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2022年07月25日

【Weekly No.345】ECB利上げ、欧米の景気減速攻防へ

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  1. ECB利上げ、欧米の景気減速攻防へ
  2. コロナ感染急増も経済活動制限せず、見直し論も
  3. 米高官発言変化、対中高関税の部分緩和消えたか
  4. 利上げ攻防下、中国情勢、予断許さず

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Weekly 725

【ECB利上げ、欧米の景気減速攻防へ】

21日日銀は予定通り政策決定会合で現状維持を決め、同日ECB(欧州中銀)は数日前から急速に高まった0.5%利上げを決めた。政権崩壊のイタリアなどへの悪影響より、ユーロ対ドル等価(1ユーロ=1ドル)割れによるインフレ圧力を回避したかったものと思われる。その分、イタリアへのしわ寄せ懸念が強まるかが焦点の一つとなろう。引けに掛けて若干戻したが、21日のイタリア株は-0.71%、市場では早くもユーロ圏離脱に追い込まれるリスクまで取り沙汰され出しているようだ。

いずれにしろ、ウクライナ戦争、ロシア制裁、エネルギー危機に熱波の影響が加わっている欧州経済にはネガティブな要因。撥ね返って米景気減速観にも影響する。決算ラリー途上にある米株では、悲観論の修正が目立つ。ネットフリックス、テスラ、アルミ大手アルコア、油田サービス・ハリバートンなどが市場予想を上回る決算で先週の上昇相場を牽引した。ブルームバーグは「空売り勢の修羅場と化している」と伝えた。

もっとも、21日は「一部利用客で支払い延滞が見られる」とした通信大手AT&Tが過去20年で最大の急落、写真・動画共有アプリのスナップの46月売上高が市場予想を下回り、時間外取引でオンライン広告関連のソーシャルメディア株が軒並み急落するなど、悪化材料にも過敏な地合いとなっている。

今週(2627日)の米FOMC通過後のテーマの一つは米景気減速懸念の強弱観と見られる。21日発表の週間新規失業保険申請件数は25.1万件、前週比7000件増、市場予想24万件を上回り、8か月ぶりの高水準となった。雇用状況に神経質な地合いに向かう可能性大。  

米景気減速懸念の象徴である、長短金利逆転(逆ザヤ)は拡大した。10年債利回りは一時2.877%、2年債は3.085%で、210年債利回り差は21bp前後で推移している。30年債も3.05%前後で2年債と逆転している。消費動向や住宅市場への懸念に投影される。もう一つ、原油・非鉄市況の下落が景気失速・需要減退懸念として説明されることが多い。

21日のWTI原油相場は3ドル超/バレル安。90ドル台半ばの揉み合いで、一般目線の100-110ドル(日本の石油連盟会長)を下回って推移している。私見では、市況低迷には景況感だけでなくロシアの事情、売り圧迫が加わっていると見る。端的に、ロシア・ガスプロムは政府に上納金を納めねばならず、一定の販売確保のため、ノルドストリームを30-40%再開したとの見方だ。プーチン大統領は脅しとして供給遮断を言うが、現場はそういう訳には行かない。ガスプロムは無配を発表し、背水の陣を敷いている。これは他の資源関連も同様で、闇ルートを通じてでも換金売りを行っていると見られる。金相場は一時1700ドル/トロイオンスを割り込んでいるのも、その表れと見れる。

 

【コロナ感染急増も経済活動制限せず、見直し論も】

20日のコロナ感染者数が15万人を突破、一大事だが今のところ株式市場への影響は限定的と見られる。重症者数176人(危機的とされた2月頃は1500人超)、死亡者数53人(ピークは222日の322人)と重症化・死亡率が低いまま、即ちウイルスが弱毒化していると見られるためで、政府も制限強化に動く姿勢を見せていない。中国の習近平・ゼロコロナ政策のような事態になれば別だが。

今回の最大の特徴は従来のワクチン、マスク・消毒などの対策が全く効いていないこと。野球、相撲、世界陸上など感染対策が行われている所でも多発している。従来から、mRNAワクチンがウイルスの変異を促進しているとかヒトの免疫能力を低下させているとか言った批判があったが、現状も実態解明は封止されている。ただ、英国で死亡者の94%がワクチン接種者(カナダも同レベルの報告がある)、接種率30%台の南アフリカなどでは感染爆発が起こっていないなど、素人目にも疑問が多い。

マスク・消毒にも懐疑的意見が増えている。一般論だが、ヒトの皮膚には脂肪分をエサにブドウ球菌などが生息する。その活動で弱酸化するが、ウイルスや細菌は酸化環境で生息できない。広義のヒトの免疫・防御システムを形成するが、長時間のマスク使用やアルカリ消毒はその環境を壊す。とりわけ、免疫体系自体が脆弱な若年層でそのダメージが大きいと見られている。蛇足だが、酸化=老化で、抗酸化物質がアンチエイジングとして用いられている。専門家と言われる人たちはどうも頼りにならない。

一方、米国医療界のドン、ファウチ博士の引退意向が報道された。ワクチン接種にも拘わらず、二度感染した。二度目はファイザー社の治療薬を服用していたとのことで、ファイザーを中心としたワクチンを世界規模で売りまくる体制が崩壊しているように見える。

