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2022年07月11日

【Weekly No.343】政策展開の方向性を問う展開

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  1. 政策展開の方向性を問う展開
  2. インフレ観緩むか、商品市況急落、米長短金利逆転
  3. アジア減速観広がり、株売りか

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Weekly 7月11

【政策展開の方向性を問う展開】

主要市場のなかで、英国株は日本株と並び3月安値を下回らずに推移している。7日夕、ジョンソン首相辞任報道が飛び出し、どういう反応を示すか注目されたが、+1.14%。スイス+0.93%に次いで低く、この日の欧州株上昇に見劣りしたが、政権崩壊は響かなかったようだ。新党首選びは、721日までに候補者2人に絞り込み、夏休みを挟んで一般党員による選出は9月の予定。

バイデン米大統領がいち早く「英国と緊密な協力継続」を表明するなど、ウクライナ支援などの方向性を問う選挙ではないため、新党首での英政権の安定化に期待する方向と思われる。米市場で英ポンドは対ドルで0.69%高。ただ、状況は流動的。7日の原油市場では「ロシアの裁判所が黒海にあるCPCターミナルからの原油荷積みを禁止するよう命じた」ことで急反発となった。原油漏れ防止計画に違反しているとし30日間の操業停止を命じる内容。同ターミナルからはカザフスタン産を中心に毎月3000万バレルほど輸出されている。今のところ通常通り運営中とされるが、政情不安地域が多いだけに追い討ち材料は要注意。

また、仏政府が200億ユーロのインフレ緩和策を発表(年金給付4%引き上げ、公務員給与3.5%引き上げ、燃料補助金延長など)。ジョンソン英首相は最後の延命策として新任財務相と「減税を決意」と報じられただけに、景況感次第で対策の空白が懸念される恐れはある。英中銀は5日に発表した金融安定報告書で「銀行に経済の嵐に備えるよう(資本バッファー増強を)指示した」。

8日安倍元首相が銃撃され死亡した。この日の前場は日経平均369円高だったが、心肺停止のニュースが伝わり徐々に上値が重くなり、結局26円高で終わった。日本は10日の参院選後、政策を巡る攻防が激しくなると考えられる。選挙自体は与党過半数の勢いのままと見られるが、例えば、原発再開派と再生エネ派の鬩ぎ合い、対中や対韓姿勢を巡る綱引き、憲法改正の動き本格化、財政的には余裕含み(税収増や前年度使い残しなど)の下の経済政策など多方面が考えられる。

6日から7日にかけ、海外機関から中国に対する警告が相次いでいる。米FBI長官は「中国は西側企業の知的財産の略奪を狙っている」、米国家防諜安全保障センターは「中国政府が米国の州や地方当局者をけしかける形で米連邦政府に親中政策を追求するよう圧力工作を強化している」、IEA(国際エネルギー機関)は「ポリシリコンの製造能力の79%を中国が占める(近いうちに95%との見方)など、太陽光発電資材の供給網の中国依存がリスク」と警告。ウイグル人権問題には触れていないが、分散生産を要請した。

中国政府は「国家標準」という独自規格を外資系企業に求め始めたと伝えられる。中国内の先端技術は中国の技術基準に基づかないといけないというもので、生産移転、技術移転を求め始めた。「輸出管理法」、「反外国制裁法」に次ぎ法整備を強化している。ロシアが戦時経済体制移行法制化で、外資企業撤退第二波を招いているが、中国ビジネスも安閑としていられなくなりつつある。政策動向が揺れ動く素地が強まっており、傍観座視できなり、具体的な政策発出に関心が高まろう。

 

【インフレ観緩むか、商品市況急落、米長短金利逆転】

先月後半から軟調な面があったとは言え、米国連休明け5日の市場は商品市況急落が目立つ展開となった。WTI原油相場は一時100ドル/バレル割れ、小麦相場は8.9%暴落し、ロシアのウクライナ侵攻前の水準に戻った。ウクライナ穀物を巡って混乱が続いているが、ロシアなどが豊作の様で現物に売り圧力が出ていると見られる。LME銅は一時17か月ぶりの安値など非鉄市況全般も下落した。 

一般的には「世界同時リセッション(景気後退)懸念」と解説されているが、大規模な投機マネー縮小の印象が強い。個別材料はほとんど無視された格好。なかでも大きそうな話は、イエレン米財務長官と劉鶴・中国副首相がオンライン会談を行い、「100億ドル相当の中国製品の関税撤廃の可能性」(政治サイト・ポリティコの報道)と伝えられたが、目立った反応は見られていない。

