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2022年04月04日

【Weekly No.329】3月の景気悪化受け、企業業績に関心高まる

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  1. 3月の景気悪化受け、企業業績に関心高まる
  2. 4-6月相場を考える、3つの「ナ」を軸に展開へ
  3. 依然として半信半疑の停戦協議

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Weekly 44

 【3月の景気悪化受け、企業業績に関心高まる】

情勢が混沌とする中、結局、3月末は日本株の前年度末比でTOPIX0.4%安、日経平均4.6%安、四半期比較の米株ではS&P5004.9%安、ダウ4.6%安、ナスダック9.1%安だった。

31日の米株は3指標とも1.5%程度の下げ、債券市場で期末思惑(残存期間長めの債券が買われる)が出たと見られたのと比べると、お化粧は剥落した。米ゴールドマンサックスの米株担当ストラテジストが「決算で下向き方向のサプライズがかなりの数に上るだろう。恐らく多くの事前告知(下方修正の発表)があるだろう」と述べたことが響いた印象だ。13月期の実績より、次期企業予想、日本では新年度業績予想が厳しくなる可能性がある。

スウェーデンの衣料大手H&M31日発表した122月期決算は市場予想を大幅に下回った(予想平均10.4億クローナに対し2.82億クローナ、前年同期は赤字、20年は25億クローナ)。株価は一時8%急落、スウェーデン株指数終値は1.65%安、一時は1.8%以上下落し、欧州株の中で下落が目立った。売上高は+23%なので販売動向より供給網などのコスト問題がより重要になっている。3月は28日現在+6%増収にとどまっており、ロシア停止(ウェイトは全売上の4%)などの影響も測ることになりそうだ。

英ロイズ銀行発表の3月英国業種別景況調査では、英景況感指数が前月比11ポイント低下の33%、コロナ禍以降、最大の落ち込み。製品値上げ予定企業は55%、賃上げ予定企業は49%(過去最高)、採用予定は7ポイント低下の31%(数字自体は高水準で雇用不安は高くない)。日銀短観との比較対象材料となる。

米政府の1.8億バレル石油備蓄放出で原油相場は抑えられたが、ロシアの原油・天然ガス決済が二転三転、ルーブル決済に流れた。4月分支払いは下旬から5月初めに来るので、G7 はルーブル払いを拒否、欧州の中でもドイツやフランスはユーロ払いを主張している。ユーロ決済を強行した場合、ロシアが供給を止めるかどうかが大きな焦点になる(日本のサハリンも同様と思われる)。

ロシア軍はチェルノブイリで「赤い森」と呼ばれる放射性廃棄物処理地で塹壕を掘り、大量被ばく(バス7台でベラルーシに搬送と言われる)、ウクライナ北部からの部分撤退の一因と見られている。お粗末さが随所にあり、方向感はない。

敢えて好材料を探ると、経産省は半導体製造工程で必要な希ガスは調達可能と説明したこと、日本海事新聞によると米ロサンゼルス・ロングビーチ港での入港待ちコンテナ船は329日時点で42隻、2月末時点の70隻からかなり減少傾向にある。日本との往復日程も70日前後から40-45日程度に改善している。中国コロナ状況次第だが、世界の物流混乱は改善の方向にあると考えられる。

 

【4-6月相場を考える、3つの「ナ」を軸に展開へ】

13月の日本株はTOPIXで高値20421月)-安値17553月)。31日終値1946、ゾーンの中央値は1900ポイントなので、やや安心感が出た。9月の最高値2120ポイントに対しては17%下落した後7%安程度に戻した格好。日経平均はNT倍率(日経平均/TOPIX)の関係からも、20%弱下落し、9%強安程度に戻したにとどまる。41日から東証市場区分変更となったが、株価指標にどういう変化がでるか、東証は説明していないので今のところ影響は分からない。市場区分変更で機関投資家は動きやすくなると思われる。30日、世界最大の機関投資家である日本の年金GPIFが国内株対象のESG(環境・社会・企業統治)指数を新規採用(FTSEの指数)、約7600億円でパッシブ運用開始したと発表した(GPIFの運用累計は国内外で213月末残約10.6兆円)。GPIFは運用規模の大きさから市場で「クジラ」と呼ばれ、「クジラが動けば波風が立たないわけがない」とまで言われている。このクジラのESG投資に関して42日付け日経新聞証券欄の「スクランブル」にも記載されている。

