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2022年06月13日

【Weekly No.339】CPIの大幅上昇を受け株価大幅安

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  1. CPIの大幅上昇を受け株価大幅安
  2. 欧州利上げ表明、ラガルドECB総裁のタカ派的発言に反応か
  3. イベント前の攻防、要人発言でフラ付く
  4. 岸田政策、具体策欠く

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Weekly 613

【CPIの大幅上昇を受け株価大幅安】

10日のNYダウは880ドル安で終えた。この大幅安の要因は、注目の5月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回ったことによる。CPIは前年同月比8.6%上昇と4月(8.3%)から伸びが加速し、4月と同じ上昇率を見込んでいた市場予想を上回ったことになる。さらに物価の基調をはかる上で重視される前月比でも1.0%上昇と4月(0.3%)から加速し、市場予想(0.7%)を上回った。このところインフレがピークアウトしたとの見方が出ていたが、まさしく、これを打ち消す結果となったわけだ。

インフレ加速を背景にFRB(米連邦準備理事会)が秋以降も積極的な利上げを進めるとの見方が強まり、景気が冷え込むとの警戒感から幅広い銘柄に売りが膨らんだ。市場では、当初から6月と7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で通常の倍にあたる0.5%の利上げが決まると見ていたが。今回のCPIの結果を受けて、9月も0.5%の利上げに動くとの見方が強まった。さらに一部の金融機関では6月のFOMC0.75%の利上げを予想するところも出てきた。

一方、同日発表の6月のミシガン大学の消費者態度指数は2カ月連続で低下し、1952年の統計開始以来で最低となった。インフレ懸念で消費者景況感が急激に悪化したようだが、インフレと景況感悪化が同居するスタグフレーションの可能性を市場は見始めたようだ。この結果がNYダウ2.73%の下げ、S&P5002.91%の下げ、ナスダックは3.52%の下げ、さらにシカゴの日経平均先物は10日の大証比525円安、週明けの日本市場もあれ模様~始まりそうだ。

また。この日の米10年債金利は一時、前日比0.13%高い(債券価格は安い)3.17%1カ月ぶりの高水準を付けた。なお、今週も1415日にFOMCが開催される。通常の倍の0.5%の利上げが決定する見通しだが、0.5%利上げは7月も続けられる。さらに9月も0.5%に踏み切る公算が高まっている。

 

【欧州利上げ表明、ラガルドECB総裁のタカ派的発言に反応か】

CPIに先立つ9日のECB(欧州中央銀行)定例理事会は、金融引き締め開始宣言となった。2014年に導入した資産購入プログラム(APP、量的緩和措置)を71日に終了、7月理事会で0.25%利上げを行う意向を表明した。ここまでは想定内だったと思われるが、ラガルド総裁が「追加利上げの道筋が適切、9月には0.5%利上げの可能性」に言及したことでタカ派姿勢と受け止められたようだ。ECBのインフレ率予想は、今年6.8%(3月時点5.1%)、233.5%、242.1%に大幅引き上げ。ピークは第3四半期、その後緩やかに低下する見通しとした。今年の成長率予想は3.7%から2.8%に下方修正。

この日、欧州株は全面安だが、脆弱と見られる伊株が1.90%安、独1.71%、蘭1.60%、仏1.40%、スイス1.26%の順。利上げ先行の英株は1.54%安。経済脆弱な南欧債が売られ、代表的な独-伊利回り差が拡大している。伊10年債は24bp上昇の3.715%と18年来の水準、ドイツ10年債は1.47%、20147月以来の高水準だが、両国の10年債利回り格差は227bpに拡大。ギリシャ10年債は4.15%、スペイン2.628%。

市場心理としては、ロシアの再攻勢、米テキサス州のLNG輸出ターミナル火災で3週間閉鎖予想で欧州天然ガス相場急騰(週間で16%下落していたが一時13%高)を懸念視した可能性もある。エネルギー価格上昇は、元々、昨秋のコロナ禍からの回復期待と欧州に風が吹かなかった(風力発電が想定を大幅に下回り、LNGなどの需要が急増した。脱炭素の看板はグラついているが下ろすことにはならないジレンマがある)ことで始まった。抜本的なエネルギー対策が進まないと流れは変えられないと思われる。

9日の米株も欧州株上回る下落となった。NYダウ1.94%、ナスダック2.75%下落で、欧州市場終了後に下げ幅拡大となった要因は不明。アップル3.6%安、アマゾン4.2%安など大型成長株が下げを主導したようだ。

