News & Topics

News & Topics

2022年06月06日

【Weekly No.338】米景気後退論も一蹴

会員様専用レポートです。

このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。

※期間限定で、パスワード不要で全文お読み頂けます。

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

  1. 米景気後退論も一蹴
  2. 米景気は緩やかなペースでまだ拡大継続
  3. 上海ロックダウン解除で荷動き戻るか
  4. 国内開発機運は高まるか

■■------------------------------------------------------------------------------------------------■■

Weekly 66

【米景気後退論も一蹴】

2日の米株は朝安の後、切り返した。NYダウはフシ目と見られた33000ドル(435ドル高の33248ドル)を上回り、ナスダックは下限ゾーンと見られる1~12000ポイントゾーンを(朝方11901.45の後)上回った。報道では、悪役だったテスラ、エヌビディア、メタ・プラットフォームが軒並み4%超の値上がり、アマゾンも+3.1%。VIX(恐怖)指数は24.7225ポイント割れは421日以来(蛇足だが、この時の日経平均は27553円、目線はあまり変わっていない印象)。

この日の朝方は、ブレイナードFRB副議長の「(6月と7月の0.5%利上げの見方は市場で織り込まれているが)9月に利上げを一旦停止する理由はほとんどない」と述べ引き締め観測が戻った可能性がある。ただ、要人発言は後追い的。債券市場では20年債と30年債の利回り上昇の反面、それ以下は小幅利回り低下した。

ただし、翌3日は雇用統計の発表を受けてNYダウは348ドル安に反落した。就業者増加数が39万人、前月の43.6万人から減速してきたものの予想の31.8万人を上回ったことが要因。平均時給が前年同月比∔5.2%と市場予想と一致したが、高い伸びが続いているということで前日から一転して金融引締めは続くとの警戒感で株安となったようだ。この結果、2日にNYダウは33000ドルを上回ったが、3日には再び33000ドル割れ(32908ドルの引け)。

2日のNY株高にはOPECプラスが増産ペース拡大に踏み込んだことに反応した可能性はある。2日の閣僚級会合で7月の増産枠を日量43.2万バレルから64.8万バレルと5割拡大した。6月中にはバイデン米大統領のサウジ訪問計画が報じられており、原油一段高を見込む向きには、湾岸諸国の増産に警戒ムードが出た可能性がある。

ただ、この日のWTI先物は1%強上昇の117ドル台/バレル。これは米週間在庫統計で原油在庫が510万バレルの大幅減(予想130万バレル減)となったことが要因。ロシア原油を購入する中国は35%割引価格と報じられており、私見では上昇しても持続性はないと思うが。

米航空大手2社首脳が「需要は猛烈な勢いがある」と述べ、一部で出ているリセッション(景気後退)懸念を一蹴した。燃料費高で平均運賃は1年前から約50%上昇、旅行需要に水をさすとの見方が出ていた。デルタ航空は第2四半期売上高見通しを上方修正、前日までのユナイテッド、サウスウェスト、ジェットブルーの上方修正に追随した。

株高だった2日に発表された週間新規失業保険申請件数は1.1万件減の20万件(市場予想21万件)。このところ20万件前後の推移で、金融情勢が引き締まりつつある環境下でも底堅いとの評価。同日発表のADP民間雇用は12.8万人増、市場予想30万人増を下回ったが、必ずしも雇用統計とは連動しない。転職支援のチャレンジャー発表の5月全米企業人員削減数は14.7%減、1-5月の前年同期比は48%減とひっ迫感がある数字。米労働市場の良好さを示す可能性がある雇用統計前の買い戻しといった印象がある。

 

【米景気は緩やかなペースでまだ拡大継続】

1日発表のベージュブック(地区連銀経済報告)は「5月末にかけて大部分の地域で、控えめもしくは緩やかなペースで拡大した」「金融引き締め効果の初期の兆候がある」とした。利上げ効果の初期症状は、おそらく住宅市場の頭打ち、企業の楽観的見方が後退していることを指摘。物価上昇圧力と労働市場の逼迫は、当面緩和されないと指摘。

ISM(米供給管理協会)5月製造業景気指数が56.14月の55.4,市場予想54.5を上回ったこと(雇用指数は低下したが、労働者不足が原因と見られている。雇用統計での焦点の一つか)、カナダ中銀が2回連続、0.5%利上げ政策金利を1.5%としたことなども、FRBの強めの引き締め姿勢継続との見方に繋がったと見られる。昨日は米金利上昇、ドル高、株安だが、ボックス圏内の動きにとどまった。

ただ、JPモルガンのダイモンCEOが「今は晴天の米経済にハリケーンが迫っている」と主張し、漠然とした不安感を煽る格好。また、イエレン財務長官がバイデン大統領との会談後、「大統領はカリフォルニアの港湾状況を注視している」と述べた。米統計解説には、あまり出て来ない中国経済情勢を注視していることを示唆する。

6月になってからのNYダウは、1日が176ドル安、2日は435ドル高、3日が348ドル安とジグザグな動きとなった。それぞれが経済指標に反応したのだが、経済にとって良いニュースに対し株下落、悪いニュースには株高で反応している。市場の関心事は、9月以降の金融政策に移っている。6月、7月の政策決定会合ではそれぞれ政策金利を0.5%上げることは織り込み済みで、9月以降に一旦利上げを止めるか、または継続して0.5%の利上げとなるかが焦点になっている。しばらくは景気減速を示唆する経済指標に株式は好感する日が続きそうだ。逆は株安となりそうだ。