英政府が商品相場への監視体制を強める(投機マネー規制強化懸念)と報じられ、あるいは買い漁っていた需要側が在庫満杯で買い意欲低下しているのかも知れない。米ロジスティクス指標と言うのがあるそうだ。5日発表の6月物流担当者指数は65207月以来の水準に低下、ピークは376.23ヵ月連続の低下。物流機能が回復していることが主因と見られるが、販売減=需要後退懸念も伴う動き。

8日に米6月雇用統計が発表された。就業者増加数は予想の26.5漫人を大きく上回り37.2万人だった。2627日にFOMC(連邦公開市場委員会)の予定だが、雇用統計発表前は「FRBは次々回9FOMCで積極的上げ姿勢を転換する可能性」、「米短期金融市場で23年半ばに利下げに転じる可能性を織り込む」など、ついこの前まで、4%だの5%だのと言っていたのが噓のような沈静化していたが、雇用統計の結果を見て7月はどうやら0.75%の利上げの確率が高まった。

6日に米10年債利回りは一時2.780%、2.816%の2年債利回りと逆転した。2年債も614日の3.498%から低下しているが、8日には3.10%、10年債は3.08%と逆転したままで週を終えた。市場ではこの逆ザヤは景気後退を示唆していると受け止められている。為替市場ではユーロが売られ波乱含み。行き過ぎ修正と見られるが、全体として方向感の得難い状況が続くと見られる。

 

【アジア減速観広がり、株売りか】

4日のアジア市場は、鬼(米国)の居ぬ間の全面高とはならなかった。インドネシア株-2.28%、台湾-0.88%、マレーシア-0.84%、タイ-0.79%、韓国-0.22%などがマイナスだった。アジア市場(中国、日本以外のインド、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、台湾、韓国の7か国)の株式市場は46月期に合計400億ドル(約5.4兆円)の資金流出に見舞われたと報道されている。リーマン危機や最近の18年の調整場面を上回ると言う。その余韻がまだ続いている印象だ。

最も売りが激しかったのが台湾、韓国のハイテク企業、次いでエネルギー輸入依存度の高いインド、インドネシアは債券市場からの資金流出が目立ったと言う。背景は「世界経済は同時減速」との見方が急速に広まったため。ノムラのアジア・エコノミストは「ユーロ圏と英国、日本、韓国、豪、加が米国とともにリセッション入りする」と予想。米国とユーロ圏は23年に1%のマイナス成長に陥るとし、利下げに転じるとの見立てだ。「輸出回復にはもはや頼れない」、「豪、加、韓国などでは住宅バブル崩壊の恐れがある」。

とくに韓国は79月期に2.2%のマイナス成長に陥ると予測。最近の対日接近はこの危機感が背景であろう。6月の韓国の外貨準備は前月比94.3億ドル減少の4382.8億ドル。08年の金融危機以来の大幅落ち込みで減少は4ヵ月連続(36月累計で234.9億ドル)。ドル売り介入を行っている様だ(円に対してはウォン高)。6月輸出は前年同月比+5.4%、2011月以来の低い伸び、輸入は+19.4%で24.7億ドルの貿易赤字。

このところ断片的ながら「中国株へマネー回帰」と報じられることが目立つようになった。米ゴールドマンサックスが「中国株を選好」、ブラックロック「中国株ETFに過去最大の資金流入」など、世 界の波乱の避難先との見方。元々、ウォール街は親中スタンスで、米国株とのキャッチボールを想定しているものと思われる。李克強首相・国務院派の経済立て直しに期待・支援する姿勢と思われる。

ノムラのアジア・エコノミストは、中国については回復軌道としているが、局地的にゼロコロナ政策が復活するなど、不透明感が強い。アジアファンドとは別のお金が動いているので、直接連動しないと見られる。7月にも予定されている米中首脳会談、7月末頃からの北戴河会議動向などの見極めに向かうと考えられる。

日本に対する見方は「政策支援の継続と経済再開の遅れ」を理由に他国と比べリセッションは軽微になるとの見方。明治学院大の佐々木百合教授の分析によると、「円安の物価押上げは限定的(1%の円安はコアCPI0.02ポイント押し上げ)。インフレ率2%乗せで騒いでいるが、海外から見れば不思議なぐらい低い。日銀の金融政策維持、短観で非製造業の(コロナ禍からの)回復、製造業の販売価格DI1980年以来の水準、21年度税収は過去最高の67兆円(見込み比+3.1兆円)など、安定力がもっと評価されても良さそうだ。参院選後の内閣改造、具体的な政策発動(顰蹙を買っている節電ポイントは止めた方が良い)がより重要になってきていると考えられる。

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