今回の感染急増は空気感染のレベルが上がったためとの見方がある。日本の得意とする空気清浄化システムの普及拡大が一つの注目点となろう。代表例はウシオ電機などが進める人体無害紫外線照射装置、プラズマクラスターなどの販売動向が注目される。

 

 【米高官発言変化、対中高関税の部分緩和消えたか】

アジア歴訪中のイエレン米財務長官は最後の韓国で「中国のような国が重要な原材料や技術、製品の市場地位を利用して我々の経済を混乱させたり、好ましくない地政学的影響力を行使したりするのを我々は容認することが出来ない」と中国を強く批判した。具体的に、レアアースや太陽光パネルの中国依存の解消を目指すとした。その前には中国の対ロ制裁非協力を批判していた。

イエレン長官は今年4月に、インフレ対策として対中高関税の緩和に言及し、バイデン政権の緩和論の先陣を切っていたが、7月になって対中融和姿勢が大きく転換した可能性がある。訪台した前米国防長官が中国に対する「戦略的曖昧さを見直す必要がある」と述べるなど、急速にトランプ路線に戻りつつある印象だ。米経済悲観論の見直しに波及している公算がある。

対中高関税撤廃が急速に萎んできた要因には、対ロ制裁を巡る中国の非協力以外にも、以下の点が指摘されている。17月上旬までに行ったUSTR(米通商代表部)の意見公募で、労働団体などから400件以上の国内産業保護、雇用懸念を訴える声が集まった(少なくとも中間選挙前には動けなくなった)、23000万バレルの原油戦略備蓄放出のうち500万バレルが中国に安値流出していた。長男のハンター・バイデン氏が設立したBHRパートナーズが関与していた疑惑が噴出(情報公開請求を受けたエネルギー省は拒否しているが、大統領弾劾リスクもある)、3)関連でペンシルベニア大学の「ペン・バイデン・センター」の中国多額寄付問題が蒸し返される可能性がある(同センターの運営責任者はブリンケン国務長官だった)。当面の緩和対象とされていたのは100億ドル規模と小さく、米インフレと対中関税の関連性は薄いとの指摘もされている。

8月にはペロシ下院議長の訪台予定(コロナ感染で4月延期)が報じられている。中国の台湾侵攻を牽制するとともに、揺らぎがあった日米軸の「インド太平洋戦略」に力強さが戻る公算がある。

CNNはプーチン大統領の制裁による危機的状況認識と西側からの武器流入によりウクライナ側の反攻態勢が整いつつあるとの見方を流した。戦局の変化も睨み始めた可能性も考えられる。

 

【利上げ攻防下、中国情勢、予断許さず】

ブルームバーグによると、15日の米金融市場で、10月限のFF金利先物に想定元本1500億ドルを買った一人のトレーダーがいたと言う。見込み通り、大幅利上げ観測が後退し、終値で計算上約1440万ドル(19.88億円)の利益を上げたと言う。週明け18日には手仕舞いの動きになったのか、後半にかけ米株式市場は失速した。全体が模様眺め気分なので、こういった取引が目立つのか、まだ攻撃的ポジションを取る人々が交錯して方向感が見えないのか、よく分からないが、今週のFOMCに向けての攻防局面と位置付けられる。

ヘッジファンド管理会社シトコ・グループによると「6月の顧客ファンド資金流出額は101億ドル(新規流入157億ドル、解約258億ドル)。7-978億ドル、10-1264億ドルの流出基調が続くとの予想。調査会社ユーリカヘッジによると、ヘッジファンドの1-6月運用成績平均はマイナス5.4%、最悪だった08年と同等レベルに向かっている。シトコの顧客で6月運用がプラスは28.5%に止まると言う。

ロシア制裁でオリガルヒ資金などが引き揚げ・差し押さえられているためか、商品ファンドなどへの資金移動後、下落に見舞われているためか、昨年までの上昇相場からの転換が出来なかったせいか、分からないが、政治経済情勢が極めて不安定化していることは否めない。

バイデン大統領の歴史的中東訪問は、「手ぶらで帰国」と報じられた。原油相場は一呼吸遅れて5ドル/バレル高。インフレ観は強まったとは言えない状況。欧州は政治混乱(英、伊)に、猛烈熱波(ポルトガル47℃!)、ノルドストリーム停止(今週末再稼働できるか)など混乱状態だが、ECBは予定通り利上げ実施。

先々週末、下振れ4-6GDP発表で波乱と中国株は週明け、対策期待で持ち直したが、内情は厳しさを伝える報道が相次いでいる。中国のコロナ感染は16580人、17510人。上海などで大規模検査再開、マカオのロックダウン延長など依然制限的。上海の4-6GDPは-13.7%、北京は-2.9%だった(全体は前年比+0.4%)ので、その水準からは大幅回復が見込まれているが、日本などのようなオミクロン「BA5」爆発とならないか、予断を許さない状況。住宅ローンの不払いが大量発生している不動産問題は、中小銀行の増資、住宅値下げの事実上禁止、など行き詰まりの様相を呈している。

10億人データ流出事件ではアリババが取り調べを受けるなど、管理社会体制にも綻びが見える。全体として、日本株は中国市場の動向に神経質な展開が続くものと考えられる。

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