5月のドル指数の月間騰落率は1.4%下落で1年ぶりの下落幅。IMM通貨先物円の建玉を見ると、531日現在94439枚の売り越し、510日時点の11454枚から圧縮されているが、3日の雇用統計で再び円売りドル買い、一時遠のいていた130円台が再び見えてきた。7月にも利上げが見込まれているユーロのロングポジションが16529→38930枚と拡大、対ユーロではドル頭打ち感が広がっている可能性がある。9日開催予定のECB理事会が次の注目材料。余談だが、FRBのバランスシートは約3000億ドルの含み損と報じられており、ETFだけで14兆円の含み益の日銀と比べれば、米ドルの脆弱性が心理的に影響する可能性も。

  

【上海ロックダウン解除で荷動き戻るか】

30日は米市場がメモリアルデー休場で、週初は中国や欧州のニュースが大きく取り上げられがちだが、中国「61日から上海ロックダウン解除」、欧州「EU首脳会議、ロシア産原油禁輸入で合意できず」などが注目材料となった。

61日の上海ロックダウン解除の初日、中国株は反落した(上海総合指数-0.13%、香港ハンセン指数-0.56%)。まだゼロコロナ政策が終わった分けではない、経済が元に戻るには2ヵ月から数年掛かると悲観的見方、権力闘争や不動産問題などが前面に出てきて中国経済の困難さが表面化する(5月の不動産大手100社の新築販売は前年同月比59%減)、などの弱気観測が出ている。蛇足だが、経済データ改ざんで江蘇省党委員会副書記の党籍はく奪が発表された。一連の動きで最も高位の官僚と見られる。「個人的昇進のためごまかした」と、腐敗追及の時と様相が似て来た。

上海市当局は深刻な経済立て直し策として8分野50項目を発表。不動産対策、自動車販売促進、製造業者生産再開支援、コロナ検査要件緩和など。外銀の中国経済見通しは引き下げが相次ぎ、UBS22年見通し3%(3月の全人代で5.5%前後の成長を打ち出していた)。

習主席は太平洋島嶼国との「未来共有に取り組む用意」を主張したが、島嶼国10か国との外相会合で合意できなかった。新疆・ウイグル問題では公安資料が大量流出し国連を招いての問題封じ込めに失敗した。

日本への影響は、4月鉱工業生産が前月比1.3%低下(市場予想0.2%低下)と3ヵ月ぶりの低下に表れた。自動車減産への影響が最も大きいと見られ、5月の国内新車販売台数は前年同月比18.1%減。半導体不足も混在しているが、上海封鎖の影響が最も大きかったと見られる。回復度合いを見る時、自動車生産が一つの指標と思われる。

 

【国内開発機運は高まるか】

528日、岸田首相は山梨・リニア実験線に試乗した。直ちに工事再開と言わないのが岸田流、6月中にも環境保全に関する有識者会合立ち上げを表明した。中国に忖度しているのではないかと揶揄される静岡県知事の反応は伝えられていないが、一般論ではリニア再動期待が強まろう。JR東海はこのところ知識人・有名人の多数の試乗会を実施、賛同の輪を広げている。7~8月には一般向け有料(1区画2座席4400円)試乗会を実施予定。

萩生田経産相は27日のG7気候・エネルギー・環境相会合を受け、「今まであらゆる機会を通じて日本が主張してきたことが浸透している」と述べた。会合で石炭火力廃止の年限を決められなかったことを指し、日本の主張「2030年に向けて非効率石炭火力の段階廃止、2050年に向けて水素・アンモニア・CCUSCO2回収・貯留・有効利用)を活用し、脱炭素を推進する」が受け入れられつつあるとの認識。

実際は、ドイツが石炭火力の延命利用方針を打ち出すなど、ロシア産原油禁輸を巡る駆け引き下にある。欧州の意向とされる「2030年石炭全面禁止」は現実的でなくなっている。  

日本は既に高効率の石炭ガス化複合発電を行っている。19年からは中国電力・広島大崎発電所で実証試験を行い、さらに高レベルのCO290%回収、送電端効率40%を達成している。現在は燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンを組み合わせた超効率発電に向かっている。いずれも世界初。回収・貯留したCO2に関しては、大阪ガスなどが水素と合体させた合成メタン「メタネーション」の実証試験を豪州で行っている。褐炭が利用でき、CO2回収技術、高純度水素技術で石炭利用領域を広げるもの。

日韓大陸棚開発に失敗した頃から、日本は「資源のない国」との刷り込みが強まり、石油メジャーの外圧説も囁かれた。実際は、自動車の燃費競争に勝つなど、省エネ・資源利用の技術開発に成果を上げている。周辺海底資源の開発(島根・山口沖で3月から探鉱開始)、メタンハイドレート実用化(一応2027年目標)なども注目材料。ただし、大陸棚開発は中国、韓国との摩擦材料(28年に日韓大陸棚協定が50年満了予定)。

2010月にブルームバーグ・エコノミクスは「イノベーション潜在力ランキング」を発表。日本がトップで、米、独、スイス、台湾が続いた(対象135ヵ国)。当時ほとんど話題にもならなかったが、エネルギー危機で改めて評価される可能性がある。日本の「自前資源・技術」が一石を投ずるか注目されるところだ。

PAGETOP