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2022年08月01日

【Weekly No.346】FOMC、ほぼ予想通り通過でリリーフラリー

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  1. FOMC、ほぼ予想通り通過でリリーフラリー
  2. 大幅利上げ観測後退、ラリー継続も中国緊張
  3. 米経済リセッション入りなら、株価の一段の波乱も

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Weekly 81

 【FOMC、ほぼ予想通り通過でリリーフラリー】

先週もっとも注目されていた2つのイベントとは、1つは米FOMC2627日開催)。もう一つは28日の米46GDP速報値だった。まず、27日のFOMCでは連続0.75%利上げ、ほぼ市場予想通りの結果だった。利上げ幅が小幅であったらFRBへの信頼低下、景気減速懸念と高インフレ綱引き激化の可能性があり、大幅(1.0%)なら景気失速加速懸念を強める恐れがあった。

この結果、リリーフラリー(安堵感からの上昇)となった。決定は全会一致だったこと、パウエル議長が労働市場の多少の軟化に言及したこと(新規失業保険申請件数の増加は季節性があるかも知れないと言及したことで、翌28日発表の同統計が早くも注目されていた。28日発表の週間新規失業保険申請件数の結果は25.6万件(市場予想25.3万件)、前週比5000件減だったが、これは前週分が25.1万件から26.1万件に引き上げられたため。ジワリ雇用環境軟化が確認されたことになる。

短期金融市場では利上げプレミアムが縮小してきた。現時点では市場は「年内あと2回、9月と12月に0.5%ずつ利上げ」を想定している。ただ、ダドリー前NY連銀総裁が「金融市場は過小評価している」と指摘。6FOMCで示された年末金利誘導目標は3.25-3.5%(23年にさらに0.5%利上げ)だが、4%程度も有り得ると述べた。

エネルギー価格、とりわけガソリン価格など、現時点では依然警戒ムードが強いことを示している。この日、G7がロシア産原油の価格上限設定をEUが海上輸送でのロシア産原油輸入禁止日と同じ125日に設定と伝えられた。今後もその動向が一つの焦点となろう。

米経済統計では、住宅、自動車販売減速、耐久財受注の底堅さ、輸出増などバラバラ。最も目立ったのは、6月耐久財受注で前月比+80.6%となった「防衛航空機」。全体は予想0.5%減に対し1.9%増で、設備投資は持続性があるとの見方。

米債利回りは、10年債が2.8%割れ、2年債が3%割れ、2-10年債利回りギャップは20bp程度に縮小。極端な例では、3ヵ月物金利と10年債のギャップは71日の118bpから36.3bpに縮小した。債券市場は景気後退材料に過敏になるものと思われる。

27日の米株式市場ではナスダックが4.06%高、コロナショック直後の204月以来の上げ幅。決算でマイクロソフト+6.7%、アルファベット(グーグル)+7.7%などが牽引した。もっともメタ(フェイスブック)は第2四半期に初の減収決算で時間外で5%下落。半導体のSOX指数は+4.75%。調査会社ガートナーが「世界の半導体売上高は今年7.4%増に減速、来年は2.5%マイナス成長」との予測を発表したが、米上院が「補助金520億ドルを含む半導体業界支援法案」を可決したことを好感したものと見られる。個別材料地合いが戻って来たと考えられる。

 

 【大幅利上げ観測後退、ラリー継続も中国緊張】

28日発表の米4-6GDP速報値は前期比年率換算0.9%減(市場予想平均+0.5%)、景気後退と見做される2期連続マイナスとなった。主因は部品不足による自動車減産とされ、一時的感も伝えられた。

秋以降の大幅利上げ観測が後退。10年債利回りは一時2.67%台に、2年債は2.86%台に低下。株式3指数はGDP発表直後に急落したが切り返し、1%超の上げ。リリーフラリーで待機勢の方が優勢と受け止められる。決算ラリーでは通年見通し下方修正のインテルが時間外で10%安、前日発表のメタは5%続落、

一方、第2四半期売上高が市場予想を上回ったアマゾンが12%高、純利益が予想を上回ったフォード・モーターが6.1%高、堅調決算のアップルも3%高。ただし、リリーフラリーは月末要因の可能性もある点に注意。

バイデン大統領は「私にはリセッションとは思えない」と楽観発言だが、頭のなかはペロシ訪台問題、習近平主席とのオンライン会談で一杯だったと思われる。強引に首脳会談を行ったのは、20日に「(ペロシ訪台問題で)米軍はそれがいい考えだとは思っていないと思う。私は状況を知らない」と発言し、一気に台湾問題での軍事的緊張を高めた(アフガン、ウクライナに続く3度目の失言との指摘がある)。折から、26日にシンガポールを出航した米空母ロナルド・レーガンが南シナ海に入った。中国側の緊張は否が応もなく高まっている。米議会は中国対抗半導体法案を可決した。

