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2022年05月23日

【Weekly No.336】香港没落、中国懸念強まる

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  1. 香港没落、中国懸念強まる
  2. NYダウ90年ぶりの8週連続の下げ
  3. 中国、4月の惨状、6月ゼロコロナ解除は本当か
  4. 強弱材料綱引き、綱引き構図変わらず

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Weekly 523

【香港没落、中国懸念強まる】

米株式市場は先々週までは「ロシア問題=高インフレ懸念」を軸に展開していたが、先週は16日の衝撃的4月中国統計発表(後述)を機に「中国懸念=世界経済悪化懸念」に軸足が移ったと考えられる。ともにリスク回避姿勢、先行き不透明感は同じだ。

底流には、「プーチン、習近平体制の終わり」を睨むが、そこに行くまでの波乱リスクに警戒感が強いと思われる。

バイデン大統領は日韓を訪問。20日朝方「数週間内に米中首脳会談の可能性」、その前に「6月にもサウジ皇太子と会談の可能性」が報道された。リスク回避ムードに変化を与えるか実現有無は注目ポイントの一つと考えられる。

中国経済の問題は実態がなかなか明らかにならないことだが、18日付ロイターは「河南省の銀行3行が預金を凍結し、その理由や期間についてほとんど情報を提供していないことが分かった」と報じた。兎州新民正、上蔡恵民、柘城黄准の各村鎮銀行で、418日に少なくとも12億元(17755万ドル)の預金を凍結したと言う。規模は小さいが、最大15億ドルに上る可能性があるとされる。

続報が無いので分からないが、中国ではこういった小さい金融混乱がアッと言う間に取付騒動などに広がるケースがあり、生産活動などに加え、金融事情も要注意となろう。18日には人民銀行・前貨幣政策局長の孫国峰氏が「重大な規律違反」で取り調べを受けていることが判明した。銀行間債券市場創設、オペ開始、為替メカニズムなど多くの金融業務に携わって来た人物。習派との対立か、注目される。

19日の中国株は、上海総合指数+0.36%に対し香港ハンセン指数-2.54%。香港の弱さが目立った。香港で設立されたヘッジファンド・ミリアドAMが香港オフィスを閉鎖し米フロリダに移転計画、香港上場の30社余が決算発表の延期を申請(コロナ影響としているが不動産関連が多いようだ)、今年の香港での新規株式公開での資金調達額は前年同期比90%減少(207億ドル→21億ドル)など香港市場萎縮のニュースが多い。

未確認情報だが、香港人口はピークの19752万人、21年末739万人、今年13月は14万人の出国超過で人口減少が加速している。警察OBの新行政長官の下、香港衰退が加速すると見られている。

その分、東京シフトが注目されてもおかしくないが、そうならないのは「新しい資本主義」の目線がズレているからと思われる。

 

【NYダウ90年ぶりの8週連続の下げ】

NYダウは17日までの3営業日で900ドルほど戻していたが、18日は一時1200ドル超の下げで再び下落トレンドとなった(引けは1164ドル安)。日替わりのように材料が変わるので、何が主因なのかイメージし難いが、FRBの強硬引き締め姿勢へ、一言で言えば、今の高インフレは利上げでは対処できないとまで見ているのかもしれない。したがって豊富な資金力の待機勢が買い出動する状況がなかなか出て来ない。これでNYダウは先週934ドルの下げ、8週連続の下げとなった。米情報会社リフィニティブによると、8週連続の下げは1932年以来90年ぶり、米ファクトセットによると、1923年以来99年ぶりの出来事とのこと。すでにNYダウは完全に下げ相場に入っているのかもしれない。

18日、米ディスカウント小売大手ターゲットの第1四半期(2-4月)決算が5割減益となったことを受け、同社株は27%暴落。前日、業績下方修正したウォールマートなども売られ、小売株ETFは約8%安。前日は商務省が4月小売売上高を前月比+0.9%と発表し、個人消費は引き続き堅調との評価だったが、一転、「賃金上昇でも消費者の購買力低下」が懸念視された。

ターゲットは燃料価格高騰や輸送関連コスト増を要因に挙げたが、「サプライチェーンの混乱は少なくとも23年まで続く」と予想。消費需要が利益率の高い家電、衣料品などから利益率の低い食品、日用品にシフトする構図で、粗利益率は30→25.7%に急低下、人件費増などを吸収できなくなっている。中国経済の影響は説明されていないが、輸入構造からみて、低迷長期化が懸念される要因と思われる。

この他、NYでコロナ新規感染者増(3月は一時600/日程度だったが17日は約3700人)、バイデン大統領娘、副大統領、広報部長などのホワイトハウス周辺でも感染者が増加している。静かに警戒ムードが漂う。

電気自動車大手テスラ株がS&P500ESG(環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。 企業が長期的に成長するためには、経営においてESG3つの観点が必要だという考え方)指数から除外されたことが判明した。低炭素戦略や行動規範に関する公表が不十分なことが理由。実施は52日。マスク氏は「ESGは詐欺だ」とツイッター投稿。相場が脆くなると、こういった要因も売り材料となることがある。水鳥の羽音にもビクビクする地合いの落ち着きが必要だ。

