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2022年06月20日

【Weekly No.340】スイスの一撃、利上げラッシュでリスク回避加速

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  1. スイスの一撃、利上げラッシュでリスク回避加速
  2. 欧州、米金融政策決定会合のイベント通過
  3. FOMC通過前から株式市場には資金流入、売られ過ぎとの見方

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Weekly 620

【スイスの一撃、利上げラッシュでリスク回避加速】

日本時間16日夕方、予想外のスイスが利上げを発表し、為替市場が波乱となり、弱含みだったダウ先物下落が加速、16日のNYダウは反発しないまま3万ドル大台割れ推移となった。リスク回避が先行しているが、大きな背景は欧州の脆弱性、欧州勢の資金引き揚げの動きが出ている可能性が考えられる。

スイスは15年ぶりの利上げで、政策金利を0.5%上げ、-0.25%とした。まだマイナス圏なので、継続的な利上げが想定されている。ロイター調査で、ほぼ全てのエコノミストが据置を予想していたため、サプライズとなった。スイスフランは対ユーロで1.9%高、対ドルで3.1%高、為替市場波乱を招いた。

利上げは15日のブラジル0.5%(政策金利13.25%)、16日は台湾0.125%(同1.5%、利上げは今年2回目)、英国0.25%(同1.25%、昨年12月から5会合連続)と広がっている。

スイスフランの動きが大きかったのは、安全牌と見られていたポジションを直撃したためと思われる。円もスイスフラン高につられ16日のNY132円台の円高となった。

景気減速、リセッションに向かっているとの見方が株式市場波乱の主因になりつつあるが、その点では欧州が脆弱と見られている。ロシアからの海底ガスパイプライン「ノルドストリーム1」の設備機器が届かず、補修困難として、14日にドイツ向け4割減、16日からはさらに2割減、都合6割減と報じられている。ロシアの政治的作為なのか、対ロ制裁のブーメランの一環なのか分からないが、欧州天然ガス相場は24%急騰した。

先に、ECBの金融引き締め方針で、独伊国債利回り差が一気に拡大、「南欧問題」が露呈することで、早くも軌道修正を図っている。ロシアが攻勢を続ける限り、東・北欧の懸念が継続する。構造的脆弱性が資金移動の振れを大きくしていると考えられる。

日銀の政策発表は17日昼、黒田総裁記者会見は株式市場の引け後行われた。予想通リ金融緩和維持、朝方、円は132円台の円高だったが、黒田総裁会見後再び134円台に突入、NY市場では1ドル135.02円で引けた。

 

【欧州、米金融政策決定会合のイベント通過】

15日はFOMC(米国の金融政策決定会合)通過で買い戻し相場となり、NYダウは303ドル高。ただし、先週1週間を通じてNYダウ4.79%下げ、1週間の下げとしては今年最大の下げ率となった。この日のFOMCは市場が急催促した通り、27年ぶりの0.75%利上げ、7月は0.5~0.75%利上げの公算が示された。新たに示された金利・経済見通しで、政策金利見通し中央値は22年末3.4%(3月時点1.9%)、23年末3.8%(同2.8%)。パウエルFRB議長は高インフレ抑制へ前倒し的に利上げ実施していく姿勢を示した。経済見通しは今年のGDP成長率1.7%、失業率3.7%(24年にかけ4.1%に上昇予想)。

シティグループは4-6月期トレーディング収益がボラティリティー急上昇で25%増(市場予想2.4%増)見通しと伝えられ、一時的に「景気減速=インフレ抑制」を好感する格好。  

この日のWTI原油相場は3ドル安の115ドル/バレル台、5月小売売上高は前月比0.3%減、輸入物価は前年比+11.7%、4月の+12.5%から鈍化した(燃料と食品除くコア指数は前月比-0.3%、前年比+5.5%)。住宅統計の軟化も続いている。今後も経済統計などに左右される地合いが続こう。

ムード変化は欧州から始まった。ECB(欧州中央銀行)は15日臨時会合を開催。国債利回り格差拡大による分断を防ぐため、PEPP(コロナ対策の緊急購入プログラム)で買い入れた債券の償還資金の再投資を柔軟に運用する方針を決めた。EU内格差で経済脆弱化に対応したもので、イタリア株は+2.87%で値上がりトップ、南ア、ベルギー、ギリシャが続いた(米ナスダック+2.50%)。

