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2022年02月21日

【Weekly No.323】ウクライナ危機継続で売り方が売り直し

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  1. ウクライナ危機継続で売り方が売り直し
  2. 週末に掛け外交ラッシュ、五輪後探る
  3. ウクライナ危機はグローバル化の終焉?
  4. ウクライナ切迫続き、商品供給懸念深刻化

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Weekly 221

【ウクライナ危機継続で売り方が売り直し】

各国軍部と交流できる唯一人の国会議員・青山繁晴参院議員はウクライナ危機について、以下の説明を行った。116日侵攻説は本当にあった。米国が察知し騒いだため見送った、2)侵攻は無人のチェルノブイリ(ベラルーシ国境)を突き切り首都キエフを制圧する計画もある、3)ブリンケン米国務長官のミサイル攻撃の可能性は、ロシアミサイル・イスカンデルの実戦使用を指す、4)クリミアからのロシアの撤退は、水、食料、燃料の補給に困る地域で、元々長期滞在できない、など。

岸田内閣の危機感欠如に訴えたものだが、ロシアの暴挙を許せば世界の危機は一段と深まるとの警告。弾道ミサイルより低く飛び(発見され難く)、迎撃ミサイル回避行動などを取る紛争用戦術ミサイル・イスカンデルは北朝鮮も模造品らしきものの実験を行っている。

実戦で成功すれば、イスカンデル価格は暴騰し、北朝鮮を含めて最大売り込み商品になる可能性がある。これだけでも危機は拡散する。

17日の米要人発言は青山解説と符合する。オースティン国防長官は「ロシア軍、国境にさらに接近、輸血用血液も備蓄」、ブリンケン国務長官は「数日中に侵攻も」と国連安保理会合で演説、侵攻口実の捏造、化学兵器使用の可能性に言及した。バイデン大統領も「侵攻の脅威、非常に高い」等々。

17日の東京市場は「ウクライナ東部で砲撃音」の報道で崩れたが、NATO事務総長は「停戦合意違反が増加」と懸念表明。英外相は「プーチン大統領は危機を長引かせる可能性がある」。ロシアが在ロシアの米国次席公使を先週、追放していたことが表面化。外交戦が一段と激しくなる恐れがある。

危機が深まったと言うより、高い緊張関係が継続の印象だが、市場では一旦手を休めたと見られる売り方が再攻勢を掛けて来たようだ。米経済統計で、1月住宅着工件数が年率換算前月比4.1%減、週間新規失業保険申請件数が24.8万件(市場予想21.9万件)と前週比2.3万件増と弱い指標が出たことも背景と思われる。ただし、これら弱めの経済指標は大雪の影響との見方が一般的だが、米景況感にも響くか注視する姿勢。

明るい話は、ソニーが企業投資ファンド「ソニーイノベーションファンド3」の運用開始を発表した点。多くの日本企業が参加し、総枠250億円規模を目指すものだが、テクノロジー関連ベンチャー投資を推進する。日本株崩壊の象徴的存在のマザーズ指数の底入れに影響するか注目される。通常、全体不透明感強い相場では、中小型株物色のパターンが有り得る。

 

【週末に掛け外交ラッシュ、五輪後探る】

帝国データバンクによると、ウクライナに進出している日本企業は57社。総合商社、JT、日立、楽天などが展開している。ウクライナは農業大国と同時にIT大国でもあり、国内にIT関連企業5000社あると言われており、マイクロソフト、アマゾン、韓国サムスン、中国ファーウェイなども主要展開企業。どういった影響があるのか不明だが、軍事侵攻が起こった場合には、ビジネス影響を注視することになろう。

ただ、週末にかけ、ミュンヘン安全保障会合、G7外相会合など、外交活動が活発化すると見られ、カウントダウン状態にあった「侵攻日」は今のところいくらか遠退いている。北京五輪とベラルーシ合同演習終了の20日を過ぎても様子見地合いが想定される。

五輪後は中国の動きも焦点になる。先週、習主席が「香港政府は感染収束を最優先すべき」と香港政府に指示したと中国メディアが一斉に報じた。36日の全人代開催に向け、動きが始まった印象だ。米太平洋空軍の司令官は「中国がウクライナ緊迫の機を捉え、何かしようと試みることを懸念している」と述べたが、ブルームバーグは「中国による攻撃リスクは今低い」との台湾高官の見解を伝えた。習主席は党大会など中国内部の事情に極力集中との見方。習主席はマクロン仏大統領との電話会談で、「対話での政治的解決」を主張した。まさか、一変させることは無いだろうと言うのが現状だ。日本株は上海株との連動性が強まる可能性が考えられる。