中国は28日、共産党中央政治局会議を開催。「合理的範囲での経済運営を継続し、経済にとって最良の結果を実現するために最大限努力する」との方針。穏健ながら非常事態宣言に近いと思われる。英FT紙は経営難の不動産デベロッパー向け融資支援は1兆元(約20兆円)と伝えた。ついこの前ロイターが報道した時は3000億元だった。中国恒大は香港の本部ビル売却に動いている(焼け石に水だと思うが、再建案が行き詰まっていることを示唆)。

中国のロケット残骸が日本時間31日午前9±16時間に大気圏再突入、落下すると言う。落下地点予測は困難。静かながら、底流緊迫の週末・月末となりそうだ。

 

 【米経済リセッション入りなら、株価の一段の波乱も】

前述したように、28日に発表された46月の米GDP速報値は前期比年率0.9%減と、2四半期連続のマイナスを記録。統計上の定義ではリセッション(景気後退)の条件を満たしたことになる。依然として雇用が堅調な伸びを続けているため、米経済が本当にリセッション入りしたのかどうかは、議論の余地があり、景気の山と底を正式に判定する全米経済研究所(NBER)もまだ景気後退を宣言していない。

ただ実際にリセッションになったと判明した場合、過去の事例では、米株式市場は弱気相場にリセッションが伴うと、より下げがきつくなる傾向がある。ロイターによると、1946年以降の弱気相場では、リセッションありの平均下落率は35.8%で、リセッションなし弱気相場の下落率27.9%よりも大きい。

S&P500は6月半ばに高値から23.6%下落し、その後10%ほど戻している。株式市場が今年に入って弱気相場入りともいわれているが、景気後退の兆候はまだ部分的であり、株価も部分的にしか織り込んでいないのではないか。

米経済が景気後退に突入したとの見方一色というわけでないのは確かだ。パウエルFRB議長は27日の記者会見で、労働市場の強さからするとリセッションが始まったという話はあり得ないと発言。ホワイトハウスも、中間選挙を控えているだけに国民を動揺させまいという政治的な意図から、景気後退説を徹底的に否定している。

しかし、データからも1947年以降、2四半期連続のマイナス成長が米国に景気後退をもたらさなかったことは一度もない。7月になってから、米国債のイールドカーブ上で2年債と10年債の利回り水準が逆転する展開も続いている。いわゆる「逆イールド」は、景気後退の前兆と言われている。7月最終日も結局23ベーシスポイントの逆イールド、つまり2年債の利回りが長期の10年債より23ポイント高いのだ。

物価上昇率が高い伸びを見せる中で成長が弱まれば、スタグフレーション(インフレと景気後退が同時に起こる1974年や1981年ころの米経済)を巡る懸念が高まる恐れがある。スタグフレーションの議論が始まれば、S&P5003300まで下落してもおかしくない(29日の終値は4130、つまりここから20%安の水準)。7月最後の3日間でNYダウは1083ドル高くなった。月間で6.7%高、ナスダックは12.3%高、S&P500 9.1%高、いわゆる前述したように「リリーフラリー」を経験したことになるが、これからの経済がインフレと金利上昇から受ける圧力を考えると、われわれはまだ危機を脱していないといえる。

なお、円相場も29日の東京市場で132円台を付けた。急速な円高になったわけだが、米金利高継続を狙った円売りポジションの巻き戻しにストップロスがかかったため急激な円高となったのだろう。この動きを見てかどうかはわからないが、「ミスター円」の元財務官の榊原英資氏がロイターのインタビューで、「円ドル相場は今後140円に達するかもしれないし、140円すら超えるかもしれないが、150円や160円など一段と大幅に進むことはないだろう」と指摘。円安は主に日米間の金融政策の違いによって引き起こされたが、「今は状況が変わりつつある」と指摘した。NY市場での円ドルは133.27円で7月を終えた。榊原氏は「状況が変わった」と述べているが、今後の米経済指標への警戒を怠ってはならない。 

ちなみに、同氏は5月ころのインタビューで1ドル150円の予想を掲げていた。おそらく、細かなデータを持っている機関投資家なら、130円、140円を目指す動きは投機的な動きと理解していたはず。理由は経済上の円のフェアーバリュー(妥当価格)は110円台だからだ。

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