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2022年02月28日

【Weekly No.324】ウクライナ戦争の視点軸

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このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

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  1. ウクライナ戦争の視点軸
  2. SWIFT制裁は選択肢
  3. 今後の展開
  4. 3月のFOMCは予定通リ利上げとの見方
  5. ロシアの資金は豊富なのか

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Weekly 228

【ウクライナ戦争の視点軸】

24日、ロシアのウクライナ侵攻に対し、市場の制裁が激烈だった。モスクワ市場は一時閉鎖されたが、再開直ぐにロシア株のRTS指数は50%暴落(終値39.44%安)、通貨ルーブルは当局が買い支えしているようだが、一時過去最安値の1ドル89.60ルーブル、1ユーロ99.99ルーブルを付けた。ロシア10年物国債利回りは10.93%と10%台乗せ。国債が対象かどうか分からないが、スイス・UBSグループがロシア債の担保評価額をゼロとし、顧客にマージンコール(追加証拠金の要求)を通知し、ピクテなども追随していると報道された。  

ロシアの代表油種ウラル原油はバレル当り11.60ドルのディスカウント。タンカー運営3社、海運仲介2社、石油取引4社、製油会社1社が、当面のロシア関連の活動を見合わせていると伝えられた。

ちなみに激震に見舞われた24日の世界の株式市場では、前述のロシア株が世界の株式市場の中で最大の下げを記録したが、ドイツも―3.96%、イギリスー3.88%、フランス―3.83%。日経平均はー1.81%だったが、マザーズが―4.20%の急落となっている。NYダウは朝方859ドル安であったが、バイデン大統領の制裁発表で切り返し92ドル高。ナスダックは大きく反発し3.34%高で終わった。相場の格言通り「噂で買って、事実で売る」「噂で売って、事実で買う」というパターンになった。翌25日も「プーチン大統領停戦交渉の用意がある」との報道でダウは834ドル高。NYダウは23日までの4営業日で1800ドル下げていただけに、売られ過ぎに対し広く買いが入ったようだ。それにしても、かつて持て囃されたBRICSファンドは一体どうなっているのであろうか?三菱UFJ国際投信はロシア株投信の売買を停止、当然基準価格も急落しているはず。

おそらく日々情勢は変化するだろうが、目先の焦点の一つは「ウクライナ国内の戦闘は激化するか」。ロシアの狙いは電撃戦で、ウクライナ軍無力化、解体、非武装化とされる。多くの軍事施設は破壊したようだが、一部にウクライナ軍が奪回の報道もあり、市街戦の恐れも高い。今のところ手掛かりは、ロシアが国境付近の空港間運航を32日早朝まで停止、海運大手マークスがウクライナ港での作業停止を28日までとしている、だが、月末ないしは月初にロシア軍が撤収を開始するかどうかが焦点と考えられる。この場合でも、政権転覆工作が続くと見られ、貿易、物流は制限的と考えられ、ロシア経済衰退が続こう。

もう一つの課題は、プーチン大統領は停戦交渉をにおわせていることだ。彼の希望は旧ソ連邦やワルシャワ条約機構などの復活と言われている。米CNNの報道によると、ポーランドとバルト三国は北大西洋条約第4条を発動し、NATO加盟国との協議に入った。また、ロシアがバルト海の島を狙っているとし、フィンランド、スウェーデンの緊張が一気に高まり、NATO加盟検討とされる。ポーランドはベラルーシから偽装難民の工作部隊が侵入していると抗議している。ロシアと接する東欧諸国の動揺が続く可能性が高いと思われ、中長期的課題になる。インフレ影響の原油。ガス相場の抑制策も有り得るが、目先的には戦闘激化状況を睨みながらの短期勢の攻防と考えられる。

 

【SWIFT制裁は選択肢】

24日の米株切り返しのキッカケとなったロシアに対する制裁で、バイデン米大統領はロシアを国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークから排除することに踏み込まなかったことがある。このことについて記者団から質問された際、大統領は「常に選択肢にある」と述べた。その上で、現時点で制裁にSWIFTを加えることを欧州は望まないという意見があると述べ、制裁に盛り込まなかった理由を説明した。

旧ソ連の構成国で、現在は欧州連合(EU)に加盟しているバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は24日、ウクライナ侵攻を始めたロシアの金融機関をSWIFTから排除するよう国際社会に求めた。ただ、他のEU加盟国は、欧州債権者が資金を取り戻すことが難しくなるとしてSWIFTからのロシア排除に消極的。また、ロシアは代替決済システムを構築しており、効果を疑問視する指摘もある。

それではSWIFTとは何か?SWIFTとは金融機関に特化した情報通信サービスをする組織のことだ。各国には、例えば日本の中央銀行が運営する「日銀ネット」のように、国内の銀行間決済をする基幹システムがある。一方で、国境を越えた決済のための「世界中央銀行」はない。そこで、銀行間のメッセージ通信を効率的に実行するため世界中の銀行が出資して設立した協同組合がSWIFT。発足は1973年で、ベルギーに本部がある。SWIFTには決済そのものの機能はない。国際的な銀行はお互いに口座を持ち、決済を代行し合う「コルレス契約」を結んでいる。  

