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2022年03月21日

【Weekly No.327】「露中分断工作」で米中首脳電話協議

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  1. 「露中分断工作」で米中首脳電話協議
  2. 劉鶴副首相登場、米FOMCはタカ派姿勢継続
  3. 中国株下落、悪材料目白押し
  4. 経済損失拡大、経済制裁影響広がる

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Weekly 321

【「露中分断工作」で米中首脳電話協議】

先日のローマで行われ激しい応酬となった米中高官協議の成果か、その後、突然、オンラインによる米中首脳協議を行うと発表された。ブリンケン国務長官やサキ報道官の発言では、中国の軍事機器直接支援を阻止することが目的のようだが、経済面でも露中分断を図る狙いがあると見られる。日本時間18日深夜に行われたオンラインでの首脳会談では、中国メディアによると習氏はこのような紛争は誰の利益にもならないと強調したようだが、市場へのインパクトはなかった。ロシアはユーラシア経済圏を頼りとする方向で、中国に加え、原油取引に色気を示すインド、核協議のイラン、ベネズエラなどが焦点になる。

15日付ウォールストリートジャーナル紙は「習近平氏の3期目続投、朱鎔基元首相が反対する意向」と伝えた。本当に久しぶりに朱氏の名前を見た。同氏は1998~2003年に首相を務め、国有企業改革、市場経済化を加速させた立役者。習氏の「共同富裕」や再国有化推進などの政策に強い不満を持っていると見られる。言わば、国際派・市場開放派の大御所的存在で、習続投体制の大きな揺すぶりが始まった可能性がある。後述する劉鶴副首相の突然の登場と連携していると見られる。投資家ジョージ・ソロス氏が「4月から習氏が苦境に」(当Weekly27日号に記載)としていたことが思い起こされる。こうした流れの中で、香港ハンセン指数は週初めの2日間は連日5%下げていたが、16日苦境にある中国の不動産株が爆騰した。何らかの作為を感じるのだが。

16日ロシアはドル建て国債2本の利払いを行ったようだ。ロイターが、一部債券保有者がドルでの支払いを受けたと伝えた。ロシアの意図は不明だが、デフォルト(債務不履行)による金融事情の一気の悪化を回避した可能性がある。

英国防省は「ウクライナでのロシア軍の動きがほぼ停止」「ロシア軍は甚大な損失を被り続けている」。米国防総省高官は「ロシア軍のミサイル発射は1000発以上(枯渇に近付く?)、士気が低下」。プーチン大統領は欧米志向のロシア人を強く非難し、「国の裏切り者」と呼んだ。何かヤケッパチ的で、化学・生物兵器や核の脅威は依然続いている。

独電力最大手エーオンがノルドストリーム1の評価損計上意向と伝えられ、ドイツの手の引き方に衝撃を受けている可能性がある。LMEニッケル取引は再開2日目も8%ストップ安で商いが出来ていないが、3日目はストップ幅12%に拡大で徐々に「正常化」に向かっていると見られる。原油相場は一旦100ドル割れをしたが、すぐに100ドル台回復するなど他市場はニッケル離れの動きにある。

先週の週間騰落率を見ると、日経平均は+6.62%、NYダウは+5.50%、ナスダックは+8.17%、英国は+3.48%と段々と正常化に向かっている。株価水準もロシアのウクライナ侵攻前の水準に戻ってきた。

 

【劉鶴副首相登場、米FOMCはタカ派姿勢継続】

16日トランプ時代の米中通商交渉の代表だった劉鶴副首相が久々に登場と報道。「資本市場に好ましい政策を打ち出す」と表明し、この日中国株が劇的に反発した。香港ハンセン指数は287ポイント、+9.08%、上海総合指数3170ポイント、+3.48%。当面、香港の2万ポイント攻防が焦点と思われる。

具体策は表明されていないが、一時失脚説も出ていた劉鶴氏の登場は、対米対話路線復活の期待感を市場に与えたと見られる。習バイデン蜜月に期待したが、米国の強硬姿勢は変わらず、中国自身が行き詰まっていた。極論かも知れないが、対ロ制裁攻防下での同氏の登場は、ロシアに与しない姿勢を表明したとも考えられる。

16日、ロイターが「アリババとテンセント、数万人の人員削減計画」と報じ、他のテック企業も追随、雇用不安が一気に高まると見られているだけに、経済安定は中国の大きな命題になっている。

ロシアは経済防衛に必死。誇張報道で知られる露メディア・スプートニクは「ロシアが主導するユーラシア経済連合(EAEU)は、中国とともに自由な国際通貨・財政システムを構築するため、単一通貨の導入プロジェクトを取りまとめている」と伝えた。自由なはロシアにとっての自由で、言わば、中国への抱き着き作戦。このところ、サウジの人民元取引、インドも米ドル以外での石油取引などの観測報道が出ているが、ロシアのプロパガンダの一環の可能性がある。イエレン米財務長官は早々と11日に「ロシアへの制裁措置の結果として、ドルが世界の基軸通貨の地位を失う危険性はない」とピシャリ。

