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2022年03月07日

【Weekly No.325】戦闘、制裁とも長期化懸念強まり、景気維持との綱引き

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  1. 戦闘、制裁とも長期化懸念強まり、景気維持との綱引き
  2. 欧州から崩れる。欧州経済懸念強まる
  3. ロシアの孤立と経済急速に悪化

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Weekly 37

 【戦闘、制裁とも長期化懸念強まり、景気維持との綱引き】

ロシア軍のウクライナ侵攻開始から一週間経過、電撃的な主要都市占拠は出来ず、都市包囲の無差別攻撃に移行しているようだ。双方の死傷者が急増しており、一段と深刻化している。2回目の協議も大きな進展はなかった。ロシアは2014年のウクライナ騒乱で追放・ロシア亡命したヤヌコービッチ元大統領の暫定政権準備との観測が出ている。ドネツク出身の親ロシア派。公金横領などでICPOから国際指名手配されており、191月に欠席裁判で国家反逆罪等で禁固13年の判決が出されており、混乱が拡大する恐れがある。

ロシア株式市場は再開できないでいる。政府系ファンドで最大100億ドルで買い支え方針と伝えられるが、どのような姿になるのか。イエレン米財務長官によると「2日現在、ロシア中銀の資産の半分とロシアの銀行システム資産の80%が制限下にある」。追加制裁の一環で、プーチン大統領とオリガルヒ(新興財閥)に重大措置を科すとし、資産特定・凍結・没収を加速させる意向を表明。ロシアは2日に期限がきた国債の利払いを実施したが、中銀は外国人投資家への送金を禁止しており、デフォルトに該当するか微妙。ロシア主要企業11社預託証券の指数は過去2週間で98%安。ほぼ価値を失っている。

追加制裁は各論的に進むと見られ、ボーイングの整備事業撤退(航空機は飛べなくなる)、ロシア船舶の入港禁止(北朝鮮と同様、積み替えが必要になる)、ロシアの石油精製部門への輸出規制(精製技術輸出禁止)など。ベラルーシも同様の措置となり、抜け穴を防ぐ。ロシア経済破綻は、一段と中国の動向次第になると考えられる。

「米利上げ加速シナリオが一転、景気減速懸念」とされ、株価が下げ足を速める場面があったが、2日は減速懸念を押し戻す動きとなって米株価は反発した。地区連銀経済報告(ベージュブック)が「高インフレ、人手不足でも、米経済は控えめから緩やかなペースで拡大」、パウエルFRB議長は下院公聴会で「3月会合で25bpの利上げ支持、その後はより積極的に対応する用意がある」と珍しく具体的な数字を挙げた。

OPECプラスが追加増産を見送ったことでWTI原油相場は111ドル/バレル台に暴騰しており、バイデン大統領が一般教書演説でシェール増産に言及せず、高インフレムードが続きそうだ。買い戻し主体ながら行き過ぎ修正との繰り返し展開となっている。

 

 【欧州から崩れる。欧州経済懸念強まる】

1日のVIX(恐怖)指数は、欧州41.58(前日35.29)、米国33.32(同30.15)、日本25.55(同26.53)。欧州から大きく崩れた。この日夕刻にAFP通信が「EU、ウクライナの加盟申請に冷や水」と伝えたことが下落加速につながったように見えた。EUの外交安全保障上級代表が「(加盟には)長い年月がかかる」と述べたもので、官僚機構EUの動きの鈍さに市場がフラストレーションを爆発させた観がある。

懸念通り、ウクライナ主要都市への無差別攻撃・破壊に進んでいる。ネットで流れるベルリン市街戦の映像、最近ではシリア都市の破壊に重なる。戦争が長期化・被害拡大を懸念する動きか、経済制裁が一気に動き始め、経済ダメージを懸念する動きか(内容は不明だが、イエレン米財務長官が「強力な追加措置で協力必要」と発言)軸足を測れないが、やはり弱いところから崩れる。この日下落トップは伊株-4.14%、仏株-3.94%、独株-3.85%の順。STOXX欧州600種は-2.37%。業種では金融制裁のダメージと利上げ観測が急速に遠退いたことでユーロ圏銀行株指数が-6.76%、旅行・娯楽関連株指数は-7.51%、プラスは資源株指数+1.11%、ヘルスケア指数+0.46%。