SWIFTの役割は、「A銀行にあるB社の口座に100万ドル入金して」といったメッセージを銀行間で送受信すること。200カ国以上、計11千以上の銀行がSWIFTに接続しているそうだ。

SWIFTは過去にも経済制裁で役割を果たしてきた。2001年の米度維持多発テロでイスラム系の金融機関に、2012年にはイランの核開発疑惑に対する制裁で、EUSWIFTにイランを排除するよう命じた。石油輸出による収入を受け取れなくなったことで、イランの政権に兵糧攻め」のように効き、15年のイラン核合意につながったそうだ。今回ロシアに対しSWIFT排除を行えば、相当効果があると思われる。ロシアは大国と言われるが、GDP14785億ドル、韓国より小さく世界11位。この程度の経済規模の国はSWIFTから排除されたら相当痛手を被ることになる。ジョンソン英首相はSWIFT活用をNATOに呼びかけている。

 

【今後の展開】

今後の戦闘の展開について、25日付けブルームバーグの記事がわかりやすい。ブルームバーグの記事を引用すると、今後の展開について、モスクワを拠点とする軍事アナリストのパベル・フェルゲンハウアー氏は、プーチン氏の「非武装化」を目指すとした発言に最も端的に表れていると指摘、プーチン大統領の戦略は、フランスよりも大きな国土を持つウクライナの占領ではないとの見方を示した。

米シンクタンク、ジェームズタウン財団のベテラン軍事アナリストでもあるフェルゲンハウアー氏は「つまり、ウクライナの軍事力は完全に解体され、兵器は一掃され、ウクライナをロシアが全く抵抗を受けることなく好きなように扱える緩衝地帯へと転換することだ」と分析し、「プーチン氏は非常に明確だ。領土的な問題は副次的なものだ」と述べた。

これはまた、ドンバス地方を中心にウクライナ軍を標的にするということでもあり、ロシアに長期的な軍事作戦を継続できる余裕はなく、「電撃戦になるだろう」との見解をフェルゲンハウアー氏は示した。

この見方に、米欧州陸軍の司令官を務めていたベン・ホッジス退役中将も同調する。人口280万人のキエフを占領しようと思えば、ロシアは数カ月の市街戦と利用可能な人的資源の全てを投入する必要があると指摘。米国の経験から、ホテル程度の建物一つを占領するだけでも、一個大隊または700800人が必要だという。

ホッジス氏は1820日に開かれたミュンヘン安全保障会議に際し、ロシア軍のキエフ占領が「実現可能だとは全く思えない」と述べていた。実際は数日後にも実現するかもしれない。

 

【3月のFOMCは予定通リ利上げとの見方】

ロシアによるウクライナ侵攻で経済成長が世界経済、特に欧米経済が鈍化するリスクがあるにもかかわらず、金利トレーダーは米国と欧州の金融当局が政策引き締めを強めるとの見方を変えていない。

金利市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に0.25ポイントの利上げを6回実施すること、およびイングランド銀行(英中央銀行)が5回、欧州中央銀行(ECB)が1回それぞれ政策金利を引き上げることを織り込みつつある。

これはロシアがウクライナに軍事攻撃を仕掛けたことを受け、北海ブレント先物2014年以降初めて1バレル=105ドルを上回った後と前とで、ほとんど変わっていない。

トレーダーのポジション構築が揺らいでいない背景には、軍事行動により主要なエネルギーや商品(コモディティー)の供給が混乱し、既に著しい価格押し上げ圧力が一段と強まるとの懸念があるからだ。

 

【ロシアの資金は豊富なのか】

ロシアに資金はあるのか。外貨準備は約6400億ドル(約74兆円)、うち2割の1300億ドルは金で保有する。ロシアは産金国だが、プーチン大統領は1995年の20億ドルから大幅に積み増しを行い、ドル建て資産を大幅圧縮、「脱ドル化」で貿易決済のドル比率は10%に低下させている。その分、ユーロ取引のウェイトが高いため、EUの制裁実効性が焦点になる(ドイツ、イタリアなどはエネルギー取引を外すよう主張している)。

ロシアは大軍をウクライナ国境に張り付けると、維持費も膨大で、ある程度で少数の平和維持軍駐留に切り替えると見られていた。

日本は制裁では、ウェイトは小さく影響は限定的との見方になろう。むしろ、原油価格動向、中国がどういった対応をするか、それに伴う米中攻防の行方などが焦点と考えられる。  

事態は流動的ながら、早くも先週末には米市場で買い支えバネが働いた。NYダウは25834ドル高、今年最大の上げ幅を記録した。今週もこの動きが継続するかが注目点となろう。

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