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2022年06月27日

【Weekly No.341】米債利回り低下も方向感なく、6月末を意識?

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  1. 米債利回り低下も方向感なく、6月末を意識?
  2. ドル円のラフなデッサン
  3. 対人民元の円安、20円突破に驚き

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Weekly 627

【米債利回り低下も方向感なく、6月末を意識?】

23日の米債市場で、2年債利回りが一時2.876%(終盤は3.01%台)、10年債が3.005%(同、3.08%台)に急低下した。「景気後退懸念」の強まりが背景と説明され、「減速感が強まれば、10年債利回りが2.52.75%レンジに押し戻される可能性がある」との見方が伝えられた。グロースもバリューも上げる株高要因になったが、為替市場なども含め反応が鈍いように見える。目標値も方向感もないが、債券相場でも6月末を意識した投機的動きの修正が出ている印象がある。

23日は、フィリピン(0.25%、2会合連続)、ノルウェー(20年ぶり0.5%利上げ)、メキシコ(0.75%、9会合連続で政策金利は7.75%、今回の利上げ幅は2008年以来)と利上げが相次ぎ、世界的な利上げ潮流は続いている。一方、S&Pグローバル発表の6PMI(購買担当者景気指数)速報が、ユーロ圏51.9554.8,市場予想54.0)、米国51.25月改定値53.65か月ぶり低水準)と急低下し、景気減速感を強めた。米週間新規失業保険申請件数(18日現在)は前週比2000件減少の22.9万件、このところ20万件強の横ばい圏が続いている。下院公聴会で証言したパウエルFRB議長はインフレ対策を「無条件」としつつ、「失業率が上昇するリスクが存在する」と言及した。雇用統計に関心を強める流れ。

金融相場の調整は原油相場の低下から始まった様に見える。一歩早くWTI相場は22日のNY朝方、バレルあたり102ドル台に低下(23日は104ドル台で下げ止まっている。ちなみに直近高値は68日の122ドル)していた。原油相場が代表するエネルギー高騰は、欧州の爆買い、投機筋の思惑、ロシアを含む産油国と中国、インドの購買大国の駆け引き、米ガソリンを代表する(脱炭素等での)生産能力不足などで構成されていると考えられる。

米石油サービス大手シュルンベルジェ社のCEOが「世界の石油探査・生産は加速。今後4年間でオフショア(米国以外)投資は1619年比50%増加する」との見通しを示した。

23日の米エネ省長官と石油大手の緊急会合は何の進展も得られなかったようだが、ガソリン税一時停止などの思惑が交錯する。欧州の爆買いもタンクが満杯になれば小休止する。思惑含みながら、7月のバイデン中東歴訪などを睨みながらの攻防に入りつつあると考えられる。

24日、世界の株式市場は軒並み高。NYダウは∔2.68%、ナスダックは∔3.34%、英国は∔2.68%、仏∔2.23%、日経平均はこれら先進国市場と比べ低く、∔1.23%で終わった。欧州もインフレ観測で株価を下げていたが、ここに来て経済指標からいくらかインフレ予想が和らいでいる。米国では6月の消費者態度指数の確定値が発表され、50.0と過去最低の水準となり、インフレ予想も低下。先々週の米10年債利回りは3.5%近辺まで上昇していたが、先週は3.1%台に低下、これが株高の要因。なお、24日のシカゴの日経平均先物は大証比390円高で終わっている。週明けはこの辺りで始まる公算大。

 

【ドル円のラフなデッサン】

3月下旬から始まった円安基調がまだ止まらない。17日の日銀政策決定会合での「現状維持」を受けた週末攻防はドル円135円前後の動きと高止まりの印象(24日のNY外為市場では135.23円で週を終えた)。一部には150円説も出始めているが、株式市場の円安メリット・デメリット織り込みは、これからと思われる。

昔から、ドル円変動は20円幅のゾーン移動で捉えて来た。現在は、安倍、菅内閣で出来なかった120円の壁を破り、120~140円ゾーンでの推移。チャート上は日本の金融危機だった1998年の144.8円を目指す動きにある。この時は140~160円ゾーンへの移行にならず、翌199911月には102円と100~120円ゾーンに押し戻されている。アベノミクスは、1995年に続く2度目の80~100円ゾーンとなったリーマン危機後の状況を100~120円ゾーンに押し戻したが、120円台では止めに入ったと認識している。120円は米国の許容範囲との見方もあったが、岸田政権は意図してか意図せずか分からないが、居所を変えつつあり、定着化に向かうかが焦点。