9日の中国株は反落、上海で一部が再びロックダウンと伝えられた。9日、国営中央TVは「習主席、ゼロコロナ政策をゆるぎなく堅持し、経済ニーズとのバランスを取るよう呼び掛けた」と伝えた。まだ、ゼロコロナに固執している可能性がある。

 

【イベント前の攻防、要人発言でフラ付く】

先週最も注目されていた9ECB理事会、10日米CPI統計などイベントの前に、8日は要人発言が相次ぎ、(順不同で)主なものは、米ホワイトハウス報道官が「物価統計で高水準のインフレ率が示される」、ノーベル経済学賞受賞者のロバート・シラー・エール大教授は「米国がリセッション(景気後退)入りする可能性は十分ある」、米半導体大手インテルのCFO(最高財務責任者)は「マクロ面は明らかに弱まっている。半導体業界だけでなく世界中の企業、全員が影響を受ける」。

反応はバラバラで、8日のインテル株5.3%安、シティが業績予想を引き下げた。安値は1710月以来の水準。つれてSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)2.4%安。世界銀行、OECDと国際機関の世界経済見通し引き下げが相次いだが、景気後退懸念は債券相場に響かず、米金利は逆に上昇。この日は米10年債330億ドルの入札があったが低調で、最高落札利回り3.030%にサヤ寄せする動き。9日は190億ドルの30年債入札が行われた。

米金利上昇もあって円安は止まらず、ドル円一時134.47円、前年に起こった同時テロの余韻残る20022月以来の水準。ユーロ円は143.78円、20151月以来。下落は10営業日連続でソロソロ一服してもおかしくないが。

8日の欧州株は軟調だったが、下げ幅を戻して終わった。クレディ・スイスが4-6月期赤字転落見通しを示し、一時7%超の急落で金融株が下落を主導した。ただ、スイス紙が米ステート・ストリートがクレディ・スイスの買収検討を伝え(同社は否定)、一転3.8%高となったものの、他への広がりは限定的。景気後退懸念は欧州の方が強い印象。

中国株は持ち直している。8日には4月上旬以来の2ヵ月ぶり高値水準に戻している。引き続き景気対策連発が支えている。8日に目立ったのは貿易促進策の発表。20年のコロナ後を支えた輸出ブームが下火となっており、4月は港湾停止もあって2年ぶり低水準だった。港湾効率化、輸出税還付など網羅的だが、現在の中国の最大輸出先は中南米。輸出ドライブが掛かるか注目される。

 

【岸田政策、具体策欠く】

6月に入って東証空売り比率は9日まで43%未満に低下(ただし10日は日経平均422円安、同比率も45.2%に上昇)、NT倍率は14.3倍台まで上昇、やや日経平均主導で上昇してきた。7日、岸田内閣は「骨太方針」を発表し、エネルギー白書発表に合わせ関係閣僚会合を開催した。「人への投資」「技術開発・イノベーション投資」などお題目は順当だが、結論的には具体策を欠く。発表分は財務官僚の作文と言われ、数値目標に極力踏み込まず、微妙な言い回しを残し、財政再建路線を残すことに腐心したと言われる。早くも「厚生年金加入要件の企業規模撤廃検討」が伝えられ、社会保障費対策が先行している印象。また、電力危機に対し「今夏に節電要請」が前面に出ているようでは安心材料にならない。

1-3月期のGDPギャップは「約21兆円の需要不足」、4月実質賃金は前年比1.2%減、4月実質消費支出は同1.7%減、2ヵ月連続減と景況感は良くない。一時的にコロナ規制解除効果が出ると思われるが、鉄鋼などは早くも連続大幅値上げを発表している。浸透ペースには不透明感があり、「好循環」となるかも不透明。21年度の税収は前年同期比14.3%増、過去最高ペース(2年連続、20年度60.8兆円、21年度見込み63.9兆円)であり、目先的に踏み込んだ行動を起こしてもらいたいところだ。

経済安全保障も具体策を欠く。ブルームバーグの報道によると、中国国際経済交流センターのチーフエコノミストは「中国に対し対ロ制裁のような破壊的制裁を発動するなら、我々は台湾を取り戻さなければならない」とし、半導体世界最大手の台湾TSMCを手中に収めるよう政府に提言した。米国などへの移転を加速させていることに対しては、「移転の全目標を達成させてはならない」。中国、韓国による日本のEEZ内での海底調査なども頻発してきている。

5月までは「何もしない内閣」と批判されてきたことからは前進していると思われるが、対応案件は増えており、岸田政権の具体的な対策・行動を注視することになろう。

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