 

【中国、4月の惨状、6月ゼロコロナ解除は本当か】

中国の主な4月統計が発表されてきている。

 小売売上高  前年同月比-11.1%(市場予想-6.1%、3月-3.5%)

 鉱工業生産       -2.9%(同+0.4%、3+5.0%)

 不動産販売       -40.6%(3月-26.17%)

 住宅新築着工(床面積ベース) -44.19

 自動車販売       -47.6

 石炭生産/日       +11

 鉄鋼生産    前月比+5.1%、前年比-5.2

 石油精製    1261万バレル/日(前年比-11%)、31380万バレル/

 発電量     前年比-4.3%、205月以来の低水準

 新規融資    6450億元(予想15000億元、331000億元)

ロックダウンの上海では自動車は1台も売れなかったそうだ(前年2.6万台)。上海市副市長は16日「521日から正常化に向け3つの段階を踏み、6月以降、通常の生活再開を目指す」と表明したが、市民は疑心暗鬼と伝えられる。

北朝鮮の感染大爆発が習近平「ゼロコロナ政策」を正当化している面があり、新規感染者が出ると元の木阿弥となる。厳格な諸策は、市政府-街道弁事処-(地区・マンションごとの)居民委員会の3段階体制で行われ、各段階を共産党員・幹部が仕切る構図とされる。対応は地区によってバラツキがあるようだが、暴力的対応が問題になっている所もある。市民の不満は鬱積していると思われる。ただ、国務院や中国人民銀行などによる景気対策は空回りしていると考えられる。   

16日の米10年債利回りは2.9%割れ。WTI原油一時113ドル/バレル台、インドが全面輸出禁止を発表(収穫前の熱波による)した小麦が約6%高など、高インフレ懸念はそれ程後退した分けではないが、中国懸念による米金融引き締め警戒(一時の0.75%利上げ観測)がやや後退していると見られる。

NY連銀が16日発表した5月の米製造業業況指数は-11.6(市場予想+17.0,前月+24.6)と急悪化した。新規受注と出荷の悪化が重石と説明され、悪化は一時的との見方だが、中国事情が影響している可能性が大きい。

日本でも部品調達難などで自動車減産などに影響が広がっている。今のところ恐慌的にはなっていないが、事態が流動的で方向感がなく、株式市場のフラツキ展開に表れているものと考えられる(蛇足だが、ロシアの見込み違いにも影響していると思われる)。 

 

【強弱材料綱引き、綱引き構図変わらず】

17日中国では突然、人民政治協商会議(政協)が開催され、「デジタル経済の発展促進策について協議する」会合が開始された。劉鶴副首相が登場し「デジタルプラットフォーム企業」への支援を表明した。これを受け、この日の香港ハンセン指数は+3.27%、+5.8%のハイテク株指数が牽引し、ハンセン指数は2万ポイント大台を回復した。上海総合指数は+0.65%に止まったが、構図は316日の劉鶴第一弾砲(景気テコ入れ表明)と同じ。上述の政協は国政助言機関とされるが、民間有力者、政界長老などを幅広く含む。習主席の「ゼロコロナ政策」や「共同富裕」などを正面切って批判、対抗しないので、分かり難さがあるが、習主席3期目続投に向けての攻防色が強まっている。

米国ではパウエルFRB議長が金融引き締め継続を改めて表明(WSJ主催のイベントで「インフレ低下の確証なければ、FRBはさらに積極的な行動を検討する必要がある」)。短期金利を中心に反応し、2年債利回りは2.71%台、10年債も押し上げられ2.99%台。この日発表の4月小売売上高は前月比+0.9%、堅調で高インフレの影響をあまり受けていないことも支援材料となった。

VIX(恐怖)指数は一段と低下。59日ピーク(34.75)から6営業日連続低下し26.1044日の20ポイント割れ水準にまで低下が進むか注目される。なお、欧州のVIX指数は26.24、日本は24.19、通常なら日本の低下が先行する。

BofA(バンクオブアメリカ)の機関投資家月次調査で、現金保有率は6.1%(4月調査5.5%)、過去20年で最高水準。株式ウェイトはネットで13%のアンダーウェイト。4月調査の6%オーバーウェイトから劇的に低下した。選好されたのはコモディティー(商品)、ヘルスケア、生活必需品、忌避されたのはテクノロジー、欧州、新興国市場。最大のリスクは、中央銀行のタカ派姿勢31%、世界的なリセッション27%が次ぎ、インフレ18%、戦争懸念10%を上回った。金融当局の行き過ぎ(日本では黒田日銀が緩和継続姿勢を維持しており、財務省の増税志向が当局の行き過ぎに該当)警戒が強い。「暴落すれば底入れシグナル」との見方もあるが、当面、待機姿勢が続くものと見られる。

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