46月相場の見方は、①運用姿勢が活発化する時期で年央高に向かう、②戻りは限定的で二段下げに向かう、③両者が拮抗ないしは目まぐるしい情勢変化で方向感はなくボックス圏を形成、の三つのパターンに割れる。割れ方は通常よりも激しい印象を受ける。

変動要因は多いが、コロナ、ウクライナ、チャイナの三つの「ナ」を中心に展開すると思われる。31日の東証は日経平均で配当落ち分(236円程度)を考慮すると実質小幅高に終わった。朝方は配当落ち分を埋めると期待されたが、海外市場で高まったウクライナ停戦協議進展期待が剥落したことが響いた。当面は引き続き情勢注視を象徴。

年央高の強気派の主張の最大ポイントは「景気悲観論の行き過ぎ」。今のところ雇用統計などに悪影響は出ていないとの見方で、2週間後の米企業決算発表シーズンで(今までの悲観論により)低くなったハードルをクリアできると見る。モノサシの一つはサプライチェーンの混乱度合いなどが考えられる。ロシア制裁の影響、中国のコロナ・ロックダウンが当面の焦点と見られる。

最近の戻りは「弱気相場のわな」、とする弱気派はFRBの引き締め加速を想定する。長短金利逆転は直ちにリセッション入りを示さないが、FRBのバランスシート圧縮を急がせ、引き締め影響が強まるとの見立て。当然、インフレ動向が背景となる。

国内材料では、7月参院選に向け岸田政権は有効な経済政策を打てるか、円安は分岐点となるか(ドル円125円までは許容範囲、130円を目指すと日銀など政策変更必要論が高まると見られる。企業業績などで円安追い風論が出て来るか注目)、米国依存度が高まっており(経済、安全保障など)、米国追随相場が持続するか独自姿勢論が出て来るか(とくに対中姿勢が問われる可能性がある)、などが考えられる。

 

 【依然として半信半疑の停戦協議】

トルコで行われたロシアとウクライナの停戦協議は、関係者の毒殺未遂騒動も交えながら、「前進があった」との報道。市場にはロシア苦戦、キエフ周辺から後退、クリミアにつながる東南部掌握に集中、ウクライナの東西分割を目指すとの見方になっていたと思われ、その流れが強まっているとの受け止めと見られる。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は「前向きなシグナル」としたが、防戦の手を緩めないとも述べた。米国防総省の見解は「撤退でなく再配置」。

キエフ周辺の後退は、予想されながら実現していないベラルーシの参戦が影響している可能性も考えられる。米政府高官は「ロシアは手法を変えている。紛争を終わらせたと勘違いしてはならない」と述べた。ただ、対ロ輸出管理措置を巡り、「アジアでは今のところ違反を確認しておらず、むしろ企業の自主制裁も見られる」と述べている。ロシアが期待した中国などの援助も得られていない可能性がある。

背景にはロシアの損失の大きさも指摘されている。英調査機関は「最初の4日間は70億ドル/日だったが、5日目以降は200~250億ドル/日(1日につき2兆円~3兆円)に膨らんだ」としている。26日に発射した52発のミサイルの総額推計は3.4億ドル、プーチン大統領は6日に中西部の空港に打ち込んだ高額な長距離精密誘導弾8発使用に激怒したと伝えられている。ロシア政府の年間歳入規模は30兆円程度、13兆円も使えば持たない。死傷者数、戦車などの喪失はアフガン10年間を上回るとされる。

週初、上海のコロナで腰砕け気味だった商品相場を直撃した。WTI原油相場は一時100ドル/バレル割れ、終値は105ドル近辺に戻したが、不安定な値動き。穀物相場にも波及し、シカゴ小麦は一時8%安、トウモロコシは一時4.7%安。輸出港の黒海周辺ではむしろ戦闘が激化しており、チグハグな印象は否めない。米債市場も荒れた動き。一時2年債と10年債利回りが逆転したが、終盤は4bp程度の差。商品インフレ観の修正で、10年債、30年債利回りが急低下したことが要因で、5年債と30年債利回りも逆転した。

株式市場は一部には景気悲観論の行き過ぎ修正で、「景気は底堅い」指標に注目する向きも出ているようだ。1日発表の3月雇用統計では、就業者増加数が43.1万人、予想は49万人だったが、1月、2月の2か月分を上方修正。さらに3月の失業率は前月の3.8%から3.6%に改善。同日発表されたISM製造業景況感指数は57.150を境に好況、不況に分けられる)、前月58.6、予想は59と少し低めの数字となったが、サプライチェーンの労働不足は相変わらずのようだ。市場の方向感は出ないまま、46月相場の見立てを巡っての攻防が始まっていると思われる。

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