元は1949年にGHQが決めた1ドル360円。日本の高度成長の原動力の一つだった。1971年のニクソンショック、スミソニアン合意で変動相場制に移行(日本は1973年)。1985年のプラザ合意の時が160円、現在はそれが円安上限と見られている。円高は1995年の80円、201176円と二度の大震災時に記録しており、80円が円高上限と考えられている。

今回の円安原動力は日米金利差拡大。需給ギャップを抱える日本はゼロ金利政策を継続し、米国は高インフレ対策を加速的に推進する。この構図は今秋頃までは継続すると見られている。需給ギャップ、すなわち日本の供給力(生産力)の強さに評価が変わるかがチェックポイントになると考えられる。高インフレはバイデン政権と欧州の「脱炭素」が招いたとの見方が徐々に強まっている。

その分、欧米政権の弱体化が進行。フランスではマクロン仏政権が下院選で敗北した。日本は710日に参院選を迎えるが、与党優位の見方は変わっていない。岸田首相の曖昧路線である程度相殺されるが、政権安定が見込まれ、少なくとも11月の米中間選挙までは円高要因として作用することも考えられる。この期間に、日本の輸出力強化、エネ対策進展などが認知されれば、これも円高要因と考えられる。

一つのポイントは防衛力強化。日本は好戦的核保有三か国に囲まれているが、岸田首相は核論議を回避する姿勢。米軍はアフガン、ウクライナでバイデン政権下では動かないことが示された。「有事に脆弱」との見方は円安要因として作用していると考えられる。

株式市場では、ドル建て日経平均はナスダックに概ね連動して下落してきた。円ベースで円安相殺される構図だったので、ドル建て日経平均の底堅さが出て来るかが焦点になる。

背景として、企業業績での4-6月期決算、7-9月期決算での織り込みに向かうと想定される。(24日現在のドル建て日経平均は196.73ドル、6月の日経平均の高値は9日の28246円。この日のドル建て日経平均は211.06ドル)

 

【対人民元の円安、20円突破に驚き】

アジア株ファンドの調整が続いているイメージだが、一つ気になるニュースは、「米ゴールドマンサックスの中台リスク指数上昇、高まる緊張示す-台湾株と逆相関」。台湾市場が約10年ぶりに中台リスクを織り込み始めているとも言われている。最近の台湾海峡を巡っての「国際水域」論争などが投影されているものと思われる。また、ゼロコロナで中台貿易が制限されていることも影響していよう。

日本市場では安全保障はマーケット要因として説明されることは少ないが、岸田内閣が「防衛費増強(GDP2%、増額10兆円以上を目指す)」、「ソロモン諸島に77年ぶり自衛隊艦船派遣」、「ウクライナ積極支援姿勢」など、安全保障的には別格の存在と認識されている公算がある。参院選がスタートし、中ロ北の核保有3か国に囲まれた危機論争、参院選後の内閣改造で岸防衛相交代説などが注意されている。

もう一つの驚きは対人民元での円安進行。中国が人民元の対ドル相場の安定に腐心しているので自動的な帰結であるが、オフショア人民元相場はNY時間で20.40円を突破、1520.285円を超え、19933月以来の人民元高と伝えられる(オフショア取引の開始は2010年で最高値更新中)。

水面下で中国が文句を言ってきている可能性があるが、日本の輸出環境には追い風。ただし、ゼロコロナの上海混乱影響が尾を引き、トヨタは7月も部分減産を発表している。諸手を挙げてと言う訳には行かなそうだ。

中国市場にどの程度影響しているか分からないが、21日「中国恒大の再建計画、予定通り7月末までに公表へ」(同社株は321日から売買停止中。21年決算はまだ発表できないとしている)、22日は「融創中国、国内債で2度目の返済延期要請」、「S&Pは政府系の緑地控肢を選択的債務不履行に格下げ」などの報道が出ている。不動産問題が続いていることを示す。蛇足だが、マカオ議会は「カジノ監督強化・増税案を承認」。マカオの死亡はダメ押し的に。日本でも大阪維新が進めるIRリゾート推進環境は逆風が強まろう。

相場的には「東芝、17000円で未公開化も」の反響に注目したい。迷走に迷走を重ねているので評価し辛いが、中国など念頭の「経済安全保障」観点が強まる公算がある。

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