16日の米FOMC結果は想定通りだったが、年7回利上げ姿勢、FRBのバランスシート縮小を5FOMCで決定可能性とタカ派姿勢を維持したことにやや戸惑いもあった印象。パウエル議長はリセッションの「確率高くない」とし、市場の懸念を和らげたとの報道だが、長短金利逆転リスクが一段と焦点と見られる。10年債と2年債利回り差は結果発表前の30bpから一時21bpに縮小。前日15日発表の2PPI(卸売物価指数)は前月比+0.8%、前年同月比+10.0%。コア指数は前年同月比+6.6%。3月は商品市況高騰の影響がさらに強まると見られている。

FOMCの終了でイベント通過、米VIX指数は26.67216日以来の低水準に一気に低下(日27.05,欧36.01)。ウクライナ情勢寛解などの材料が出れば、好感されやすい地合いに、ようやく戻って来たと思われる。

18NY市場では円が119円台で終了。FOMC では米国は金融政策の正常化に向かう方針を決めたが、FOMCから2日遅れて開催された日銀の政策決定会合では大規模金融緩和策の維持が決まった。黒田総裁は会合後の記者会見で足元の円安を肯定したと為替市場では受け取れ、その後のNY市場では日米の金融政策の違いを受け1ドル119.17円で週を終えた。円は対ドルで20162月以来の61か月ぶりの安値を記録したことになる。

 

【中国株下落、悪材料目白押し】

前述したように、先週、週明けの中国株は急落。香港ハンセン指数は4.97%安の19531ポイント、20163月(15年夏のチャイナショックの余韻が残っていた時期)以来の水準。ロシアのウクライナ侵攻以前は24000ポイント台で推移していたのと比べ約2割安。直接的な契機は、深圳のコロナ・ロックダウン、北方の長春市に続き、ゼロコロナ政策失敗危機にある。台湾のフォックスコンの深圳のアップル製品工場も停止し、米アップル株の売り材料となった。

他にも悪材料が目白押し。締め付けが続くテック株では、テンセントが「反マネーロンダリング規則違反で記録的罰金に直面」と報道され、約10%安。先週は滴滴出行が香港上場準備停止報道で暴落、ベイジーンやヤムチャイナなどで米国ADR上場廃止懸念再燃(米国の外国企業説明責任法による)、ノルウェーの政府系年金によるスポーツウェア企業・李寧株の人権問題での処分も尾を引いている。11日発表の中国融資統計で住宅ローン主体の家計向け融資が前月比減少し、本土不動産株が急落するなど不動産問題も改善していない。中国市場でCP(コマーシャルペーパー)返済延滞(3本以上、6ヵ月累計)企業数は1月の562社から21184社に倍増、不動産関連が急増している。

その国務院を率いる李克強首相の来年3月退陣が表明された。習近平独裁体制(プーチン化)が強まるのか、「35年」続投阻止(内部対立激化)に向かうのか、大きな転換点になると見られている。余談だが、ニッケル大混乱のLME(ロンドン金属取引所)だが、2012年に香港取引所に買収されており、ニッケル大混乱の一連の措置は中国流。市場参加者の不満爆発の要因になっている。

先週週初の中国株下落による東京市場への影響は限定的だった(上値は重かったが)。考えられる要因は、外国人売りの中身の差。中国株は外国人売りが多かったが、2月に中国国債が記録上過去最大の売り越し(約6400億円)となった時、ロシアの売りが囁かれた。株下落にもロシア・マネーの陰がある。人民元相場もフラついており、「ロシアとの結びつきリスク」も、大きな構成要因となろう。その分、日本独自の安保強化、自前資源確保、内需刺激策などが評価されやすい地合いと考えられる。

 

【経済損失拡大、経済制裁影響広がる】

IMFが示した銀行の対ロ投融資総額は約1200億ドル。ロシアは操業停止の外資系工場の国有化意向を示している。金融機関、運用機関、企業の損失額が何処まで膨らむか不明だが、徐々に明らかになりつつある。最大規模と見られる損失は資産運用世界最大手ブラックロック。ロシア資産1月末時点評価額182億ドルが2月末時点約10億ドルと約170億ドルの損失(売るに売れない評価損)と英FT紙が伝えた。ロシア航空会社にリースされていた旅客機515機が接収される見込みで、航空機リース業界の損失も1兆円規模と見られる。

ロシア財務相が公表した事実上凍結された海外資産は約3000億ドル。このほかに政府系ファンド、オリガルヒ資産の凍結などがある。損失埋め合わせにどういった形で使われるか、注目点になる。IMFはロシアのデフォルト(債務不履行)危機が世界的金融危機には至らないとの見解を表明。情勢次第だが、次第に落ち着きを取り戻すものと想定される。

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