中国が何かすれば別だが、目先的な緊張感は抑えられる可能性がある。むしろ、割高な米国株から低位にあるアジア株などにシフトしたい米ウォール街の一角が、市場開放や改革などで攻勢を掛ける可能性が考えられる。

 

【ウクライナ危機はグローバル化の終焉?】

ロシアのウクライナ侵攻が現実に起こるかどうかは分からないが、ここまで緊迫度を高めてしまうと、経済的デカップリング(分離)の流れは加速するものと思われる。ウォールストリートジャーナル紙などが「グローバル化の終焉」を主張し始めている。一つの兆候として、ベーカーヒューズが11日に発表した米石油・ガス掘削リグ稼働数が204月以来の高水準となった。天然ガスリグは201月以来の高水準と先行しており、ロシア危機の影響が出始めている。バイデン大統領の「環境のためのシェール生産抑制」が有名無実化しつつあると見られる。

10日発表の米1CPI(消費者物価指数)は前年比7.5%と市場予想7.3%を上回り、この時点では金融引き締め一色となった。米10年債利回りは10日に一時2.056%,11日に2.063%と197月以来の高水準を付けたが、ウクライナ危機で一気に1.91%台に急低下した。日銀は14日に0.25%水準で無制限買い入れオペを実施予定で、金利上昇圧力を抑制できるか焦点になる。

英国は(侵攻した場合としているが)ロシア企業のロンドンでの資金調達禁止を警告した。不動産や企業の所有権公開も警告した。米国は既にプーチン大統領周辺の個人制裁を開始している。ロンドンの「コインランドリー」と呼ばれるマネーロンダリングの仕組み摘発・禁止に向かう公算がある。

企業はロシアから撤退するか、も焦点になる可能性がある。スイス資源大手グレンコアは、保有していたロシア石油会社ルスネフチの株式売却、20年間のパートナーシップ終焉と伝えられた。もっとも、両社とも贈収賄や市場操作など不正事件の制裁を受けている。

英石油大手BPはロシア事業継続を表明。BPはロシア石油最大手ロスネフチ株の19.75%保有している。BPは制裁発動となれば、「順守する」と表明。ロシアの後ろに、北京五輪後の中国が控えているだけに、厳し目に進行するものと思われる。

 

【ウクライナ切迫続き、商品供給懸念深刻化】

ウクライナはソフィア・ローレン(知らない人が多くなったが、イタリアの女優)主演の伊映画「ひまわり」で知られるひまわり油の一大生産地。他に、トウモロコシ、大麦、小麦なども主要生産国で、ロシアの生産・供給停止を含めると穀物供給難懸念が強まっている。  

商品市況はロシアの供給停止懸念から石油・ガス相場が注目されがちだが、順繰りに押し上げ相場が続いている。14日のCRB商品指数は265.43,前日比+0.89%。204月のボトムは112程度、直近安値の昨年11220ポイントから見ても2割上昇している。コロナ禍から続く供給障害懸念が色濃く、金融引き締めだけでは対処困難の見方が強い。

日銀が10日発表した1月企業物価指数速報は前年同月比+8.6%(12+8.7%)、11ヵ月連続上昇。輸入物価指数(円ベース)は+37.5%で、円安基調が押し上げる。項目別では石油・石炭+34.3%、鉄鋼+25.1%、非鉄金属+26.5%、化学製品+12.3%、木材・木製品+58.5%など。食料品価格はこれから押し上げ加速の可能性がある。

目立たない分野にも供給懸念が広がっている。米調査会社テックセットによると、主に半導体分野で、ネオン(米国半導体で90%がウクライナ産)、パラジウム(ロシア産が35%)、ヘリウム、スカンジウム、フッ素などの供給難が広がる恐れを警告した。

ウクライナのゼレンスキー大統領や仏外相などが言及した16日のロシア侵攻はなかったが、ラブロフ露外相の対話継続進言などが入り乱れ、市場も続落基調は続いている。

ウクライナ危機をキッカケに、新たに「キャリー取引(低金利通貨で調達し高金利通貨で運用する)失速」と伝えられている。資金調達通貨が上昇したり、新興国市場が波乱に見舞われたりしているため。とくにユーロの見通しが不透明で、低金利安定の円にも「安全資産」評価がある。債券市場の乱高下や商品市況高の割には為替市場が落ち着いているように見えるが、波乱含みの要素を見て行く必要があろう。ロシア軍の国境集結が撤収方向に何処で転換されるか、当面の攻防を睨むことになろう。

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