待ぐらいか)。つれて海外情勢に振られる展開が続きそうだ。

先週の海外市場で目立ったのは、ロシア株の続伸、124日のボトムから15%ほど上昇している。ロシア大統領府は否定したものの、マクロン仏大統領が「プーチン氏から、ウクライナを巡る情勢をこれ以上悪化させることはないとの保証を得た」と述べたことが効いているように見える。ロシア軍はベラルーシとの合同銀時演習を開始、3週間続くので、そのままウクライナに雪崩れ込みとの見方が消えたわけではない。相場的には突然緊迫感が高まることも想定される。

インフレ象徴のガソリン高は4日現在約7年ぶりの高値。バイデン大統領としては頭の痛い問題で、8日、EV充電器メーカー・豪トリチウムがテネシー州に工場建設を発表したことを大歓迎し、連邦政府のEV切り替えを再表明した。トリチウムの計画は年間3万台のEV充電器製造計画で雇用規模は500人程度と大きくはないだけに、バイデン大統領の傾斜が際立つ。また、ロイターは「GM、年内にEV生産6倍超拡大を計画か」と報じた。

EV化加速は同時に、電力供給問題を伴う。米ニューズウィークが「NASAが月面に原子力発電所を建設へ」と報じ、徐々に原子力などが復活してきている。現在は小型原子炉(SMR)、核融合、高速増殖炉などがテーマで、日米共同開発となりつつある。期待先行ながらESG投資マネーを呼び込むと想定される。足元のリスク要因との綱引きになると考えられる。

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