習近平-プーチン電話会談が急遽行われた。中国外務省発表の通り一遍の発表しか伝えられていないが、中国のロシア支援が強まるのか、習主席の国内劣勢挽回策なのか、今後の展開への影響を注視する必要がある。

15日発表の5月中国鉱工業生産は予想外の前年同月比+0.7%(4月同-2.9%)。ロックダウンと関係ない地域での石炭、アルミ増産などが寄与したものと見られる。不動産販売は前年比-31.8%、製油所処理量は同-10.9%。習主席のロックダウン派と李克強首相率いる経済回復派の鬩ぎ合いが続いているが、回復派が主導権を取りつつあると見られる。

日本市場でも、債券先物市場で日銀対ヘッジファンドの攻防が行われている。過去何度も行われた攻防は全て日銀が勝っているものの、無謀なファンドは後を絶たない。こうした状況は政治が脆弱な局面で現れやすい。

 

【FOMC通過前から株式市場には資金流入、売られ過ぎとの見方】

FOMC前の14日付WSJ紙が、「FRB0.75%利上げを検討する可能性がある」と伝えたことを、市場はFRBのリークと受け止めたようだ。米金利先物市場での「0.75%利上げ確率」は1週間前の3.9%からFOMC前に89%に急上昇、0.5%利上げ確率は100%近い水準から11%に低下。

14日発表の5月米PPI(卸売物価指数)は前年同月比+10.8%、市場予想および4月の+10.9%を小幅下回り、原油相場も小反落したが、響かなかった印象だ。米10年債利回りは一時3.475%、20114月以来、2年債は同3.439%、200711月以来の水準。30年債が3.42%台で最も低い。

短期金融市場も6月、7月と連続0.75%利上げを織り込み、その後も追加引き締めを想定しているが、「来年中には0.75%利下げに転じる」とも見込み始めた。「インフレが主要リスクだが、話題はリセッションとハードランディングに移りつつある」とのコメントが出ている。様々な状況を考慮しての動きとは思えない。例えば、このスピードで利上げすれば、国債、MBSを大量保有するFRBの含み損は膨大になる。また、米財政収支が2110-225月累計で4260億ドルの赤字、前年同期比79%減に止まっている。その分、財政政策の余地があるが、今のところ考慮されていないようだ。

大きな背景には11月中間選挙に向けての「バイデン不人気」も影響している可能性がある。やや遅れたが、713-16日に中東訪問、サウジと原油増産協議と伝えられたが、バレル119ドル前後の攻防と半ば無視。ところが、17日、遅まきながら主要国の利上げで景気後退、エネルギー需要減退で6.8%の下落109.56ドルで引けた。

リセッションに備えたヘッジポジションが急速に積み上がっているようだ。一つはデフォルトに備える動き。高格付けとジャンク級企業間のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッド格差が米欧とも大幅拡大と伝えられる。株式オプション市場では、プット・コール・レシオ(プット建玉残高÷コール建玉残高)はコロナ禍以降、最も高くなっている。暴落に備えるブラックスワン・ファンドが膨らんでいる、など。通常、極端な事態が示現しなければ、これらは何処かで買い戻しエネルギーに転化する。相場は流動的局面に入っていると考えられる。

しかし、逆に株式への資金が流入しているとも報じられている。BofA(バンク・オブ・アメリカ)によると、米国株には15日までの1週間に148億ドル(約2兆円)が流入した。世界全体の株式市場では166億ドルの流入となり、債券は2020年4月以来の大幅流出だった。マネーマーケットファンド(MMF)からは500億ドルが流出した。

株式に対する投資家センチメントは先週、米当局の積極的な利上げが経済をリセッション(景気後退)に陥らせるとの懸念から一段と悪化し、S&P500種株価指数は弱気相場入りした。

おそらく、市場関係者は、市場は「ひどく売られ過ぎ」と見ているものの、「金利ショックによってインフレショックが去ったと証明されるまで」は上昇すると戻り売りガ出る公算が大きいと分析している。過去の米弱気相場(直近の高値から20%下落と定義)に基づくと、米S&P50017日現在3674、史上最高値は13日の4796)の現在の下落局面は10月に終了し、指数は現水準を18%下回る3000になる見込みというのが市場関係者の大方の見方のようだ。

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