アップル、ナイキなどがロシアでの商品販売停止、ビザやマスターカードの停止に加え、アップルペイなども利用停止。ロシア市民生活は急速に困窮度を増そう。コンテナ船事業停止、EUがロシア船入港禁止にしそうで、物流は一段と止まりそうだ。ロシア航空機リースも数百機の契約が今月で打ち切り、ノルドストリーム2運営会社は破産申請報道で、石油・天然ガス供給も停止懸念が一気に強まり、原油相場高騰に拍車が掛かったと見られる。

意外なところでは、ロシアが硝酸アンモニウムの輸出を少なくとも42日まで見合わせと伝わった。付加価値は高くないが重要肥料でロシアは世界の2/3のシェアを持つ。北半球の植え付けシーズンの供給難は必至で、穀物生産に壊滅的打撃と報じられている。

株式市場の下支え材料は、今のところ弱いが、欧米の利上げ・金融引き締め観測が急速に後退している点。先週米10年債利回りは一時1.7%割れ、15日以来の水準。ところが4日の2月雇用統計では就業者増加数は67.8万人(予想は42.3万人)、昨年7月以来の増加数。失業率も1月の4%から3.8%に低下。15-16日のFOMCを控えるが、パウエル議長の議会証言から0.5%利上げ観測は事実上無くなっている。

東証では1日マザーズ指数の6.95%急騰が目を惹いた。日証協がIPOプロセス改善策を発表、実施は早くて6月、年内順次実施と見られるが、ショート勢が買い戻しに入ったと受け止められる。売り方の買い戻しは五月雨的に出て来よう。この日TOPIXは終値で1900ポイント台回復に失敗したが、引き続き1900ポイント台での推移を目指した展開と考えられる。

  

【ロシアの孤立と経済急速に悪化】

 4日、ロシアによる原子力発電所爆撃のニュースで世界市場は東京から始まって軒並み大幅安。日経平均はー2.23%だったが、欧州では英国が―3.48%、ドイツ―4.41%、仏はー4.97%、NYダウは—0.53%、ナスダックは—1.66%となった。VIX(恐怖)指数は、さらに悪化、欧州49.6450目前)、米国31.98、日本27.99と軒並み上昇。市場は欧州が最も恐怖を感じていることがわかる。

これまで善戦してきたウクライナ軍もやがて刀折れ矢尽き、遠からずロシアの傀儡(かいらい)政権が樹立されることが予想される。しかし、原発攻撃は国際社会から一斉に避難を浴びることになり、プーチン大統領やロシア軍指導部が戦争犯罪に問われる可能性がある。  

国際的な孤立という意味では、19319月に旧関東軍が引き起こした柳条湖事件に端を発する満洲国成立で、日本が国際的に孤立していった際の状況を彷彿とさせる。

ロシアは本当に不思議な国だ。核兵器や極超音速ミサイル、ステルス戦闘機など極めて高い兵器開発能力や世界一流のハッカー養成力がありながら、民生用技術や非エネルギー産業がからっきし弱い。そうした中、コロナ禍で悪化した失業率や供給面での問題の改善は足踏み状態だ。

ロシアのGDP2021年に、世界10位の韓国に次ぐ11位と、経済力・国力の勢いに欠ける。プーチン大統領はついに、従来の公約であった「GDPランキング世界第5位以内」の目標を取り下げてしまった。

モスクワ市場は依然として開けない。欧州の国際証券決済機関ユーロクリアはロシア証券の取引決済を停止。フランクフルト、米ナスダックなど広範囲にロシア証券の取引停止。ロシア株・債券に指数除外リスクがあり、決定待ちの状況。外為市場でルーブルは一時30%安、ロシア中銀が政策金利を9.5→20%に引き上げ、企業に手持ち外貨の80%売却ルーブル買いを指示し、-14%近辺に戻しているが不安定。

ウクライナ事業は事実上停止しているが、先週週明けからロシア事業からの撤退を表明する企業が相次いだ。象徴的なのは英BP。ロシア石油大手ロスネフチの持株処分を発表したが、買い手はいないとの見方で250億ドル(2.9兆円)規模の評価損がまるまる圧し掛かると、株価は一時8%急落。シェルはノルドストリーム2,サハリン2を含むロシアの全事業から撤退を発表。原油相場上昇要因になったと見られる。ロシアが対外債務不履行に陥る可能性は「極めて高い。ロシアのインフレ率は2ケタ上昇、経済は2ケタの縮小に見舞われるとした。

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